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読みました。感動しました。
話の本筋と関係ないかな、と思いつつも書きたい点とかも書いたら長くなりましたが、こいつこんだけ感動したんだな、という目安になればと思います。
まず。
この作品はチャオ生誕11周年が生んだ名作です。
11年という長い年月の中で、ブームが去ってもチャオラーであり続ける人が生まれ、成長し、チャオについて考えることで初めてこのクオリティの作品はできあがるものだと思います。
1周年、2周年などではチャオに対する愛情や執着というものが一時的な気持ち、ブームでしかなかったり、人によってはちゃんと考えながら小説を書いたりチャオについて考えたりするほど成長していないことでしょう。
チャオに限らず、二次創作でここまでのものを作ることのできる人は極僅かだと思います。私はそういう人は指で数えられるくらいにしか知りません。
ですから私は「この作品はチャオ生誕11周年が生んだ名作だ」という結論に達したのです。
次に話の進め方が綺麗で上手いな、と思ったということを書きたいと思います。
序盤に登場したものがそのまま放置されることなく中終盤にきちんと作用してくる。
逆に言えば中終盤で出てくるものは序盤に出てきているので、ご都合主義だとかそういう無理やりな展開にならず、スムーズに進んでいく。
登場したものをしっかり活かしきっている部分が素晴らしかったです。
読みきり作品として綿密に計算して書いたからこそできるものではないかと。
こっちは終盤ですが千晶さんが唐突におばさん社員に雇ってくれと言う理由だとかは二周目にはああなるほど、と思えるシーンですね。そういう発見があるのでぜひとも読んだ人にはもう一度初めから読んでほしい作品です。
他にも細かい演出が光っていたと思います。
ソニックアドベンチャー2の時代になりそれと同時にお役御免になりかけているヒントテレビや、ソニックアドベンチャー2のストーリーがちらほら出てきたり。
ソニックの走り方とアラレちゃんの走り方などのギャグも面白かったです。
イケメンは人類の敵でいいと思います。ろっどさんごめんなさい。
で、話の中に頻繁に登場するワードである「転生」。
この話は転生というチャオの設定をうまく使うことで、生と死について他ではできない手法で描くことに成功していると思います。
転生を諦めて死を必死に受け入れようとしているだけで受け入れきれずに他人の記憶に残りたいとも思っているという独白。
そして最期にいい思い出もつくれて今まさに死を受け入れて死ぬ。
ここまでならチャオというキャラクターで普通の美しい死を描いています。が。
死のうとしているところで実は自分は愛されていたのだと気付き転生するという流れは非常に素晴らしいもので、「愛されると転生できる」という設定から生まれた「愛されているから生きることができる」というメッセージに大変感動しました。
死ぬということについて書いていたところで最後の最後でベクトルを生きることへとシフトすることに成功している。これはチャオ小説ならではだと思います。
さっきからこの展開すげーこの展開すげーみたいなことばかり言っている気もします。
しかし、話の構成のうまさがより感動的な作品へ仕上げ、人を感動させる強いメッセージが構成のうまさを光らせているのだと思っています。
その考えから、自分の感情、感動という曖昧なものを作品の完成度という具体的なものを語ることで表現させていただきました。
そして、最後にもう1つ。
こんな素晴らしい作品が出てしまったんですけれど、これから先私たちはどうすればいいの?(笑)
こんな作品を見せられたからにはチャオ小説作家の皆さんも方向性はどうであれ完成度の高い作品を書かざるを得ないことでしょう。
近しい同業者がいい仕事をした時物書きは「あの野郎、よくもこんなもの書いてくれやがったな」と思う、という話を聞いたことがあります。
読者としてとても感動すると同時に、チャオ小説作家としてちくしょうという気持ちも持ちました。これからも頑張ろうと思ったのでこれからも頑張ってください。
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