●週刊チャオ サークル掲示板
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☆★☆週刊チャオ第344号【隔週刊化中】☆★☆ チャピル 08/11/29(土) 0:00
☆★☆読みきり作品☆★☆ チャピル 08/11/29(土) 0:01
It's a sunny day 08/12/6(土) 14:44
It's a sunny day 後書き 08/12/6(土) 14:55
☆★☆新連載作品☆★☆ チャピル 08/11/29(土) 0:01
☆★☆現在連載中作品☆★☆ チャピル 08/11/29(土) 0:02
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 零話 ダーク 08/12/1(月) 0:03
表紙 Last Episode 第9話「全てはチャオのために」 チャピル 08/12/6(土) 21:25
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ チャピル 08/11/29(土) 0:02

☆★☆週刊チャオ第344号【隔週刊化中】☆★☆
 チャピル  - 08/11/29(土) 0:00 -
  
週刊チャオは只今、休刊前の隔週刊発行期間です。
休刊まであと3号です。(本号を含む)

隔週刊化中、どのようなペースで掲載を続けるかは自由です。
今まで通り毎週土曜に載せても構いませんし、1号に2週間分を載せる形でも可能です。
詳しくは【重要】週刊チャオの休刊計画についてをご覧ください。


〜あらすじ〜
週刊チャオの海賊版が海外で出回っていることから事件が発展。
内部班を追っていたチャピル達は敵に見つかり、編集部ビル屋上に捕らえられた。
しかし、実はそれはふうりんファンクラブによる誤報だったというのが、今回のお話。


「う、うーん」
大きく伸びをする。足で自分の居所を探る。
……どうやら、ベッドの上のようだ。
足をそろりと床に降ろしたものの、まだ少しくらくらする。バランス感覚を回復するために、ベッドの縁を手すり代わりにしながら、2、3歩、部屋の中央へと進んだ。
部屋の中は薄暗い。これは元々日差しを避けるために小さい窓なのと、さらにその窓にもカーテンがかかっているからである。

部屋の中央にたどり着いたふうりんの足は、床に横たわる奇妙な柔らかいものを見つけた。つんつんと足でつつく。
「わひゃあ」
変な声と共に飛び起きたのは、キョーバ君。勢い余って、ふうりんのポヨを掴む。
ふうりんはびっくりして、その場にしりもちをついてしまった。
「……キョーバ君?」

ふうりんはきょとんとした顔で、キョーバ君を見つめた。キョーバ君は目をこすりこすりしながら起き上がり、そして、辺りを不思議そうに見回す。
「ここって私たちが泊まってたホテルの部屋……ですよね?」
うなずくふうりん。
「どうして戻ってきたんでしょう?」
ふうりんは立ち上がって、またキョーバ君を見つめ直す。
「私は今、大変なことに気が付いてしまったのかもしれません」


ふうりんはキョーバ君に、早く荷物をまとめるように指示した。
「どうかしたんですか?」
キョーバ君が尋ねると、
「今すぐ帰りますよ! ステーションスクエアへ!」
ふうりんの焦ったような声が返ってくる。
「どうしてまた!?」
「事情は後で話します! 今は、一刻も早く編集部に戻らないと!」
言われるがままに、キョーバ君は自分の手荷物をまとめる。
折角なので、残っていた果物も、鞄の中に放り込む。

準備万端!

もともと荷物の少ないキョーバ君なのだった。


▼週刊チャオとは▼
チャオBBS内で、自分の考えたチャオに関する小説などを、みんなが書き込むツリーのことです。
週チャオに小説を載せるのには、何の資格も要りません。
また、小説以外にも、詩、俳句、歌など、文学作品なら何でもOKです。

なお作品への感想は上の「感想・伝言ツリー」へお願いします。

▼作者の方へのお願い▼
・読み切りか連載かによって投稿する場所が違います。適切なコーナーにレスをして書いてください。

・読者の人が見やすいよう、短文でいくつもレスを付けて続きを書いていかずに、なるべくひとつの発言の字数制限いっぱいまで追加しましょう。
・見やすくするために、2つ以上のレスを使うお話の場合、多段レスをせずに2つ目以降は全て1つ目にレスするようにし、一段になるようにしましょう。

× ├チャオのお話・1話  ソネック
    └チャオのお話・2話  ソネック
      └チャオのお話・3話  ソネック

○ ├チャオのお話・1話 ソネック
    ├チャオのお話・2話 ソネック
    └チャオのお話・3話 ソネック

●○発刊場所の臨時変更について○●
この度は、CHAO BBSがメンテナンスから復旧しない状況が長く続いているため、
ここ「週刊チャオ編集部 サークル掲示板」にて臨時の発刊を行うこととなりました。
CHAO BBSが復旧するまで、週刊チャオはこちらの掲示板に掲載されます。

基本的にはCHAO BBSの時と同様に週刊チャオを利用していただきたいのですが、実際のところ、いくつかの動作に違いがあります。
また、その他の詳細についても、ろっどさんが週刊チャオ331号発刊に関するお知らせにまとめられているので、詳しくはそちらをご覧下さい。

●○週刊チャオのQ&A○●

【私も週刊チャオに、小説を書きたいのですがいいですか?】
週刊チャオは誰でも、いつでも参加できるツリーです。
参加は自由なので書き込むのに許可や登録はいりません。
いい小説ができたら、ぜひ一度書いてみてください。

【週刊チャオのツリーはいつ立ちますか?】
基本的には毎週土曜日の0時、つまり金曜から土曜になった時です。
ただし、立てる人の都合等により遅れることも早まることもあるので、遅れたときはごめんなさい。

【小説を書きたいけど、次の発行日まで日にちがあり、まてません。】
週刊チャオは次の号が立つまでの一週間有効です。
月曜が来たらおしまい、ページが変わったらおしまいなんてことはありません。
もし小説が水曜日に完成したら、前の土曜に発行した週刊チャオを利用してみましょう。

【今日途中まで書いたけど疲れちゃった。まだ明日続きを書く予定なんだけど…】
そんな時はタイトルの中に「未完成」や「今週続きあり」などをいれておくのが読者
のみなさんのためにいいでしょう。あまり無理をせず自分のペースで書いていきましょう。

【書いた小説の著作権についてはどうなるの?】
基本的に各作者にありますが、週刊チャオ編集部に限って無断転載ができるものとします。


☆★☆ 週刊チャオの表紙 - Last Episode ☆★☆
      第8話 「守るべきもの」


ふうりんとキョーバ君は、ホテルのロビーへと走った。
けれども、2人はそこで、あまり出会いたくなかった人達に遭遇してしまった。
全身黒服の集団と目が合う。
ふうりんファンクラブ兼週刊チャオ同好会の面々が、たちすくむ2人を見て、驚いていた。
「ふうりんさん! どこに行ってんですか!」
「キョーバ君! ああ、生きててよかった……」
「だ、大丈夫ですか!?」
へなへなとへたり込むふう部の女性に、うろたえるキョーバ君。

「そういうふう部のみなさんも、どうかされたんですか?」
「もちろん!」
「ふうりんさんを探してた!」
「一体、どこに行ってたんですか、キョーバ君!?」
「それが、よくわからないんですよねぇ。気がついたらホテルの部屋に戻ってて……」

ふうりんが、辺りを見回して聞く。
「ところでリーダーは?」
その言葉に、ふう部メンバーは口々に反応した。
「そういえばまだ戻ってきてないね」
「まー、あんなやつほっとけーき」
「マジレスすると、仕事じゃね?」
「そーですよ。あの人以外にリッチなんですよ」
「医者ですからね」
「KATANAの好きな外科医です」
「それってかなり危ないんじゃ……」
「私たちは!!」
「誓って!!」
「リーダーのいる病院には行きません!!」
「たまにメス持ってにやにやしてます」
「それはさておき」
「これからどこかに行かれるんですか?」

ふう部メンバーの視線が、一斉にキョーバ君の方を向いた。
「わっ、私は知りませんよ」
ふう部メンバーの視線が、一斉にふうりんの方を向いた。
「私たちは、ステーションスクエアに帰ります! 今までお世話になりました! さようなら!」
ふう部メンバーの目の前が真っ暗になった。


かいろ君はテレビ局へと向かう。
そう、あの男と決着をつけるために。
たとえそれがいかに納得のいかない言葉であろうと、今のかいろ君が話せる相手は、彼しかいない。
それが、かいろ君の見つけた答えだった。

放送作家はかいろ君を見ると、まるで待っていたかのように、かいろ君をテレビ局内の空いたスペースへと案内した。

開口一番、かいろ君は言った。
「戻ってきたのは、支払いが用意できたからじゃないぞ! ボクにはどうしたらいいのか分からない! 分からないんだ!」
かいろ君の言葉に、放送作家の表情がくるりと変わる。
「だったらさっさと仕事見つけて働いて返せっつってんだろ」
そう、吐き捨てた。

「俺から言わせてもらえば、あれだけ一生懸命働いているオモチャオが、給料をもらわずただ働きなんて、どう考えてもおかしいんだよ。その殻を破るのには、お前が適任だ」
「ボクはお前の言う適任なんかには、絶対なってやらないからな!!!」
そう言ってから、かいろ君は少し考えるように、口をつぐむ。
不思議な沈黙が、2人の間を駆け抜ける。
また少し、言葉を続けた。
「資本主義は欠点の多いシステムだ!!」

いきなり妙なことを言われた放送作家は、その時初めて、かいろ君の目をまともに見つめ返した。
「なぜ?」
「利益を追求するよりも、もっとこう、みんなを幸せにするダイレクトな方法があるんだよ!! 例えばそう、無償で働くとかだよ! みんながちょっとずつ他人のためになることをやって、そしたら、すぐにみんながそろって幸せに一歩近づくじゃないか!!!!」

その言葉に、放送作家も少し考えてから答える。
「理想論ばかりを振りかざしてちゃいけねぇ」
放送作家は床を睨みつけた。
「かいろ君、お前の一番大事なことは何だ? 今のお前は好き勝手な未来ばっか見て、逆に自分の足元が疎かになってるんじゃないのか?」
「どういう意味だよ!!!!!」
「だからさ、そんなふうになればいいなと、俺は思わないっちゅう意味だ。みんなが同じような理想を抱いて、同じような目標を持つ世界なんて、馬鹿げてる。例えばテレビだってそう。どれだけ番組を作っても、視聴率100%なんて、出来ると思うか?」
そう言って、自分で首を横に振る。
「人によっていろんな趣味や、関心や、生き方があって、だから俺たちは、色々な番組を生み出せるんだ。カメラを向けるその人によって、こんなにも表情が違うんだ。……それはお前が一番良く分かっていると思ってた。残念で仕方がねぇよ」
放送作家の言葉には、よどみがない。

「目指すところは一緒でも、そこに行き着くまでの手段は違う!! お前が言いたいのは、人生の目標が一緒なら個性が一緒だということだあああああ!!! そんなことは、ありえない!!!!」
「ああ! だがそれが個性というものに於いて、一番大きな割合を占めているのも確かだ!」
いきり立つかいろ君を、放送作家が手で制す。
「かいろ君、お前の一番大事なことは何だ? 一番大事なことだけを追求しろ。それ以外は妥協しろ!」
「妥協なんて、出来るかよ!!!」
「いい加減にしろ! いいか、今が妥協のときだ。俺も出来る限りのことをする。だから、諦めろ」
「んなこと言われたってさ……」

かいろくんは次の言葉が出ない。
確かに、双方が妥協しなければ、放送作家との仲に決着をつけることはできないだろう。
けれど今、かいろ君がここで諦めてしまえば、今まで誇ってきた考え方、オモチャオとしてのプライドが、全て崩れ去ることを意味していた。有償労働へ手を出してしまえば、無償労働の価値が損なわれてしまうような気がした。それは、すなわち、かいろ君の今まで生きてきた価値を否定するのと同じだった。

しかし、放送作家は言った。
「お前にとって、それが一番やりたいことなんだろ。それを続けようと思ったら、ここでちょっと働いてみるしかないんだろ。余計なことに気を取られるな。それをやり遂げるためなら、絶対に」
かいろくんはしばらく悩んでから、放送作家に尋ねる。
「出来る限りのことをやってくれるんだよな?」
「あくまでも俺に出来る範囲でだがな」
真剣に答える、放送作家。
「協力してくれ!!!」
引用なし
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☆★☆読みきり作品☆★☆
 チャピル  - 08/11/29(土) 0:01 -
  
一回限りのお話、詩、短歌、歌などの投稿はこちらへどうぞ。
詳しくは、週刊チャオ表紙の「作者の方へのお願い」を、ご覧下さい。
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☆★☆新連載作品☆★☆
 チャピル  - 08/11/29(土) 0:01 -
  
新たに連載を開始される方はこちらへどうぞ。
詳しくは、週刊チャオ表紙の「作者の方へのお願い」を、ご覧下さい。
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☆★☆現在連載中作品☆★☆
 チャピル  - 08/11/29(土) 0:02 -
  
連載作品の2回目以降はこちらへどうぞ。
詳しくは、週刊チャオ表紙の「作者の方へのお願い」を、ご覧下さい。
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☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 チャピル  - 08/11/29(土) 0:02 -
  
これより下に小説を書かれた方は週刊チャオの表紙を一度よく読んでから
週チャオに参加してみてください。
引用なし
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 零話
 ダーク  - 08/12/1(月) 0:03 -
  
今、俺はこの空間にいる。
この空間には常に"全て"が在る。
"全て"が在る空間の真ん中に俺はいる。

俺がその"全て"を眺めていると、何処からか白い壁と黒い壁が現れた。
壁は俺の両側にあり、少しずつ迫ってくる。
壁は上にも下にも前にも後ろにも果てしない。
逃げ道はないのだ。
目を瞑っても、辺りをうろついても壁は迫り続けてくる。
いくら走り込んでも、何も変わらない。
迫ってくる壁を押し返しても、混乱と恐怖は激しくなり続ける。
俺はどうしようもない無力感を感じながら、
硬く白い壁と軟らかな黒い壁に押しつぶされた。

そして、俺は空を飛んだ。
引用なし
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It's a sunny day
   - 08/12/6(土) 14:44 -
  
多分、いつか自分は消えるだろう。
俺がこの世界から消える前に一つだけ伝えたいことがある。
それは俺の子供、君へ言いたいことなんだ。


チャオ。


俺はそういう生物で生まれてきたことを誇りに思うよ。
でも、飼い主はダークになった俺を良くは思ってくれなかった。
だから、ずっといじめられ続けたんだ。
寝ているときには飛ばされ、食べ物は取られ続けた。
どんなに嫌そうなぽよを出しても、それが逆におもしろがられ続けた。


君のお母さんは逆だった。
ずっと、天使で一番可愛いチャオとして可愛がられ続けた。
飼い主の愛をたくさん受けて、
日差しの眩しい庭の下、ずっと可愛く育ち続けたんだ。


俺は彼女に一生会うことはなかったはずだった。
でも、色々ガーデンの関係上、
俺と彼女は同じチャオガーデンに移されることになった。


最初は話さえもしなかった。血がつながっていないんだから。
昔差別の話があったろう?
あんなもんさ。彼女が白人だとしたら、俺は黒人みたいなもの。
人間はその違いを乗り越えようとしているけど、
俺らにとって、二つは全く違う世界にいるチャオなんだよ。
だから、昔の人間みたいに、その対立は深かった。良く覚えている。


でも、彼女はどこかでねじが一本はずれていたみたいだ。
失礼な言い方だよね。でも本当に俺はそう思ったんだ。
こんなにも薄汚れていた俺に、優しさを見せてくれたんだから。
薄汚れていた?
あぁ、薄汚れていたさ。飼い主の靴の痕が痛々しく残っていた。


「どうしたの?」彼女の俺に向けての第一声はそんな感じだった。
彼女は傷を知らなかった。
いや、むしろ、知るという手段がこれまでになかったようだ。
当たり前だろう?
これまで散々なくらい、良い生活をしてきたんだから。


彼女が気持ちよく寝ているとき、俺は蹴られ続け、眠れない。
彼女が小食ながら何かを食べているとき、俺は腹ぺこで倒れそうになった。
…最初から、俺は彼女が好きだったわけじゃない。
俺は、正直、嫌いだった。憎かった。何か傷を付けたかった。


でも、結局、憎くても、彼女は“その感情”さえも知らないから、
俺に近づいてきた。
バカみたいだ。本当に、バカみたいだと思った…けれど、
俺はそうやって近づいてくれるだけ、嬉しかったんだ。
なんだかんだ言っても、近づいて、俺を気にかける人がいることは何よりも幸せ。
俺はいつの間にか、彼女を好きになっていた。


「なんだこのチャオ!」飼い主はビックリしていたよ。
その当時、チャオはストレス解消用のチャオ、ダークと、
癒し専用のチャオ、ヒーローしかいなかった。
なのに、そこにはいつの間にか、ハイハイをして、
いつかの、あの彼女にゆっくり近づく、


そう、青い、チャオがいたんだ。


…君のことだよ。


俺は君には近づけなかった。
もしも俺と彼女の子供だってばれたら、君かってただじゃすまないだろう?
だから、君にはもう、この手紙でしか会うことは出来ないだろう。
でも、それで良いんだ。
俺の顔を見なくとも、その端正な顔は、お母さん似だよ。
だから、君はお父さんなんか気にせず、生きていけば良いんだよ。


あぁ、そして、もう一つ、言いたいことがある。
この手紙を読むときには、僕はもうこの世界にはいないことだ。
君がどんなに僕に会おうと探しても、僕はこの世界にはいない。


人間の身勝手さ。
飼い主を愛しく思うチャオは転生できる。
飼い主を憎い俺は、消えて、死ぬんだ。
だから、もう君と会うことは出来ないだろう。もう二度と。会えないんだ。


多分、お母さんは泣くことだろう。
これまで受けたことのない、心の傷を、初めて体験するだろう。
…君がお母さんを、助けるんだ。
幸い、君は黒くない。
青い、空のような、綺麗なチャオだ。
だから君は、お母さんの傍にいて、彼女を助けてあげるんだ。


たまには憎く思うだろう。
お母さんのことを狂ってるなんて思うかもしれない。
でも、君はそのお母さんから生まれてきたんだよ。
どんなに、誰かを好きになるときも、誰かを憎くなるときも、
君のお母さんは、君をいつも見てくれるのは、君のお母さんだけなんだ。
だから、助けていくんだ。
俺ができなかった、愛情を、彼女に与えてあげるんだよ。


もう一度言う。
君はお父さんを気にしなくて良い。
その青い身体で、誰にも真似できないような身体で、
たった1人の、真似できない一生を送っていくんだ。
君に似た、その青い身体に似た、青い空の下で、生きていけば良いんだよ。


…人間は良い奴だよ。
いじめられていた俺がそんなこというのもおかしいかもしれないけど、
君にたくさんの夢をその綺麗な瞳の前にちらつかせてくれる。
彼らのポケットには、夢がつまっていて、いつもそれをしまって微笑む。
誰もが、この世界で、悪者になるために生まれたわけじゃない。
誰もがどこかで、君を助けてくれる。
だから、恨まないで、君はいろんな人と出会って、愛して、好きになって、
この世界を生きていけば良いんだよ。
俺の恨みなんて言う、そんな古い荷物は置き捨てて、進んでいけばいいんだよ。


俺は今何も待っていない、死の世界に行くけれど、
ありがとう、君のお母さんを好きになって、
君という宝物をこの世界に残せたことが、
俺の、何よりの幸せだったんだ。


ありがとう。


この青い空の下で、いつかまた、逢いましょう。


I wrote it in a day ―It's a sunny day...


今日は晴れ 太陽に近づいていく僕は
何を考える? 
明日にでも帰ることができたら
今度こそは 離れないよ 約束してあげる

明日も晴れ 明後日も晴れ きっと晴れ
僕が帰ってくる日にも 晴れていたらいいね

麦わら帽子 かすかに見える笑顔で
あなたは小さな石を海に投げて
風が吹いて 髪が揺れて 僕は立っている


fin
引用なし
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It's a sunny day 後書き
   - 08/12/6(土) 14:55 -
  
「チャオと遺書」でマジメな死ぬ原因が書かれて、
ツッコミ役のチャオがたじろぐという話がありましたが、
じゃあ、その遺書をもっと長くしようと考えました。
それが今回の読み切りというわけで。


人種差別、イジメ、他人と生きていくことの大切さ、まだ見えない未来、
いろんな事に言及しつつの遺書でした。
そうして、この話は「初めてニュートラルが生まれた時」と言うことも、
頭の中で考えていましたが、
あまりそのことに関しては言いませんでした。


チャオって改めて小説にしやすいなぁと思ったりします。ボウでした。 
引用なし
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表紙 Last Episode 第9話「全てはチャオのために」
 チャピル E-MAIL  - 08/12/6(土) 21:25 -
  
某国からステーションスクエアへと飛ぶ飛行機の中。
ふうりんはキョーバ君に、小声で話しかけた。

「おかしいと思いましたよね。私たちは倉庫にいたはずなのに、いつの間にか気を失って、ホテルの部屋に戻されているなんて」
「ええ……まあ……」
キョーバ君は口をモゴモゴさせながら答えた。なぜ口をモゴモゴさせているかというと、ホテルから失敬してきたバナナを食べながら喋っているからである。

ふうりんはそんなキョーバ君には構わず続ける。
「このことから、犯人の人物像が明らかになります。一つは、倉庫の中を詳しく調べられるとまずいということ。もう一つは、それと同時に、私やキョーバ君を無下に扱うことが出来ないということ。その証拠に、私たちは何も盗られていませんし、体に傷を負ったわけでもない」
「でもその条件を満たす人なんて、たくさんいるんじゃないですか?」
うなずくふうりん。
「そうです。でも実はそれに加えてもう一つ、条件が潜んでいるんです。
 私たちを某国へ最も行かせたがっていた人物が誰だったか、覚えていませんか?」


☆★☆ 週刊チャオの表紙 - Last Episode ☆★☆
    第9話 「全てはチャオのために」


チャピル達は立ち上がった。ふうりんを助けるために。
日没を合図にして、ふうりん救出部隊は行動を開始する。
屋上には何かがあるはず。
そこで待ち構えていたのは、セティだった!!
「セティさん?……どうかされたんですか?」
「もう分かっているんでしょ? 私たちの計画を」
「私たち?」
「そう、私たち。私とDXエアーの手による、週チャオの海外進出を賭けた計画を!!」


〜あらすじ〜
週チャオの海賊版が発見された。その取り締まりのため、ふうりんとキョーバ君とは某国で、チャピルとけいりんは編集部の内部からそれぞ調査を進めていた矢先の出来事。
ふうりんが消息を絶った。その知らせを聞いたチャピル達は、直ちに、先日突き止めた敵の本陣に攻め入ることを決意する。


【DXエアー】「飛んで火に入る夏の虫とは、まさにこのこと!!」
どこからともなく声が聞こえた。
【シグマ】「お前は!! DXエアーか!!」
【DXエアー】「いかにも」
DXエアーは不敵にも、シグマの言葉を嘲笑う。
【チャピル】「ねーねー」
【けいりん】「なんですか」
【チャピル】「今季節的に冬なんですけど、夏の虫の例えを使うのって、どうなんでしょ?」
【けいりん】「べつにいいんじゃねー」
【チャピル】「そっすかー」

セティの表情が歪む。いや、彼女はしかし、笑っているのだ。
「ふふふ・・・こんな場面でも表紙コントを続けるなんて、ご苦労なことね。でももう、その必要はないわね? DXエアー」
「了解している」

チャピルのほほを、風が撫でた気がした。DXエアーの姿はどこにも見当たらない。
代わりに、甲高い笑い声が、どこからともなく聞こえてくる。
「我こそはDXエアー! 無意識と一体化し、この空間を制す、認識の支配者!!」
「くそっ、見えない空気だなんて、どうしたらいいんだ!」
ただっぴろい屋上には、自分たち以外の姿は見えない。

「下がってろ!!」
シグマが刀を抜く。そして剣先を正面に向けたまま、目を閉じる。
「空気が動かすのは、臭いだけじゃねえ」
彼は今、風を感じている。DXエアーが動けば、彼の触覚、聴覚は、必ずかすかな風の動きを受ける。しいては、DXエアーの居場所を掴むことも不可能ではない!
「そこだぁっ!!」
シグマは刀を力の限り、真横に振り切った。
宙を掻く刀。
思いっきり、からぶった。
「あ、あぁっ?」
シグマがぽかーんとしている間に、どこからかやってきた縄が、彼を縛り上げる。
「な、なにやってるんですかー!!」
「にゃあ(こっちもたすけてくれけんろー)」
気がつけば、チャピルを含めた全員が、DXエアーの縄によって縛り付けられていた。


セティはDXエアーに、チャピル達を屋上の端に、結わえてしまうように指示した。
こうなるとチャピル達は、もはや身動きを取ることも出来ない。
「ちょっとー、なにやってるんですかー」
「武闘派のくせに何の役にも立たないんですねー」
「にゃあ(やられキャラとは、つまりこういうこと)」
(……俺のせいかよ)


セティとDXエアーの2人は、救出特殊部隊を放置したままどこかへ行ってしまっていた。
いや、DXエアーについては、本当はいるのかもしれなかった。何しろ姿が見えないので、よくわからないのだ。
チャピルは試しに呼んでみることにした。
【チャピル】「おーい、DXエアーサーン」
……返事がない。
DX(猫)は試しに呼んでみることにした。
【DX】「にゃあ(おーい、イケメンで最近ファンクラブも出来たという噂のDXエアーサーン)」
【DXエアー】「なんすか」
割とすぐに返事があった。

【チャピル】「あのですねー、どうしてこんなことをするんです? 早く解放してくださいよ」
【DXエアー】「それはできませんね」
【けいりん】「あのですねー、どうしてこんなことをするんです? 早く解放してくださいよ」
【DXエアー】「我々としては某国での週刊チャオの販売を続けたいですからね」
チャピルは返事の質の違いにイラッとする。
【チャピル】「あの価格では、そんなに利益はでないでしょ?」
【DXエアー】「あの価格で出すから、意味があるんですよ」

【チャピル】「そうか……そうだったのか……」
思わせぶりに深くうなずき始めるチャピル。
【チャピル】「……ニセ週刊チャオと見せかけて、実はこれは、週チャオを宣伝媒体として利用することこそが本来の目的! つまり、冬きゅんとDXエアーとがチャオドルユニットとしてデビューするために仕掛けられた、巧妙な事前広告なのですよ!!」
【けいりん】「そうだったのかー」
【DX】「にゃあ(巧妙すぎて気がつかなかったぜ)」
【DXエアー】「違いますよ!! そんな古い話はもう忘れてください!!」
DXエアーが吠える。

そして彼は、真相を語り始めた。

【DXエアー】「某国は砂漠の中に位置する国。これは良く知られているところですが、ここステーションスクエアに暮らしていると、あの国にはチャオが全くいないという事実を、つい忘れてしまいがちになります。あの極端に乾燥した土地柄では、たとえオアシスに隣接した都市と言えど、水の生命“チャオ”が生きていくには不適当です」
【チャピル】「ではなぜ、ふうりんを……」
【DXエアー】「こんな機会でなければ、編集部が部員を出張させることなんてありませんからね。チャオが暮らせないところだから、チャオを見たこともない人達だからこそ、チャオについてもっともっと情報を伝えていかなければいけない。そう思いませんか?」

DXエアーの言葉に、その場にいた全員が、口をつぐんだ。

【チャピル】「なるほどね……」
【けいりん】「金輪際、ニセ週刊チャオを止めろなんて言いませんから、ここから離してください」
【DXエアー】「できませんね」
【チャピル】「どうして?」
【DXエアー】「だっていま解放したら、チャオドルユニットのこと話されるかもしれないじゃないですか」
【チャピル】「……」
引用なし
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