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Little Strange World 〜少し変わったこの世界で〜 ホップスター 09/12/23(水) 0:02
Little Strange World 〜少し変わったこの世界で〜... ホップスター 09/12/23(水) 0:03
Little Strange World 〜少し変わったこの世界で〜... ホップスター 09/12/23(水) 0:04
ほっぷすたあ宛の感想等はこちらへどうぞ。 ホップスター 09/12/23(水) 0:05
追伸 ホップスター 09/12/23(水) 0:24
このふざけた感想をぶん投げます スマッシュ 09/12/23(水) 9:58
とある掲示板の感想返信[レスポンス] ホップスター 09/12/24(木) 18:19

Little Strange World 〜少し変わったこの世界で〜
 ホップスター WEB  - 09/12/23(水) 0:02 -
  
とある高校の、生徒会室。
いよいよ冬休みも差し迫ったこの時期だが、生徒会のやってることはいつもと大差ない。

「で、今日の議題は?」
「麻雀部の設立要望が多数届いてる件についてです」
「…またオタク連中?ったく、3ヶ月ごとに嫁を変えるような人達につきあってられないわ。却下却下。」


            Little Strange World 〜少し変わったこの世界で〜


「この前やっと軽音楽部の部員急増問題にようやく対処したばかりですよね…?」
「ええ…夏休み明けには『15527回目の夏休みがどうたらこうたら』って騒いでたし…」
「『あの日』以来ですよね、何かがおかしくなったのは」

あの日。

去年の12月23日、『何か』が起こった。
…しかしながら、具体的に『何が』起こったのか、その実態は誰も知らない。
だが、その日以来、確かに『何か』がおかしいのだ。

具体的には、何やらオタク風味な人々が少しばかり増えたのと、ぷるぷるでぽよんぽよんな生き物『チャオ』が、少しばかり目につくようになったこと。
なぜそうなったのかは誰も知らないし、1年経った今では最早誰も気に留めなくなっていた。

オリコンチャートはアニソンが毎週入れ替わるように1位を取り、視聴率の上位は常にアニメ番組。ベストセラーもライトノベルが上位を独占している。だけど、誰も疑問に思わない。
そんな「少し変わった世界」ではあるが、結局普通に生きている分には何も問題がないのだ。


さて、生徒会室では、いつもの会議が続いている。
「とはいえ、1年前ならいざ知らず、無視できない要望の数ですよ?」
この声は副会長、五十嵐智也[いがらし・ともや]。
「そういえば、昔ウチにはとんでもない部活があったとかなかったとか…」
こっちが書記の宮坂愛美[みやさか・まなみ]。唯一の2年生。
「あぁ…『あれ』のことね…」
で、これが会長の二本松優子[にほんまつ・ゆうこ]。

生徒会の主要メンバーは他にも数人いて合計7人になるが、今日この場にいるのはこの3人である。
他の4人は都合がつかずに今日は欠席…というのは表向きの事情で、つまるところ、ほかの4人はサボり。しかも、ほぼ毎回。
結局、いつも生徒会室に集まって生徒会の仕事をやっているのはこの3人だけである。


【宮坂】「『あれ』って…?」
【五十嵐】「あぁ、2年だと知らないかなぁ。ウチらが入学する前の年まで、凄い部活がありましてね…」
【二本松】「『チャオ同好会』だったかしら?同好会だから厳密には部活じゃなかったんだけども。」
そこで宮坂が聞き返す。
【宮坂】「え?チャオ同好会って…チャオかわいいですし、普通じゃないんですか?」
【五十嵐】「2009年ならな。その部活があったの、2007〓だぞ?」
そこまできて、宮坂はようやくその『物凄さ』を理解した。

つまるところ、去年(2008年)の12月23日に『何か』が起こるまでは、チャオはマイナーなゲームキャラでしかないのだから。
それより前にチャオに関する部活があるということがどれだけ異常なことであるかは、言うまでもないことである。
なお、チャオという生き物が現実に存在するようになった現在では、チャオ関連の部活がある学校も珍しくない。

【宮坂】「でも…今のウチにはチャオ同好会、ないですよね?」
【五十嵐】「まぁ色々あってな。元々存在自体がその頃としてはありえない部活でしたからねぇ」
【二本松】「部室棟も配置換えになったし、もう当時の痕跡みたいなのは残ってないんじゃないのかしら?」

…と、ここまで二本松が話したところで、あることに気がついた。
【二本松】「痕跡…ちょっと待って、ひょっとしたら!」

生徒会室には、生徒会で使うためのパソコンが1台ある。5年ぐらい前のもので性能は決してよくない(OSもXPである)が、プリントを作ったり学校のHPを更新する程度なら何の支障もない。

二本松が気がついたのは、『そのパソコン』である。彼女は立ち上がり、パソコンの置いてある机へ向かった。
【五十嵐】「パソコン?そういえばそれ、厳密には学校の備品ではないと聞いたことがあるような…」
【二本松】「ええ、あたしの記憶が確かなら、このパソコン、前はそのチャオ同好会が使ってたもののはずよ。色々あって今は生徒会室にあるけど…」
そう言いながら、パソコンのスイッチを入れた。

起動するまでの間、数分。
五十嵐と宮坂も立ちあがり、二本松の後ろからパソコンを覗き込む位置に移動した。

【二本松】「当時のファイルとか奥に残ってないかしら…?」
と、カチカチとマウスを動かす。
【五十嵐】「下手にいじって壊すとかやめて下さいよ…?」
という五十嵐の心配をよそに、どんどんと奥のフォルダへと向かっていく。


しばらくして、二本松の右手が止まった。
【二本松】「ん…?」
そこにあったのは、『20081223.txt』という簡単なメモ帳でのテキスト。
言うまでもなく、ファイル名は『あの日』の日付である。
【宮坂】「あの日の日付…?」
【二本松】「これよ!」
彼女は一言そう言い切ると、そのままダブルクリックした。

===
これを残すかどうか迷ったが、将来誰かがこれを見てくれることを願って、ここに書き残す。


俄かには信じられないかもしれないが、今この世界は、『闇』によって侵食されている。
恐らくこれを誰かが見てる頃には、既に侵食は終わっているはずだ。
つまり、これを見てる君達がいるのは、『闇の世界』ということになる。

『闇に侵食されたって?この世界は何もおかしくはないじゃないか』って言うかもしれない。
でも、ちょっと考えて欲しい。
今君達がいる世界は、本当に『何もおかしくはない』か?

きっと何かが少しおかしいはずだ。
具体的にどこがおかしいのか、というのはこれを書いている俺には分からないが、そう、例えば、チャオっていう生き物が普通に生息してないか?

………思い出せ。その生き物は、2008年の12月23日まで、『存在していなかった』はずだ。

誰が『闇の侵食』を仕掛けたのかは分からない。某国の陰謀かもしれないし、あるいは宇宙人の攻撃かもしれないし、ひょっとしたら偶然に偶然が重なって侵食が発生しただけかもしれない。

そして、これを読んだ君達がどう行動するのかも自由だ。
『おかしい世界』を正すのか、それともその『おかしい世界』に浸るのか。
だが、知っておいて欲しい。今君達がいるのは、『おかしい世界』だという事を………

2008/12/23 名も無き南高生徒
===

最後まで読んだ後も、3人はしばらく言葉が出なかった。


しばらくして、二本松がようやくゆっくりと口を開く。
【二本松】「えっと…これ…性質の悪いイタズラ…よね…?」
【五十嵐】「一応最後の更新時間は去年の12月23日ですけど…どうなんでしょう?」
【宮坂】「こ、怖いです…」
それに応えるように、五十嵐と宮坂もポツリと感想をつぶやく。

辻褄が合うだけに、怖いのだ。
確かに、去年の12月23日に『何かが』が起こって、それ以来、この世界に本来いなかったはずの「チャオ」という生き物が現れた。
具体的に何が起きたのかはよく分からないし、誰も知ろうとしない。そもそも調べたところで何も分からない。
だが、もしこの文章が本当ならば、説明がつくのだ。


再び、しばらくの沈黙。

それを破ったのは、再び二本松だった。
【二本松】「ええい、やめよやめ!大体仮にこれが本当だとしても、ただの高校生のあたしらに何ができるってのよ!」
【五十嵐】「それもそうですね…正すって書いてありますけど、じゃあどうすればいいのか書かれてませんし…」
【宮坂】「とりあえず、今日はもう遅いですし、解散、でいいですか?」
【二本松】「そうね。これ以上生徒会室で喋ってたらそのうち『ドラマCDで十分』とか言われかねないわ。」
【宮坂】「そもそもメディアが違いますから…」

そんなこんなで、この日の生徒会は終了。
パソコンをシャットダウンした後、3人とも荷物をまとめて、生徒会室を出て行った。

≪続く≫
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; ja; rv:1.9.1.6) Gecko/20091201 Firefo...@122x210x150x187.ap122.ftth.ucom.ne.jp>

Little Strange World 〜少し変わったこの世界で...
 ホップスター WEB  - 09/12/23(水) 0:03 -
  
≪その2≫

―――――気がつくと、そこに3人はいた。

【???】「あなたが二本松優子さん…そして五十嵐智也さん、宮坂愛美さんね?」

【二本松】「ええ…」
【宮坂】「そ、そうだけど…ここ…どこ?」
【五十嵐】「真っ暗で何も見えねぇ…」

何も見えない、というのは厳密には間違いである。3人の視界には、お互いが見えている。だがそれ以外は、『何もない』。ただ、黒が続いている。


そして、どこからともなくしてくる女性の声は、こう続けた。
【???】「落ち着いて、よく聞いてください。
      …貴方達が住んでいる世界が、『闇の世界』だということは、貴方達は知っていますね?」

【五十嵐】「あ、ああ…」
そう、知っている。
『あの文章』を見たのだから、知っている。
自分達の住んでいる世界が、本当の世界ではなく、闇に侵食された世界であるということを。

【???】「去年の12月23日に、貴方達の世界は闇に侵食されました。
      簡単に言えば…、貴方達はそれ以降、『幻』を見せられているのです。」

その幻とは言うなれば、去年の12月23日に一旦時計を止めて、『もしチャオがいたら』を始めとするいくつかの『仮定』を織り交ぜて再び時計を進めだしたようなもの。

【???】「そして、今貴方達の目の前に広がる、真っ暗な光景―――
      これが、貴方達の『真実の世界』なのです。」

【宮坂】「つまり私たちの世界は、去年の12月23日に闇に侵食されて、真っ暗になったってこと?」
【二本松】「そしてその世界の住人であるあたしらは、ずっと幻を見せられている…」

【???】「そういうことになりますね。」

普通ならば、そもそもなぜこんな場所にいるのか、というところから気になるはずであるが、それに疑問を挟むことを彼らはしなかった。
なにせ『あの文章』を読んだ後である。彼女の言うことを、素直に信じる余地があった。

【五十嵐】「1つ聞いてもいいか?
      …そもそも『闇の侵食』とやらは一体誰が仕掛けたのか知ってるのか?」
五十嵐がそう質問する。つまり、『犯人は誰か』と聞いたのだ。それに対する『彼女』の答えはこう。
【???】「私にも正確なところは分かりません。
      ただ、私たちが調べていくうちに、闇に侵食された世界を守る、『魔女』のような存在がこの世界に存在することが分かりました。
      恐らくその『魔女』が原因、あるいは原因に繋がる可能性が高いと思われます。」

【五十嵐】「その魔女とやらが少なくとも何らかの事情を知っている可能性が高いと…」

【二本松】「…で、あたしらは何をすればいいの?魔女を倒せばいいのかしら?」
【???】「その魔女から話を聞き出せればベストですが…まぁ似たようなものですね。」
話を聞くにしても、倒すにしても、魔女のところに辿りつかなければ始まらない。そういう意味では、魔女が目標であるという点に何ら変わりはない。

【宮坂】「でも私たち、普通の高校生だよ?漫画やゲームじゃないんだから、剣や銃も使えないし、魔法や特殊能力もないし…」
【???】「もちろん、何もなしで、とは言いません。『彼ら』を手伝いに向かわせましょう…少々お待ちください…」

そう『彼女』が言うと、しばらくそこは静かになった。
だが、彼ら3人は、一言も喋らず、ただ黙って待っていた。


数分経っただろうか。
再び『彼女』の声が聞こえた。
【???】「準備が整いました…今『彼ら』をそちらへ送ります…」

すると、暗闇が裂け、空間を破るようにして、3匹のチャオが姿を現した。

【チャオA】「ここが、闇に侵食された世界…」
【チャオB】「確かに真っ暗だな。」
【チャオC】「でもチャオや人の姿はハッキリと見える…不思議な世界ねぇ。」

【???】「『彼ら』の名前は、貴方達から見て左から『フレイナ』『ジェリオ』『クレーヌ』…」

【フレイナ】「よろしくお願いします。」
【ジェリオ】「ま、そーいうこった。」
【クレーヌ】「とりあえずお三方、頼むわよ?」

この時、生徒会3人組の並びは、左から二本松・五十嵐・宮坂。
自然と、二本松とフレイナ、五十嵐とジェリオ、宮坂とクレーヌがペアになる形になった。
【???】「貴方達が3人でこちらが3匹ですし…ペアを組んでもらえればちょうどいいでしょう。」

【五十嵐】「…で、彼らは何ができるんです?」
この質問には、ジェリオが答えた。
【ジェリオ】「一言で言やぁ『契約した者に力を与える』ってとこか。
       契約すりゃ漫画やゲームでお馴染みのドドーンでドカーンな特殊能力が与えられるって寸法よ。」
【宮坂】「どどーんで、どかーん…」
【クレーヌ】「…まぁジェリオの擬音じゃ分かんないだろうねぇ。」
【ジェリオ】「何か言ったかクレーヌ!」
【クレーヌ】「何度でも言おうか?」
【宮坂】「まぁまぁ、抑えて抑えて…」
ぶつかりそうになったところを宮坂が抑える。

【二本松】「…で、契約するにはどうすりゃいい訳?契約書にサインすりゃいいの?それともどっかの漫画みたいにキスでもしろと?」
【五十嵐】「き、キス!?いくらチャオとはいえキスとか勘弁して下さいよ!?」

【???】「いえいえ、単純に…互いに触れれば、それで契約成立となります。
      本来は儀式みたいなものがあるのですが、事情が事情ですので、こちらで済ませておきました。」

【五十嵐】「そりゃありがたいね!それじゃ早速…」
【宮坂】「うん。」
【二本松】「ええ!」


…3人と3匹が、互いに握手する形で触れた瞬間。


―――再び3人の眼前は、暗転した。


【3人】「!?」
【二本松】「契約した…んだよね!?」
確かに3人には、3匹のチャオの感触が残っている。確かに「契約」は成立しているはずである。
しかし、目の前には、誰もいない。

…その時、1人の椅子に座った女性がぼんやりと姿を現した。
黒い長髪だが、顔はぼやけていてよく見えない。

【宮坂】「あなたは…さっきの人?」
宮坂はその女性を見て「さっきまでの声の主だ」と思い声をかけたが、返ってきた答えは全く違うものだった。
【女性】「とんでもない。あんな女と一緒にしないで欲しいわね…
     …私は『管理者』よ。もっとも、あの女からは『魔女』なんて呼ばれているけどね。」

【二本松】「魔女ですって!?」
そう、『魔女』本人が現れたのである。咄嗟に構える3人。

【魔女】「まぁ、そう気構えしないことね。この姿はいわば幻影。貴方たちの攻撃は通じないわ。
     それと同時に、こちらから攻撃することも不可能…」
椅子に座り微動だにしない彼女の姿は、なるほど『魔女』と呼ぶに相応しい。
しかしながら、声などにはまだ若さも見える。20歳前後だろうか。

少しの間沈黙が流れるが、二本松が口火を切った。
【二本松】「…順番に聞くわ。世界を侵食したのはあなた?」
【魔女】「まぁ、そういうことになるかしら?」
【五十嵐】「なぜこんなことをした?」
【魔女】「現実に絶望したから…かしらね。」

すると『魔女』はゆっくりと立ち上がり、こう切り出した。

【魔女】「貴方たちはおかしいとは思わないかしら?
     …素晴らしいのに売れない作品がある。
     …努力したのに報われない人間がいる。
     …才能があるのに埋もれてる人間がいる。
     …正しいことなのに評価されない事柄がある。」

【宮坂】「つまり、それを変えるためにこんなことを…?」
【魔女】「ええ。その『結果』があの世界よ。」

【五十嵐】「…なるほど確かにそんな世界は変えなければいけませんねぇ。」
【二本松】「五十嵐!?」
その言い方に驚いた二本松。だが、「裏切った」訳ではなかった。
【五十嵐】「だがそれは『正当な手段』によって変えるべきだ!こんな方法は間違っている!」

しかし、『魔女』はその叫びをあしらうようにこう言った。
【魔女】「…甘いわねぇ…
     そんなやり方で世界を変えるには、余りにも世界は大きすぎる…」

【二本松】「世界のサイズなんて関係ないわ。まずはあたしらが『貴方の世界』を変えてみせる!」
いずれにせよ、今変えなければいけないのは、『現実の世界』よりも、『魔女の世界』の方である。
『魔女の世界』を元に戻さない限りは、現実を変えることはできないのだから。
【魔女】「威勢だけはいいわね…そういえば私もそんな頃があったかしら…?」
そう言うと、ゆっくりと再び椅子に座った。

【魔女】「まぁいいわ。変えてごらんなさい、この世界を。
     但し、私のところまで辿り着けるならば、ね。」


そう魔女は言い残すと、ユラユラと姿がぼやけ始め、やがて消えた。
再び、視界には3人の姿しか映らなくなる。

…やがてその3人の姿も、だんだん薄くなり………


「夢!?」
次に彼らが気がついたのは、ベッドの上である。午前7時。

<続く>
引用なし
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Little Strange World 〜少し変わったこの世界で...
 ホップスター WEB  - 09/12/23(水) 0:04 -
  
≪その3≫


時間は放課後、いつもの生徒会室。やっぱり今日もいつもの3人である。
【宮坂】「今日の議題、とくになし…っと。」
【二本松】「なんかつまらないわねぇ…」
【五十嵐】「まぁ、何もないのが一番ですよ。」
そう言うと、かばんからPSPを取り出し、遊びだした。

【二本松】「…よりによって副会長が生徒会室でゲームやりだしますか?」
【五十嵐】「『1年前』までならいざ知らず、今は休み時間なら小学生だって公然とやってますよ。」
【宮坂】「そういえば、1年ぐらい前からですね…授業中じゃない限り学校でゲームしても怒られなくなったのって。」

そこで、二本松が思い出したように尋ねた。
【二本松】「ところでそれ何のゲーム?」
【五十嵐】「これですか?ファンタシースターポータブル2ですよ。」
【二本松】「…ならいいけど。チャオ小説なのにモンハンでもやってたら吹っ飛ばすわよ。」
【五十嵐】「わざわざチャオ小説の中でやりませんよ…」

【二本松】「…それにしても、あの夢は何だったのかしら…?」
ふと、二本松がこぼす。

すると、
【2人】「「夢?」」
五十嵐と宮坂が、同時に聞き返した。

【二本松】「いやね、闇の侵食がどーとか、魔女がどーとか…」
闇の侵食。そして魔女。その『キーワード』に、2人が驚く。

そう、2人も全く同じ『夢』を見ていたのだ。
【五十嵐】「夢だけど…夢じゃない!?」
…としか、考えられなかった。


【宮坂】「でもあれが本当だとして…結局私達、契約して何の力を手に入れたんでしょう?」
【五十嵐】「そういえば契約した瞬間に魔女の邪魔が入ったんでしたっけ…」

と、その時、生徒会室のドアをコンコンと叩く音がした。

【二本松】「どうぞー?」
ガラリと扉を開けて入ってきたのは、図書委員長の荻野優子[おぎの・ゆうこ]。
今年の1月に転入してきた、ロングヘアーに丸眼鏡が目印の成績優秀な女の子である。
外見によらず性格は割とサバサバしていて、人気者である。転入生がいきなり委員長をやることになったのは、この人気が背景にあった。

【宮坂】「荻野さん、どうかしましたか?」
【荻野】「突然ですが問題です。あたしが転入してきたのはいつでしょう?」
【二本松】「えっと、今年の1月じゃなかったっけ?そろそろ1年ってことか。」
【荻野】「続いて第2問。あたしはアンタ達3人が闇の侵食に対抗する力を持っていることを知っている。…これが示す意味は?」

その瞬間、3人の言葉が止まった。

それとほぼ同時に、荻野は両手をポケットに突っ込むと、次の瞬間には数本づつナイフが握られていた。

【五十嵐】「魔女の刺客だっ!!」
五十嵐が思わず叫ぶ。そしてそれと同時に、荻野はナイフを1本投げつけた。
ナイフは五十嵐の方へまっすぐ向かい、咄嗟に五十嵐が盾にしたPSPに突き刺さった。当然PSPは液晶が砕け、もうゲーム機としての機能はない。
【荻野】「全問正解、よくできました。これがどういう意味か、分かるよね?」
【宮坂】「まさか…荻野さん、『実在する人間』ではない…!?」
【荻野】「正解。『管理者』―――アンタ達が言う『魔女』―――がこの世界を闇で侵食した時に、あたしは『造られた』んだよ、管理を手伝うためにね。」
だからこそ、『今年の1月に転入した』のである。

【荻野】「あたしみたいに『造られた』人間は結構いてね。闇の侵食で生まれた人間だから『闇人[ヤミビト]』って言うんだけどさ。
     闇人の役割は大きく分けて2つ。『管理者』の世界の管理の手伝いと、もう1つ…アンタ達みたいな『反逆者』を消すこと!!」
そう叫ぶと、ナイフを3本、3人に向かって投げつけた。
3人が反応するより早くナイフは3人へ向かい、3人が覚悟したその瞬間―――


目の前に、3匹のチャオがいて、バリアのようなもので3人を守っていた。

【二本松】「フレイナ!」
【五十嵐】「ジェリオ!」
【宮坂】「クレーヌ!」
そう、3人と契約した3匹である。

【ジェリオ】「ふーっ、危ねぇ。ギリギリセーフってとこか。」
【クレーヌ】「それにしても、魔女側もことごとく邪魔してくれるわねぇ。」
【フレイナ】「契約はギリギリ成立してますし、今もギリギリ間に合いましたし、何とかなるわよ。」

【荻野】「ちっ!『あっちの世界』のチャオか!」
荻野が軽く舌打ちをする。

【クレーヌ】「さてと、これからはアンタ達の番だよ!宮坂!」
【宮坂】「は、はい!?」
【クレーヌ】「アンタの能力は『障壁』。まぁつまりバリアね。念じれば出てくるわ。」
【宮坂】「ね、念じれば!?」
次の瞬間、荻野が更に1本ナイフを投げてきた。…が、次の瞬間、ナイフはカランと音を立て、床に転がった。宮坂が防いだのである。
【クレーヌ】「上出来じゃない!」
【宮坂】「これが…私の力…!」

【ジェリオ】「続いて五十嵐!てめぇだ!
       てめぇの能力は想像したものを創造する、つまり『想造』だ!」
【五十嵐】「ほほう?」
【ジェリオ】「漫画でもゲームでも構わん!トンデモ武器を『想造』しやがれ!
       …但し『想造』したものをどう扱うかはてめぇ次第だがな!」
確かに、いくら伝説の剣を『想造』したところで、使い手が素人ではどうにもならないのだ。現実世界は攻撃力では測れない。

【五十嵐】「なるほど…だったら銃の方が楽そうですね!」
そこで咄嗟に、何かいい銃はないかと考える。…そこで思いついたのが、目の前に落ちていたナイフが刺さって液晶が砕けたPSPだった。
【五十嵐】「…こいつだっ!」
…そう、ファンタシースターポータブル2。幸い(?)にもこのゲーム、銃の種類が多彩である。

次の瞬間、五十嵐の右手には拳銃サイズの銃が握られていた。
【二本松】「…って、ヤスミ2000H!?」
ヤスミノコフ2000H。たまたまさっきゲーム内で五十嵐が出した武器である。
【二本松】「どうせならレーザーとかグレネとか出しなさいよ!このゲームいっぱいあるじゃない!」
【五十嵐】「さすがにそういうのは扱いにくそうだと思ったんでね…!」

【荻野】「…そんなちゃっちい銃でナイフを止められるとでも!?」
荻野はそう言い、ナイフを数本投げる。…しかし、
【宮坂】「私の存在、忘れてませんよね…?」
宮坂の『障壁』で全て叩き落された。
【荻野】「しまっ…!
     まぁいっか、どっちにしろ素人が銃持ったって当たるハズがないしね!」
銃に対する場合の基本戦術、相手の懐に飛び込む。ましてや荻野は接近戦でも戦えるナイフ使いである。
一気に距離を詰めようとこちらへ向かってくる。
【五十嵐】「最初から生身の人間に当たるなんて思ってませんよっ!」
そこに五十嵐が数発、ダンダンダンと低い音を響かせながら撃ちこんだ。

…但し、五十嵐が狙ったのは荻野ではない。生徒会室にある本棚である。
【荻野】「!?まさか…っ!」
下の方を撃ち抜かれ、バランスを失った本棚は、荻野と3組のちょうど間の辺りへと倒れてきた。

ドォン、と本棚が倒れる音が響き、埃が舞う。視界が一気に悪くなり、互いが見えなくなった。

【フレイナ】「さぁ、決めますわよ!二本松さん、あなたの能力は『破壊』!
       触れた者を念じれば破壊することができるという分かりやすい能力です!」
【二本松】「それはありがたいわね!…行くわよ!!」

【荻野】「げふっ、げふっ…こんな手を…!?」
埃だらけだった荻野の視界に飛び込んできたのは、思いっきり飛び込んでくる二本松の姿であった。既に反応できる距離ではない。

【二本松】「いいわ、アンタ達がこれで世界を変えたつもりになってるなら…まずはそのふざけた幻想をブチ殺す!!」

ズドォン、と再び重い音が響くと同時に、ようやく生徒会室を覆っていた埃が晴れてきた。
3組のペアの前には荻野の姿はなく、ただ数本のナイフと壊れたPSP、そしてメガネが落ちていた。

【宮坂】「勝った…んだよね…?」
【五十嵐】「恐らくは…
      会長の決め台詞に聞き覚えがある気がするのはこの際いいとしておきましょう…!」

…それにしても、派手にドンドンとやってしまった3人。このままでは他の生徒や先生たちが駆けつけるのは時間の問題である。
【二本松】「…逃げるわよ!この学校にいる『闇人』だって荻野さん1人とは限らないわ!」
その合図と共に、全員生徒会室の窓から脱出。そのまま走り、校門から校舎の外へと向かっていった。


【宮坂】「…ふぅ、とりあえず学校の外まで来れば…」
【五十嵐】「それにしても、これで『世界の敵』ですよ…これからどうするんですか!?魔女の居場所だって分かりっこないですし。」
【二本松】「ゲームの勇者よろしく魔女を探して世界中を冒険なんてどうかしら!?」
【フレイナ】「魔女の居場所などについては、こちらでできる限り調査します。とりあえずは、『闇人』から逃げつつ戦うことになるでしょう。」
【五十嵐】「こりゃ本格的にゲームみたいになってきましたね…!」

そこに、1人の男が現れ、3組の前に立ち止まった。
【???】「…そう、これはゲームだ。そして、ゲームであると同時に、『現実』でもあるのさ。魔女はそういう世界を望んでいる。」
見ると、なかなかの美男子。
【二本松】「こいつ、『今年の1月』に突如デビューした人気モデルじゃん…まさかっ!」

…そう、2人目の『闇人』。
彼らの戦いは、まだ始まったばかりである。


≪おわり≫
引用なし
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ほっぷすたあ宛の感想等はこちらへどうぞ。
 ホップスター WEB  - 09/12/23(水) 0:05 -
  
どうも、ほっぷすたあです。
『Little Strange World』、如何だったでしょうか。

まずは本当にこんなんでごめんなさい。
オチが思いっきり丸投げだしPSpo2ネタ平気で使うしチャオはほとんど出てこないし!
ちなみにプロット段階からこんな感じだったよ!ちょっとは改良しろよ自分!

…さて。
このお話は、私のお話を読んでる人なら気付くと思いますが(そんな人がいるかどうかは別として!)、2006年に何回か掲載した『チャオ同好会シリーズ』と、去年の聖誕祭に掲載した『REMEMBER!!』の2つのお話がベースになっています。
主人公となる生徒会メンバー3人が所属しているのが、かつてチャオ同好会の舞台となった高校。
そして、天才プログラマー・黒川紀子が仕掛けた『闇の侵食』が、もし成功していたら、というIfの世界。

ここまで書けば分かると思いますが、劇中に登場する『魔女』とは黒川のことです。
そして、最初に登場した『あの文章』をパソコンに書き残した人間は誰か、というのも自ずから見えてくると思います。

さらに、私のお話を読んでる人なら、その2で登場する『彼女』の存在は…ごめん嘘ですこれ適当に書いてました(蹴)
#もちろん設定はちゃんとあるのですが、雰囲気を出すために敢えて語りませんでした。想像して楽しもう!


まぁ、うん。
最初に書いたように丸投げエンドだしネタ満載だしチャオ出番ないしで正直色々とアレですけど。
聖誕祭に1つのお話を形にして出した、ってだけでもよしとしておきます(自己満足)

それでは、こんなお話に感想・苦情・その他諸々ある方は、レスにてお待ちしています。

※ちなみにヤスミ2000Hなのは特に理由はありません。適当です。これほんと。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; ja; rv:1.9.1.6) Gecko/20091201 Firefo...@122x210x150x187.ap122.ftth.ucom.ne.jp>

追伸
 ホップスター WEB  - 09/12/23(水) 0:24 -
  
その1で思いっきり文字化けしてますねごめんなさい。
あそこは「2007年」です。文脈から判断できるとは思いますが一応。

ではでは今度こそごゆっくり。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; ja; rv:1.9.1.6) Gecko/20091201 Firefo...@122x210x150x187.ap122.ftth.ucom.ne.jp>

このふざけた感想をぶん投げます
 スマッシュ  - 09/12/23(水) 9:58 -
  
感想です。いえーい。ヒャッハー!

初っ端から来る時事(?)ネタにやられました。
夏がエンドレスしたり麻雀部だったり幻想をぶち殺したり全体的に撒かれているネタににやりとしました。
そういえば、地球人は気の扱いがうまいので3ヶ月ごとに嫁を変えないタイプの高レベル層は存在を悟られぬように気を隠していると噂で聞きました。
きっと議題にあがらないところでそういう人たちも暗躍している素敵な世界なんですね。チャオ同好会みたいな。(暗躍どころではないですが)

そして話のテーマにもなる魔女のセリフ。
素晴らしいのに売れない作品がある〜〜……といった一連のセリフには頷くばかり。
本来であれば『正当な手段』を提示していくような終わりなのでしょうけれど、問題が問題なのでその『正当な手段』は布教活動のような『正当だけど地味で本当に効果があるのかわからない手段』になりがちということを考えれば、問題提議して終わりという選択は正解だったと思います。

※ちなみにPSO大好きっ子なのでヤスミ2000Hの文字を見た途端アドレナリンが分泌されました。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; ja; rv:1.8.1.8pre) Gecko/20071012 lol...@p234.net059086050.tokai.or.jp>

とある掲示板の感想返信[レスポンス]
 ホップスター WEB  - 09/12/24(木) 18:19 -
  
…タイトルがかなり無理矢理なのはおいといて。

感想ありがとうございます。聖誕祭ネタのなかでは過去1、2を争うぐらい自信がないネタだったので感想がきて正直びっくりしてます。
ちなみに当初はもうちょっとネタ寄りにするつもりだったのですけど、私の無い頭ではこれが限界でした。

>問題提議して終わりという選択は正解だったと思います。

確かにこのまま続けるとどう転がしてもgdgdになりそうな予感はしてましたので、結果的にはこれで良かった…のかな?
いずれにせよ魔女から世界を取り戻すところまでは今の自分ではとても書けそうにないですが。

以上、PSpo2でヤスミが復活したと聞いて掘る気満々なもののレベルと腕が追いついてないほっぷすたあでした。
改めて感想ありがとう!
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; ja; rv:1.9.1.6) Gecko/20091201 Firefo...@122x210x150x187.ap122.ftth.ucom.ne.jp>

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