|
清潔な部屋、白いベッド、純白のカーテン。
そして清楚なナース達。
まさにここはこの世の天国 そして君達は天使達!
と心の中でそう何度も叫びながら夢のような時間を堪能する男がいた。
入院患者とは思えない いかついサングラスをかけて。
お見舞いの果物籠からリンゴを一つ 皮も剥かずに丸かじりをして。
・・・あまりの好き放題ぶりに呆れてモノを言えない男が一人。
その様子をしっかりと伺っていた。
「・・・レイヴァン。」
「よう、大将!入院も捨てたものじゃあねぇな、天国さながらだな。」
「それは何よりだな。」
「だろ? ったくユウヤの大将もやせ我慢せずに入院しな?楽だし」
「お前みたいな患者は迷惑だろうな。」
「そう言うけどよ・・・いつ死ぬか分からん奴より俺みたいな奴はほっとけば治るんだぞ? 診る方も気が楽だろ?」
「俺は疲れる。」
「まぁ細かい事はおいておいて。」
いつもならここで奴は煙草を一服するのだが、生憎そんなものはこの場所とは無縁。
指や口が寂しいのを堪えつつ、ベットで臥せながらも話を始めた。
「今こうして余裕があるから・・・もう一度順をおって話すぞ?」
「よろしく頼む。」
軽く咳払いをするとその無精ひげの生えた顎をしきりに動かし始める。
「CHAOというのがつい最近存在が噂されだした新種の生き物 っつっても前々からUMAとしてイルのかイネェのかよく雑誌や番組で取り上げられ続けてたわけだ」
「あぁ、生い立ちは南アメリカの密林地帯・・・・親はなく二匹だけ捕獲した・・だろ。」
「そっ!まぁ『手付かずの自然あるところに新種あり』ってな。新種の生き物として動物園を賑やかせる程度のはず だったんだな。」
「アメリカより全世界の飼い犬や飼い猫の方がよっぽど震えているだろうな。」
「ペットの代名詞 犬、猫にプラスCHAO・・・まぁ元祖を差し置いて人気は爆発しそうだわな。」
「本当にあれが軍事大国アメリカに対して致命傷を負わせられるのか?とてもじゃないが・・・今でも信じられない。」
とユウヤの感想を聞き終えたレイヴァンは徐にスイッチを押した。
それから間もなくしてナースがやってきて
「どうかしましたか?」
と尋ねてくる。
その問いに対して
「すんません 間違えただけ!」
と返しナースをすぐに退場させる。居なくなった事を確認してまた話は続行する。
「今の人・・・めっちゃ綺麗で優しいけど・・・実際プライベートでは何しているかわからねぇ、男たっくさん泣かす罪な女かもしれん。CHAOもおんなじ」
「・・・」
「確かにCHAOは見た目はマスコットキャラみたいに可愛らしい けども! 本当に凄いのはその特性!他に類を見ない特性を見つけたと俺が言ったら?」
「・・・・それは?」
「まぁ待ってみ!」
と一度流れを止めさせた。ユウヤも止めた原因がわかった。
あえて場を締めるためにレイヴァンはじれったくこう言った。
「役者さん、来たらしいぜ?」
|
|
|