●週刊チャオ サークル掲示板
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チャオ小説が書ける!最新チャオ小説講座 スマッシュ 16/11/22(火) 22:32
1.プロローグとスポポーン スマッシュ 16/11/22(火) 22:33
2.ストーリーを考えよう! 起承転結ってなに? スマッシュ 16/11/23(水) 19:36
3−1.キャラから考えよう! スマッシュ 16/11/23(水) 21:38
3−2.設定は、なんでもいいよ! スマッシュ 16/11/26(土) 22:14
3−3.なんか色っぽくなりました スマッシュ 16/11/26(土) 22:14
3−4.キャラの数に注意! スマッシュ 16/11/26(土) 22:15
4−1.再びストーリー! プロットってなに? スマッシュ 16/11/29(火) 20:49
4−2.小説を書き出すぞ スマッシュ 16/12/16(金) 22:55
4−3.流れで書こう スマッシュ 16/12/16(金) 22:56
4−4.流れの作り方 スマッシュ 16/12/16(金) 22:56
5−1.ト書き風+効果音で書こう! スマッシュ 16/12/16(金) 22:57
5−2.説明しよう スマッシュ 16/12/16(金) 22:57
5−3.短文だ! スマッシュ 16/12/16(金) 22:57

チャオ小説が書ける!最新チャオ小説講座
 スマッシュ  - 16/11/22(火) 22:32 -
  
 チャオBBSが存在していた頃、一部の人たちを熱狂させた気がする小説講座!
 そいつが今、ここに復活する!!

 既にチャオ小説を書いている人も、
 まだチャオ小説を書いたことのない人も、
 この講座から得られるものを無理にでも見つけてくださいね!
引用なし
パスワード
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1.プロローグとスポポーン
 スマッシュ  - 16/11/22(火) 22:33 -
  
翔斗「俺、翔斗! これからチャオ小説を書くぜ! うおおおっ!!」
スポポーン!
翔斗「書けたぜ!」
シン「どれどれ、読ませてみな」
翔斗「シン、お前チャオなのに喋るのか」
シン「ああ、チャオだけど喋るぜ。いいから見せてみろよ」
翔斗「はい、どうぞ」
シン「ふむふむ。ああ、これはクソだな」
翔斗「ひどい! 初めてだからうまくないのはしかたないだろ!」
シン「いや、初めて書いた小説にしても、ひどい」
翔斗「まじっすか」
シン「経験がなくても、コツを知っているかどうかで大きな差が生まれるんだよ」
翔斗「ええー、そうなの?」
シン「バスケでもシュートのコツを知らなきゃ、なかなかゴールは決まらない」
翔斗「小説もスポーツと一緒って言いたいわけか」
シン「そう。知識と練習が大事なんだ」
翔斗「なるほどね」
シン「それじゃあ、小説のコツをたくさん知っている詩織お姉さんの所に行こうぜ!」
翔斗「わかった! 行くぜ!」

シン「俺、スポポンで小説書けるやつは、ちょっと尊敬できる気がする」
翔斗「そう? 才能ある感じ?」
シン「他の人とは違うものが見えてるよ」
翔斗「ねえ、本当に褒めてる?」


〜詩織お姉さんの部屋〜

翔斗「そういうわけで、詩織お姉さんのおうちに来たぞ!」
詩織「はいよろしく〜」
シン「このスポポン太郎をどうか一人前にしてください、お姉さん」
詩織「スポポン太郎って、なに」
シン「かくかくしかじか」
詩織「爆笑げらげら」
シン「同じくげらげら」
翔斗「妙なテンションで笑うのやめてくれる?」

詩織「さて、私が教えるからには、たった一日で君を一流の作家に!」
翔斗「おお!」
詩織「するのは無理なのでそのつもりで」
翔斗「おおお?」
詩織「ちょっとコツがわかったからって、プロのサッカー選手にはなれないでしょ」
翔斗「バスケの次はサッカーか」
詩織「はい?」
シン「ごめん、さっきバスケでたとえ話したのです」
詩織「ああ。うん、とにかく私の小説講座ではプロになれません。だけど、楽しく小説を書けるようになれます!」
翔斗「楽しく書けるんならそれでいいよ。つまらなかったら書く気にならないもの」
シン「うまくなるのは、その後でいいしな」
詩織「それこそ、書き続ければ自然と腕は上がるからね。継続は力なりってね」

シン「はい、そういうわけで」
翔斗「みんなで楽しく書けるようになろう!」
詩織「翔斗と詩織の小説講座、始まるよ!」
シン「俺の名前入ってねえ……!」
引用なし
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2.ストーリーを考えよう! 起承転結ってなに?
 スマッシュ  - 16/11/23(水) 19:36 -
  
詩織「それじゃあ、書き始める前の準備として、アイデアを練るところから始めましょう」
翔斗「はーい」
詩織「それでは最初にストーリーを考えます」
翔斗「了解!」
詩織「翔斗君は、なにか書きたいものがあるのかな?」
翔斗「あるよ。異世界を旅するファンタジー。主人公は日本人なんだけど、ある日突然異世界に飛ばされちゃうんだ」
詩織「はいオッケー。ストーリーを考えるのはここまでにして、次のステップに進みましょう」

翔斗「いやいやいや、おかしいおかしい」
詩織「え?」
翔斗「俺、なんか変なこと言った? ださかった?」
詩織「そうじゃないよ。それだけ決まっていればオッケーってこと」
翔斗「え、でも、俺、最高にかっこいい名シーンとかそういうのも考えてあるんだけど」
詩織「うん。名シーン、名セリフ。そんな感じのアイデアが浮かんできたりするよね。それはとてもいいこと。忘れないようにメモしておいてね」
翔斗「わかった、メモしとく……」
詩織「なんか納得できてなさそうだけど、どうした?」
翔斗「ストーリーって言うから、起承転結とかそういう話が出てくるのかと思ったんだ」
詩織「ああ、よくあるやつだよね。でも、そういう話をするのはもっと後です」
翔斗「そうなの?」
詩織「まずはたくさんアイデアを出すことが大事だし、好き勝手に想像をふくらませるのって楽しいでしょう。楽しいことから始めましょう」
翔斗「じゃあ、名シーンとか名セリフとか、たくさん考えてもいい?」
詩織「こういうのを書きたい! ってアイデアは、本格的にストーリーを作っていく時に大切になってくるから、すごくいいと思う」
翔斗「やったー!」

詩織「講座では、次にキャラ設定を考えることをするけれど、キャラ設定以外でも思い付いたアイデアがあったら、どんどんメモしていっちゃってね」
翔斗「オッケー」
詩織「アイデアはあればあるだけいいよ。後で見返して、つまらないと思ったら消しちゃえばいいんだし」
翔斗「それもそうか」
詩織「逆にアイデアがなかなか思い浮かばなくても大丈夫だよ。日本人が異世界に飛ばされて、旅をする。これだけのアイデアでもなんとかなるからね」
翔斗「まじで?」
詩織「うん。次に考えるキャラ設定で、どんどんアイデアが出てくるはずなんだ」
シン「ねえ、俺の出番は?」
詩織「今回はないみたい。キャラ立ちしてないから、扱いにくいんだよね」
シン「がーん……」
翔斗「次の講座で、シンのキャラ設定も考えてあげよう」
シン「ほんと、お願いしますわ」
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3−1.キャラから考えよう!
 スマッシュ  - 16/11/23(水) 21:38 -
  
詩織「それじゃあ、登場させるキャラクターについて考えよう」
翔斗「またストーリーの時みたいに、さっと終わっちゃうのかな……」
詩織「今回は、割ときっちり考えるよ」
翔斗「あ、そうなのね」
詩織「だって、キャラ設定は最初のうちに考えた方がお得だからね」
翔斗「お得ってどういうこと?」
詩織「じゃあ、実際に考えてみよう」

詩織「さて翔斗君は、日本人が異世界に飛ばされて旅をする話を書くんだよね」
翔斗「うん、そのつもり」
詩織「じゃあ、そこから先のストーリーを考える前に、まず主人公の設定を決めてみよう」
翔斗「わかった」
詩織「たとえば、その主人公が漫才師の二人組だった、というのはどうかな?」
翔斗「漫才かあ。あまりかっこよくならなそうだな」
詩織「他にどんなイメージがあるかな」
翔斗「主人公が漫才コンビだったら、お馬鹿な珍道中になりそう」
詩織「そうだね。コメディになりそうだよね」
翔斗「あ、でもちょっと待って。旅先で出会った子供たちを笑わせたりして、心温まる話もできそうかも!」
詩織「いいね。他には?}
翔斗「えっとね、いつもはふざけているけど、いざという時はみんなのために超がんばる感動ストーリー!」
詩織「その調子! 他にも思い付く?」
翔斗「コンビの友情もかっこいいよね。こっちがボケで、あっちがツッコミ。ずっとそうやってお互いのことを信じてきたから、どんな困難も二人で乗りこえられる!」
詩織「ほら、どんどんアイデアが出てくるじゃない。全部、ストーリーの種だよ」
翔斗「本当だ。主人公が漫才コンビって決まっただけで、どんな旅になるのか色々想像できたよ」

詩織「どんなキャラにするか想像すると、それをきっかけにストーリーのアイデアも浮かんできたね」
翔斗「うん。キャラのこともストーリーのことも、両方考えられた!」
詩織「だからキャラ設定を考えるのはすごく楽しいし、大切な作業なんだよ」
シン「今回も俺の出番がなかった……」
詩織「しっかりキャラを立てないと、こんなふうに目立たなくなったりしちゃうから気を付けてね」
引用なし
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3−2.設定は、なんでもいいよ!
 スマッシュ  - 16/11/26(土) 22:14 -
  
翔斗「でもキャラ設定って、どういうふうに作ればいいのかな。よくわからないや」
詩織「なんでもいいよ、設定なんて」
翔斗「そんないい加減な……」
シン「過去のこととかよくあるよな。昔、友達を死なせてしまったとか。それが今の性格につながっているんだ」
翔斗「そうそう。そういうのがストーリーに深く関わってくるんだよな」
詩織「うん。そういうのもあるね。でも、そんなにちゃんと考えなくてもいいよ」
翔斗「えー? 本当に?」

詩織「それじゃあさっきの漫才コンビの設定をさらに考えてみよう」
翔斗「うん」
詩織「ツッコミの人がすごく食いしん坊だったら、どんなお話になる?」
翔斗「そうだなあ。ツッコミの人が食べ物にすぐお金使っちゃって、それで金欠になって喧嘩になる、とかかな?」
詩織「いいね。他には何か思い付きそう?」
翔斗「えーっと」
シン「二つも三つもアイデアを出さなきゃいけないの、きつそうだな」
詩織「でもこういうふうに、もっとアイデア出ないかなって考えていると、他の人には思い付かないようなアイデアが浮かんでくるかもしれないよ。だから、すごく大切」
翔斗「思い付いた。そのツッコミの人は、やせているのにたくさん食べるから、みんながこいつすごいぞって思うんだよ。それで初めて会う人ともすぐ仲良くなっちゃう」
詩織「いい感じじゃないの、そのアイデア。かなりいい」
翔斗「やったぜ!」
詩織「食いしん坊、なんて大したことのない設定でも色々想像できるってわかったかな?」
翔斗「うん。つまり、なんでもいいから設定を考えればいいんだね」
詩織「そうそう。それじゃあ、ボケの人はピンクのネクタイが好きで、ピンクのネクタイしか着けないって設定にしてみよう」
翔斗「ええ、なにその変な設定」
シン「マジどうでもいい設定だな」
詩織「何も思い付かない?」
翔斗「えっと、じゃあ、大体の人が、ピンクのネクタイの人って覚え方をする」
詩織「ありそう。他にはどう?」
翔斗「そのおかげで、ピンクじゃないネクタイを着けるだけで変装できちゃう。それでスパイとかしちゃう」
詩織「あはは。ばかばかしいけど、なんかいいね。私は好きだ」
翔斗「そして自分の正体を明かす時には、さっとネクタイを結び直す。すると、そのピンクのネクタイはまさか、ってなる」
詩織「ほら、これでもう名シーンが完成しちゃった」
翔斗「ばかっぽいけど、でもお約束って感じのシーンになりそうだ」

詩織「こんなふうに、どんな小さな設定でも、色んなアイデアにつながっていくよ」
翔斗「うん。大したことのない設定でも、イメージをふくらませていけば、どんどんストーリーが生まれてくるんだね」
詩織「好きな食べ物。好きな遊び。ちょっとしたクセ。どんなことでも大丈夫」
シン「でも、ストーリーが何も思い付かないこともあるんじゃないのか?」
詩織「あります」
翔斗「えー! まじでー?」
詩織「それでも、設定を考えたことはむだにはならないよ。それを次にやろうね」
翔斗「お願いします!」
引用なし
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3−3.なんか色っぽくなりました
 スマッシュ  - 16/11/26(土) 22:14 -
  
詩織「前回まで、キャラ設定からストーリーを想像していったけど、必ずしもストーリーにつながるわけではないよね」
翔斗「そうかもしれない」
詩織「それでも、キャラの設定を考えることで、そのキャラの雰囲気がつかめるようになるよ。たくさんお話したら、友達の性格だってわかってくるでしょ? そういう感じだと思って」
翔斗「わかった」
詩織「それじゃあ実際に、キャラの設定をどんどん考えていってみよう」
翔斗「オッケー、どんとこい」
詩織「では今回翔斗君に設定を考えてもらうキャラは……」
翔斗「どきどき」
詩織「翔斗君と詩織お姉さんとシン君です」
翔斗「俺たちかよ!」
詩織「だって私たち、まだ全然設定がないじゃない?」
翔斗「そういえばそうだ」
詩織「ストーリーに結び付くかどうかは気にしないで、好きなように考えていってみて」
翔斗「わかった。やってみる」
スポポーン!
翔斗「できたぜ!」
シン「相変わらずその音で書くのな、お前」
詩織「どれどれ、見せてごらん」


翔斗君
小学六年生。
小説を書いたことがない男の子。
思春期の入り口にいるけれど、反抗期の気配もない素直なナイスボーイ。
端正な顔立ちをしている、つまるところイケメンな少年。
にこにこ笑っている時は可愛いけれど、いたずらっぽく笑う時には既に大人の色香が出始めている。
そんな評判が、クラスの女子やそのお母様方たちの中にはあるようだ。


詩織お姉さん
中学三年生。
翔斗君とは小さい頃から付き合いがある、近所のお姉さん。
モデル体型な美少女。
まだ15歳ながら、身長が165cmもある。
脚が長いので、自分にはジーンズが似合うと思っている。
そのせいでジーンズばかり買ってしまうという困った癖がある。


シン君
翔斗君の飼っている、ニュートラルノーマルのピュアチャオ。
ボケもツッコミも戦闘もこなす万能選手。
シン君を主役にしたチャオ小説を書くことが、翔斗君の目標。
それに付き合い、シン君は講座内で紹介される作例でも度々主役を務める。
遊び相手がいない時にはよくポエムを作っている。
そのため講座内では、小説初心者の翔斗のことを下に見ている節がある。


翔斗「どうですか!」
詩織「自分を迷うことなくイケメンにしたね。しかもクラスメイトのお母さんたちまで話題にするほどのイケメンなんだね」
翔斗「イケメンに教えることができて、嬉しいでしょ」
詩織「あ、うん。そうだね。でも私のキャラ設定はいい例になりそう」
翔斗「確かにこの設定を見る前と後とでは、見た目の印象が随分違いそうだよね」
詩織「これを読んでいる人たちも、今はジーンズを履いた私か、中学校の制服姿の私を想像していると思う。身長も165cmだから、可愛い系じゃなくてクール系なのかも、とかね」
翔斗「でもあれだけ年上っぽく振る舞っていたのに、まだ中学生だってことを考えると、なんだか可愛さもあるね」
シン「もしかしたら、落ち着いた口調じゃなくて、結構ノリのいい感じで喋ってたのかもな」
詩織「そうそう、そういう発見が大事なの。自分のキャラって、もしかしたらこういうやつなのかもって、色々想像できるでしょ。そうやって自分のキャラがどんな人間なのか、理解していくといいんだよ」
翔斗「なるほど。キャラの設定は、作者が自分のキャラのことを深く知るためにも必要なんだね」
詩織「綺麗にまとめたね。素晴らしい! グッジョブ!」

シン「ところでさ。自分のことを思春期の入り口にいるとか、詩織お姉さんの脚が長いとか、そこはかとなくエロい雰囲気を感じる」
詩織「ちょっと。翔斗君?」
翔斗「フフッ」
詩織「いたずらっぽく笑わないで。どうなの? そういうの意識したの?」
翔斗「もちろんそうだよ!」
詩織「ちょ、ちょっとやめて、書き直して!」
翔斗「詩織お姉さんの脚はとても綺麗なんだ!」
詩織「うわー、やめてー!」
シン「なんか俺、どきどきしてきたよ」
詩織「しないで!」
引用なし
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3−4.キャラの数に注意!
 スマッシュ  - 16/11/26(土) 22:15 -
  
詩織「私たちのキャラもわかってきたところで、キャラについて最後のアドバイスをします」
翔斗「よろしくお願いします!」

詩織「色んなキャラを考えるのは楽しいけれど、増えすぎには注意してね」
翔斗「え。俺、もう五十人は考えたんだけど」
詩織「それはそれですごいね。だけど扱いを間違えると、書くのが大変になっちゃうよ」
翔斗「そうなんだ?」
詩織「キャラ自体は多くてもいいんだけど、一度に登場するキャラの数には気を付けなきゃいけないの」
翔斗「一度に登場するキャラの数? どういうこと?」
詩織「うん。つまり、その場面に何人いるかってこと」
翔斗「うーん、なんとなくわかるような、そうでもないような……」
詩織「じゃあ、考えてみよう。今ここには、何人いる?」
翔斗「俺と、詩織お姉さんの、二人かな」
詩織「正解」
シン「待て待て、俺もいるからな!」
翔斗「今シンが増えたから、三人になった。本当はシンは人じゃないけど」
詩織「そうだね。じゃあ一回シンには退場してもらおう」
シン「え、まじか」
詩織「ばいばい」
シン「お、おう。ばいばい」
詩織「そしたら、今ここにいるのは何人?」
翔斗「シンがいなくなったから、また二人になった」
詩織「はい、大正解。この『今いる人数』に気を付けなきゃいけないの」
翔斗「増えすぎるとどうなるの?」
詩織「では、シン君に実演してもらいましょう。シン君、増えて」
シン「追い出したり呼んだり無茶な要求したり、好き勝手だな!」
詩織「まずは二人だけの会話を見たいから、二人だけでやってね」
シン「はいはい、やりますよ。やればいいんだろ」


元気シン「俺は元気なシン! とにかく元気でスポーツマンだ!」
臆病シン「僕、臆病なシン。正直、元気なシンの大声にもびびります」
元気シン「そうなのか! まあいいや! ドッジボールしようぜ!」
臆病シン「当たったら痛いから嫌です……」
元気シン「いいじゃんかよ。楽しいぜ、ドッジボール」
臆病シン「だから痛いのが怖いから、私は全然楽しくないんですよ」
元気シン「へえ、そうなのか。だったら怖いのを平気にしてやるよ」
臆病シン「え? そんなことできるんですか?」
元気シン「ドッジボールのボールなんて、当たったところで大して痛くないんだ。それがわかれば怖くないだろ」
臆病シン「本当に、本当に痛くないんですか?」
元気シン「それじゃあ今から思い切りボールぶつけるけど、痛くないから怖がるなよ!」
臆病シン「え、そんないきなり言われても無理です!」
元気シン「くらえ時速150kmアタック!」
臆病シン「痛いぃぃぃ!」
元気シン「どうだ、怖くなくなったろ?」
臆病シン「痛い、怖い、もう嫌だ、ドッジボールは絶対にしたくない!」


詩織「元気な方がボケで、臆病な方がそれに振り回されるツッコミ。シンプルなコメディだったね」
翔斗「うん。わかりやすい」
詩織「じゃあ、ここらへんでキャラを増やしてみよう。シン君よろしく」
シン「へいへい」


元気シン「とにかくドッジボールをするぞ! みんな、集まれ!」
野球シン「俺は野球好きなシン! 野球なら任せろ! ドッジボールでもがんばるぜ!」
頭脳シン「私は頭脳派のシン。私の計算力は未来を見通す力があります」
占いシン「わらわは占い師のシン。私の占いには、未来を見通す力があるのじゃ」
カンシン「私はカンシン。どんなことにも関心がありまぁす!」
マシーン「我、マシーン。機械だ」
ニンシン「私はニンシン。妊娠してるの」
元気シン「よっしゃあ! これで四対四だな!」
臆病シン「妊婦さんはドッジボールしない方がいいのでは……」
マシーン「確かに。ただの的だな」
臆病シン「そういう問題じゃなくてね」
占いシン「しかしこの妊婦からは三人分の生命力を感じる……!」
ニンシン「そうなの。赤ちゃん、双子なの」
野球シン「なあなあ、ドッジボールがダメなら、野球しようぜ!」
頭脳シン「しかし私の計算によると、人が足りませんよ。野球をするために必要なのは十八人ですから」
ニンシン「じゃあ、おままごとしましょうよ」
頭脳シン「おままごとですか。少子化の進んだ今の時代、八人の家族とはどういうものが妥当なのでしょうか?」
臆病シン「そこ、考えなきゃいけないところですか?」
ニンシン「私はママをやるわ。ママは妊娠しているの。よろしくね」
臆病シン「そのまんまじゃないですか」
頭脳シン「ここは二世帯住宅という設定にしてはいかがでしょう。おじいちゃん、おばあちゃん。パパとママ。そして子供が既に二人。これで六人。あと二人はどうしましょうか」
ニンシン「パパのお兄さんが仕事を失って身を寄せている、というのはどうかしら」
頭脳シン「なるほど。これであと一人だ」
臆病シン「辛い設定ですね」
野球シン「俺、メジャーリーガー!」
頭脳シン「なるほど、居候のメジャーリーガー。これで八人ですね」
臆病シン「なにがどうなるほどだったの、今……?」


詩織「どう? 特に、最初から出ていた元気なシンと臆病なシンの印象はどうかな?」
翔斗「臆病な方のシンは相変わらず振り回されてたけど、元気なシンはさっきと違って大人しくなっちゃったね。全然喋らなかった」
詩織「他の六人も喋らせないといけなくなっちゃったからね。二人ばかり話すわけにはいかなかったんだね」
翔斗「そう言いつつも、最後の方は臆病と頭脳とニンシンの三人ばかりで話してたし」
詩織「ついでに言えば、カンシンなんて自己紹介以降一度も喋ってないよね」
翔斗「全然キャラ立ってないじゃん。カンシンは、なんにでも関心あるキャラでしょ。なのに話題に入っていかないのかよ」
詩織「うん。全員を喋らせるだけでも大変で、それぞれのキャラを立たせるまでには至らなかった」
翔斗「あと地味に、二人だけで喋っていた時よりも、誰が話しているのかわかりにくかった気がする」
詩織「いいところに気付いたね。二人だけで話している時は、交互に話すだろうと予想できるから、セリフの前の名前を見なくても自然とどっちが喋っているかわかるよね。一方で、たくさんの人が喋っていると、毎回確認しないと誰が喋っているのか、わからない」

翔斗「なるほど。たくさんの人を同時に登場させてしまうと、読みにくいし、なにより書きにくくなるんだね」
詩織「その通り。なので慣れないうちは、五人くらい登場していると危険です」
翔斗「四人でもちょっと無口な子が出ちゃいそうだな……」
詩織「特にバトル要素のある話だと、仲間だの敵だのが増えるから、キャラが一度にたくさんに出てきてしまいがちなので気を付けてね」
翔斗「確かにそうだ。気を付けないと」
詩織「ですのでみなさん、集団行動はしないようにしましょうね」
翔斗「小説の中では、ね」
シン「でもよ、気を付けろって言ってもよ、キャラを思い付きすぎたらどうするんだよ。俺、いっぱい増えちゃったぞ」
詩織「そういう時は、同時に出ないように工夫するしかないね」
翔斗「どう工夫するの?」
詩織「たとえば、使い捨てます」
シン「捨てっ!?」
詩織「今のは言い方が悪かったけれど、一つのお話限定で出てくるキャラにすればいいんだ」
シン「ああ、アニメでよくあるよな。一回出ただけで、その後は全然出てこないキャラ」
翔斗「なるほどそういう扱いにすれば、新しいキャラが登場してもさっきみたいなことは起きないね」
詩織「それに、その一回きりの出番の時に活躍させてあげれば、せっかく思い付いたキャラを無駄にしないで、思う存分輝かせることができるよ」
シン「増えた俺は全部で八匹いたから、八話分の話ができるってわけだな」
翔斗「野球シンが野球をがんばる話とか、ニンシンが出産する話とかやるわけか」
詩織「そうそう。そういうこと」

翔斗「そういえばこの講座で度々シンの出番がなかったのって」
詩織「よくわかったね。二人だけの方が、書きやすくて読みやすいからだよ」
シン「なるほど納得……できないっ! 出番増やして!」
引用なし
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4−1.再びストーリー! プロットってなに?
 スマッシュ  - 16/11/29(火) 20:49 -
  
翔斗「お姉さん、あれからたくさんキャラを考えたよ。おかげでストーリーもけっこう思い付いたよ」
詩織「キャラのアイデアが出揃ってきたなと感じたら、ストーリーを考えるのに戻ってみようか」
翔斗「っていうことは、とうとう起承転結だね! それと、プロット!」
詩織「よく知ってるね」
翔斗「勉強してきました!」
詩織「じゃあ、それぞれ説明していくね」
翔斗「お願いします!」

詩織「起承転結は、ストーリーの構成のコツとして紹介されることが多いね」
翔斗「ちゃんと覚えてないけど、転で終わりに向かって話が大きく変化するんだよね」
詩織「この情報、忘れてオッケーです」
翔斗「え?」
詩織「起承転結、忘れていいよ」
翔斗「まじっすか」
詩織「うん。まじです。だって、意識しても必ず効果が出るってわけじゃないんだもの」
翔斗「え、そうなんだ」
詩織「むしろ下手に意識しちゃうと、起承の部分が平坦で退屈なストーリーになってしまうこともあって危険なの。だから、今は忘れて」
翔斗「下手に手を出すと失敗するってことか。オッケー、わかった」

詩織「お次は、プロットだね。簡単に言えば、ストーリーの設計図のようなものかな」
翔斗「設計図ということはすごく大事なことなんだろうな、きっと」
詩織「大事なのは確かだね」
翔斗「あ、まじで大事なんだ」
詩織「うん。だから役立ててね」
翔斗「はーい」
詩織「じゃあ、プロットのことを解説していくね」
翔斗「お願いします!」
詩織「さてプロットですが、さっき設計図と言いましたね」
翔斗「言ってた」
詩織「でも、本物の設計図と違って、結構いい加減で大丈夫です」
翔斗「あ、そうなんだ?」
詩織「前に出てきた、翔斗君のファンタジー小説で考えてみよう」
翔斗「はーい」
詩織「まず翔斗君がこれまで考えたアイデアを見せてくれる?」
翔斗「はい、どうぞ」
詩織「キャラもたくさん考えたね」
翔斗「そんなことないよ。まだ二十人だし」
詩織「十分多いよ。今回はこの三人だけ使います」


食いシン
漫才コンビのツッコミ
食いしん坊だけど痩せている
食べ物の匂いと悲しい話に弱く、心を揺さぶられまくる

ピンシン
漫才コンビのボケ
ピンクのネクタイをいつも着けている
愛想はないが、他人のために行動することをためらわない、お人好し

ヒロシン
漫才コンビが異世界に来て初めて会話をした人で、ヒロイン
飯屋の娘で、料理の才能に溢れすぎている
そのせいで客の舌が付いていけないこともたまにあるという噂
オリジナルの料理に必要な果物が森のドラゴンのせいで手に入らなくて困っている


詩織「これだけあれば、漫才コンビがドラゴンを退治して果物をヒロインに届けるって話ができそうだね。これを物語の始まりのエピソードにします」
翔斗「待って待って。ドラゴンはまだ使わないで。それ最後の方で使う話だから」
詩織「聞く耳持ちません。最初の方に持ってきても問題ないネタはさっさと使いなさい」
翔斗「なんでさ」
詩織「出し惜しみは、話をつまらなくする原因になるからです。使えるネタはどんどん出すべき」
翔斗「でもドラゴンなんてただの芸人には倒せないから、後の方にしようと考えたんだけど」
詩織「確かにそうなんだけど、現実を見過ぎないようにね。お笑いでどうにかしてもいいんだし。おかしなことが起きてこそのフィクションなんだから、遠慮しないでね」
翔斗「わかったよ。出し惜しみはなしにする」
詩織「ありがとう。それじゃあ始まりのエピソードのプロットを作るよ」


漫才で観客を爆笑させたコンビが、異世界に飛ばされてしまう
飯屋を見つけて喜ぶツッコミ、飯屋でヒロシンと出会う
ドラゴンから果物を取り戻す


詩織「これプラス、ドラゴンをどう攻略するかが決まれば、プロットは完成です」
翔斗「それだけで大丈夫なの?」
詩織「最低限これだけあればなんとかなるよ。思い付いたこと、入れたい話があれば、どんどん書き加えていってね」
翔斗「本当に大丈夫なのか不安だよこれ」
詩織「その気持ち、わかるよ。だけど小説を書きたい時に、あれこれ用意しなきゃいけないなんてじれったいって気持ちになることもあるでしょう?」
翔斗「ああ、ある。キャラ設定を考えてる時、ちょっとそう思った」
詩織「だから、書きたい時はあまり準備に気を取られないで、書き始めちゃおうって今回は言いたいわけ」
翔斗「本当にプロットがこんだけでも大丈夫なら、すぐにでも書き始められるけど、本当に大丈夫なのかな」
詩織「綿密な計算が必要な話でなければ大丈夫」
翔斗「計算が必要な話って?」
詩織「終盤のどんでん返しが一番の見せ場になる話とか、ミステリーとかだね。話のオチから逆算して全部書かなきゃいけないから、まさに設計図みたいなプロットが必要なんだ」
翔斗「俺のはそんなに計算必要じゃないな」
詩織「うん。だから設定もプロットも書きながら考えればいいよ。詳しくは次回以降説明していきます」
翔斗「書きながら考えるって、行き当たりばったりってことなんじゃなかろうか……」
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4−2.小説を書き出すぞ
 スマッシュ  - 16/12/16(金) 22:55 -
  
詩織「さて今回は書きながら設定を考えていきましょう」
翔斗「じゃあ俺ももう小説書いていいってことだね!」
詩織「ごめん」
翔斗「え?」
詩織「この後で、文章の書き方をやる予定なんだ」
翔斗「つまり?」
詩織「翔斗君はそれまで書いちゃダメってことで」
翔斗「ひどいや」

詩織「そうそう、ドラゴンの件、なにか思い付いた?」
翔斗「一応ね」
詩織「いいね。教えて」
翔斗「ドラゴンが森の果物を独占していた理由はストレスによる暴飲暴食だったんだ」
詩織「へえ!」
翔斗「ドラゴンといえば、かっこいいと人気のモンスター。そのはずなのに自分の所に来るのは、ドラゴンを退治して名を上げようっていう連中か、姿を見せるなり逃げてしまうやつばかり。人気者になりたいのになれないことに落ち込んでいるんだ。そこを漫才コンビが助けてあげるんだ」
詩織「なんだかいい雰囲気のコメディになりそうだね。いいじゃん」
翔斗「まさか戦わないことになるなんて思わなかったけど、これはこれで面白そうかな」
詩織「じゃあここで前回作ったプロットをもう一度見てみよう」


漫才で観客を爆笑させたコンビが、異世界に飛ばされてしまう
飯屋を見つけて喜ぶツッコミ、飯屋でヒロシンと出会う
ドラゴンから果物を取り戻す


詩織「今回はこのプロットの一番上、異世界に飛ばされるところを具体的に考えてみます」
翔斗「おす!」
詩織「まずは書き出しだね。どこから始めようか。漫才をしているところか,する前からか、終わってからか」
翔斗「どこから書くのが正解なの?」
詩織「自分が面白く書けそうだと感じるところ」
翔斗「難しいなあ」
詩織「異世界に飛ばされたところから始める手もあるよ。こんなふうに」


 漫才のライブが終わって、ファミレスで飯を食おうと外に出たらワゴンカーに乗せられた。
 目隠しのアイマスクをされたので、なにかの番組の収録だと二人は思った。
 こういうことは初めてだったので勝手がわからず、様々な騒ぎ方を二人はした。
 五分ほどで車を下ろされ、目隠しを取っていいと言われる。
 アイマスクを外す。
「あれ?」
 走り去る音はしなかったのに車はいなくなっていた。
 目隠しを取っていいと言った男も見当たらない。
 それにたった数分のことだったはずなのに、二人は森の中の、土が踏み固められた道に立っていた。
 撮影ではなかったのかもしれない。
 
 ボケ担当の食いシンはそう思ったのだが、口にできなかった。
 どこかにカメラがあるかもしれないという期待を捨てられなかった。
「ここどこだよ!」
 ツッコミ担当のピンシンが声を張り上げた。
 彼もこれが番組のスタッフのいたずらであると信じたいのだろう。


翔斗「いきなり緊張感があってどきどきしますね」
詩織「書き出しが面白いと読者の心をぐっと引き込むことができるから、なにか大変なことが起きているところから始めるっていうのはよく使われる手段なんだよ」
翔斗「へえ、なるほどなあ」
詩織「なにかが起こるわけじゃなくても、読者の心を揺らせるようなことを書けるといいね」
翔斗「わかった。気を付けてみるよ」
詩織「次回は、ここからさらに続きを書いていくよ」
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4−3.流れで書こう
 スマッシュ  - 16/12/16(金) 22:56 -
  
詩織「異世界に飛んだ後はヒロインのヒロシンと出会うんだよね」
翔斗「でもどうやってその場面につなげればいいんだろう。こんな感じかな」


 二人はとにかく道を歩いた。
 すると町があった。
「町だ!」
 二人は喜んだ。
「なんか食い物の匂いがするぞ」
 食いシンがそう言って走り出した。
 そこには飯屋があった。
「飯だ!」
「おいおい。そう焦るなよ」
「いらっしゃいませー」
「おっ、可愛い子だ!」


翔斗「どうかな」
詩織「うん。ちゃんとヒロインのいるところまでいけたね」
翔斗「でもなあ」
詩織「どうした? なにか不満なところがあるの?」
翔斗「これだとただ真っ直ぐ話を進行させただけな感じがする。ヒロインと出会わせたいから、ヒロインのいるところまで移動しただけで」
詩織「もっとあれこれ書きたいというわけね」
翔斗「そうそう。もっと中に肉がぎっちり詰まった小説を書きたいんだ」
詩織「肉……? 要望通りのアドバイスができるかわからないけど、話を作るコツを紹介するね」
翔斗「お願いします」
詩織「前回の書き出しで、主人公の二人は、テレビの撮影かもしれないって期待していたね」
翔斗「もしもそうじゃなかったら怖いって感じだった」
詩織「そこをクローズアップしながら、ヒロシンと出会う場面を目指してみよう」


「とにかく歩いてみようぜ」
 食いシンは、緩やかな坂道を下ることにする。
 そうだな、とピンシンは頷いた。
「なんか出てきたりしないよな?」
 左右の茂みや木々の奥を気にしながらピンシンは後ろを歩く。
 カメラマンや番組スタッフをそこに見つけようとしているのかもしれない。
 食いシンはもう諦めていた。
 森の中はあまりにも静か過ぎた。
 獣たちの世界が、密度のある無音によって作られてあった。
 俺たちを撮影している人間はいない。
 俺たちはなにかに巻き込まれて、ここまで連れてこられてしまったのだ。
 そう食いシンは思った。
 だから、早く安全そうな所まで逃げたかった。
 森を抜けると、まだ坂は続いていたが、視界は開けた。
 二人の向かっている先には町があるのが見えた。
「よかった。町だ」
「ここどこだよ!」
 ピンシンはテレビ番組を意識した叫びで言った。
 町にはビルなどなかった。
 三角屋根の建物はどれも背が低い。
 アスファルトのグレーの道は見当たらず、自動車も走っている様子がない。
「ここ東京じゃねえのかよ! おかしいだろ!」
「俺たち五分くらいしか乗ってないよな、車」
「だよな。どういうことだ?」
 わからない、と食いシンは首を横に振った。
 とにかく目の前の町に行くしかなかった。
 町の入り口まで来ると食いシンが顔を小刻みに動かし始めた。
「うまそうな匂いがするな」
「よくこんな状況で飯のこと考えられるな」
 ピンシンは苦笑いした。
「とにかく飯にしようぜ。ここがどこなのかとかも、そこで聞けばいいじゃん」
「それもそうだな」


詩織「まだヒロシンと出会えてないけど、近くまで来たから勘弁してね」
翔斗「俺のと比べるとずいぶんボリューミーだ」
詩織「前回出た撮影の話を引っ張ったら、森の中が静かなことや不安な気持ちの話につながったよ」
翔斗「一つの話題を長く続けるってことか」
詩織「続けると言うよりも、切り上げないって感じかな。こういうふうにお喋りをしてると、徐々に話題が変わっていくよね。それと同じように、話の流れるままに語ることを意識しよう」
翔斗「でも脱線には気を付けないといけないな」
詩織「そうだね。流れのままにとは言っても、後のストーリーを意識した上で自然な流れを作り上げていきたいね」
翔斗「その話、もっと詳しく聞かせてほしいな」
詩織「じゃあ次回はそこを掘り下げようか」
翔斗「よろしくおねがいします」
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4−4.流れの作り方
 スマッシュ  - 16/12/16(金) 22:56 -
  
詩織「じゃあ前回と前々回の小説ではどういうふうに流れを作ろうとしたか、説明していくよ」
翔斗「はい」
詩織「まず異世界に飛ばされるところ。ここでは主人公がお笑い芸人であることを強調するために、車に乗せて番組の収録と勘違いさせたよ」
翔斗「しかもそこから色んな描写につながっていったね」
詩織「その中で、カメラマンが隠れてはいないかと、森の静けさに意識が向いたよね。これは、後の展開を意識したものでもあるんだ」
翔斗「あ、ドラゴンが森の中にいるから?」
詩織「そう。静かな森だと思ったけど実はドラゴンがいた。大した展開ではないけれど、こうやって小さなストーリーを無数に用意するようにすると、話に起伏がたくさん生まれて飽きさせにくい小説にできるよ」
翔斗「小さなストーリーをたくさん作る、か。なるほど」

詩織「話の流れを作る材料は色々あるけれど、最終的な目標は、小説の味付けになったらいいなあってことだよ」
翔斗「なったらいいなあ?」
詩織「考え過ぎないで、そのくらいのノリで書いても大丈夫ってことだよ。慣れてくると割とうまくいくようになると思うし」
翔斗「なんかこの講座、全体的にアドバイスがゆるいんだよなあ」
詩織「そういうコンセプトだからね」
翔斗「それで、小さなストーリーを作るコツってないの?」
詩織「そうだね、材料がどんなところにあるか、いくつか紹介しよう」


キャラクターが喋る
詩織「これは、物語に直接は関係のない話題でもオッケー。喋っているキャラクターがどんな人なのか、理解を深めるきっかけにできるよ。意外な一面が見えたりね」

描写する
詩織「人の外見や動作とか、風景とかのことを書くと、その人や場所の印象が伝わるよ。重要な人や場所は丁寧に描写しよう。後々話が盛り上がりやすくなったり,ここで書いたことから新しいアイデアが生まれたりするよ」

一風変わったことが起こる
詩織「おかしな人や出来事は、話を唐突に大きく動かすよ。そこからさらに新しい材料を見つけよう。主役級のキャラがこれをする作品もよくあるよ。変でなくても、突然なにかが起きて話が動くということも」

思い出す
詩織「大事なことだったり、そうでもなかったり、雑学だったり、パターンは様々。会話の途中で昔話になることもあるよね」


詩織「こんな感じで小さなストーリーを作ったら、その話を広げることを意識していけば、次のアイデアが浮かびやすいよ。それと、ずっと後になって再利用できることもあるから気の利いたオチがなくてもいいよ」
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5−1.ト書き風+効果音で書こう!
 スマッシュ  - 16/12/16(金) 22:57 -
  
詩織「ではこれからは小説の文章について学んでみましょう」
翔斗「プロの書く文章と自分の書く文章ってなんだか全然違うんだよね」
詩織「この講座では、読者が読みやすく感じられる文章を目指していこう」
翔斗「はい!」

詩織「今回のコツは、これだ!」
ババーン!

翔斗「はい?」
詩織「普通の小説はさあ、こんなふうにセリフの前に名前を書いてなんかいないでしょ」
翔斗「そうだよね。初めの頃は変だなあと思ってたよ。途中から慣れて気にならなくなったけど」
詩織「この書き方、おすすめします」
翔斗「正気ですか」
詩織「もちろん、こんな書き方をしなくたってきちんと書けそうなら忘れていいけど、この書き方には優秀なところがあるんだよ」
翔斗「へえ、どんな?」
詩織「誰が話しているのか、確実にわかる」
翔斗「あ、それはそうですね」
詩織「逆にこの方法を使わない場合は、誰が話しているか確実にわかるように気を付けてね」
翔斗「ちなみにその場合のコツは?」
詩織「説明しましょう」

「単純なのはこの形」と詩織は言った。
「こういう形もよくあるから覚えてね」
 詩織は笑みを浮かべ、人差し指を立てる。

「セリフの前後で動作を示せば、それだけで誰が喋ったのかわかるんだね」
 翔斗は鉛筆でノートにメモをする。
「その通り」
「あ、今喋ったのって詩織お姉さん?」
「正解。二人だけの会話だから、翔斗君の次に喋っているのは私だって推測できるね」
「そして詩織お姉さんの次に喋っているのは俺、というわけね」
「口調などで判断できることもあるので活用しよう」
「俺の出番はいつ来るんだ?」
「あ、これはシンだな。出番出番言うやつ他にいないもんな」

シン「それでババーンってのはなんなんだ」
詩織「効果音だよ。漫画やアニメであるやつ」
翔斗「普通、使わないよね。小説だと」
詩織「使うスタイルの人もいるよ。好みや、書きたい作品によるってところだね」
シン「そんで、どういうメリットがあるんだ?」
詩織「地の文でする説明を簡略化できるよ。やってごらん」

シン「剣を持って、振る!」
ズバッ!

詩織「なにかを切ったような音がしたね」
翔斗「なにを切ったのかまではわからなかったけどね」
詩織「細かいことまでは伝えられないから頼り過ぎには注意だよ。でもちょっとしたニュアンスの違いは表現できるよ」

シン「いくぜ!」
ズバシャアッ!

翔斗「さっきよりも凄いことしたっぽい」
詩織「効果音同士で比較しやすいように工夫するとより効果的になるよ」
翔斗「なるほど」
詩織「そして、いかにユニークでわかりやすい効果音を思い付けるか、腕の見せ所だよ」

詩織「私も剣を持つよ。くらえシン!」
ギュムパアッ!
シン「どういう振り方だよ! わかんねえよ! なんかやばそうだけど!」
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5−2.説明しよう
 スマッシュ  - 16/12/16(金) 22:57 -
  
翔斗「前回みたいなのとは別の、普通の書き方も知りたいな」
詩織「じゃあ、たとえ話をしてあげよう」
翔斗「え、あ、はい。お願いします」
詩織「まず、セリフだけしかない小説を想像してみて」
翔斗「丁度この講座みたいな感じか」
詩織「これはいわばラジオを聞いているような状態です」
翔斗「ああー、そう言われるとこの講座もそんなふうに見えてくる」
詩織「そして音声だけのラジオに映像がプラスされたら、テレビになるね」
翔斗「その映像が、地の文ってことか」
詩織「イエス。その通り。だからまずはカメラで撮っているつもりで、視覚情報を入れることを意識するといいよ」
翔斗「外見、表情、動き。人間だけでも色々書けるな。部屋の様子、景色、天気ってなふうに人間以外にもたくさんだ」
詩織「ちなみに地の文では、気持ちや思考を書くこともできるよ。嬉しい気持ちを、嬉しいとそのまま書いたり、動きで表現したり、ひゆで表現したりと、自由に表現を選びやすいのは文章の強みだよ」
翔斗「ひゆってあれか。まるで花畑にいるみたいだった、とかいう感じの」
詩織「そう、それ」

詩織「これ以上は、解説しようにも奥が深くてめちゃくちゃ大変なのでやめておきます。だけど文章表現に力を入れるのは小説を書く楽しみの一つだから、どんどん挑戦してみてほしいな」
翔斗「はーい」
シン「じゃあ今回と前回のまとめとして聞いてくれ、俺のポエム!」

説明しよう 今 起きていること
記名しよう 今 話しているやつ
コウメイ(光明。本来コウミョウと読む)照らせ
今 世界のめいめいに

強く太いラインで繋がれたところで
俺たちはことごとく他人
心という名の小瓶は 孤独でパキンと折れそうだ
でも諦めんなよ さあ きちんと説明しようぜ

厚い取説 用意したって
お前の熱いハート 解説しようがないだろ
だから書くんだ小説を
大切なこと叫び続けてゆけ

説明しよう 今 起きていること
記名しよう 今 話しているやつ
コウメイ照らせ
今 世界のめいめいに

シン「どうだ!」
詩織「そういえば詩を書く設定だったね」
翔斗「お姉さん、この詩の評価は?」
詩織「えぇー……ノーコメント」
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5−3.短文だ!
 スマッシュ  - 16/12/16(金) 22:57 -
  
詩織「読者が読みやすい文章を書くコツを一つ紹介します」
翔斗「わーい」
詩織「それは短文だ!」
翔斗「短文?」
詩織「正確には、一文を短くするの。例を見てみましょう」

 翔斗は明日履くジーンズを匂いを嗅ぎながら考えている詩織を見ていた。

 翔斗は詩織を見ていた。
 彼女はジーンズの匂いを嗅いでいた。
 そうして明日履くジーンズを選んでいるのだった。

翔斗「本当だ。下の、短めの文を積み重ねていく書き方の方が、わかりやすい!」
詩織「そうでしょう。では今回はこれでおしまい!」
翔斗「わかりやすいなあ」
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