|
CHAOが人間に変身すると容姿が8歳位の子どもになった。
健康状態は良好の様で、走り回ったりする事もできる。
けれども一方の子は落ち着いており、隙を見せない素振りだ。
食事はまだ果物しか試していないらしいので他の食べ物を口にするかを試してみる。
書きかけのメモを途中で閉じてフゥと溜め息。
身体は重かった。
というより足取りが一番重い、病室を出てからロビーまでが山道を登っているかの様に思えた。
そしてその次は気分の問題だろう。
つい五分ほど前にかけられた言葉が頭の中でエコーする。
『この子達は・・・』
『この子達は・・・』
「俺の子ども? なんだよなぁ・・・」
そう言った瞬間、俺の足が急に重くなった。
理由は単純。
二人の子どもが俺の脚にしがみ付いている。
単純、故に頭が痛いとはまさにこの事だ。
「ねぇ?パパ。」
パ・・?!
いや、まて落ち着け俺。
そうだ。俺はこの子達の父親だ。
パパになりきるんだ。
「どうした?・・・ぇっと・・ラシェル。」
「どこに行くの?」
「どこにって・・・お家に帰るんだよ。」
「お家?」
「そう、お家。」
そのときユウヤは忘れかけていた出来事を思い出した。
自分が使っているアパートは既に水浸しのグッチョグチョ状態であることを。
そして文字通り引き金を引いてくれたあの女の事も。
・・・・肩の荷が一段と重くなった気がした。
「パパ、お家はどこ?」
「ここからは遠いから車に乗らないといけないな。」
「そんなに遠いの?」
「遠いよ。」
さっきからしきりに話しかけてくる少女に耳を傾けるユウヤ。
でも視線はラシェルという少女よりも、隅っこで黙り続けてる少年の方に向いていた。
物静かな碧髪の男の子、活発な赤髪の女の子。
随分「色」の強い子ども達だな と苦笑せずにいられなかった。
二人を車に乗せて、ユウヤはハンドルを握り締める。
このCHAO達を無事に保護するためにも、誰にも知られていないもう一つの家に行く必要がある。
勇み足でアクセルを踏み、目的地へと発つのであった。
|
|
|