●週刊チャオ サークル掲示板
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PURE. 冬木野 10/10/16(土) 1:03
無垢を強いられた子 冬木野 10/10/16(土) 1:05
1 染まらない命 冬木野 10/10/16(土) 1:11
2 人柱 冬木野 10/10/22(金) 22:27
3 Chaos Regeneration 冬木野 10/10/23(土) 22:28
4 混沌因子と、無限の生命と、僕達の未来と 冬木野 10/10/25(月) 3:45
机上の空論(一部) 著者不明 10/10/25(月) 4:20
報告書が上がりましたので、確認をお願いします 冬木野 10/10/25(月) 4:55

PURE.
 冬木野  - 10/10/16(土) 1:03 -
  
 この物語は、第一期週刊チャオ初期に使用された設定「チャオマイク」を原案として作られた、空想医学の出現する短編小説です。
 その為、実在する症状には間違いがある可能性があり、チャオ特有の症状もゲーム中に出現しないフィクションである事をご理解の上でお読みください。
引用なし
パスワード
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無垢を強いられた子
 冬木野  - 10/10/16(土) 1:05 -
  
 病室は未だに慣れない。
 昼夜問わず白い光景はある意味目が悪く、目に優しい色にすればいいのにと考えた事がある。
 ただ、実際にそれを実行すると徹底した緑のレイアウトな部屋になって逆に気持ち悪くなりそうだったので、結局はこの白い部屋がベストという事になる。
 つまりは、どう転んでも僕は病室が好きになれないと言う事だ。
 看護師としては、なかなか致命的だと思う。
 だが、患者の命に関わる仕事をしている身としてそんな愚痴を漏らすつもりはない。
 僕は今日も今日とて、患者の身の周りの世話をせっせとこなさなければならないのだから。


『看護師さん』


 ふいに、食器の片付けをしていた僕の耳元から声がした。
 この声が不意打ちのように響く度に、僕はピクリと体を震わせる。
 はっきり言って、心臓に悪い。

「なんだい?」

 なるたけ手際良く片付けを済ませながら、話し相手の顔も見ずに言葉を投げかける。
 僕の言葉は、一体どのように変換されて伝わっているんだろう。よく気になったりする事はあったので、一度聞いてみたらどれもあんまり変わらないように思えた。
 人とチャオとでは、ニュアンスの感じ取り方が違うのかな。

『寂しい』

 ――また、この言葉だ。
 僕はまとめ終わった食器をワゴンに置いて、その子の顔を見た。
 無垢なコドモチャオの顔が、僕の顔をじっと見つめている。
 今の僕は、どんな表情をしているんだろう。この子を怖がらせるような顔でもしているのかもしれない。僕に優しい表情を作るなんて芸当はできないから。
 だから、この子が寂しいと言う度に僕は背筋に冷たいものが走る。やってしまったかなと思って顔を窺っても、僕にはその内情を読み取る事ができない。

 僕は、その子の頭を撫でた。

「寂しくないよ」

 慣れない笑顔を無理に作って、ちぐはぐな表情を見せる。

「僕がついてる」


 その日僕は、黙ってこの子を連れだした。
引用なし
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1 染まらない命
 冬木野  - 10/10/16(土) 1:11 -
  
 一ヶ月くらい前の事だろうか。
 ある日、お医者チャオさんから僕にお呼びが掛かった。


 僕の看護師歴は、それほど長くはない。
 国家試験を危なげに合格した僕は、とある大病院で新米看護師として働いていた。
 一応、僕の看護師としての知識は標準よりも高いものがあるのだが、それでも国家試験の合格ラインを超える事を危うくさせたものがある。
 それはチャオに関する問題だ。
 チャオとの共存が始まって以来、今でも生態が解明されきっていない。故に、予習段階で僕の頭の中はごちゃごちゃだ。
 チャオでありながら人間・チャオ両面の医学に精通している、あのチャオ幼稚園で長く働き続けたお医者チャオさん(本名不明)でさえ、自分達チャオの生態を把握し切っていないのだという。
 チャオの生態解明は、現代医学の一つの壁だ。
 人間と違って皮膚という物がそもそも性質が違う為に、開腹なんて出来っこない。一定の損傷は瞬く間に回復するが、それ以上の損傷は即、死に繋がる。即ち、チャオに外科という項目は存在しない。
 代わりに、内科項目に関しては人間の倍以上の複雑さを秘める。レントゲンや内視鏡での手探りで作られたちぐはぐな標本。人間の体内と時には類似し、時には大きく様相の違う臓器配置などなど。
 人間とチャオにとっての危険分子の違い、キャプチャー時の変化、個人差――その不確定要素は、チャオの生態解明を遠い未来の物とさせる。
 そのせいか、現代の優秀な医師と言う奴は、チャオについての医学知識が豊富な人を示す事が多くなってきた。
 つまり僕は、医療従事者としては未熟。もっと言うと、古い時代の看護師という事だ。


 そんな僕がお医者チャオさんに呼ばれたというのだから、きっと良い知らせではないのだろうな。
 憂鬱な気持ちを心の中にしまっておいて、翌日の朝に出発した。


 ――――


 水の都ソレアナ……の、途中に位置する街。
 主要都市ステーションスクエアとの間にある街なので、観光地であるソレアナへ行くついでに寄っていく人達が多い為になかなか活気のある街だ。
 お医者チャオさんは医療機関からの依頼を受け、この街の病院に入院している重病患者へ会いに来ているのだという。そこで僕にお呼びがかかったという事は、恐らくその件で僕を助手として呼んだのかもしれない。
 一応、僕はお医者チャオさんと面識がある。僕がチャオ医学の勉強で頭を悩みに悩ませまくったので、特別講師としてお医者チャオさんの講義を受けたのだ。ちなみにその成果のほどは知っての通りである。

「まあ、あまり期待はしないでおくかな……」

 お医者チャオさんの引き受けた重病患者というのは、きっとチャオの患者さんの事なのだろう。
 もしそうだとするなら、僕が役に立てる事はそうそう無いに相違無い……。
 ……というわけであるからして、僕はもう観光気分でこの街に訪れていた。
 かといって、別にこの街に名物の類があるわけではない。ステーションスクエアに比較的近いが為に多くの店舗等が配置されているくらいなもので、例えるなら日本のトーキョーに近い都市のようになっているだけだ。特に目を引くものもないし、賑やかな人だかりが多いだけとも言える。
 そんな多くの人ごみをかき分け、僕は目的地へと急いだ。


 辿り着いた病院というのは、僕の想像に反してなかなか大きな施設だった。
 特にこの街に優秀な医師がいるという話も聞いた事がない故に、僕は心底驚いた。
「お医者チャオさんから連絡を受けた方ですか?」
 その大病院へ足を踏み入れると、一人の女性看護師さんが話しかけてきた。長い金髪を束ねた若い容姿で、その顔はとても凛々しい。仕事熱心で優秀な看護師さんという印象だ。
「話は伺っております。1010号室でお待ちですので、私が案内します」
「あ、はい。ありがとうございます」
 お互いに社交辞令のような会釈を交わして、一緒に目的の場所まで移動する事に。
 エントランスだけで見ても結構な数の人がいて、利用者が確かに多いのがわかる。
「観光中のトラブルだとかが多いものですから、この病院に収容される患者さんは多いんですよ」
「はあ、なるほど」
 それならこれほどの規模の病院である事も頷ける。見れば何人かの人が荷物として旅行バッグなどを携えている。
 一緒にエレベーターに乗り込み、看護師さんが十階のボタンを押した。
「ところで、患者さんはどんな状態なんですか?」
「私も詳しくは知らないんですが……なんでも、先天性の疾患みたいです」
 先天性、つまり生まれ付きの疾患は大抵ロクなもんじゃない。
 例を上げるならば、 先天性白皮症だ。通称アルビノと呼ばれ、メラニンの生合性に支障をきたしてしまう。その結果、肌や髪が白くなり、光や紫外線に弱くなるというもの。その為、アルビノの人達は例え曇りの日でもサングラスをかけたり、肌を焼かれないように日光対策を徹底したりと、なかなか苦労するらしい。視力にも影響を及ぼす為、オペラグラスを標準装備したりもする。
 僕の親戚にもアルビノの人がいて、普通の人とは違う生活を送るその人の姿を、僕は長い間見ていた。僕が看護師になった理由は、そんな人の事を少しでも助けてやりたいからと思ったからだったと思う。

 エレベーターが十階へと着いた。
 小柄な看護師さんの歩調に合わせて、僕は病棟の奥へと進む。
 突き当たりの窓の外には曇り空が映っている。僕は空と気が合うみたいだ。どうも、気が進まない。
 そんな中途半端な窓の光景を眺めながら歩いていたら、気付かぬ内に1010号室の前まで来ていた。こんな奥まった場所で入院してるなんて、まるで隔離されてるみたいだ。患者さんも良い気分ではないだろう。
「先生、来ましたよ」
 コンコンとノックし、看護師さんが病室のドアを開いた。
 大した特徴もない、普通の病室だ。看護師さんに続いて僕も足を踏み入れ、部屋の中へと視線を映す。
 やっぱり、普通の病室だった。
 
「やあ、久しぶりですね」

 貫禄の怪しい笑顔が、僕に向かって微笑んだ。
「どうも。試験勉強以来ですかね」
「そうですね。あれから特に変わりはないようですね。君の普段着姿からして、まるでただの観光客のようですな」
 言われて自分の身形を見てみると、確かに身も心も観光客だった。
「そうですね。もし先生からお呼びがかからなかったら、僕はこのままソレアナへ行っていたかもしれません」
「いいですねぇ、ソレアナ。私もこの仕事を投げ出して観光に行きたいですよ」
 ははは、と暢気に笑うお医者チャオさんの様子を見て、僕達は少し慌てた。
「先生、患者さんの前でそんな事を言わないでください」
 僕はその言葉を聞いて、例の重病患者の事を思い出した。お医者チャオさんの後ろのベッドに横たわる患者の姿を見てみる。
 見かけは、普通のコドモチャオだった。特に息苦しそうだったりとか謎の外傷を負っていたりもせず、気持ち良さそうに眠っている。
「大丈夫です、例え起きてたって聞いちゃいませんよ」
 お医者チャオさんの意味深な言葉に、僕達は顔をしかめる。
「どういう事ですか?」
「そうですねぇ、チャオ医学の素人も来ている事ですし、順を追って説明しますか」
 その素人という奴が僕であるという事は、その場の全員が理解していた。看護師さんの綺麗な顔が僕を軽く睨むもんだから、どんな顔をしたものやら。


「さて、チャオが人よりも早く人語を話せたり、用意に歩行ができるのは何故だかわかりますか?」
 かなり初歩的な問題が投げかけられた。僕は問題無く答える。
「キャプチャー能力?」
 後ろに疑問符が付いたのは、僕の自信の表れだ。
「正解です。チャオのキャプチャー能力は身体能力向上のみに及ばず、知識面にも影響を与えます。これは初期の頃から明らかにされていた事ですね」
 なんだか補習を受けているような気分になってきた。女性看護師さんは空いている椅子に腰を降ろして、僕達の顔を交互に見比べている。どうも僕の事をじーっと睨んでみるような気がして、どうも落ち着かない。
「チャオの寿命は基本的に人間よりも短いですが、このキャプチャー能力と転生のおかげで人間と同じ社会で共存できるようになりました。良い事ですね」
「はぁ……それで?」
「はい?」
「それが何か、関係があるんですか?」
「はて。ここまで言ってわからないんですか?」
 救済を求めるように看護師さんの方を向くと、一人わかったかのようにコドモチャオへと目を向けていた。
「わかりません」
「へっへっへっ……こりゃいかんですな〜」
 バカにされた。なかなかへこむ。
「そこのお嬢さんは、おわかりですよね?」
「ええ……わかりましたけど」
 その不安が浮かんだ表情を見ても、僕はやはりアテが思い付かない。
「本当なんですか?」
「ええ、残念ながら本当です。……そうですね、ヒントをあげましょうか」
 必死こいて考えている僕に救済を与えたのは、お医者チャオさんだった。
「発症率は、ウェルマー症候群と同じレベルです」
「えぇっ!?」
 それを聞いた僕は、驚きの声が隠せなかった。
 ウェルマー症候群は一万分の一の確率で発症する疾患だ。それも特別にヤバい。
 これまでに世界各地で症例報告されたのはたったの1200件。その内の八割が日本人と言われており、僕らには基本的に馴染みのない疾患だ。だからウェルマー症候群と診断できぬまま死んだ患者もいるという話を聞いた事がある。
 その症例報告の少なさ通り、非常に稀に起きる遺伝性の疾患だ。副甲状腺や下垂体を主に多くの腫瘍が発生し、ホルモンを通常より多く分泌させてしまい、身体に様々な悪影響を与える。最悪、その腫瘍ががん化してしまうケースもあり、患者はせいぜい40歳から50歳の内に死んでしまう。いわゆる早老症の一種だ。
 それと同じレベルの重病である、チャオの病気。
 関連するのは、一万分の一の発症率と、キャプチャー能力、先天性疾患、早老症。
 そして僕の頭の中に、最悪の診断候補が現れた。

「……キャプチャー欠乏症」


 キャプチャー欠乏症。
 チャオ特有の早老症の一種。症例報告は数百件程度であり、原因特定もできてはいない。
 その名の通り、チャオの特性たるキャプチャー能力が先天的に備わっていない事。
 これの悪影響は、致命的なほどに多い。人語も話せず、身体能力も人間の赤ちゃん程度のものから一向に成長しない。
 それだけではなく、キャプチャー能力を備えていないチャオには、あらゆるものに対する抗体が備わっておらず、空気すらも体力を蝕む。食事も味がないというレベルのものを食べさせなければ慣れを知らない患者の舌には毒でしかない。そしてその栄養供給も、キャプチャー能力を持たないチャオには無意味ではないか、という説もある。
 勿論……というにはあまりにも残酷だが、治療法は見つかっていない。検査を受けるほどの体力も持たないチャオの体から手がかりを探る事はできないからだ。検視しようにも、チャオは死体を残さない。

 打つ手の無い、不治の病。
 このチャオの寿命は――。


「……何週間、生きられるでしょうかね」


 変わらぬお医者チャオさんの表情すら、死神の笑顔に見えた。
引用なし
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2 人柱
 冬木野  - 10/10/22(金) 22:27 -
  
「君には特別に、私のお手伝いとこの子の看護をお願いしたいんですよ」

 僕が呼び出された理由は、たったそれだけの事だった。
 お医者チャオさんの意図まではわからなかったが、特に断る理由も見当たらなかったし引き受ける事にした。
 今回の件に関しては病院側も特に問題なく受け入れてくれたし、この病院のことについても例の看護師さんがいろいろ教えてくれたから不自由はなかった。
 だが、コドモチャオの看護は人一倍気を使った。
 ただの赤ちゃんを世話をするのとは訳が違う。割れ物を扱うかのような日々に、こっちの体力すらもすり減っていく気がする。
 常に異常みたいな状態だから、対応にも困る。いつ壁のボタンに手を伸ばしたものかと頭を悩ませまくったし、話をしようにもお互いに言葉は通じない。
 たまにポヨがコドモチャオの感情を教えてくれるが、大抵が渦巻き状に変化するだけだ。最初は何か異常かと思ってみたが、結局はいつも通りであることを確認して溜息を吐く。そんな事を繰り返すから、変化なくベッドに横たわるコドモチャオの姿を視界に入れなくなってきた。
 勿論、看護師としては非常によろしくない傾向にある。たまに病院側から頼まれて別の患者の世話をしに行ったり、診療補助の為にと医師に協力を求められたりするのだが、その時に同じような態度を取らないように無駄に必死になってしまうのだ。

「せめて、言葉でも話せたらなぁ……」

 そんな事を、コドモチャオの前で堂々を愚痴るようにもなってきた一週間目。
 僕がそんなことを言った途端、コドモチャオのポヨが渦巻き状に変化したので酷く驚いた。
 まさか、僕の言葉を理解したのか? と思ってコドモチャオをじろじろと見てみたが、やっぱりいつも通りだ。全く驚かせてくれる。

「こんな事もあろうかと」
「げげんちょ!」

 これまたタイミング良く病室のドアが開かれたもんだから、酷くマヌケな驚き方をしてしまった。

「おやおや、君はなかなか個性的な反応をしますね」
「せ、先生ですか。入るんだったらノックぐらいしてくださいよ。というか、聞いてたんですか?」
「ん? 何のことですか?」
 素でボケながら入ってくんじゃねーよまぎらわしーなテメー。
「まぁまぁ、聞いてください。今日は良い物を持ってきました」
「良い物?」
「ずばり、これです」
 そう言ってお医者チャオさんがどこからともなく取り出したのは、何の変哲もなさそうな二つのヘッドセットだった。
「……先生、それ不良品です。コードついてませんよ」
「おや、あなたは有線派ですか? 家の中は汚そうですね」
 そんなこと診断すんじゃねーよ。つーか無線のヘッドセットなんてあったっけなぁ。
「まぁ、君のお家の事はどうでもいいです。そんなことよりもこの不良品です」
「不良品なんですか……」
「ん? 間違ったかな?」
 どこまでボケ倒すつもりだこの人。
「これはですね、チャオマイクというものです」
「チャオマイク?」
 何かの玩具だろうか。聞いた事のない商品名に僕は首を傾げた。
「その名の通り、これはチャオの言葉を翻訳する為のマイクなんですよ」
「翻訳機? そんなの作られてたんですか?」
「ええ、作られてましたね。ただ私や幼稚園の校長先生を始め、多くのチャオがいとも簡単に人語を話してしまうものだから、生産はすぐに打ち切りになってしまったそうです。せっかくの苦労が台無しですね」
 朗らかに笑うお医者チャオさんだが、その苦労を台無しにしたのはあなたがたが筆頭ではないか。
「試しに業者に問い合わせてみたら、どうやら在庫は処分されてなかったみたいで。快く譲ってもらいましたよ。これさえあれば、そこの患者さんともお話ができるはずです」
「本当ですか?」
「ええ、恐らくは」
 意味有り気に恐らくと付けたお医者チャオさんの言葉は、なんだか歯切れが悪かった。
「確証がないんですよね。チャオマイクの性能に難があるという意味ではなく、そもそもこの患者に意志疎通、つまり「言葉を交わす」なんて事をするのかという点で不安が残りますからね」
「んー……多分、大丈夫だと思いますけど」
「ほほぉ。その心は?」
 自信満々に聞いてくるもんだから、自信満々に話せない。
「えーっと……ほら、ポヨって感情表現の為にあるじゃないですか。これがちょくちょく変化するのを見てきてるので、多分話すことはできるかと」
「そうなんですか? 私がこの患者のお世話をしていた時はそんな状態は見た事ありませんでしたがね」
「え?」
 飛び出た僕の疑問の声に、お医者チャオさんは当然のように返した。
「見てませんよ、私は」

 ……おかしい。
 僕は毎日のように渦巻き状に変化するポヨを見続けてきているのに、お医者チャオさんはそれを見ていない。
 一体何が原因なのだろうか? 恐らくは僕がその原因の一つとされているのかもしれない。でも、看護内容に関しては他の患者よりもむしろ――比較してはいけないが――ずっと丁寧なくらいだ。
「……まぁ、これは症状の一つとして記録しておきましょう。前例もないですから、きっと貴重な情報となるはずです」
 そんなことより、とお医者チャオさんはチャオマイクの一つをチャオの頭に取り付ける。少し窮屈そうな素振りをしたように見えたが、コドモチャオに大した異常がないことを確認して、もう片方のチャオマイクを僕に手渡した。
「え、僕が話すんですか?」
「そりゃそうでしょう」
 ……まぁ、特に断る理由もないか。
 僕は慣れない手つきでチャオマイクを頭に被せ、
「君、それ逆ですよ」
 すぐに逆に戻した。マイクが左側になる。そのマイクを口の前の方へと位置調整し、
「スイッチはあるんですか?」
「ありますよ。左側に」
 スイッチを入れた。
 さて、何から話したものやら。 まずは挨拶からかな。
「こんにちは」
 そういえば、子供の頃にゲームのキャラクターとお話できるゲームをした事がある。今の気持ちは、それと良く似ている気がする。本当にお話ができるのかな、という新鮮な気持ちだ。
『なに?』
 唐突に聞こえた機械音声に、僕は少し驚いた。
 それもその筈、このコドモチャオがピクリとも動かないままに話したからだ。口元すらも動いていない。僕達は不思議そうに顔を見合わせる。
「調子はどう?」
 どう話せばいいのかわかったものではなく、どうも歯切れの悪い言葉になってしまう。

『寂しい』

 機械音声相まって、非常に冷たい言葉が僕の耳を劈いた。
 突然飛び出した言葉に、僕は思わず首を傾げてしまう。その様子を傍から見ていたお医者チャオさんは、諦めたように首を振った。
「ダメみたいですねぇ」
「え?」
 一体何がダメなのか、僕にはわからなかった。
「見ての通りです。何も喋ってくれません」
 わけのわからない事を言って患者のチャオマイクを取り外そうとするもんだから、僕はとにかく慌てた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
「ん? どうしましたか?」
「ちゃんと会話できますってば!」
「なんですって?」
 次に驚いたのはお医者チャオさんだった。
「だから、返事してくれてるんですよ」
「患者はなんと?」
「その……寂しいって」
「んむ? ちょっと貸してください」
 言われた通り、僕は付けていたチャオマイクを取り外してお医者チャオさんに渡した。彼は慣れたような手付きでチャオマイクを取り付け、マイクのスイッチをオンにした。
「こんにちは」
 一言喋って、数秒待って。
「具合はどうですか?」
 一言喋って、数秒待って。
「聞こえてますか?」
 一言喋って、数秒待って。
「……何も聞こえませんね」
 お医者チャオさんは、あっさりとチャオマイクを外してしまった。
「え、そんな」
 僕はやや乱暴にチャオマイクを受け取って「おやおや、強引ですね」やかましい。
 もう一度取り付け――また左右を間違えそうになりながらも取り付けて、少し焦りの隠しきれない声でコドモチャオに問う。
「聞こえる?」
『聞こえる』
 冷たい機械音声は、確かに僕の背筋を凍らせる。
「ほら、やっぱり会話できますよ」
「あららら〜……わかりました。ちょっと待っててください」
 そう言って、唐突に病室の扉を開けて周囲をキョロキョロと見回すお医者チャオさん。
「あー、キミキミ。ちょっとこっちに来てくれませんか?」
 ちょうどいい所に、という具合で病室に入ってきたのは、最初の日以来まともに話していない金髪の小柄な看護師さんだった。
「どうしました? 何か問題でも?」
 言葉だけなら至って普通なのに、その顔は明らかに僕を不審な目で見る。僕ってそんなに信頼無いのかな。
「検証みたいなものですよ。とりあえず、このマイクを付けて喋ってみてください」
「はぁ……なんですか、これ」
「そこのチャオとお話ができるマイクです」
 イマイチ飲み込めない顔のまま、渋々と言った具合にチャオマイクを付ける看護師さん。……なんだか良く似合ってる気がする。まるでオペレーターみたいだ。
「……こんにちは」
 歯切れの悪い挨拶をする看護師さん。
「こんにちは」
 もう一度繰り返す。やがて怪訝そうな表情のまま、マイクをあっさりと外し、彼女は首を振った。

 あんまりおかしいから、お医者チャオさんは手の空いた人達を片っ端からかき集めて、チャオマイクを取り付けて患者との会話を試みた。
 だが、結局僕以外に患者と会話できた人物はいなかった。


 ――――


「じゃあ、後はよろしくおねがいしますね。オペレーターさん」

 ……この渾名は、たった二日で病院中に広まった。
「マイク付けて喋ったらオペレーターなのかよ……」
 僕の愚痴は、スイッチをオフにしていた為に患者には伝わらなかった。
 命名したのは当然お医者チャオさんだ。センスの良い渾名ではないのだが、しつこくこの名で呼ぶものだから周囲も気兼ねなく同じように呼び始めてしまう。不名誉という程ではないが、光栄だとは欠片も思えない。

「失礼します。オペレーターさん、先生から次の薬を預かってきました」
 軽いノックとほぼ同時に扉を開けたのは、例の看護師さんだ。僕がオペレーターの渾名を付けられて以降は、見方でも変わったのか睨まれる事は無くなった。
「今度は、なんの薬ですか?」
「ええと、GUNに特別に支給してもらったカオスドライブに、各種促進剤を調合したものです」
 効果の程は、看護師さんの顔からなんとなくわかった。僕も同じような顔をしてしまう。
「正直、付け焼刃です。促進剤の効果すらも取り込まない筈ですから、例え経口でも大した効果は見込めない、との事です」
 要はただのおいしくない水だ。
 だが、僅かとはいえ同じ病を患うチャオも世の中にはいる。この患者を実験台にしてでも、僕達は治療法を見つけ出さないといけない。
 勿論、それに対する抵抗が僕にないわけではない。いくら未来がないからと言って、コドモチャオを実験台にするなんて行為を易々と実行する気にはなれない。
 犠牲を増やさない為に、犠牲を出す。昔から僕達人間の前に立ちはだかり続ける葛藤の一つだ。これに対して一切の犠牲を出さないただ一つの方法は、対処法を知っている事だ。何も知らない僕達は、こうした残酷な手を使ってでも治療法を確立しなければならない。
「でも、あなたのおかげで治療法の確立に一歩近付いている事は確かですよ」
 僕の浮かない顔から心情を察したか、彼女はそんな慰めの言葉をかけてくれた。最初の頃に比べれば、随分と優しい態度を取ってくれるようになったものだ。
 ……もう、この患者と出会ってから二週間は経つ。

 結局、薬には大した効果は見込めなかった。
引用なし
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3 Chaos Regeneration
 冬木野  - 10/10/23(土) 22:28 -
  
「……目に見えて衰弱していますね」
 人形みたいに動かない患者の、輪をかけて人形みたいな状態の患者を見て、お医者チャオさんはそう診断した。

 もう、三週間を過ぎた。
 キャプチャー欠乏症の治療法確立の為に動き続けるスタッフ。その動きは、目に見えて焦りがあった。
 タイムリミットは、これっぽっちも残されていない。いつ患者が消えてしまってもおかしくはない。そういう状況だ。
 僕にできる事は、コドモチャオの傍にいる事だけだ。
 そんな夜の暗い病室に、静かなノックが響く。入ってきたのは、見慣れた顔だった。
「お邪魔しますね」
 暗がりの中に光る金の髪が、闇に慣れた僕の目には少し眩しかった。
「患者の様子はどうですか?」
「いつもと同じか、それ以上に静かだ」
 もはや体の一部分と化したと言っても過言ではないチャオマイクを指差して告げると、看護師さんも溜息を吐いて顔を俯かせた。
「……何もできないんですね。せっかく前に進むチャンスができたのに、それを失ってしまうなんて」
「君だけの責任じゃないよ。そんなに気負う事はないさ」
 流石に一ヶ月ほども付き合いがあると、僕の言葉からも敬語が失われていた。彼女の方が優秀そうだったから思わず敬語で接し続けていた僕も、5歳の差がある事を知ると簡単に態度が崩れるものだと再認識した。最初あれだけ睨まれ続けた僕が、彼女に慰めの言葉をかけるようになるとは。
「でも、悔しいです。自分の無力さが」
「……僕も同じだよ」
 唯一。
 唯一僕が、このチャオを助ける事ができる糸口と成り得た可能性を持っていた。
 それは、このチャオと言葉を交わす事ができる唯一の人物であるというだけの事だ。それだけでも、お医者チャオさんを始めとして結成されたスタッフの目に希望はあった。
 その結束が一ヶ月足らずで崩れるなんて、あまりにも残酷だ。


「私、幼い頃にチャオと一緒に暮らしていたんです」
 突然、看護師さんは顔を俯かせたまま自分の過去を語り出した。
「幼い頃って……どれくらいの頃?」
「まだ小学生くらいの頃でした。一人っ子だった私の、唯一の姉弟だったんです」
 そうやって過去を振り返る彼女の顔は、とても幸福そうには見えない。きっと良い話ではないのだろう。
「そのチャオを連れて朝に帰って来たお父さんが、私に向かって何度も念を押して言ったんです。この子の事を頼むぞ、お姉ちゃんって。凄く嬉しかった。お父さんにそう言ってもらえた事も、新しい家族ができた事も。だから、ずっと外で遊んでました。鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたりして……」
 僕は窓の外へ目を逸らした。
 何の因果か、今日は満月だ。静かに眠るコドモチャオがいるので電気を消しているが、そのせいかこの月明かりが眩しく感じる。
 ――自分の口が、重く感じる。それはきっと、彼女も同じなんだろう。聞くべきか、聞かないべきか。
 迷う心に嘘を吐いて、僕は問う。
「そのチャオは、どうしたの?」
 彼女の声が震えてる事に、僕は耳を傾けずとも気付いていた。
「……夕方になっても、見つけられなくて……」
 いや、耳を傾けたくなかったんだろう。
 彼女の声は、あまりにも哀し過ぎた。


 チャオ特有の早老症に最も有名なものが一つある。
 その名を、先天性生存寿命障害という。キャプチャー欠乏症と同じく稀にしか起きない病気だ。
 これを患ったチャオは、10時間で死ぬ。
 過去幾度となく医療従事者がこの症状に関する調査を徹底的に行ったが、今でも原因は不明。10時間のタイムリミットはあまりにも短く、キャプチャー欠乏症以上に解明が困難とされる。
 だが、治療法はないと言うわけではない。10時間の命を救う、たったの一つの方法があるのだ。
 それは、チャオに愛情を注ぐ事。即ち、転生させる事だ。
 そうする事により、転生前の優位性のある能力を受け継ぎ、負の面の能力を切り捨てて生まれ変わる事ができる。つまり、10時間の命と別れを告げる事ができるのだ。
 単純で、極めて難しい。
 愛情の注ぎ方は、人それぞれだ。だから、チャオがその愛情を理解できずにこの世を去るというのは、普通のチャオでも珍しい話ではない。
 彼女は……それに失敗した。


「暗くなってきた頃に、お父さんが私を迎えにきたんです。でも、まだかくれんぼは終わってないから帰りたくないって言ったのに……」
 終わらないかくれんぼ。
 少女の身には、とても残酷な事実が隠された遊びだった。楽しく遊んでいただけなのに、何も悪い事をしていないのに、もう二度と顔を見る事もできなくなってしまった。
「仕舞いには泣いてお父さんの手を振り払って……お父さんは、私に何度も謝って……」
 もう、彼女の顔は涙でぼろぼろだった。僕はその頭の撫でてやる事しかできない。
 かける言葉が、見付からない。
「そのチャオの病気の事を知った時、私は悔しくてしょうがなかった……私が、あの子を死なせてしまったんだって……たった一人の家族も守れなかったんだって……」
「君が死なせたんじゃない。病気のせいだよ。運が悪かっただけだ」
「でも! でも、助ける事ができたのに! あの場には、私しかいなかったのに……!」
「一緒に遊んであげたじゃないか。たった一人のお姉ちゃんとして。その掛け替えのない思い出を、誰も咎めたりはしないよ」
 そうやって慰める僕の心にもヒビが入り始めていた。
 コドモチャオに残された命は、もう僅かしかない。助けられる可能性を持っているのは、僕しかいない。
 でも、打つ手がない。
 この子に愛情を注いでも受け取ってはくれない。僅かな延命措置もできない。誰も助けてくれない。僕にしてやれる事は、何もない。
 どうする。
 このチャオの世界は、未来は、希望は、こんな狭い病室の中だけに留まってしまうのか。

『寂しい』

 冷たい機械音声が、僕の背筋をなぞる。
 はっとしてコドモチャオを見ると、その顔は窓の外に向けられていた。月を見ているようだ。

『寂しいよ』

 その声にどんな感情がこめられているのか、僕にはわからない。本当に寂しそうな声をしているのか。この機械音声のように冷たい声なのか。
「……あの、なんて?」
 涙を拭って、それでも涙の止まらない看護師さんが僕に訊ねる。
「寂しいって」
「そう……ごめんね、何もできなくて」
 彼女は立ち上がって、ベッドの上のチャオの頭を優しく撫でた。
「ごめんね」
 何度も何度も謝って、優しく撫で続ける。
 結局、僕達はこうする事しかできない。彼女のお父さんも、僕達もだ。若い命が消えてしまうというのに、こうして謝る事しかできない。このチャオも、何も遺さずに消えてしまう。
 せめて、このチャオになにかしてやれる事はないのか。
 僕は必死に考え続けた。


 ――――


「……よし」

 出発の準備はできた。
 僕の姿は白衣では無く、この病院に訪れた時と同じ服だ。
 あれからこの病院にほぼ泊まり込みだった為に、荷物はこの病室に置きっ放しだった。ある意味好都合だとも言える。あまり人には見られたくない。
 チャオを隠すのには、荷物を詰めていたリュックで大丈夫だろう。目的地に行くには、タクシーを呼べばいい。懸念すべき事項は、病院を出るまで誰にも見付からないようにする事だ。
「ちょっと窮屈だけど、ごめんね」
 マイクを介しての言葉ではないが、一応謝りながらチャオをリュックに詰めた。患者に対してなんたる愚行か、と言われてもおかしくはない。だが、この場はしょうがない。我慢してもらおう。勿論、マイクを置いて出かけるわけではない。向こうに到着してから使おう。

 そして僕は、こっそりと病院から抜け出した。
 あらかじめ病室からタクシーを呼んでおいたので、病院の前で待ち惚けというちょっとマズい状況にはならずに済んだ。
「どちらまで?」
「えっと、ソレアナまでお願いします」
 気だるい声で了承した初老の運転手が、ドアを閉めてアクセルを踏み出した。

 今日に限って、このチャオは寂しいという言葉を訴え続けた。
 もうすぐ死んでしまう。そう判断した僕は、せめてソレアナの美しい景色だけでも見せてやれないかとこのチャオを連れ出した。リュックから顔を出したチャオの視線は、タクシーの窓を流れる景色を見ていた。その表情に変化はないが、興味を持っているのか退屈なのか。
「その子、退院したんですか?」
 不意に運転手がそう聞いてきたので、僕は急いで適当な言葉を並べた。
「ええ、そうです。観光に行く途中で病気になってしまったんですけど、晴れて退院になれましたので」
「そうですかぁ。それはよかったですねぇ、おめでとうございます」
 運転手の祝福の言葉が胸に突き刺さる。事情を知らないからしょうがないのだが、空気読めよと怒りたくなってくる。
「ソレアナって言えば、先週頃から凄い事になってるって噂をご存じですか?」
「噂?」
「ええ。なんでも、水路の水が謎の光を放ってるだのなんだの」
「光?」
「詳しい事は私も知りませんがね。まぁ、特に害もなさそうだっていうんで、気兼ねなく楽しんでくるといいですよ」
 それ以降は特に続く会話も無く、チャオと同じように外の景色を眺めたりしていた。
 ソレアナの近くであるこの街にも、少なからずソレアナから伸びた水路をちらほらと見かける。中にはこれを辿ってソレアナまで歩く観光客もいるのだとか。
 ただ、この暗い時間はやはり徒歩で歩く人影は見られない。ソレアナへと向かうのは車くらいだ。バックミラーには、他のタクシーやワゴン車の姿も見える。
 不意に、僕は腕の中にいるチャオの事が気になった。今はお互いにマイクを付けていないが、果たしてこの子は今どんな心情をしているのだろうか。
 ここでマイクを取り出すと、運転手に余計な詮索をされてしまうかもしれない。誤魔化すのも面倒なので仕方なくこのままにしているが、何か異常はないかと心配になってくる。
「お客さん、どうかしましたかぁ?」
「ああ、別に。流石にこの時間帯だと眠いかなって」
 結局誤魔化した。
「そうですかぁ。……おっとぉ」
 運転手の驚きの声は、僕の驚きとも重なった。
 途中にある水路が、うっすらと青く光っている。
「もしかして、これが……」
「どうやらそうみたいですねぇ」
 確かに、見間違いではない。水路は光り輝いている。とても神秘的なその光景に、僕は思わず見惚れてしまう。

「……ぁ…………」

 突然、コドモチャオが声を漏らしたかと思うと窓へと手を伸ばした。
 動かないものと決め込んでいた僕は、突然動き出したコドモチャオに酷く驚いてしまう。
「お客さん、この辺りでいいですか?」
「えっ? あ、ああ、はい」
 どうやら運転手は気付いていないらしい。好都合だ、さっさと降ろしてもらおう。


「ありがとうございましたぁ」
 特に詮索する事もなく、タクシーは僕達の前から去った。僕は急いでチャオにマイクを取り付けて、問診をしてみる。
「どうしたの?」
 だが、チャオは何も答えない。その意識はソレアナの方向へと向いている。

 そして突然、チャオは僕の腕の中から降りた。
「えっ?」
 あまつさえ、チャオは二つの足で立った。
 有り得ない。キャプチャー能力を持たないこの子は、立つ事も歩く事もできなかったはずだ。それなのに、何故。
「いったい、どうして……?」

『いきたい』

 その一言を残して、チャオは……歩いた。
 歩いた。
 早歩きした。
 走り出した。
「ちょっ、待てよ!」
 おかしい。何もかもおかしい。
 昨日まであんなに人形みたいに動かなかったのに、水を得た魚のように苦も無く走っている。
 しかも、速い。僕も急いでチャオの後を追ったが、僕以上のスピードで走っている。これが病人の走りなのかよ。
「くそっ! どうなってんだよ!?」
 僕の医学知識が、現実に否定される。
 こんなの、どう考えても普通じゃない。


 人ごみの中を通り抜けた。
 近くの倉庫も通り抜けた。
 どこに向かっているのかわからないまま、僕は必死にチャオを追った。
 輝く水路が、僕達を導くようにすら見える。
 そうして着いた場所は、噴水だった。

「……なんだ、あれ」

 眩しい。
 こんな夜中に、噴水の前に人集りができてる。何の見せ物かと、僕は目を疑う。
 噴水が、一際強く光り輝いている。途中の水路なんかよりも、太陽のように眩しい。

『いきたい』

 聞こえた機会音声に、意思を感じる。
「おい! そこにいるのか!?」
 焦る僕の言葉は、もう問診する気はさらさらない。それ以前に、患者と話す言葉でもない。

『いきたい』

 そしてチャオは、同じ言葉を繰り返す。
 いきたい? いきたいって何だ? 行きたい、なのか? いや違う。きっとチャオはそこの噴水にいる。それにまさか逝きたいなんて酔狂な言葉を吐く筈もない。
 じゃあ――

「……生きたい、のか?」
『いきたい』

 即答だ。
 間違いない。あの子は、生きる事を諦めてはいない。だから……だから?
 なんであの子は、こんな場所にやってきたんだ? ここに、生きる為の方法があるのか?
 あの……噴水の中に?


 刹那。
 噴水の光が、狂おしいまでに輝く。
 眩しいなんてもんじゃない。光以外に何も見えない。閃光に世界が支配される。
 あれだけの人間が、僕の視界から消え失せる。眩しいから見えないのか、本当にいなくなったのかわからない。
 そんな時間が、たった刹那に僕達を包み込んだ。
 それをその場の全員が体験した事は、何事かと周囲を見回す人達の姿から理解できた。
 僕もその一員だ。
 だが、最も早く理解できたのは僕だけだろう。
「あいつだ……!」
 人混みを掻き分け、噴水にいるであろうチャオの元へと走る。未だ混乱の中にある人混みの中を通るのは容易だった。
 チャオは。患者はどうなったんだ。いったい何がどうなったんだ。
 医療従事者としてだけではない。たった一ヶ月だけだったけど、あの子の親として、姿を見たい――!


 そこにあったのは、たった一つの卵だった。
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4 混沌因子と、無限の生命と、僕達の未来と
 冬木野  - 10/10/25(月) 3:45 -
  
 今僕達のいる場所はとても有名な場所だ。
 かつてチャオの生態を明かす為に多くのブリーダー達が集った場所、チャオガーデン。
 現代ではその機能は完全に果たされているわけではない。チャオという存在が一般社会へと流れこんだ現代では、人工島に設立された養育施設というものは需要がない。それに加え、この人工島ほどの設備が手頃に普及し始めているのも要因の一つだ。
 だが、この人工島の設備は一般普及しているものに勝るとも劣らない。
 つまり、僕達がここにいるという事はとても重大な事なのである。


「さて、私は今とても困っています」

 そういうわけで、チャオガーデン付属施設であるチャオ幼稚園の保健室。
 いやぁ懐かしいですねぇなんて暢気な顔をしているくせに、お医者チャオさんはそんな口元の渋うい言葉を吐いた。
「えーっと……一応聞いときますけど、何故です?」
「何故って、あなたの事を叱るべきか感謝するべきかですよ」
 ちなみに、僕の後ろには金髪の看護師さんもいた。表情までは見えないけど、睨んでないよな。
「ははは……これまた、どうして?」
「聞く必要がお有りですかな?」
「正直すまんかった……」
「素晴らしく誠意のない言葉ですね」
 後ろから辛辣な言葉が飛び出してきた。睨んでんじゃね、やっぱ。
 だがまあ、怒られて当然とも言える。無断で患者を連れ出したのだ。しかも、看護師たる者が。
 しかし、お医者チャオさんが激しく叱咤しないのには理由がある。僕の愚行で、患者の命が救われたからだ。


 あの噴水で僕が見つけた卵は、やはりというかあのコドモチャオのものだった。
 次の日、僕が病院へと卵を持ち帰ったと同時にお医者チャオさんに見つかり、そしてそのタイミングで卵が孵った。
 検査の結果、それはごく普通の健康体のチャオだった。
 だが不思議な事に、その卵から生まれたチャオと患者のコドモチャオのDNAが一致しなかった。だから、最初は連れて帰ってきたチャオが患者だとは信じてもらえなかった。
 そんな僕の証言の裏付けをしてくれたのは、金髪の看護師さんだった。
 実は僕が病院から抜け出す姿を偶然見たという彼女は、タクシーで僕達の後をつけていたらしい。そして、あの噴水フラッシュな現場に彼女も同行していたと言うのだ。
 その他にも一般の観光客達の証言もあって、僕の証言を信じてもらう事ができた。

 だが、厄介なのはその後だ。
 何故このチャオは転生する事ができたのか。あの時噴水で何が起こったのか。DNAが一致しない理由はなんなのか。
 過去に前例のないこの事態に、緊急で有名なチャオブリーダー達を集めてスタッフを結成し、謎を追求する事になった。
 そのメンバーときたら、なんと豪華な事か。チャオの教科書とも言える書物を作った人物、チャオの進化図を完成させた人物、幻のカオスチャオという存在を見つけ出した人物等々、こんな伝説のチームは二度と見られないんじゃないかというレベルだ。
 そして僕は、そのついででありながら重要参考人としてこの案件に参加する事となったわけだ。


「で、研究の方は進んでるんですか?」
 これほど豪華なスタッフに囲まれながら、僕のしている事はチャオの世話係だった。あの病院に居た頃となんら変わりない。後ろの看護師さんもちょくちょくお手伝いしてくれるが、本業は別だというのだから不公平だ。どれだけ優秀じゃないんだよ僕って。
「はっきり言って、進展はありませんね。当然とも言えますがねー。チャオの転生という奴は転生前の状態というものがほとんどわからなくなってしまいます。だからこそ、君にはチャオ医学のハードルは高いんでしょうね」
 剣のような言葉が、僕の胸をさっくりと貫いた。
「しかも今回は事情が事情です。あの患者……いえ、あの子の今の個体情報は無きに等しい。手がかりという手がかりがないんですよ」
 はあ、としか言えなかった。
「つまり、何もわからないと?」
「まぁ、そういう事になりますねぇ。……ただ」
 急に座り慣れた椅子から降りたお医者チャオさんが、机の引き出しの中にある資料を漁り始めた。
「思い当たる節はあります」
「え?」
「これを見てください」
 僕に手渡されたのは、一枚のカルテと論文だった。
 カルテの方は、至って普通のチャオの事が書いてあった。能力も平凡、健康状態も至って良好。しかし、おかしな点が一つあった。
「あの、このチャオの親は?」
 親の項目に、何も記載されていない事だった。
「いません。恐らくは」
「恐らく? 何故です?」
「その理由が、その論文です」
 言われるがままに、一緒に手渡された論文に目を通す。
 題名は『チャオの起源』。その内容には、興味深い単語がいくつも羅列していた。
 CHAOsインパクト。水面噴火。糧の原生生物。混沌因子。カオスエメラルド。
「ある日、とある有名な大学生徒が書いた論文です。といっても、全て机上の空論ですが」
「はあ」
「注目点は、これとこれです」
 そう言ってお医者チャオさんが指差したのは、混沌因子とカオスエメラルドだった。
「まさか、あの子が転生したのって……」
「流石、わかってますねぇ」
「え? え?」
 まるで初日のような展開に、僕はまたも置いてけぼりにされてしまう。というかこの二人、ひょっとしてわざとじゃないだろうな。顔笑ってるぞ。
「カオスエメラルドですよ」
「エメラルド?」
「そうです。今はどこに消えたかは知りませんが、調査の結果あそこにカオスエメラルドがある事がわかりました。おそらくはその力によるものです」
 信じ難い言葉が飛び出した。あの光の正体は、カオスエメラルドだっていうのか。
「前にもステーションスクエアに展示されてた時期がありましたねぇ。謎に包まれた無限のパワーの源、でしたかね」
「あの、どうしてカオスエメラルドが?」
「どうして、とは?」
「えっと、なんであそこにあったのかとか、どうしてカオスエメラルドがあの子を」
「わかったら苦労しません……と、普通なら言うところですが」
 得意気に椅子に飛び乗り、実に複雑そうな顔で楽しく語り出すという究極の矛盾をやってのける。
「そこで、その混沌因子が出てきます」
 混沌因子。僕には聞き覚えのない言葉だ。一応看護師さんの顔も窺ってみたが、おそらくは僕と同じ反応だ。
「カオスエメラルドは出所不明の莫大なエネルギーを生み出すと言う噂ですが、はっきり言ってそのテクノロジーは謎です。しかし、一つわかっている事があります。それは、生物がそのエネルギーを引き出す為の適正です」
「適正、ですか?」
「はい。それが混沌因子というものです」
 悪いけど、さっぱりわからない。という表情をしたら、お医者チャオさんにプークスクスと笑われた。非常にムカつく。
「近年まではこの論文で提示された説は否定されていましたが、この机上の空論を裏付ける出来事が起きましたからね」
「なんですか、それって」
「セントラルシティをめちゃめちゃにした、ブラック彗星です」
 吹いた。
「はぁ!?」
 次いで、叫んだ。
 知らない人の為に説明しよう。
 かつてセントラルシティを中心に、謎の武力集団が謎のガスによるテロを行った。後に政府が公表した情報によると、黒の軍団と名乗る宇宙人の仕業という事がわかった。
 しかもこいつには、50年前に不老不死研究を行っていたプロフェッサー・ジェラルド・ロボトニックも絡んでいる。
「それが、どうチャオと関係するって」
「簡潔に言ってしまえば、ジェラルドは不老不死の研究の為にカオスを研究していた事が明らかにされています。彼が作り上げた人工カオスという生物が、それを示しています」
 だんだんと話の規模がシャレにならなくなってきた。ひょっとして僕、ヤバい事に片足突っ込んでるんじゃないか?
「その事件で英雄となり、その後政府のエージェントとして働いてると噂のシャドウ・ザ・ヘッジホッグ。彼の身体的特徴は、その黒の軍団の化け物達と類似する点が多い事もわかりました。……が」
 急に椅子をくるくると回転させ、回りだしたお医者チャオさん。何事かと思「ああ、すいません。ちょっと疲れただけです」うんじゃなかったわ面倒くせぇ。
「驚いた事に、私達チャオと類似する部分があることも判明しています」
「それが……混沌因子ですか?」
「理解が早くて助かります」
 ぐるぐると回転する椅子の勢いが、このあたりで弱まって停止した。
「わかりやすく言ってしまえば、混沌因子はカオスエメラルドの力を引き出す為に必要なおのです。私達チャオには基本例外なく備わっている因子の為、誰も存在を重視しませんでした。しかし、有名人のシャドウさんにこの因子が備わっているとあれば、話は別です」
 と思ったら、またぐるぐると回りだす。表情だけがいつもと変わらない。ひょっとしてこの人仕事したくないから動作に現れてるんかな。
「それに、かのソニック・ザ・ヘッジホッグもカオスエメラルドの力を引き出せます。つまり、彼もまた混沌因子が備わっているという事になります」
「じゃあ、あの子は……」
「キャプチャー能力こそありませんでしたが、混沌因子をうまく使ってカオスエメラルドから力を得たんでしょうね。それが何故、転生という形で現れたかは……おっとと」
 落ちそうになって、その後の言葉は続かなかった。まぁ大体わかったからいいんだけど。
「一説挙がってるんですけどね」
 挙がってんのかよ、謎で締めくくられると思ったわ。

「さて、チャオの身体の大半は何で構成されていますか?」
 初日と同じような補習的講座が唐突に始まった。もちろん、答えるのは僕だろう。一応後ろにいる看護師さんの顔も見てみたが、僕のことをじーっと見ている。
「約95%、水」
「はい、正解」
 安心の溜め息が漏れた。僕の知識の限界が知れるな、こりゃ。
「実際にはそれ以上の場合が多々だったりしますが、まぁそんな程度です。人間の幼児よりも多い割合ですから、水の精霊とはよく言ったものですよ」
「はぁ……それで?」
「はい?」
「それが、何か?」
「これで終わりですが」
 盛大にずっこけた。
「いつ見ても君のリアクションは飽きませんねぇ。看護師になんかならないで、芸人やタレントにでもなれば良かったじゃないですか」
「大きなお世話ですよ」
 我ながら恥ずかしい真似をしたと思う。後ろから変な目で見られないうちに、僕は急いで白衣の埃を払った。
「だからぁ、混沌因子の存在はわかりました。あのチャオがカオスエメラルドの力を引き出した事もわかりました」
「それは教えた甲斐がありましたねぇ」
「で、その続きは?」
「せっかちですねぇ。オトナの事情も知らずに物語の続きを知りたいタイプですか? というか、何を聞きたいんですか? もう話す事はないのですが」
 要するにワガママだって言いたいのか、このニヤケ面。
「まあ、そんなに気になるなら私達の研究により一層の協力をお願いします。君は一応、この研究の重要ポジションを――」


「寂しい」

 思いもよらない言葉が、僕の体を冷やして駆け巡った。
「おや、来てたんですか」
 僕は固まった体をゆっくりと振り向かせた。
 コドモチャオが、保健室の扉を少しだけ開いて顔を覗かせていた。安堵の息が漏れる。まったく、驚かせてくれるよなぁ。
「ごめん、待った?」
「うん」
「もうちょっとだけ待ってくれるかな。今、先生とお話を」
「だからもう終わりましたってばさ」
「あー、はいはい……。じゃあ、行こうか」
「うん」
「お大事に」
 お医者チャオさんお決まりの台詞を聞いて、僕達は保健室を去った。


 ――――


 ぶっちゃけた話。
 僕はこの子の研究だとか、混沌因子の話だとか、実はあんまり気にしていない。
 この子に対して、もう親のつもりでいる。
 大した理由じゃない。

「お父さん」

 この子が勝手にそう呼ぶからだ。
 僕がお父さんじゃないよと言っても、全然聞かない。だから、それでもいいかなと思えてきた。
 せめて、この子の中の寂しさが消えてなくなるまで。
 それまででいいから、僕はこの子の為に頑張ろうと思う。
 今は、それだけでいい。


 ……それだけでいいってのに。

「お母さん」
「えっ?」
 金髪の看護師さんが、目を丸くして固まった。
 こいつ、間違いなくこの人に向けて言った。
「お、おい!」
「なに?」
「お前、何とんでもないこと言ってっ……!」
「あ、あのね、私はお母さんじゃ……」
「なんで?」
 出た。子供特有の、疑いの無い眼差し。
 空気が急速で濁る。隣にいる人の顔が見れない。
「あー……そのー、ごめん」
「な、なにが、ですか?」
「え? ああ、なんでだろうね。ははは」
 本当になんで謝ったんだ、僕。
 コドモチャオは、暢気にもポヨを疑問符に変えていた。

 ひょっとして、これから僕達長い付き合いになるのかな。
 先行きの見えない不安な可能性に、少し手を触れた気がした。
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机上の空論(一部)
 著者不明  - 10/10/25(月) 4:20 -
  
(前略)

 この世界はカオスエメラルドによって生物が生まれたと言っても過言ではない。
 マスターエメラルドとカオスエメラルドの存在理由こそ明かされてはいないが、この地球に存在する「基」を中心に、カオスエメラルドは様々な命を与え、その痕跡として混沌因子が残った。
 だが、その力は多くの人間からは失われている事だろう。

(中略)

 多くの生物は、海からやってきたと言われる。水の精霊たるチャオも例外ではないだろう。
 しかし、水の精霊故に不可解も多い。
 何故その身体は、どの生物よりも素たる水に近いのだろうか。
 これには、水が我々のような生物を作り出した事に起因するに違いない。
 即ち、水そのものの「生きたい」という想いに、カオスエメラルドが手を貸したに違いない。

(中略)

 チャオが人間よりも歴史が古い事は、恐らく無い。
 私もその可能性を信じたが、それではチャオと我々の不完全ながらも成立している類似点が説明できないからだ。
 先ずチャオが我々よりも先に生まれ、我々がそれを元にしてより完成された生物として誕生した、というのが私の中での説だった。
 だがもし、チャオという生物の生まれた原因が「想い」ならば、私のこの説は通らない。
 水という気体と固体の間にある中途半端な身体は、人間のように捉え所があるようで、幽霊のように捉え所がない。
 それでもチャオは存在している。その存在理由を支えるのは、生きたいと思う願望に他ならないからだ。

 そして世界は、混沌の手を尽して願いを叶えたのだろう。


(後略)
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報告書が上がりましたので、確認をお願いします
 冬木野  - 10/10/25(月) 4:55 -
  
 こうして書いてみると、理由付けの為にしか小説を書いてないんじゃないだろうか。そんな冬木野です。
「冬きゅんテメー筆置くっつっといてなんか書いてんじゃねーかよ」とお怒りの方が多いでしょう。まぁ気にしないでください。しばらくガチで書かないですから。

 多分。


 そういうわけで、ホップスターさんがボツネタ投稿所に書いたチャオマイクを使わせていただきました。……と言っても、結果的にあまり重視されない形になってしまいましたが。
 それに加え、ぺっく・ぴーすさんの書いた「10時間の命」に登場した病気を勝手ながら使用させていただきました。あくまで早老症の一種という設定のみでの使用ですが、問題でしたら堂々と言ってください。……使ったあとで言う台詞じゃないですが。
 そしてチャオのちょっとした医学、チャオの起源の事や、シャドウのみならずソニックまでもがカオスコントロールを使える理由などなどを思い切って捏造しました。

 思えば、ソニックの世界観っていろいろとツッコミどころならあると思うんですよねぇ。あんまりピックアップはしませんが。
 チャオって人間と同じように風邪をひきます。お腹も痛くなります。体もかゆくなります。つまり一般的な生き物、主に人間に近しい生き物なんでしょう。
 ただ、それだけじゃやっぱ納得いかない。ナッコに殴られて痛くないの? くらいのものに思ってたもんですが。
 外傷は負わないの? 内出血? そもそも血は通ってるのかな? 内蔵はどうなってるの? キャプチャーした時の身体変化は?
 そう言った疑問を無理矢理解決する為に、敢えて外科という項目を排除し、内科に関しても謎を含みながらなんとなく課題化させました。
 そういうわけで、多少は筋通ります。……本当に多少です。一定以上の傷は耐えるとか言うけど、相当な耐久力っすよ。車に轢かれるくらいはセーフって意味ですよ、これ。

 それとハリネズミだからってほいほいカオスコントロールされてもなぁと常々思っているプレイヤーはいると思います。思われます。思うだろう、なぁ?
 だから、この場で「混沌因子」というそれらしい言葉を捏造したという事になりました。
 というか、ぶっちゃけ僕の今回の目的はそこです。
 他の人の何人かも同じでしょうが、今のところ僕の小説にはカオスエメラルドは出現していません。
 なんで出してないの? って誰も理由を聞かないと思うので勝手に言いますが「昔はそんな脳がなかった」という言葉ぐらいしかないです。書きたい事しか書いてないとも言えますか。
 ただ「代壊」を書いてから今後の小説の方針がなんとなーく決まりまして、カオスエメラルドを登場させようという予定ができました。
 簡単に言ってしまえば、持ちネタがねーから公式のとんでもアイテムを利用しようという腹です。僕の頭脳はもはやリアル系で染まってます。スーパー系とかあまり得意じゃないですね。嫌いじゃないけど。

 そういうわけで、混沌因子というカオスエメラルドの設定をうまいこと扱う為の辻褄合わせが完了した事をここに報告します。
 ……これ、ちょっとしたネタバレじゃないかなぁ。
 あ、感想等ありましたらお気軽に書いてください。あと、医療関係でケチ付けられたらへこみますんで、そこんとこ含めて堂々と叱っても構いません。え、前後で意味が繋がってないって? HAHAHA
引用なし
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