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バイザウェイ スマッシュ 15/11/13(金) 23:32

第17回〜第24回まとめ スマッシュ 15/12/11(金) 22:13

第17回〜第24回まとめ
 スマッシュ  - 15/12/11(金) 22:13 -
  
 今回は改行を増やした編集でまとめてみます。
 結果的に見た目が大幅に変わることでしょう。聖誕祭の日に投稿するバージョンは改行全然ないバージョンにするつもりではいますが、このまとめで試してみて、面倒でもやった方がいいわ、と改心したら改行多めに変えようかなとも思います。

11月30日投稿分

「押し花で押花さんですね」
「うん、まあね」
 石川君は二人に私のことを、この前話した人、という風に説明した。
 二人はそれで合点がいったらしい。あの人ね、などと言う。三人の目が笑っていた。
 ゴウが頭に乗っていたことを話したに違いない。勝手に笑い話にされるのは面白くない。
「二人だけの秘密って約束したのに話したんだね」と私は不満そうに言ってみた。
「いやいや、そんな約束してないですって。あ、それでこいつら、友達です」
 そう言って石川君は私に友達の二人を紹介した。
 一人は中学生の頃からの友達だそうだ。その人が塩崎君で、もう一人がクラスメイトの田村君。
 塩崎君は背が高かった。田村君は男子としては普通くらいだったが、それでも石川君より少し背が高く横幅もあった。ゴウも初めて会う二人を見ていた。
 三人はチャオを抱えておらず、足元にもいなかったので飼っていないのかと尋ねると、三人の中でチャオを飼っている者は一人もいないのだと塩崎君は言った。
「だから普段はチャオガーデンとか来ないんですけど、今日はなんか行きたくなっちゃったんですよね。でもびっくりしましたよ。ここって入るのに身分証いるんですね」と塩崎君は言う。彼らはたぶん学生証を見せて入ったのだろう。
「チャオに暴力振るう人がいたら大変だから」
 私がそう言うと、二人はなるほどと頷いた。
「でもさ、他のペットでも暴力振るう人いたら大変だよね」
 さらにそう言うと、幅のある田村君がそういえばそうだと頷いた。
「他のペットは転生しないから大丈夫なんじゃないんですかね」と塩崎君は言った。慌てたように、そりゃあ他人のペットを殴るのは大問題でしょうけど、と付け足した。
 もし彼がそのように付け足さなければ、所詮ペットだもんね、と言っていたところだった。


12月1日投稿分

「そもそもチャオは保護しなきゃいけない生き物だから」
 冷静に石川君はツッコミを入れた。
 確かに石川君の言う通りだった。ペットがどうこう以前にチャオは保護しなければならない生き物なのだ。
「そういえばそうだったね」
 そう私が言うと石川君が、そういえばじゃないでしょう、と非常識を笑うように言った。
「チャオを大切にとか、特に意識してないもの」
「よくそれでヒーローチャオになりますね」
「別に善人だからヒーローチャオになるわけじゃないでしょ」
 それは私も不思議に思っていることだった。私は特に善人ではないと思う。
 ゴウにそう思われるほど愛してやっているわけでもないのだ。
 翔矢が育てた時はニュートラルチャオに進化したわけであり、それはニュートラルハシリに進化させたかったからダークの実とかで調整したのかもしれないけれど、ヒーローチャオになることと飼い主の性格はあまり関係ないのではないかと私に思わせるのだった。
「そうですけどね」と石川君は認めた。
「あのお姉さんもダークチャオ飼ってるしな」
 田村君がにやついて言った。彼は恋愛の話でからかう時の笑い方をしていた。
「あのお姉さん?」と私は聞いた。
「このガーデンで写真撮らせてもらったんですよ。それで一目惚れ。年上の美人のお姉さんだったから」
 塩崎君が説明した。
「へえ。写真って今あるの?」
「ないですよ」
 慌てた様子で石川君は否定した。
 持っているデジタルカメラにはまだその写真のデータがあって、奪えば見られるのではないかと私は思った。
 そういう悪ふざけを彼の友達の二人は手伝ってくれそうな気もした。
「ダークチャオを飼ってる美人か」
 そんな人を見かけたことがあったろうか。


12月2日投稿分

 ダークチャオを連れている人は珍しいから思い出せそうなものだが、私は年上の美人のお姉さんに心当たりがなかった。
「見たことないなあ」
「その人、普段はダークガーデンとかに行ってるらしくて、ここにはたまにしか来ないそうです」
「ああ、そうなの」
 石川君が恋している美人のお姉さんに関心のないゴウは木登りを始めた。羽をばたつかせながら、するすると蛇が這うように登っていく。
「それじゃあ今日はお姉さん探しじゃないんだね」
「そんなことしてませんって。チャオの写真撮るためにガーデン来てるんですから。それで、押花さんのチャオは?」
 私はゴウが登っていた木を指した。指した所にゴウはいなくて、登りきって木の実をつついていた。
 ゴウを発見した石川君が、おお、と声を上げた。そして二人も続いてゴウを見つけた。
「運動神経いいですね」と石川君はゴウを褒めるとカメラを構えて写真を一枚撮る。そして液晶を見て撮った写真の出来を確かめる。
「落ちないかな」
 心配そうに塩崎君は言った。
 チャオは非力そうな見た目をしているから、片手を木から離して木の実をつついているのが危なっかしく見えるのだろう。
「飛べるから大丈夫だよ」と教えてあげた。
「なるほど」
 撮られていることに気が付いたゴウは木からもう片方の手も離して、カメラに向かって飛んだ。
 ゆっくりズームしていくみたいに、真っ直ぐカメラに近付いてくる。
 きっとゴウは飛んでいる様を撮ってほしかったのだろうけれど、石川君はカメラを構えなかった。石川君はゴウが突進してきた時のことを考えて、カメラから左手を離していつでもその手でカメラを守れるように身構えた。


12月3日投稿分

 撮ってもらえなかったゴウは石川君の前で接近を止め、近付いてきた時と同じ速度でふらふらと着地した。
 そして石川君のことをしばらく見ていたが、やがて私の所に歩いてきた。
「写真撮ってもらいたかったみたいよ、さっき」
 私がそう説明すると石川君はカメラを構えて、ゴウを撮ろうとした。
「はい、ポーズ取って」
 そう言ってもゴウは石川君の方を向かなかった。
 石川君はもう一度呼びかけたが、ゴウは聞こえない振りをして、私に抱っこするように両腕を挙げてせがむだけだった。
「また今度撮ってあげてよ」
 私はゴウを抱き上げて言った。
 そうします、と言って石川君たちは別の所へ行ってしまった。
 行ってしまってから、ゴウがデジタルカメラで写真を撮るようになったことを教えそびれたことに気が付いた。
 カメラに夢中だったのは最初の三日間だけで、それ以降は飽きてしまったかのように動き回って遊び、そして不意に写真を撮りたがってカメラを探すようになっていた。
 ゴウが四六時中カメラを持っていたらきっと忘れずに教えただろうに、と私は思った。二週間も経ってしまったのがよくないのだ。
 三人のうちの一人、背の高い塩崎君が走って戻ってきた。
「どうしたの」と私は言った。
「あの、もし嫌じゃなかったらなんですけれど、頭にチャオ乗っけるところ見せてもらえませんか」
 彼は一度目を逸らしてから、遠慮がちに私を見て言った。両手を、指の先だけくっ付けるように合わせていて、丸くなった鉛筆の先端のような形をしていた。
「いいけど、条件がある」
「なんですか?」
「面白かったら携帯の番号とアドレス教えてよ」
「わかりました」
 塩崎君は頷いた。


12月4日投稿分+12月5日投稿分

 私は抱いていたゴウに、頭の上に登って、と指示をしてゴウの胴体に回していた腕を片方離し、その腕でゴウの足を支えてやった。
 体が自由になり足場が出来るとゴウは私にしがみついて右肩の方に移動し、そして頭の上に登ってみせた。
 頭を掴まれた時、髪が引っ張られて痛かったが声を出さないように私は堪えた。
 そういえばこの前は、髪を掴まれたら痛いだろうから登ろうとする前に頭の上に乗せてやったのだった。
 そしてゴウが頭の上に乗ると、チャオの重みで首が短くなっていきそうに感じ、やがてそれが首の痛みになってくる。
 私の姿勢が段々おかしくなっていき、膝が曲がり私は低くなっていく。
 やがて私は膝を付き、ゴウが怪我をしないようにゆっくり倒れた。これは観客へのサービスだ。
 ゴウは私が倒れ始めたところで飛んだ。
「チャオって結構重いんだよ」
 自分のやったことが恥ずかしくなって、立ち上がりながら私は言った。
「それで、どうだった?」
「そうですねえ」
 彼は制服のポケットから単語帳を出して、そして鞄の中にある筆箱からペンを出すとメールアドレスを書いて私によこした。
「こんくらい面白かったです」と彼は言った。
「そっか。こんだけか」
 そう言いながらもこれ以上ない成果を得たつもりに私はなっていた。わざと倒れてみるなんて馬鹿な振りをしたのに少しは面白かったと彼は言うのだ。
 私はその日の夜、早速メールを送った。
 ちょっと話しただけの相手に何を言うか迷ったけれど、私は簡単な挨拶をした後にリベンジを試みた。
 ゴウの撮った写真を消さずに保存しておいたので、私を撮った写真から一番笑えそうな画像を選んだ。
 その写真は、私を撮ったものだったが、手振れのせいでピースしている私の右手と肩と髪の毛くらいしか写っていなかった。
「チャオってカメラ持って写真撮ったりできるって知ってた?これ私の写真」
 そう書き写真を添付したメールを私は送信した。
 私は待つ間に楽譜を書こうという気にはならなくて、リビングにいたゴウを部屋まで抱いて持ってきて、ゴウを撫でたりしながら変身を待った。
 少し待つと塩崎君から返信が来た。面白かった、と始めに書いてあり、次の行には電話番号が書かれてあった。
 手振れのせいであのような写真が撮れたのだとメールを送って教えてあげると彼は、
「チャオにとってカメラは重いんですかね」と返信してきた。
 片方の手で木に掴まっているところを見たくせに、まだチャオがか弱い生き物だと思っているところが可愛らしかった。
「そうじゃなくて、指がないからカメラを持ったままボタンを押せないみたい」と書いて、次の行に自分の電話番号を書いて送信した。
 そして私はにやにやしながらゴウのほっぺたを軽く引っ張って遊んだ。ゴウもはしゃいで足をぱたぱた動かす。
「俺なにか面白いこと言いました?」と塩崎君から返信が来た。
「チャオなんて可愛くないよ。午後二時に昼寝しだしていびきかくもん」
 すると彼は、それは可愛くないかもですね、と返信してきた。そしてそのメールの最後に彼の電話番号が再び書いてあった。
「電話番号、笑ったってこと?」
 私はそう書き、彼の真似をして電話番号を最後に書いて送信した。
「そういうことです」
 そしてメールアドレス。
 私たちはその日のうちに笑ったか面白いと思ったことを示す電話番号を上三桁に略することに決め、ゴウが私の財布からゴウの好きな木の実を買うのに必要な分だけ小銭をくすねた出来事を私は彼に教えた。
 ゴウはくすねた小銭を私に見せびらかして木の実を買うようにねだった。
 ゴウが盗んだ金額の意味に気付くことはすぐにはできなかった。しかし私はゴウの食事をするジェスチャーで理解してしまって、ゴウをチャオガーデンに連れていく羽目になったのだった。

12月6日投稿分+12月7日投稿分

 その事件を聞いた彼はチャオが可愛いだけのペットではないことを理解した。
 狡猾だね080、と彼はメールに書いてきた。
「まさにそれ!090」と私は返信した。狡猾という文字も声に出した時の音も、凄く意地悪そうな感じがして、それこそが私の表現したかったチャオの可愛くない部分だと思った。

 メールで塩崎君はまたゴウに会いたいと言い、チャオガーデンで会おうと誘ってきた。
 しかし会員でない彼はチャオガーデンに入るのにお金がかかってしまう。
 そのことを心配したのだが彼は平気だと言うので、会うことにした。
 私がゴウを連れてチャオガーデンに行くと、既に塩崎君は来ていた。チャオガーデンに入って正面にある噴水の前に彼は立っていた。
「どうも」と手を挙げて彼は言った。
「やっほ」
 私は微笑んだ。ゴウは私の腕に抱かれて大人しくしていた。彼に飛びつくかと思ったのだが、まだ懐いていないらしかった。
「前見た時も思ったんですけど、かなりヒーローチャオっぽいですよね。体が白くて」
 塩崎君はゴウを眺めて言った。ゴウの体は、もう色だけならヒーローチャオと変わらないというくらいに白い。
「うん。だいぶ白くなったよ」
「あとどのくらいで進化するんでしょう」
「さあ。わかんないけど。数ヶ月くらいじゃないの」
 チャオは生まれてから約一年で進化すると聞いたことがあった。
 まだ一年は経っていない。それでも翔矢が死んでからもう九ヶ月は経っているのだということに気付かされる。
「ヒーローチャオか。いいですよね。白い方が柔らかそうで」
 塩崎君は両手でチャオの顔を引っ張ったり押し潰したりするジェスチャーで柔らかさを表現しながら言った。
 その柔らかさはチャオの柔らかさではなかった。まるでゴムを伸ばすように彼は引っ張る振りをする。
「そうかな。黒いと柔らかそうじゃないって言うならわかるけど」と私は大袈裟な動作には言及せずに言った。
「餅ですよ、餅」
 そう言われて彼のジェスチャーが餅のイメージで行われていることがわかった。白いから餅というわけだ。
「それは、柔らかすぎだよ」
 私は、触ってごらん、と言ってゴウを塩崎君に渡した。
 塩崎君はチャオが予想より重かったようで姿勢を一瞬低くした。そしてゴウを抱くと右手でゴウの顔や腹をつついて柔らかさを確かめる。
「ゼリーみたいですね」
「ほとんど水らしいから」
 満足がいったところで塩崎君はしゃがんでゴウを下ろした。
 そのまま座り込むと通学鞄からスケッチブックと鉛筆を出して、
「スケッチしてもいいですか」と聞いてきた。
「いいよ」
 私は塩崎君の横に座った。
 彼は座っているゴウの輪郭をあっという間に描いてしまうので、上手いな、と私は思った。
「絵を描くの、好きなの?」と私は聞いた。
「鉛筆を使うのが好きなんです」と彼は答えた。
「鉛筆?」
 確かに彼は今鉛筆を持っているが、鉛筆を使うのが好きというのがどういう意味なのかわからない。
「削って短くなった鉛筆を集めているんですよ」
「ああ、そういうこと」
 鉛筆を使って削って、凄く短くなった物を集めている。だから鉛筆を使いたい。
 そういう趣味なんだということが想像できて、私は頷いた。しかしわかった後で、なんとも変な趣味だ、と思った。
引用なし
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