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詩織「ではこれからは小説の文章について学んでみましょう」
翔斗「プロの書く文章と自分の書く文章ってなんだか全然違うんだよね」
詩織「この講座では、読者が読みやすく感じられる文章を目指していこう」
翔斗「はい!」
詩織「今回のコツは、これだ!」
ババーン!
翔斗「はい?」
詩織「普通の小説はさあ、こんなふうにセリフの前に名前を書いてなんかいないでしょ」
翔斗「そうだよね。初めの頃は変だなあと思ってたよ。途中から慣れて気にならなくなったけど」
詩織「この書き方、おすすめします」
翔斗「正気ですか」
詩織「もちろん、こんな書き方をしなくたってきちんと書けそうなら忘れていいけど、この書き方には優秀なところがあるんだよ」
翔斗「へえ、どんな?」
詩織「誰が話しているのか、確実にわかる」
翔斗「あ、それはそうですね」
詩織「逆にこの方法を使わない場合は、誰が話しているか確実にわかるように気を付けてね」
翔斗「ちなみにその場合のコツは?」
詩織「説明しましょう」
「単純なのはこの形」と詩織は言った。
「こういう形もよくあるから覚えてね」
詩織は笑みを浮かべ、人差し指を立てる。
「セリフの前後で動作を示せば、それだけで誰が喋ったのかわかるんだね」
翔斗は鉛筆でノートにメモをする。
「その通り」
「あ、今喋ったのって詩織お姉さん?」
「正解。二人だけの会話だから、翔斗君の次に喋っているのは私だって推測できるね」
「そして詩織お姉さんの次に喋っているのは俺、というわけね」
「口調などで判断できることもあるので活用しよう」
「俺の出番はいつ来るんだ?」
「あ、これはシンだな。出番出番言うやつ他にいないもんな」
シン「それでババーンってのはなんなんだ」
詩織「効果音だよ。漫画やアニメであるやつ」
翔斗「普通、使わないよね。小説だと」
詩織「使うスタイルの人もいるよ。好みや、書きたい作品によるってところだね」
シン「そんで、どういうメリットがあるんだ?」
詩織「地の文でする説明を簡略化できるよ。やってごらん」
シン「剣を持って、振る!」
ズバッ!
詩織「なにかを切ったような音がしたね」
翔斗「なにを切ったのかまではわからなかったけどね」
詩織「細かいことまでは伝えられないから頼り過ぎには注意だよ。でもちょっとしたニュアンスの違いは表現できるよ」
シン「いくぜ!」
ズバシャアッ!
翔斗「さっきよりも凄いことしたっぽい」
詩織「効果音同士で比較しやすいように工夫するとより効果的になるよ」
翔斗「なるほど」
詩織「そして、いかにユニークでわかりやすい効果音を思い付けるか、腕の見せ所だよ」
詩織「私も剣を持つよ。くらえシン!」
ギュムパアッ!
シン「どういう振り方だよ! わかんねえよ! なんかやばそうだけど!」
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