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詩織「さて今回は書きながら設定を考えていきましょう」
翔斗「じゃあ俺ももう小説書いていいってことだね!」
詩織「ごめん」
翔斗「え?」
詩織「この後で、文章の書き方をやる予定なんだ」
翔斗「つまり?」
詩織「翔斗君はそれまで書いちゃダメってことで」
翔斗「ひどいや」
詩織「そうそう、ドラゴンの件、なにか思い付いた?」
翔斗「一応ね」
詩織「いいね。教えて」
翔斗「ドラゴンが森の果物を独占していた理由はストレスによる暴飲暴食だったんだ」
詩織「へえ!」
翔斗「ドラゴンといえば、かっこいいと人気のモンスター。そのはずなのに自分の所に来るのは、ドラゴンを退治して名を上げようっていう連中か、姿を見せるなり逃げてしまうやつばかり。人気者になりたいのになれないことに落ち込んでいるんだ。そこを漫才コンビが助けてあげるんだ」
詩織「なんだかいい雰囲気のコメディになりそうだね。いいじゃん」
翔斗「まさか戦わないことになるなんて思わなかったけど、これはこれで面白そうかな」
詩織「じゃあここで前回作ったプロットをもう一度見てみよう」
漫才で観客を爆笑させたコンビが、異世界に飛ばされてしまう
飯屋を見つけて喜ぶツッコミ、飯屋でヒロシンと出会う
ドラゴンから果物を取り戻す
詩織「今回はこのプロットの一番上、異世界に飛ばされるところを具体的に考えてみます」
翔斗「おす!」
詩織「まずは書き出しだね。どこから始めようか。漫才をしているところか,する前からか、終わってからか」
翔斗「どこから書くのが正解なの?」
詩織「自分が面白く書けそうだと感じるところ」
翔斗「難しいなあ」
詩織「異世界に飛ばされたところから始める手もあるよ。こんなふうに」
漫才のライブが終わって、ファミレスで飯を食おうと外に出たらワゴンカーに乗せられた。
目隠しのアイマスクをされたので、なにかの番組の収録だと二人は思った。
こういうことは初めてだったので勝手がわからず、様々な騒ぎ方を二人はした。
五分ほどで車を下ろされ、目隠しを取っていいと言われる。
アイマスクを外す。
「あれ?」
走り去る音はしなかったのに車はいなくなっていた。
目隠しを取っていいと言った男も見当たらない。
それにたった数分のことだったはずなのに、二人は森の中の、土が踏み固められた道に立っていた。
撮影ではなかったのかもしれない。
ボケ担当の食いシンはそう思ったのだが、口にできなかった。
どこかにカメラがあるかもしれないという期待を捨てられなかった。
「ここどこだよ!」
ツッコミ担当のピンシンが声を張り上げた。
彼もこれが番組のスタッフのいたずらであると信じたいのだろう。
翔斗「いきなり緊張感があってどきどきしますね」
詩織「書き出しが面白いと読者の心をぐっと引き込むことができるから、なにか大変なことが起きているところから始めるっていうのはよく使われる手段なんだよ」
翔斗「へえ、なるほどなあ」
詩織「なにかが起こるわけじゃなくても、読者の心を揺らせるようなことを書けるといいね」
翔斗「わかった。気を付けてみるよ」
詩織「次回は、ここからさらに続きを書いていくよ」
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