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テンポが良くて読みやすい小説でした。
何とも人間臭い、そして、人間臭いゆえの出遅れ感と失敗が見えてきますね。
自傷をする人間は、多分、傷つけるより、傷つく方がいいって感じている人が多いと思います。そうして、この中に居る少女もまた、結局自分だけを傷つけることを選んでしまったのかもしれません。
でも、傷つける自分を助けてほしかったという気持ちも垣間見えました。
チャオっていうのは、少女と少年の距離を示すインディケーター(指標)なのかなぁと思いました。
それも、本心の。少年は動きたい、少女も動きたい、と思いながらチャオ(本能)は「怖い、動きたくない」という想いがあったのだと思いました。
でも「赤い」ってことは、つまり「危険」ということも示すのでしょうか。
そう考えると、「赤いチャオ」っていうのは、
「自分を失ってしまう(危険)という恐怖と、動きたくない、慣れ合いたくないという恐怖の二つが混ざった、何とも言えない距離感」を意図しているのかなぁと。
傷つくコトを止めてほしいと思いながら、結局死に辿り着いた少女の、あまりに遅い救済を求める行動。
何かがおかしいと思っていた少年の、あまりに遅かった差し伸べるべき手。
二人ともども足踏みしてしまって、二人の関係は破綻してしまった。
本当に、リアリティあふれるバッドエンドで、読んでいて面白かったです。
でも、だからと言って、一歩踏み出せばそれが成功につながるか、っていうのはまた不明確な話なんですよねぇ。
なかなか、こういう話を見ると現実社会のやりきれなさが切実に分かります。
文章はとびとびですが、まぁ、軽く読み流す程度では特にアラは見つかりませんでした。まぁ、一部ざっぱでしたが、こんなものだと思います。
では、短編、ご苦労様でした。また鍛錬室に投稿していただくことを思い起こさせていただきます。
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