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つづきから 問題式部 13/8/29(木) 6:31

1:導入部 問題式部 13/8/29(木) 6:39

1:導入部
 問題式部  - 13/8/29(木) 6:39 -
  
 自分はまだ若いと思っている。
 なんてったって僕はまだ高校生だ。まだまだ厳しい大人の世界を知らない青臭い若造というやつだ。将来設計だって持ってないし、冬休みの課題だってマジメにやる気は毛頭無い。世間を舐めにナメきった、大人に嫌われるために生まれたような子供だ……と、自分では思っている。
 だが、周囲の反応はまるっきり違っていて、同級生からは「空気の読める良いヤツ」と言われ、大人たちからは「礼儀正しくて良いコ」と言われている。
 事実、担任の教師が二学期終業式の日、僕の前の二、三人に通知表を返したときはしかめっ面だったのに、僕に通知表を手渡す時になって露骨に笑顔が漏れていた。実に心外だと思う。人間、無駄に貶されるよりも無駄に持ち上げられる方が面倒だというのに。
 人知れず小さな溜め息を何回も繰り返し、何事もなく終業式は終わった。冬休みの到来を喜ぶ有象無象のクラスメイトを掻き分け、教室から脱出する。一人でとぼとぼと廊下を歩いていると、誰かが僕の隣まで駆け寄ってきた。
「よっ、優等生! 冬休みの課題写させてくれ」
「……誰だお前」
 割と真剣な語気で言ってみたが、どうやら相手は冗談と取られたみたいで、軽く笑って僕の肩をポンポンと叩いた。
「そんな冷たいこと言うなよー。夏休みの時も結局見せてくれたじゃんよ」
 なんとなく見覚えのある顔ではあった。名前はちっとも思い出せないけど。
「写させても何も、まだ課題に手をつけてさえいないんだけど」
「そんなの、できてから写させてくれって言ってるに決まってるだろ?」
「いや、そもそも課題やる気ないし」
「またまたぁ、読書感想文で賞を取った人がなにを仰る」
 お前の中じゃ読書感想文で賞を取っただけで優等生なのか。
「……僕が覚えてたら写させてやってもいい」
「よしきたメアドか番号寄越せ毎日連絡してやる」
「いまケータイ持ってないしメアドも番号も覚えてない」
「嘘こけ持ってんだろ今すぐ出せ」
 ここで拒否してもうるさいだけだから、ポッケに何も入ってないことをアピールして、バッグも好きに漁らせる。学校の正門前だというのにもお構いなしに、たっぷり二分はケータイを探していたと思う。本当にケータイがないことを知るなりそいつはすくっと立ち上がる。
「わかったお前ん家までついてく」
「調子乗るな」
「頼むぅぅ写させてくれぇぇ、最近成績悪くて親に小遣い減らされてんだ、挙句課題サボったらオレもう金欠で死んじまう」
「遺産分割の時は呼んでくれよ」
 腰に纏わりついて泣き喚く見知らぬ男を振り解いて、僕はようやっと帰路についた。それでもそいつは平然とついてくるのだが。本当に誰だっけこいつ、少なくとも一緒に下校するような間柄の奴なんて別のクラスにはいなかったと思うんだけど。
「ところでさ、今日みんなでカラオケ行こうぜって話になってんだけど、お前もどう?」
「僕がカラオケ行くような人間に見えるのか」
「見えない」
 わかってんなら誘うな。
「どうせあれだろ? 冬休み使って彼女と旅行でもすんだろ?」
 急に素っ頓狂なことを言い出すものだから思わず男を睨んでしまった。
「……彼女なんていないけど」
「何言ってんだよ、別に隠すこたないだろ」
 隠すもなにも、いったいなんの話だ。彼女なんて作った覚えもないし、親しくもないこいつに僕の交友関係を知ったかされるいわれもないぞ。
「みんな知ってるぞ? 黒スーツ姿の、年上の女と付き合ってるって話」
 胡瓜と間違えて苦瓜を食べてしまったみたいな苦い顔をしてしまった。なんだその根も葉もないタチの悪い噂話は。
「……普通さあ、身内かなんかだと思わないの? 遠目から見てさ」
「その黒スーツの人が彼女ですって言ったんだってよ。クラスの女子が言ってた」
「なんでよそのクラスの女子がそいつと話なんかしてんだよ!」
 思わず声を張り上げてしまい、同じ道を歩いていた他の学生たちの視線が集まってしまう。
「なんでって、そりゃあ気になるからじゃねーの?」
「なんで気になって声をかけるんだよ。ふつう身内だと思って声なんてかけないだろ……」
「そりゃあ……身内だと思えないくらいイチャイチャしてたからじゃねーの?」
 イチャイチャした覚えはねーよ。
「というか、お前って女子に人気じゃん」
「いや、知らないけど」
 もっぱら女子との接点なんてなかったはずだ。廊下を歩くたびに女子が気味の悪い視線をちらちらと寄越すくらいだったから、嫌われているものだと思ってたのだが。
「そんな奴が歳の離れた女とイチャイチャしてたら、そりゃあ彼女かどうか確認するんじゃねーの? よくわかんねーけど」
 女ってずけずけした奴ばっかだな……。赤信号に引っかかり、僕はガードレールに腰を下ろして白い溜め息を吐いた。曇天の昼に冷やされた座り心地の悪い椅子だが、そんなのまったく気にならないくらい僕の気持ちは萎えきっていた。僕としては人にちやほやされる人生は送りたくないんだけどなぁ。
 帰ったらすぐにケータイの電源を切って、外界との接触を断った冬休みを送ろう。そう心に誓って顔を上げると、横断歩道の向こう側に見覚えのある黒スーツ姿が見えた。
「おッ、いるじゃん彼女」
 彼女じゃねえよ、という言葉すら出なかった。信号が青に変わり、黒スーツがトコトコと小走りで僕の元へとやってくる。僕よりも身長の高くスラリとした女性が、屈みこんで僕と目線を合わせる。無邪気で妖艶という相反する目が、僕をじっと見つめる。
「お帰りなさい。今日で学校は終わりですよね?」
「……そうだけど」
 ちらと、隣にいた見知らぬ男子を見やる。今日はこいつとカラオケに行くんだ、ということにして逃げようかと思ったのだが、僕が口を開くよりも早くそいつは身を引いてしまった。
「あ、じゃあオレ帰りますね。ごゆっくりー」
 そういってそいつは来た道を引き返していってしまった。あいつ僕の家の方角と真逆なのにわざわざついてきてたのか……。
「お友達ですか?」
「知らない奴」
 重い腰を上げて、横断歩道をゆっくりと渡る。黒スーツは僕と同じ歩調で斜め後ろをついてくる。
 僕はこの黒スーツの女と知り合ってから二年くらいになるが、こいつにピッタリと傍にいられると、とにかく落ち着かない。なんでか知らないが、この女いつも黒スーツにネクタイをキッチリ締めて、おまけに黒い手袋に革靴まで装備しているもんだから、殺し屋までは行かずとも不審者にしか見えないのだ。それが僕の傍をついて離れないのだから、いつ警察を呼ばれるかわかったもんじゃない。
 まあ、それを除けば本当に便利な奴なのだが。
「……腹減った」
 何気なく言ってみると、黒スーツ女が隣まで寄ってきた。
「なにがいいですか?」
「チーズバーガーでいいや」
 そういうと、間髪入れず女はスーツのポケットからチーズバーガーを取り出した。冬の寒さにかじかんだ手をしっかりと暖めてくれるくらいアツアツだ。包み紙から取り出して一口食べると、できたてだということがわかる。三十秒くらいで平らげてると、今度はポケットからペットボトルのコーラを取り出してくれた。
「ポテトはいかがですか?」
「食べる」
 そう答えると本当にポケットから綺麗にポテトが、しかもできたてアツアツが出てくるものだから、昔はドン引きしたものだ。今は全然平気だけど。女にポテトを持たせて食べ歩きながら下校する男子高校生もいないだろうな、と思いながらもそもそとポテトをかじる。
「それにしてもバリューセットって全然お得じゃありませんよね。大体ハンバーガー二、三個で満足しますし。ポテトやコーラなんて、デパートで冷凍のと2リットルのを買っておけばいいですし」
 冷凍のフライドポテトなんてあまり買う奴いないんじゃないかな。
「まあ、お得もなにも僕自身が懐痛めてるわけじゃないからどうでもいいけど」
「ところで先日ステーションスクエアに行ってきたんですけど」
 脈絡もなく急に話題をすりかえてきた。しかも僕の耳に好ましくない話だ。
「あそこってカジノあったじゃないですか。ちょっと散策してきたらなんかお札沢山あったんで、ちょっと拾って来ちゃいました。欲しいですか?」
 そういって今度は明らかに何も入ってなさそうな胸ポケットから分厚い札束が二つも出てきた。どこが“ちょっと”なんだ。
「……そんなにいらない」
 ちょっと遠慮気味に、札束から数枚だけ引き抜いておいた。そりゃあ欲しいか欲しくないかで言われたら喉から手が出るくらい欲しいが、こいつのちらつかせる金は受け取る気にならない。ポテトもしゃもしゃ食いながら何言ってんだ、とは自分でも思うが。
「謙虚ですね。あなたのそういうところ、素敵です」
 心にも思ってないことをさらっと言いやがる。
「それと、あなたの“友達の家”にも行ってきましたよ」
 友達の家、という表現に僕は些か疑問を覚えている。別にあそこはそういう場所でもない。だがこいつは他に最適な形容を思いつかないと言って、ずっとそう言い続けている。どうせ僕の神経を逆撫でしたいからそう言い続けてるんだろうけど。
「これがいくつか残っていたので、持ってきました。懐かしいでしょう?」
 そういってこいつがポケットから取り出したのは――ハートの実の種だった。ほとんど朽ちていて少し妙なニオイを漂わせるそれをポケットに入れていたのかと思うと、こいつの根性の悪さに目まいがする。
「……お前、僕がそれを嫌いなの知ってて持ってきてるんだよな」
「もちろんです。私のお家芸ですからね」
 ここでこいつをぶん殴ってもいいのだが、今までそうしてきてロクなことになった試しがない。二人っきりの時に殴ったら関節を外されたし、往来でキレたときは大声をあげて嘘泣きしやがった。昔はこいつの扱いに散々手を焼いたものだ。
 あれから二年も経つ。永かったものだ。本当に。
「一時期はこれの値段が高騰していたものですね。知ってますか? これを使って200匹以上もコドモを産んだ個体がいたとか」
「そんな過去はないよ」
 一言だけ、ピシャリと言い放って話を断ち切らせた。今の一言だけで酷く喉が渇いた気がしてコーラを一気飲みした。炭酸の強みが、頭の中のもやもやをかき消してくれる。
「そうでしたね」
 ニコニコしながら、そいつは手に持っていたハートの種をポイ捨てした。アレを道端の虫やネズミなんかが食べたらどうなるんだろうなと、少しだけ気になった。
「お前さ」
 聞いても大した答えは言わないだろうな、と思いつつもそいつに話を振ってみた。無駄にかわいらしい笑顔で首を傾げるそいつを見ると本当に調子が狂う。煙草をかじるみたいにポテトをくわえて気を紛らわしながら言葉を選ぶ。
「あんな何もない街に行って、何が楽しいの?」
 言ってしまってから、ああ結局いつもの質問と全然変わんないなぁと心の内で嘆いた。こいつがなんて答えるか、聞かないでもわかってしまう。
「あの街にはあなたの心をかき乱すモノが沢山ありますから」
 バカバカしい。通りがかった公園に立ち寄り、ベンチに腰を下ろした。なんだか酷く疲れた気がする。家に帰ってもやることなんてないし、ここで寝たって構わないだろう。黒スーツ女はと言うと、残ったポテトを自分で平らげ、残ったゴミをポケットに入れて僕の隣に座ってきた。種はポイ捨てしてゴミはポイ捨てしないんだな、とか思ってると勝手に僕の肩に頭を乗せてきた。
「寄り掛かるなよ」
「あら、こういうのはお嫌いですか?」
「全然嬉しくないよ。こういうのは親しい間柄でやるもんだろ」
「私はこんなにあなたのことをお慕いしているというのに」
「心にも無いこと言うな、好感度なんて全然ないだろ」
「全然ないのですか!」
「わざとらしく驚くな、胸に手を当てて自分の日頃の行いを振り返ってみろよ」
「……よくわかりません。代わりに私の胸を触ってください」
「ざけんな」
 失せろバカ、まで言ってやりたかったが、そこまで言ったら何されるかわかったもんじゃないので口を噤んだ。そいつも肩に頭を乗せるのはやめたが、寄り添うこと自体はやめようとしない。
「頼むから一人でゆっくりさせてくれないかな」
「よいではないですか。私はあなたと一緒にいたいです」
「僕は別にお前と一緒になんか」
「あの子と一緒じゃなきゃ、嫌ですか?」
 その時にそいつを突き飛ばしたのは、ほとんど無意識だった。そいつは糸が切れた操り人形みたいにベンチから転げ落ち、僕の手には成人女性を突き飛ばした時の重みがまったく感じられなかった。だからか、僕は呆気にとられたみたいにしばらくぼけっとしていた。
 やっちまったと顔をしかめたのは十秒も経ってからだ。まずい、今度は何をされるんだろう。今すぐ逃げるか、いや逃げても無駄に決まってる。こいつに運動能力で勝てる気がしない。
「あなたのその顔、久しぶりに見ました」
 僕の焦った顔を見て、そいつは心底嬉しそうに笑った。むくりと起き上がって、スーツについた砂埃を払う。
「最近いつもつまらなそうな顔ばかりしていたものですから。久々に感情を露わにしたあなたを見たくて」
「……何もしないのか」
「しません。というより、今までやり返していたのが失敗でした。あれからずっと他人行儀のままでしたものね」
 確かに、こいつに痛い目に遭わされたくなくて、いつも無難な付き合いを続けていたことは確かだ。最後にこいつに手をあげたのはいつだったか。
「やはり、あの子のことは今でも大事に想っているのですね」
「……そんな過去はないよ」
 それだけ言って、僕はまたベンチに深く腰を下ろした。なんだか二度と立ち上がれないんじゃないかと思うくらい疲れてしまった。そいつも結局は僕の隣に座るのだが、もう糾弾するのはやめた。僕が文句を言わなきゃ面倒が起きないのは、この二年で学習したはずなのに。どうしても感情で動いてしまうのは、やはり僕がまだ若いからだろうか。
「感情で動いてしまうのは、老いも若いも関係ありませんよ」
 見透かしたような言葉が、僕の耳に染みていく。
「むしろ感情がなければ人は動きません。あなたにならよくわかるでしょう?」
「……そうだな」
 力の入らない手のひらをまじまじと見つめる。そういえば左手に空のペットボトルを持っていたのを忘れていた。ポイと投げ捨ててみたが、一メートルも飛ばなかった。かわりに風でころころと流され、砂場の方へと転がっていく。
「ポイ捨てはいけませんよ」
「お前だってさっき種を捨てたじゃないか」
「じゃあ持っていてほしかったですか?」
「……いや」
 くすくすと笑ってベンチから立ち上がると、そいつはペットボトルも拾ってポケットに入れてしまった。こちらに振り返ったとき、そいつのにこにこした笑顔が急に真顔に変わった。気になってそいつの視線を追いかけるように振り返ってみると、公園の敷地沿いにある植え込みの向こう側に知らない女子が立っていた。
 なんというか、今時珍しいタイプの女子だった。どうも僕と同じ学校の生徒らしいセーラー服。学生鞄を胸に抱え込んだ眼鏡の彼女は、鞄を本に変えて長い髪をおさげにしただけで文学少女にしか見えなくなるだろうという風貌だった。それがじっと僕らの方をじっと見つめている。
「お友達ですか?」
「知らない奴」
 さっきと似たようなやり取りをして、ベンチから立ち上がる。文学少女っぽい彼女は少しだけ後ずさったが、構わずに声をかけてみる。
「あの、なんか用?」
 そう訊ねた時の彼女の反応は早かった。鞄を胸に抱えたまま、自分の腰より少し高い植え込みを、スカート姿だというのに躊躇いなく踏み越えて近寄ってきた。謎の迫力に今度は僕の方が後ずさってしまう。
「さっきこれを捨てたのはあなたですか?」
 そういって取り出したのは、さっきポイ捨てされたハートの種だった。ひょっとしてこの少女もポイ捨てはいけませんとか言うのか。
「いや、それを捨てたのは僕じゃなくてそっちの」
「これってハートの種ですよね」
 む、どうやらポイ捨てを咎めているわけではないらしい。その割に少女の目がギラギラしているのが気になるのだが。
「まあそうだけど……それがなにか」
「どこで手に入れたんですか」
 そう聞かれて、まずい状況であることにようやく気が付いた。今が冬であることを思い出したかのように、途端に背筋がひやりとする。
「これ、もう市場には出回ってないはずです。二年前に需要が完全になくなって、どこも処分したはずですから」
「いやその、知り合いがこういうの集めててさ。余ってるから、一個あげるって」
「ステーションスクエアで拾ったって言ってましたよね」
 聞こえてたんじゃん……誤魔化すだけ無駄だと悟り、目を逸らすしかなかった。
「あの街に行ったんですか? いったいどうやって」
「……僕が行ったわけじゃないよ。そこの黒い奴にでも聞けば」
 そういうと、彼女は怖気づくことなく殺し屋ルックスの女にずかずかと近寄った。えらくハキハキした文学少女だ。
「あのっ、どうやってあの街に入ったんですか? あの一帯は封鎖されてて近付けないはずですよね」
「実は私、そこの坊ちゃんのお屋敷で働いている者なのです。あそこを封鎖している者たちと顔が利きまして、極秘であの街に出入りしているのです」
 こいつどうやってそんな法螺話を作ってるんだこの短時間に。
「本当ですか! あの、わたしもあの街に行きたいんですけど、連れていってもらえませんか!」
「申し訳ありませんが、それには坊ちゃんの許可を取らなければいけないのです」
「おいちょっと待てなんでそこで僕が出てくるんだ、勝手に連れてけばいいだろ」
「私は坊ちゃんのボディガードですから、坊ちゃんと離れるわけにはいかないのです」
「あんなとこ行くわけ」
 ないだろ、と断ろうとしたのだが、文学少女がまたずかずかと僕の前までやってきて言葉を遮られた。僕が何か言おうとする前に、彼女は頭を勢いよく下げる。
「お願いします! わたしをステーションスクエアに連れて行ってください!」
 ――呆気に取られた僕に助け舟を出してくれる人間はいなかった。黒いスーツの女が僕を見る目は、慣れた様子で追い込み漁を成功させた漁師のそれに似ていた。
引用なし
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