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・悪かった点
ラストに、ダークチャオを育ててしまった人間の確執や、主人公の抱える後悔が、ダークチャオの言葉によって解消されていますが、
ダークチャオを育ててしまうと、周囲から疎まれる、
という部分が回想でしか描かれず、共感することができませんでした(感情移入できなかった、という意味ではなく、周囲から疎まれるんだ、という事実が実感として伝わらなかった)。
例えば、
ろっどは正義のヒーローである。
と言われても、ピンと来ないじゃないですか。
でも、
ろっどは、椅子を持って不良集団に突貫した。不良集団は戸惑いから反応に遅れが見える。ろっどはその隙を見逃さない。椅子を翻し、一人、二人と昏睡させていく。困っている人を助けるためなら自分の身をかえりみない、それがろっどという人間の人となりだ。
と書くと、実感が沸くと思うんですよね。
また、シリアスなシーンとコメディチックなシーンが混ぜこぜで、
真剣な話をしている最中なのに、スマッシュさんにギャグで割り込まれたような感覚でした。コメディチックなシーンとシリアスなシーンを、役割としてしっかり分割するか、どちらか片方に徹底する必要があると思いましたね。
・良かった点
風景や、オブジェクトの描写が際立っていたように感じます。
氷柱など、寒さの表現が細部にまで行き渡っていましたね。
ひとつひとつの部品、例えばダークチャオを育ててしまったことへの後悔や、カオスに制圧されたSS、チャオを逃がした人物が判明する場面などは面白かったです。
また、最後のシーン、もう一度、つづきから、という場面は、非常に強みであると感じました。とても印象的なラストだったと思います。
・まとめ
部品を、うまくリンクさせられなかったことが、このお話が、
まとまっていないなあ、と感じる原因だと思います。
それぞれの部品、主人公の後悔や、ダークチャオに関わる確執など、それらを丁寧に描いた上でラストに繋げることで、うまくまとまるんじゃないかなあ、と思います。
流れは非常に良かったと思いますし、時系列をバラバラにするという試みも、感情移入(物語に引き込む)ことさえできれば、「今は、いつだ?」にしっかり集約させることができるのではないか、と考えました。そういう意味で、コメディチックなノリは、この作品には合わないかなあ、と感じます。
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