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1925 / 2013 ツリー ←次へ | 前へ→

シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十四話 ダーク 09/12/30(水) 13:45
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十五話 ダーク 10/1/2(土) 21:34
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十六話 ダーク 10/1/3(日) 18:02
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十七話 ダーク 10/1/11(月) 21:55
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十八話 ダーク 10/1/12(火) 16:08
感想はこちらへよろしくお願いします ダーク 10/1/12(火) 16:10

シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十四話
 ダーク  - 09/12/30(水) 13:45 -
  
 シャドウ達はルークに着くと、まずは情報収集を始めることにした。シャドウ達は、どこにでもありふれてそうだがルークでは少ない店に入った。その店の情報誌コーナーで、シャドウは地方の情報誌を手に取った。近頃ではもうメカチャオの存在はマール星では当たり前となっているので、地方紙でないとルークのような小さな町での事件は注目されないのだ。
 ところが、地方の情報誌にはルークに現れたメカチャオの情報が載っていなかった。シャドウは情報誌を棚に戻して、ナイツとナイリアに首を振って見せた。
「仕方がない、聞き込みをしよう」
 シャドウは二人の同意を確認すると、店で働いていた若いチャオに話しかけた。彼はやる気がなさそうな顔で商品を並べていたが、僕が話しかけると意外にもしっかりと答えてくれた。
 彼の話すところによると、最近メカチャオが現れた場所はこの店からあまり離れていない空き地だったらしい。さらに、実はメカチャオは頻繁に、さらに広範囲で現れているという大きな情報を提供してくれた。だが、メカチャオは特に何かをするわけでもなく、空き地や邪魔にならない場所の地面に座っているだけだそうだ。被害がないことと、メカチャオが座っていることに住民も慣れてしまっていることが、情報誌に記載されない原因ではないか、と彼は推測した。彼は僕たちが情報誌を見ていたことも見ていたようだ。
「それじゃあ、まだメカチャオはいるのか?」
 シャドウがそう訊くと、若い店員は否定した。
「座っているメカチャオに近づこうとすると、空を飛んでどこかへ行ってしまうのですよ。近づかなくても、ある程度時間が経つと同じく飛んで行ってしまいます。まるでカラスのようです」

 シャドウ達は念のためにメカチャオを探してみた。町中を歩いて入り口に戻ってきたが、メカチャオは見当たらなかった。これで、あとはマッスル達を待つだけなのだが、ナイツとナイリアは焦っていた。
「ねぇ、何でメカチャオがこの町に来たと思う?」
 ナイリアはシャドウとナイツに向けて言った。
「解らない。だが、意味がないということはないだろう」とシャドウ。
「もしかしたら、他のことをするための囮かもしれない」とナイツ。
 マッスル達を待つ時間が惜しい。だが、何も出来ない。それが二人を焦らせる。そんな二人を見てシャドウは、落ち着け、といった。
「今僕たちに出来ることはない。マッスル達を待つべきだ」
 シャドウがそういったとき、ルークの南のほうの外れで地上から空に向かって伸びる赤い光線のようなものが現れた。
「何あれ」
 ナイリアが光線を見て唖然とする。
「シャドウ、行った方が良いと思う」
 ナイツは羽を広げて、今にも飛び立ちそうだ。シャドウは少し悩んでから答えた。
「解った、行こう」
 シャドウは手紙を書いて入り口に目立つように貼った。ナイツとナイリアは飛び立ち、シャドウは走り出した。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十五話
 ダーク  - 10/1/2(土) 21:34 -
  
 どうしたらこんな形になるんだ、と思いながらマッスルは、驚異的な高さを持つ沢山の絶壁の下を歩いていた。周囲は暗く、ところどころに差し込んでいる日の光だけが道を認識する助けになっていた。
 よくよく考えたら、こんな入り組んだところだということは解っていたのに、方位磁針も持たずにやってくるなんて愚かだった。さらに、現在地も全く解らない上に、仮にこのまま西の方角に行けたとしても偶然そこにルークがあるなんてとても思えない。
 だが、バウスはそんな俺の心配をよそに謎の30×40センチくらいのボードのような機械を取り出して、方角と現在地、そしてルークの位置まで機械に映し出した。機械に映し出されているのは、クローゼス大陸の輪郭と、そのクローゼス大陸におけるルークの位置にある逆三角形と、現在地を表す点滅した四角形である。
 バウスは天才的な創造力がある、ということに気付いたのは最近のことだった。バウスの背中についているホールボールは、俺を含めた仲間達のものとは少し見た目が違う。おそらくは自作ではないかと俺は思っている。ホールボールの仕組みなんて俺は知らないが、たぶんそれは俺が無知だからではなく、ホールボールの仕組みが複雑だからだ。学校の先生も大雑把にしか解らないといっていた。それに、バウスが作れるものはホールボールだけではなく、今手に持っているようなボードだったり、光線銃だったりする。バウスは光線銃を使ったことがないが、使わない理由は俺にだって解る。銃を持っているということは相手を殺す覚悟の表れで、それは戦闘に加わることを意味する。つまり、銃を持つということは殺されてもいいという覚悟の表れにもなるのだ。本人にその気がなくても、敵からはそう判断されるだろう。バウスはそのことを解っているのだ。
 マッスルはバウスに畏怖の念を抱いた。バウスは敵意がないと判断されつつも、実は戦っているのだ。いつも俺たちが戦っているときには機械を操作している。何の作用があるのかは解らないが、意味のないことをしているなんていうことはないだろう。
 ラルドもおそらくは気付いているだろう。バウスの機械を気にしている様子が見て取れる。ラルドの場合は、戦いに参加できない悔しさから、バウスのその密かな戦闘に羨望を持っているのかもしれない。
「そろそろじゃな」
 静かな空気が一度に暴れだしたように感じて、マッスルは驚いた。バウスが立ち止まってモニターを見ながら言ったのだった。
「どうした?」
 ラインがバウスのモニター画面を覗くが、特に変わった様子は見られないといったように首をかしげた。
「そろそろスーマに会ったところだね」
 そうラルドが言って、マッスルははっとした。俺はスーマと会った場所に来るのを楽しみにしていたのに、いざこの場所に来てみたら意識から外れていた。余裕がなくなってきているのかもしれない。これはあまり良くない兆候だ。
 バウスがうなずいて、先程のモニターとは同じようなサイズだが少し違うモニターを取り出して、マッスル達にそれを見せた。そこに映っていたのは今マッスル達がいるこの場所に立っているスーマの姿だった。以前遭遇した時の写真のようだった。写真の中も暗いが、スーマの姿はよく見える。
「本当は動画を撮りたかったのじゃがな。あの時は機械が動かなくて、仕方なく原始的なもので撮ったのじゃが」
 写真の中のスーマは無表情で体と顔をこちらに向けている。その様子は、何事にも動じない、まさに神といわれてもおかしくないような雰囲気である。神秘的という言葉がこれほど当てはまるチャオはなかなかいないじゃろう、とバウスは言った。
「あ、すまんな」
 バウスはそういってモニターをしまった。
「足止めしてしまったな。行こう」
 バウスがそう言ってから、少し時間を空けてマッスルはうなずいた。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十六話
 ダーク  - 10/1/3(日) 18:02 -
  
 小さな山の麓から出ていた赤い光線は、シャドウ達が光線から10メートル程度の距離まで来ても依然塔のように空へと伸びていた。高さが果てしない円柱の形をしたこの光線を目の前にして、シャドウ達はどうしたものかと光線を見上げていた。
「どうしたものか」
 と、実際にシャドウは口に出してみるが、状況はなんら変わりない。口や文章に表して見て初めて気付くこともあるものだが、どうしたものかなどと口に出しただけで状況が理解できるのならば苦労はしない。
「上の方でも見てこようか?」
 ナイリアがシャドウに尋ねる。シャドウは肯定し、飛び立つナイリアを見送った。
 ナイリアは瞬く間に空へ吸い込まれていき、地上からは点にしか見えなくなった。それをナイツが心配そうに見上げているが、ナイリアはあっさりと戻ってきた。
「途中で途切れてたよ。もしかしたら見えないだけかもしれないけど」
 シャドウはうなずき、またどうしたものかと考えた。この光線は触っても平気なのだろうか。しかし、危険かどうかを確かめるのに手を突っ込むなんて馬鹿げている。間接的に何かをするべきか。いや、外的な刺激を与えるだけで爆発する可能性もある。これは変化を待つのが得策だろう。何かの囮かもしれない、ともシャドウは考えたが、赤い光線に変化が現れたのはそれからすぐだった。
 赤い光線はその直径をゆっくりと縮めて行き、ついには消滅した。そこには赤い光線が現れる前の光景とおそらくは同じであろう光景が広がっていた。
「なんか拍子抜けしちゃうな。何もなくて良かったけどさ」とナイツが言う。「ルークに戻る?」
 そういったナイツは急に目を大きく開いて、驚いたような顔で先程まで赤い光線が出ていた地面を見る。その様子を見たシャドウとナイリアがナイツの顔を見る。
「どうした」
 シャドウがそう尋ねると、ナイツは見ていた地面に近づいた。
「声が聞こえる。何か喋ってる」
 ナイツは鋭い風の魔法でその地面の表面を削り取り始めた。シャドウとナイリアにはその声が聞こえなかった。だが、ナイツは特に耳がいいのでナイツを信用し、二人も風の魔法で手伝い始めた。しばらく続けると機械と思われる銀色が姿を現した。さらに作業を続けると、黄土色の地面に銀色の部分が大きくなり始めた。その中にはスピーカー部分があり、その隣には00:05:40と数字が表示されている。数字が減っていくことあら、これは何かのカウントダウンだろうとシャドウは推測した。
 スピーカーからは声が発せられており、その声は男の声だった。
「やはりナイツは耳が良いようだ。気付かなかったのならば放っておこうと思っていたのだが、気付いたのならば伝えよう。そんなに周りを気にしてもそちらからは見えない。こちらからは、ある媒体を使ってそちらをモニタで見ている。が、そのようなことは重要ではない。本題に入るが、私はこのプログラムを使って機械だけの世界を作ろうと思っている。このプログラムだけでは出来ないが、他の様々なプログラムを実行することで、それは可能だ。君たちはそれを阻止しようとするだろう。それでいい。君たちは生物社会の代表として阻止しようとしてもらう。もちろん、マッスルやラインと協力しても良い。本当ならばルークに全員が来た時点で光線を出そうと思っていたのだが、まさか二手に分かれるとは思っていなかった。このプログラムの実行時間も定まっていたので、急遽予定を変更し、君たちだけに伝えることにした。だから、こちらとしても分かれたメンバーに伝えてくれると助かるのだ。私はこの時を待ちわびていた。やっと準備が整ったのだ。その時期に君たちが現れて、これは良い機会だと思った。機械による社会と生物による社会のどちらが正しいか、遂に確かめられる時が来たのだ」
 しばらくの沈黙。気分が高揚しているようだ。
「このプログラムはもうすぐ実行されるだろう。君たちは他のプログラムを停止させることで勝利を手にするのだ。しかし、私のプログラムはそう簡単には停止しない。強力な爆弾も組み込まれているから、例えばこのプログラムを物理的に壊そうとすればクローゼス大陸の半分は消し飛ばせる。私としても爆弾を爆発させるのは不本意である。今すぐこちらから爆発させることも出来るが、そんなことはしない。さて、そろそろ時間だ。次のプログラムはクローゼス大陸のどこかにあり、今から丁度2日後に起動する。頑張ってくれ」
 そこで言葉はブツンという音と共に聞こえなくなり、タイマーも00:00:00だ。機械は起動音のような音をたてた。見た目に変化はない。
 三人は今の言葉を聞いて、しばらく黙っていた。だが、黙っていても仕方がないので、シャドウは口を開いた。
「今のが本当だとしたら、解決すべきだろう。だが、今はとりあえずルークへ戻ろう」
 三人はルークへ戻る途中、新たな問題に対する対処法を話し合ったが、抽象的な言葉しか出てこなかった。結局、プログラムを止めるにはバウスの力量にかかっているのだ。
 ルークに戻ると、ルークはギルダンタウンのような機械だらけの町となっていた。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十七話
 ダーク  - 10/1/11(月) 21:55 -
  
 広くて暗いということはこれほどまで怖いのか、と仲間達の殿を務めるラルドは思った。先は見えず、ルークに向かっているのだろう、ということしか解らない。以前通った時には、早々にスーマと遭遇して、自分が自分でないような気持ちで全員が歩いていたので、殆ど気にかけることのなかったことだ。あの時、ラルドは仲間達が平静を装っていることに気付き、不自然さを感じていた。
 今、ラルドは前を歩いている仲間達にそのような不自然さを感じない。特に仲間達の意識をかき乱すような事態はなかった。だが、何かがおかしい。そうだ、マッスルが静か過ぎるんだ。
 いつもならばよく喋って退屈を紛らすような行動をするのだが、この暗い道に入ってからは静かでずっと考え込むような表情をしている。スーマの画像を見てからは、後ろを一度も振り返っていない。画像を見るまではバウスを気にしていたんだと私は思う。ちらちらバウスの方を見ていたからだ。でも、画像を見てからはもっとおかしい。不自然だ。装っているような不自然さではなくて、装いすぎない不自然さだ。特にマッスルのような性格だと。
 マッスルは良しとして、他のみんなはこの状況をどう感じているのだろう。この場所、スーマのこと、マッスルのこと。淡々と歩いているように見えるが、何を感じ、何を考えているかなんて解らない。きっと、私が考えていることもみんなには解らないだろう。私は表現していないし、みんなは私の方を見ていない。
 何を不安になっているのだろう。私達は理解し合わなければならない存在ではない。私達の目的は平和な生活にとっての脅威を排除すること。私達はこの目的を達成するための存在で、個の尊重なんてものを気にしていてはいけない。生きる意味が解らなかった私に、生きる意味を与えてくれたこの冒険。私はこの冒険に身を尽くさなければならない。私は決めたのだ。兄貴、クロア・クルが親への復讐を決めたように。
 だというのに、私は戦闘に参加できない。我慢しなくてはならない。私が戦闘に参加することは、目的の達成における障害になるかもしれないのだ。では、私は今何のために生きているのだろう。
 ラルドは溜息をつく。こんなことで不安になるなんてそれこそ意味がない。どれもこれもこの変な場所のせいだ。私は早く傷を完治させ、前線に復帰するのだ。それが私の出来ることだ。
「大丈夫?」
 エイリアが心配してくれたようだ。私の溜息を聞いて気遣ってくれたのだろう。理解を必要としない私を理解してくれようとする仲間。こんなに恵まれた環境にいる私が不安を語っていては、この環境を構成しているものに失礼だ。私は不安を語ることに意味を与えた覚えはない。
「大丈夫だよ」
 うん、大丈夫。私はいつでも大丈夫。決心した私はもう考え直す必要がない。そう考えることが、私、ラルドの生きるコツです。この世は無常だけど、意味を与えればそれなりに生きていけるんだよ。
 考えている間も足の歩みを止めなかったラルドは、これでこそ私だ、と思い歩き続けた。その間、決して仲間達も止まることはなかった。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二十八話
 ダーク  - 10/1/12(火) 16:08 -
  
 確かにここはルークがあった場所だ、と入り口に貼ってある自分が書いた手紙を確認して、シャドウは口に出した。入り口や、ルークの領域の輪郭を表す柵がそのまま残っていることからも、ここは確かにルークであった場所であることが解る。
 それにしても、この柵は何故こんなに低いのだろう、とシャドウは思った。大人のチャオと大して変わらない高さだ。キャプシティやカイセンタウンの柵――というよりは壁――はかなり高く、立派なものであった。
 国の概念を持っていたのはヘルゼアス大陸くらいで、他の大陸では国の概念を持っていない、とラインに聞いたことがある。町、そして所有者がいない土地が大陸を構成し、各法律は大陸によって定められているらしい。どこの法律も大して変わらないけどな、と笑いながらラインは言っていたが。そんなに投げやりで良いのだろうか。所有者のいない土地に対しては法律的にどのような規制があるのだろうか。木々が伐採されたような跡は見たことがない。やはり、木のようなものは魔法で代用できるのだろうか。チャオ星ではそうだったかもしれない。争いがないのは、殆どのものが自給できる上に土地に余裕を作ったからか、と僕は結論付けた。
ヘルゼアス大陸は、土地に余裕がなく、独立した大陸だった。加えて、ゼアスの自給率が低かったのだろう。ゼアスは荒野だらけであった。あの時のゼアスはすでに末期的だったのかもしれない。そして、他の大陸との貿易もなく、大陸内だけで解決しようとして戦争になった。実際にはカオス・ピースの介入があったが、カオス・ピースがなかったとしても危機的な状況になっていたかもしれない。前ゼアス王にもっと想像力があれば、戦争なんて起こらなかったかもしれない。
しかし、戦争をしていたことによって僕たちはヘルズの実態を知るきっかけを手に入れた。僕には何がベストかなんて解らない。だが、僕はあの時のことを良かったと思っている。今、ヘルゼアス大陸にはひとつの国しかない。この結果がすべてだ。過去があって、現在があって、未来があるのだ。
 そう考えて、僕はこの目の前にある柵について考えてみた。この柵にはどんな過去があって、今ここに立っているのだろう。そして、どんな未来を辿るのだろう。機械の町となってしまったルークを囲いながら、何を感じているのだろう。
 僕はルークを囲っていて唯一柵がない部分、入り口を通った。


 機械で出来ていると思われる建物の上には、変化する前のルークの建物が一部あった。倒壊した家や店、土がそこら中に散らばっていた。おそらく、地面の中にこの町が完成していて、それが地面を突き破って地上に出てきたのだろう、とシャドウは思った。
 意外だったのは、ルークの住民がパニックになりながらも町の一箇所に集まっていることだった。負傷者も少なく、負傷者は負傷者で一箇所に集められて簡単な処置を住民が施していた。
 そして、住民たちの中をあてもなく歩いていると、メカチャオについて教えてくれた店員のチャオを見つけた。話しかけてみると、店員のチャオも僕たちのことを覚えていた。話を聞くところ、やはり機械の町が地面を突き破って出てきたようだ。
「正直、驚いたというよりもうんざりしていますね。他の町でも問題になっているメカチャオがこの町に現れたというのに、何もしなかった町長さんたちや自分たちに。メカチャオがいるのは問題なのに、いるのが当たり前だからといって放置していたらこのざまですよ。たぶん、町民たちも危機感は私と同じように感じていたと思うのですけど、結局何もしなかった」
 彼は苦いものを噛み砕いたような表情をした。彼の気持ちは解らなくはないが、励まそうという気にはなれなかった。僕は仕方がなくうなずき、他の質問をすることにした。
「メカチャオが座っていた、という場所はどこだ?」
「ええと、町がこんなんになってしまったので正確な場所は解りませんが、大まかな場所になら案内しますよ」
 僕たちは彼の好意に甘え、案内してもらうことにした。
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 ダーク  - 10/1/12(火) 16:10 -
  
感想があれば、よろしくお願いします。
もちろん、苦情や指摘なども受け付けております。
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