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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 九話 ダーク 09/8/19(水) 14:09
感想はこちらへお願いします ダーク 09/8/19(水) 14:49
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十話 ダーク 09/8/21(金) 11:06
訂正 ダーク 09/8/28(金) 14:45
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十一話 ダーク 09/8/28(金) 14:41
訂正 ダーク 09/8/29(土) 23:35
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十二話 ダーク 09/8/29(土) 14:35
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十三話 ダーク 09/8/30(日) 14:00

シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 九話
 ダーク  - 09/8/19(水) 14:09 -
  
「休ませよう」
 マッスルも同意見のようで、小さく頷いた。それを見て、シャドウも小さく頷いた。二人はこれ以上のことは話さず、ベッドに入り込み、ゆっくりと眠りについた。

 シャドウが目を覚ましたのは、船の揺れが大きくなった頃だった。体を起こして周りを見渡す。電気が消えている。マッスルが寝ている。閉められたカーテンからオレンジ色の光が入ってくる。寝る前とは光の色が違うだけで、なんら変わりない光景だ。熱した金属のように体を起こす。しかし、何もすることがない。また眠るのも悪くないと思ったが、瞼が水に浮かぶ発泡スチロールのように軽く、眠れなかった。そして、シャドウは仕方なく甲板へ出た。
 甲板に出て右手側に沈みかけた夕日がよく見えた。シャドウは夕日が見やすい位置に移動し、手すりに手をかけた。甲板に出ている者は少なかったので、とても静かだ。聞こえる音は波の音と、風の音だけ。耳を澄ませば、光の音も聞き取れそうだった。大きく光を放っていた日の光も、海が光の線を何本ずつかしまっていくように消えていった。海の向こう側で、まだぼんやりとした光が見える。だが、もう光の音は聞き取れそうになかった。

 風が強くなり波が大きくなってきたところで、シャドウは甲板を後にした。自分の部屋に戻るつもりだったが、扉に鍵がかかっていなかったので、まだマッスルが寝ているだろうと思い、ラルド達の部屋に行くことにした。部屋に近づくにつれて、笑い声が聞こえてきたので、彼女達が寝ている心配はなさそうだ。そして部屋に入ると、ラルドとエイリアはベッドに座って話し込んでいた。彼女達はシャドウが入ってきたことに気がつくとシャドウに手招きをした。シャドウが二人に近づくと、エイリアがシャドウに尋ねた。
「ねぇ、スーマって本当はどんな性格してると思う?」
 エイリアの隣でラルドがにやけている。この質問はどういう意味なのだろうか、とシャドウが考えていると、ラルドが先に口を開いた。
「私はね、表面は無愛想だけど本当はただの恥ずかしがり屋なんじゃないかな、って思う」
 すかさずエイリアも言い返す。
「いや、この前のときはカッコつけてただけで、本当は私達の反応を見て爆笑しそうになってたくらいのユニークなキャラだと思う」
 そこからも、ぶりっ子、ドジッ子、腹黒いなどと所々に聞こえる言い合いが続き、思い出したようにエイリアがシャドウに再び尋ねた。
「シャドウはどう思う?」
 それよりも、何故このような言い合いをしているのだろう、スーマは時の神かも知れない、大きな存在なのだ、さらに、僕はスーマに会ったことがない、とシャドウは思った。その旨を二人に伝えると、また思い出したような顔になった二人のうちのラルドが言った。
「そっか、シャドウはスーマに会ったことがないんだっけ。まぁでも、イメージでいいからさ」
 スーマのイメージ。全く知らない、それも神のうちの一人をイメージする、というのはとても難しい作業のように感じられた。しかし、イメージはすんなりと浮かんできた。
「冷静で、頼もしいイメージだ」
 それを聞いた二人はクスクス笑った。何故笑っているのだろうとシャドウが思い始めた時、エイリアが口を開いた。
「それって、私達が思うシャドウのイメージみたいだよ」
 そうなのだろうか。僕は、とシャドウは思った。だが、すぐに別のことを考えた。何故スーマの話をしているのだろう。二人はいつも他愛のないことを話して笑いあっていることが多かった。確かに今回も笑っているが、スーマの話で笑おうなんて何故思いついたのだろう。シャドウが理由を訊くと、エイリアはこう答えた。
「ちょっとスーマって怖いからさ。少しでもイメージを和らげようと思って」
 怖い、か。やはり、神を見たものにとって、神の存在は大きいものなのか。僕は見たことがないからか、恐怖の念を抱くことはない。いや、見たことがないのに、頼もしいイメージを具体的に感じられるのは何故だろう。スーマ、という名前から何かの印象を受けているのだろうか。シャドウがそんなことを考えていると、
「でも、話してたらなんか可愛く思えてきちゃったよね。次会ったら笑っちゃうかも」
と、ラルドが言った。確かに、この程度の意識でいいのかもしれない。確かにこの旅の中で恐怖といえるものに直面することは少なくないだろう。だが、恐怖に支配されるようなことがあってはデメリットが多い。こうやって自ら恐怖を克服できれば、よほどのことがない限り良い方向へ向かっていけるだろう。
 そして、シャドウは自分の部屋へ戻り、到着までの時間を寝て過ごした。
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 ダーク  - 09/8/19(水) 14:49 -
  
また時間が大きく開いてしまってすみませんでした。

今回の話に対する意見があればよろしくお願いします。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十話
 ダーク  - 09/8/21(金) 11:06 -
  
 カイセンタウンは町の中にも川のように水が流れている不思議な町だった。家は水に浮かぶように建てられているが、何故水の上に建てられるのだろう。やや高めの位置にある家の玄関に続く階段が全ての家に見られた。川を小さなボートで移動して、階段の前に止めて家に入る、というのがこの町の常識らしい。だが、陸地がないわけでもなかった。ところどころに、川に沿うように陸地があったりして、独特の雰囲気を醸し出していた。この町は雨が降ったら大変なのだろう、とシャドウは思った。そういえば、昨日の夜に少し雨が降っていたが、この町にはあまり降らなかったのだろうか。
 港に立っている仲間達は慣れない船旅のせいか、やや疲労気味に見える。睡眠をとっても慣れないところへいると疲れるのだろう。しかし、マッスルはそれほど疲れているようには見えない。首を回したり、腕を伸ばしたりしている。体をほぐし終わったのか、マッスルが口を開いた。
「で、この後どうするんだ?」
 他の仲間達はシャドウを見た。予定は考えておいていたが、まだ仲間達には言っていない。船の中では、とにかく休んでほしかったからだ。
「西へ向かう。キャプシティに行かなければならない」
 あの荒野にはソニックがいる。近辺の町へ被害を出していなければいいが、その可能性は少ないだろう。何故なら、ソニックは荒野を任されていた者だからだ。これまでも荒野を任されていて、近辺の町に被害が出ないということは、荒野を任された命令を守っているのだろう。
 そして、キャプシティにはオルドがいる。

 シャドウ達は、マール星の地図帳を一冊買った。どうやら、キャプシティまではそう遠くないようだ。地図帳を買う過程であまり大きくないボートを借りて店を何件か廻ったが、その中で見た情報誌にヘルゼアス大陸のことが書かれていた。

「ヘルゼアスの誕生」

 見出しにそう書かれた記事には、ヘルゼアス大陸の3つの国が合併したと書かれていた。ヘルズの王は元々名だけであったようで、反対意見もほとんどなくゼアスの王がヘルゼアスの王となったらしい。セイのことについては、合併した、としか書かれていなかった。そういえば、あの二人はどうなったのだろうか。
「じゃあ、もうこの町を出発する?」
 仲間達にそう尋ねたのはラルドだった。仲間達は肯定し、すぐに町を発つことになった。
 町の出入口は1つしかなく、それも川の上をボートで出入りしなくてはならなかった。町を出ると大きな円形の湖のような場所に出た。大きな杭が湖を囲むように打ち付けられていて、そこにボートをロープで繋ぐようだ。シャドウ達もボートを杭に繋ぎ、キャプシティに向けて歩き出した。一つ山を越えて少し歩けばすぐに着く。それに、山といってもそれほど高くない小さな山だ。
 だが、実際に山の近くまで来てみると山には林が茂っていた。木を刈って作ったような道もあったが、やけにうねった道である。しかし、道はそれしかないようなので、シャドウ達はその道を行くことにした。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十一話
 ダーク  - 09/8/28(金) 14:41 -
  
 けもの道のような山道は、やはり進みづらかった。さらに、道が曲がりくねっているので歩く距離もその分長い。シャドウはそれらをあまり苦とは感じなかったが、大きな羽が木に引っ掛かったりするナイツや、体力が少ないバウスは苦労している。そして、何よりも気がかりなのはラルドだ。ラルドは黙々と歩き続けているが、閃光で貫かれた方の肩――つまり右肩――を庇っているような印象を受ける。道を塞ぐように倒れていた木を乗り越える時も、右手は木に添える程度にしか使っていなかった。
「おい、ラルド」
 突然、そう声をかけたのはマッスルだった。シャドウは歩きをとめ、ラルドの方を見る。仲間達もそれに倣った。
「肩、痛いんじゃないのか?」
 マッスルのその言葉に、ラルドは自分の肩に目を向ける。そして、少し時間を置いてから答えた。
「少しね」
 シャドウとマッスル以外の仲間達はそれを聞いて驚いている。気付いていなかったようだ。悲しいような顔をしたエイリアがラルドに近づいて回復を試みようとするが、ラルドはそれを止めた。驚いたエイリアに、ラルドは諭すように言う。
「水の回復魔法は、細胞と細胞を仮に繋げあわせた上で、細胞の回復を促進する魔法。魔法のレベルが高ければ高いほど回復は速くなって、魔法持続時間も長くなる。だから、今魔法をかけても回復は速くならないんだよ。それに、あの時かけてくれたエイリアの水の魔法はまだ持続してる」
 エイリアは何も言えなくなってしまったようだ。それでも何かをしようという気持ちが挙動となって表れている。ラルドもそれが解っているようで、言葉を付け足した。
「ここまで回復できたのはエイリアのお陰なんだからね。もう少し時間が経てばもう治るよ。ありがとね」
 それでもエイリアは、自分の未熟さを責めるかのように、でも、といって黙ってしまった。ラルドはその後もエイリアを励ましていたが、しばらくして、マッスルが口を開いたことによって話は変わった。
「消滅魔法っていうのはそういうもんなんだろ。それで、ラルド。これからどうするんだ?」
 ラルドは、意味がよく分からない、といったような顔をした。そして、案の定こう言った。
「どういうこと?」
 やはり、とシャドウは思った。ラルドは意味が分かっていてしらばっくれているのだ。ラルドはこの後も戦おうとしている。だが、このあとラルドを戦わせるわけにはいかない。
「解っているだろう、ラルド」
 シャドウが言うと、ラルドはしばらく黙ってから言った。
「私はできれば戦いたい」
 やはり解っていたのだ。だが、ラルドは戦うことで仲間達に迷惑をかけることも解っている。できれば、という言葉がこちらに選択の余地を与えている。
「次はキャプシティで休んでいてくれないか」
 シャドウがそういうと、ラルドはしぶしぶうなずいた。しばらくしてから、ラルドは付け加えるように言った。
「しばらく治らなかったらどうするの?」
「治るまで戦闘には加わらない方が良いだろう」
 ラルドはシャドウに即答され、また黙ってうなずいた。そして、シャドウ達はまた歩みを進め始めた。
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訂正
 ダーク  - 09/8/28(金) 14:45 -
  
後ろから3行目。

× 山には林が茂っていた。
○ 山には林が茂っていることがわかった。

すみませんでした。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十二話
 ダーク  - 09/8/29(土) 14:35 -
  
 山を越えると、遠くの方にキャプシティが見えた。ここからは舗装された道になり、特に障害もなく辿り着けるだろう。そして、オルドに会って僕達が持っている記憶の中で一番強い者、つまりあのソニックの分身に近いものを出現させる。これはある程度の実力の目安にはなるはずだ。記憶の実体化、あの能力は本物なのだ。
 山を下っている途中、キャプシティに行く理由をマッスルに尋ねられたので、オルドに会うことは既に仲間達へと伝えた。仲間達の中でオルドに警戒心を持っているものはもういないようで、どちらかというとまた会えるのを楽しみにしているといった様子だ。マッスルはクロアにまた会いたいということを言っていたが、さすがにクロアはもういないだろう。僕はカオスィヴと会って色々なことを聞きたいのだが、彼ももういないだろう。カオスィヴは、確実に僕達では知りえないことを知っている。次に会った時は、何かを聞き出してみよう。
 そんなことを考えながらキャプシティへと続く道を歩いていると、ふとマッスルが口を開いた。
「そういえば、ラルド。さっき、水の魔法がどうたらって言ってたよな」
 突然、先程の会話の続きがやってきたのでラルドはやや驚きながらもうなずいていた。
「ラルドが倒れたとき、俺、シャドウと必死に水の魔法をかけてたんだけど、あの、なんだ。さっきの説明でいくと、俺の魔法は殆ど、というか全部無意味だったのか?」
 なるほど、僕の水の魔法でマッスルの水の魔法はかき消された状態になっていたということか。確かに先程の説明が正しいのなら、魔法のレベルが高い僕の水の魔法が優先され、そうなるだろう。事実もそうだったようで、ラルドは答えにくそうにしている。そして結局、
「気持ちはいっぱいもらったから」
 と苦し紛れに答えていた。マッスルもぎこちない笑顔で、そうか、などと言っていた。そして、仲間達が騒ぎながら進むといういつもの光景が見られた。

 キャプシティに着いてまず向かったのは町長のいる役場だった。役場では僕達は歓迎され、町長がいる部屋へと招かれた。町長は開かれたドアの向こうにいる僕達に驚き、そして大いに喜んだ。事情を話すとオルドの店まで案内すると立ち上がった町長を、ナイツが丁寧に断ってまた座らせた。町長の話によると、オルドの店は武器屋兼鍛冶屋となったらしい。客の要望を聞くと、持ち前の能力で客の記憶から要望されたものを実体化し、それを見本に武器を作るらしい。さらに、最近はメカチャオが増えたことによって退治をしようとする旅をする者が増え、需要もあるそうだ。旅をする者といえば、何故彼らは旅をしているのだろう。メカチャオが現れる以前にも旅をする者はいたそうだ。もしかしたら、僕達と同じ理由で旅をしている者にその内会えるかも知れないな。

 オルドの店はそれほど大きくはないが、綺麗な外見だった。綺麗というよりは、こざっぱりとした、といった方が正確かもしれない。自分で作ったそうだが、やはり周りの建築物と比べると無駄が少ない。装飾品は一切付いていない。だが、人気があるということは、やはり実用性は重要なのだろう。僕達の前に一人のチャオが入っていくのが見えた。
 店に入ると早速、オルドが剣か何かの武器を作っているところが見られた。僕達の先に入ったチャオは注文をしただけのようで、すぐに出て行った。武器を作っているオルドはかなり集中しているようなので、しばらく眺めていた。そして、オルドが一息ついた頃にオルドは僕達に気付いた。
「シャドウ様!」
 そういって狂喜したオルドをひとまず落ち着かせ、事情を話すと快く受け入れてくれた。話はスムーズに進み、このあとすぐに以前マリィとナルのコンサートがあったスタジアムへ行くことになった。
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訂正
 ダーク  - 09/8/29(土) 23:35 -
  
18行目、19行目。

× だから、今魔法をかけても回復は速くならないんだよ。それに、あの時かけてくれたエイリアの水の魔法はまだ持続してる
○ 今もあの時かけてくれたエイリアの水の魔法はまだ持続してる。だから、今魔法をかけても回復は速くならないんだよ

度々すみません。
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 十三話
 ダーク  - 09/8/30(日) 14:00 -
  
 スタジアムにて、オルドの能力によって現れたソニックと戦った僕達は、スタジアムの床に倒れていた。間一髪のところでオルドが実体化されたソニックを消さなければ、重傷だったかもしれない。仲間達に意識はあるようだ。
「まさか、僕でもコントロールできないなんて」
 オルド自身も驚愕している。どうやら、実体化したソニックをコントロールできなかったようだ。まさか記憶の中から出てきたソニックも、自由奔放なヤツだとは。もしかしたら、僕達が感じていた自由奔放な印象がこの結果になったのかもしれない。
 オルドは我に返ったようで、仲間達のもとに駆け寄って言葉をかけている。仲間達は起き上がって、痛みに顔を歪ませている。その中に、ラルドの姿はない。このスタジアムへ来る前に、また役場へと戻らせたのだ。戻らせて正解だった。
 戦闘はすぐに終わった。オルドがソニックを出現させてから、三秒もかかっていないだろう。現れてすぐに剣を振ったと解った頃には、床はえぐれ、僕達は吹き飛ばされていた。あの荒野で見た凄まじい威力の技だ。すぐに二発目を放とうとしているソニックを見たオルドが戦闘を止めたのだ。
 仲間達は回復魔法をかけあい、回復した。さすがに二戦目を始めることはない。これほどまでに実力に差が開いているのに戦ったところで何が得られるのか。もはや遊び程度にしかならない。だが、このまま何もしないわけにもいかない。僕達にはソニックを元に戻す責任がある。そのためには、何をすべきか。何をすべきか。ナニヲスベキカ。

 ラルドにソニックに負けたことを話すと、複雑な表情をしていた。確かに、なんと言っていいのか解らないだろう。結局、僕も何をすべきか解らなかった。選択肢すら現れない。だが、そんな時に信じられない事態が発生した。ソニックが町へとやってきたのだ。

 キャプシティのギルダンタウン側にある出入口に現れたソニックは、僕達が現れると溜息をついた。幸いにも、ソニックはここへ来てから何もしていないらしい。
「あっちの大陸は楽しかったか?」
 ソニックはそういってこちらへと近づいてきた。あっちの大陸、というのはヘルゼアス大陸のことだろう。まさか、ソニックはヘルゼアス大陸を狙って僕達を飛ばしたのだろうか。
「待ちくたびれた頃に、なんとなくフラフラ来たらお前達がいたなんて、神は俺達を戦わせたいのか?」
 ソニックはこんなことを言いながら笑っているが、戦う気が全く見られない。何が目的なのか。その疑問をソニックにぶつけると、ソニックは一言で答えた。
「暇つぶし」
 暇つぶし。やはり、全く考えていることが解らない。まさか、暇つぶしに町を破壊しに来たのではないだろうな。そうなったら、状況はかなり厳しい。僕達はソニックにまだ手も足も出ない状態なのだ。それを先程実感したばかりだ。が、ソニックはそんな心配をよそに、
「そろそろ戻ろうかな。暇なんだから早く来てくれよ?」
 といって、僕達に背を向けた。
「待て。意味が解らない。お前は何がしたい」
 本当はここでおとなしく帰ってもらう方が良かったのかもしれない。だが、ここが何か重要な分岐点のような気がしたのだ。ここで帰したら、コイツに対する質問の答えは二度と聞けなくなる。そして、ソニックはゆっくり振り返ってこう答えた。
「なぁ、シャドウ。意味なんてなくてもいいじゃねぇか。俺がどこを歩こうが、何を壊そうが何も意味なんてない。意味なんて生き物が勝手につけるもんだろ?そんなもんに縛られても俺はつまらない。だから俺は自由にする」
 ソニックはそういって町から遠ざかっていった。この答えは、何故か僕をやるせない気持ちにさせた。
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