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☆★☆週刊チャオ チャオ生誕10周年記念特別号☆★... チャピル 08/12/23(火) 0:00
☆★☆読みきり作品☆★☆ チャピル 08/12/23(火) 0:00
2メートル50センチ --1 チャピル 08/12/23(火) 0:01
2メートル50センチ --2 チャピル 08/12/23(火) 0:04
2メートル50センチ --3 チャピル 08/12/23(火) 0:04
2メートル50センチ --4 チャピル 08/12/23(火) 0:04
2メートル50センチ --5 チャピル 08/12/23(火) 0:04
もみの木の夜明け〜クリスマス前 チャピル 08/12/23(火) 0:01
もみの木の夜明け〜イブの夜 チャピル 08/12/23(火) 0:05
もみの木の夜明け チャピル 08/12/23(火) 0:07
もみの木の夜明け〜おまけ チャピル 08/12/23(火) 0:08 [添付]
【REMEMBER!![リメンバー!!]】 ホップスター 08/12/23(火) 0:04
:【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.1 鳴動 ホップスター 08/12/23(火) 0:04
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.2 胎動 ホップスター 08/12/23(火) 0:06
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.3 始動 ホップスター 08/12/23(火) 0:07
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.4 反動 ホップスター 08/12/23(火) 0:07
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.5 煽動 ホップスター 08/12/23(火) 0:08
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.6 脈動 ホップスター 08/12/23(火) 0:09
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.7 躍動 ホップスター 08/12/23(火) 0:10
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.8 衝動 ホップスター 08/12/23(火) 0:10
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.9 激動 ホップスター 08/12/23(火) 0:11
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Final.Act 不動 ホップスター 08/12/23(火) 0:12
オマケ:戯言 ホップスター 08/12/23(火) 0:20
【Lost Decade Chronicle】その1 ホップスター 08/12/23(火) 0:13
【Lost Decade Chronicle】その2 ホップスター 08/12/23(火) 0:14
【Lost Decade Chronicle】その3 ホップスター 08/12/23(火) 0:15
【Lost Decade Chronicle】その4 ホップスター 08/12/23(火) 0:16
【Lost Decade Chronicle】その5 ホップスター 08/12/23(火) 0:17
【Lost Decade Chronicle】余録 ホップスター 08/12/23(火) 0:18
チャオとサンタさん DX 08/12/23(火) 8:09
けいりん論 スマッシュ 08/12/23(火) 9:50
チャオのはね 宣伝編 スマッシュ 08/12/23(火) 9:53
『チャオ生誕10周年 〜感謝祭〜』 斬守 08/12/23(火) 13:38
チャオを見送る会in夢の森 銀音(元銀鉄) 08/12/23(火) 18:44
チャオを見送る会in夢の森 part2 銀音(元銀鉄) 08/12/23(火) 23:34
ニコとタローとほしのふるよる ぺっく・ぴーす 08/12/23(火) 19:13
とある青年の一日 DX 08/12/23(火) 20:05
☆★☆連載作品☆★☆ チャピル 08/12/23(火) 0:00
Macgafin? (仮) ぺっく・ぴーす 08/12/23(火) 20:37
07:34 ぺっく・ぴーす 08/12/23(火) 20:40
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二話 ダーク 08/12/25(木) 14:40
シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 三話 ダーク 08/12/25(木) 15:44
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ チャピル 08/12/23(火) 0:01

☆★☆週刊チャオ チャオ生誕10周年記念特別号☆...
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:00 -
  
〜あらすじ〜
事件の黒幕セティとDXエアーの一味は、ふうりん救出特殊部隊を捕らえた。
セティの正体に気づき、ステーションスクエアへと向かうふうりんとキョーバ君。
かいろ君と放送作家は、まだ状況が飲み込めていない。セティに銃口を向けられたキョーバ君は、にやりと笑い、言った。
「あなたに私は撃てません」
次の瞬間、キョーバ君の頭上を弾丸が駆け抜けた。
キョーバ君と放送作家を乗せたリフトががくんと降下する。
最上階と同等の高さ、屋上から見て死角となる位置に停止し、様子を伺う。

☆★☆ 週刊チャオの表紙 - Last Episode ☆★☆
        最終話 「爆発オチ」

【チャピル】「爆発オチって、自分としては、あまり好きじゃなかったんですけどね……」
【けいりん】「うわーいきなり自分語り始めてるー! きもいよこの人ー!!」
【チャピル】「げふんげふん……こんな状況でも容赦ないっすね。いや、でも理由もありますよ。爆発オチってずるいじゃないですか。爆発したのにそれがなかったことになるなんて」
【けいりん】「シリアスな話を書くときは、それに見合うような、シビアな世界観にしろってことっすねー」

【チャピル】「……けいりんと一緒にいることができてよかったとか言ったら、怒りますか?」
【けいりん】「むしろ天国で言いふらす」
【チャピル】「天国に逝くつもりなんですか!! 地獄じゃなくて!!」

つんつんと、チャピルの背中を後ろからつつくものがある。
振り返ってみると、そこには羽ばたいて空中に静止する、ふうりんの姿が!
「ふ……んんんんんんん!」
つい声を上げてしまいそうになったチャピルの口をふうりんが塞ぐ。
チャピルが落ち着いたのを確認してから、ふうりんは囁いた。
「今からこの縄をほどきますが、すぐには動き出さないでください。このあと私がセティを引きつけます。それを見計らって、一気に動くように、他の3方にも伝えてください」

▼週刊チャオとは▼
チャオBBS内で、自分の考えたチャオに関する小説などを、みんなが書き込むツリーのことです。
週チャオに小説を載せるのには、何の資格も要りません。
また、小説以外にも、詩、俳句、歌など、文学作品なら何でもOKです。

なお作品への感想は上の「感想・伝言ツリー」へお願いします。

▼作者の方へのお願い▼
・読み切りか連載かによって投稿する場所が違います。適切なコーナーにレスをして書いてください。

・読者の人が見やすいよう、短文でいくつもレスを付けて続きを書いていかずに、なるべくひとつの発言の字数制限いっぱいまで追加しましょう。
・見やすくするために、2つ以上のレスを使うお話の場合、多段レスをせずに2つ目以降は全て1つ目にレスするようにし、一段になるようにしましょう。

× ├チャオのお話・1話  ソネック
    └チャオのお話・2話  ソネック
      └チャオのお話・3話  ソネック

○ ├チャオのお話・1話 ソネック
    ├チャオのお話・2話 ソネック
    └チャオのお話・3話 ソネック

●○発刊場所の臨時変更について○●
この度は、CHAO BBSがメンテナンスから復旧しない状況が長く続いているため、
ここ「週刊チャオ編集部 サークル掲示板」にて臨時の発刊を行うこととなりました。
CHAO BBSが復旧するまで、週刊チャオはこちらの掲示板に掲載されます。

基本的にはCHAO BBSの時と同様に週刊チャオを利用していただきたいのですが、実際のところ、いくつかの動作に違いがあります。
また、その他の詳細についても、ろっどさんが週刊チャオ331号発刊に関するお知らせにまとめられているので、詳しくはそちらをご覧下さい。

●○週刊チャオのQ&A○●

【私も週刊チャオに、小説を書きたいのですがいいですか?】
週刊チャオは誰でも、いつでも参加できるツリーです。
参加は自由なので書き込むのに許可や登録はいりません。
いい小説ができたら、ぜひ一度書いてみてください。

【今日途中まで書いたけど疲れちゃった。まだ明日続きを書く予定なんだけど…】
そんな時はタイトルの中に「未完成」や「今週続きあり」などをいれておくのが読者
のみなさんのためにいいでしょう。あまり無理をせず自分のペースで書いていきましょう。

【書いた小説の著作権についてはどうなるの?】
基本的に各作者にありますが、週刊チャオ編集部に限って無断転載ができるものとします。


凛とした声が、水色の小さな体が、屋上に現れた。
「ふうりん……」
「あら、遅かったじゃない」
「あなた方が何を企んでいるのかは知りませんが、キョーバ君を危険に晒すのは、感心しませんね」

屋上の階段から、黒衣をまとったリーダーも現れる。
「なぜわざわざあなたがたを倉庫に誘ったか、だって?」
リーダーの口から犬歯が覗く。
「その方がドラマチックだからですよ。一つでもドラマが増えた方が、私たちには有利に働く」
リーダーがまだ何か言おうとするのを、セティが遮った。
「これ以上説明する必要もないでしょう。準備は整ったみたい」
セティの姿が、階下へと消える。
リーダーは振り向きざまに、チャピル達に向かって言った。
「聖誕祭に大作を用意していると投書したんですが、忘れてしまわれましたかね?」


次の瞬間だった。
週刊チャオ編集部の屋上が、強烈な縦揺れを始めた。
「地震か!?」
違う。
「きょおおおおばくうううんん!!!!!」
かいろ君が叫ぶのと、リフトに乗ったキョーバ君たちが、窓を蹴破るのとが同時だった。
最上階。キョーバ君は辺りを見回す。そして、走り行くリーダーのしっぽを見つけた。
「あっちです!」

編集部最上階に位置する掃除用具置き場。またの名を、裏の資料室。
週刊チャオの重要な根幹を成していながら、様々な事情で表向きには公開できないような資料の含まれる、暗黒の領域。
キョーバ君らが駆け込んだときには、既に遅し。
「どういうことだこれは……」
放送作家の口から漏れた言葉が、最も状況を的確に言い表していた。

その頃屋上では、揺れの第2波がチャピル達を襲っていた。
もうなりふり構っていられない。必死で掴まって、耐える。
「な、何!」
頭上の空にも、異変が起きていた。

編集部の上空に闇が、まるで全てを丸ごと吸い取ってしまうかのような闇が、現れた。
どこからとも分からない。セティとリーダーの高笑いが、かいろ君やチャピル達を取り巻く。
「我々は!! ついに完成させた!!!」
「時限を! 空想という名の外枠を超え! 世界のありとあらゆる事象を支配するだけの力を!!」
「この編集部に収まる膨大な世界観!!! 1200もの次元のひずみ!!!」
「闇の資料室に蔓延るダークエネルギーを、人類はついに制御した!!」
呆然として、渦巻く空を見上げるけいりん。
「まさか週チャオに書き込まれた作品のそれぞれの世界観。それが持つエネルギーを、全て吸収したとでも……」
「研究の成果が、ついに結ばれた!!」
「にゃあ(聖誕祭の大作……週チャオに投稿されてきた全ての作品の融合体が、この空に集まっているということか!?)」
「聖誕祭に高まったチャオラーの想像力が、いい感じに世界を構築していってる!! これほど今回の式典にふさわしい舞台はないわ!!!!」
「この場合チャオラーの妄想にも、感謝してやるべきなのか!? ハッハッハ……」
暗雲は渦を巻きながら徐々に拡大し、空を覆い尽くそうとしていた。


「くっそおおおおお!!!!!」
何者かが、屋上のコンクリートを、思い切り殴った。誰が殴っているのかは見えないが、音なら分かる。DXエアーだ。
「これが!! これが奴らの目的だったなんて!!」
もう1発、2発、虚しい音が響き渡る。
「チャオの普及がセティさんの理想だと、そう思ってついてきたのにッ!!」

かいろ君が、DXエアーの肩にポンと手を乗せた。
「そのとおりだああああああ!!!!!!」
驚くDXエアー。
「今のボクには、お前の姿がはっきりと目に見えるぜ!!!! そうだ。あんなのチャオ小説じゃない!!! 偽物だああああ!!!!!」
かいろ君は拳を思い切り、天空へと突き上げる。
「あれがお前達のチャオか!? お前達のチャオ小説か!?」

「確かに!!!」
シグマが立ち上がった。
「俺たちの作ってきたのが、あんなわけの分からないものだってんなら、お笑いだな!!」
「……にゃあ!!!」
「私たちは!!!!!」

編集部ビルを第3の揺れが襲う。しかし、もう誰も動じない。
ビルはきらきらと輝いていた。新しいことが始まる予感。
「なんか良く分からないけど! 資料室がいきなり光り始めたんです!!」
キョーバ君の声と共に、見たこともないようなキャラ達が、次々に屋上へと飛び出してきた。
「すごい!!!!」
「私たちのチャオ小説は、決してあんな暗雲ではない!!」
「これが……ボクたち……!!」

「グラビティフィールドオープン!」
「男なら勇気を持て!」
「いわゆるひとつのメークミラクルを起こしましょ〜よ」
「チククも行く!」
「Don't try to be a hero」
「決心がついたかどうかはわからねぇ、でもな、今やらなけりゃあ後はねぇ!!!」
屋上に集まるチャオの数は、どんどんと増えていく。
彼らは皆、過去の週チャオに投稿された作品のキャラクターだ。

「誰だこいつら!!?」
シグマの疑問に答えるのはチャピルのスマイル。
「ライブラリーを見てね!!!」
そんな会話の合間にも、刻一刻と増えていく屋上のキャラたち。

「まずいです! このままだと、自重でビルがつぶれてしまう!」
「いいぞおおおおおおお!!!! もっと来い!!!!」
「かいろくん!!」

「自分が皆を護る!」
「あ〜もう『無謀です』が遺言になっちゃうです」
「ダッコするにはいろんなテクニックが必要だぞ、チャイキー」
「死ね! 猫にゲーム機蹴られて死ね!」
「だーはははははは!」
「アタマ〜アタマ〜アタマ〜 アタマ〜を〜食べ〜ると〜♪」
「小説新人は大抵、主人公が超必殺技を使って勝ちます」

ビルが小刻みに振動し始める。揺れの第4波が、
「キタキタキタキタアアアアアアアア!!!!!!」
週刊チャオ編集部ビルを、浮かび上がらせた。
屋上から身を乗り出し、階下を臨んで、揺れの正体が分かった。オモチャオが、人型ロボットが、チャオウォーカーが、週刊チャオにかつて登場したメカ類が、このビルを押し上げ、ゆっくりと上昇させている。

「ヴィクトリー6号機、発進!!」
「進化したチャオバトラー、その名は、チャオバスター!」
「チャオレンジャーロボX、発進するのだ!!!」
「大気圏突入! 大気圏突入モード!!」
「マグナム、はっし〜ん!!」
「そういや、何でマグナムって名前なんだ? この飛行機・・・・・・」
「そりゃ、ソニックときたらマグナムしかないでしょ!!」
屋上以外にも、編集部ビルの至る所に、他作品のキャラが集まってきている。

「そんな! この世界観統合エネルギーを制御するのは、常態では不可能なはず!!!」
「この伏線因果宇宙の中で、そんなめちゃくちゃな展開は通用しない!!!!」
リーダーの声と共に、ビルの加速度が一段と増した。暗雲へぐんぐんと近づいていく。凄まじい風で、屋上にいた何人かが暗雲の中へと吸い込まれていく。
「どうなってるんだ!!」
「彼らは膨大なエネルギーと質量を一点に集め、ブラックホールとして作用しているのです!!! このままでは、押しつぶされてお陀仏です!!!!」
しかし、ふうりんの叫びは、集まったたくさんのチャオたちの声にかき消された。
「構うものかああああああああああ!!!!!!」
「そうだああああああ!!! その通りだああああ!!!」
「奴らに吸い込まれてしまう前に、俺たちが撃ち落とす!!!」
そう言って思い思いの武器を手に取る。
ふうりんは呆然と立ち尽くした。
「みんな……」
「Don't make me sad!」
そんなふうりんの目の前にあらわれるのは、ゴキ吉。そう、以前ネタ半分で書いた作品も、きちんと週刊チャオの歴史として、組み込まれていたのだ。

チャピルはあの暗雲の中にいるであろう、セティとリーダーに、見栄張って宣言する。
「ここは伏線因果宇宙ではありません!!!!」
「何が言いたい!?」
「チャオ達がいつでも主人公になれる宇宙です!!!! チャオを敵にした時点で、あなた方に勝ち目はない!!!!!」
「何……だと……?」
編集部ビルの推進力はぐんぐんと上昇していた。
パーフェクトカオスウェーブはビーム弾をまき散らし、人工チャオジェノムはレーザーをぶちかまし、フライヤはちょっとずれたことを言い、ダークチャオとヒーローチャオは歌を歌い、ライトカオス様はエッチなことを考え、チャクロンは寝ている!

「シュヴァルツシルト半径! 突入します!!!」
「行くぜええええええ!!!!!」
「もちろん!!!!!!!」
「俺たちの変化の見せ所だ!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

「ドラゴン・フレア!!!」
「ホーミングレーザー!!!!!」
「友情奥義!!ダン・パンチ!!!!!」
「封印されし究極魔法……レインボーダスト!!」
「カオス・アベレイジ……!!」
「ロケットランチャー!!!!」
「ダブル・スピリッツ・ジ・オーシャン!!!」
「サイコロジカルレクイエムッ!!!」
「カイゼル・ジルヴァンヴォルフッ!!!!!」
「カオス・バースト!!!!!!!」
「皆、心を1つに! あいつに俺たちのエレメンタルを!」
誰も自分の最大の力を出すことを惜しまない。
攻撃が効いているかどうかは分からなかった。しかし、誰もがこの瞬間に、生き生きとして、輝いていた。
そして、それら作品を束ねるのは……

「ああああああ!!!!!! 俺たちのおおおおおお!!!!! 表紙はあああああああああ!!!!!!」
かいろ君が音頭をとる。
「チャオと!!!!!」
「チャオラーと!!!!!」
「にゃあ(猫と)!!!!!」
「けいりんと!!!!!」
「空気と!!!!!」
「オモチャオのおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

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☆★☆★

週刊チャオは、毎週進む。毎週一号ずつ、ちょっとずつだけど、進んでいく。

「俺たちのおおおおおおおおおおお未来だああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


莫大なエネルギーが、いや、エネルギーを超えた何かが、編集部ビル内に充満していた。
皆が思い思いの言葉を紡いでいく。
『私はここに居ます』
新しい物語、未来誕生の瞬間だった。


ブラックホールに入った物は、光でさえも抜け出すことはできない。その常識は、覆された。
ガス幕をぶち抜くビル。
セティとリーダーを渦巻いていた暗雲は、
まるで聖誕祭を祝福する花火のように、
爆発した。


週刊チャオは本号を最終号とし、2008年の終了と共に休刊とさせていただきます。
長い間のご愛読、ご投稿、本当にありがとうございました。
読者も、作家も、編集部を内側から支えていてくださった方々も、誰が欠けてもこの7年間はこのようなカタチで終わりを迎えることにはならなかったでしょう。
そして、私たちを結びつけてくれた「チャオ」
チャオを愛する人々の創作活動の場として、チャオを愛する人々の架け橋として、週刊チャオはその役割を終えました。
しかし、これはチャオを愛する我々の心が絶えてしまったことを、我々のつながりが雲散霧消していくことを意味するのではありません。
願わくばこれからも、チャオのことを、そして週刊チャオのことを忘れずに……

聖誕祭盛り上げよーぜ!!!!!
引用なし
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☆★☆読みきり作品☆★☆
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:00 -
  
一回限りのお話、詩、短歌、歌などの投稿はこちらへどうぞ。
詳しくは、週刊チャオ表紙の「作者の方へのお願い」を、ご覧下さい。
引用なし
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☆★☆連載作品☆★☆
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:00 -
  
連載作品はこちらへどうぞ。
詳しくは、週刊チャオ表紙の「作者の方へのお願い」を、ご覧下さい。


※連載作家様へ※

週刊チャオ休刊後も作品の連載を続けたい場合、サークル掲示板に独自のツリーを立てて、そこで連載を続ける事ができます。
また、その他独自の手段で連載を続ける場合には、読者の方のために、その旨を明記しておいていただけるとありがたいです。

週刊チャオライブラリーの更新は、週刊チャオ休刊後も当分の間続ける予定です。
ただし、この更新を行うためには、個別に作者の方の認可いただけることが条件となります。(週刊チャオ、およびサークル掲示板外に掲載された作品については、著作権に関する規定が存在しないため)
よければどこか感想コーナーの端にでも、その是非を書いていただけると助かります。
引用なし
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☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:01 -
  
【ふうりん】「表紙 Last Episodeはフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません」
【かいろ】「今まで週刊チャオの表紙を応援してくれて、本当にありがとう!!!! ボクはもう、何て言ったらいいのか・・・グスン」
【チャピル】「長い間のご愛読、本当にありがとう御座いました。このオチに対して石を投げるよりも、むしろ聖誕祭を一緒になって祝う、その一つの要素として考えていただければ幸いです」
【ふうりん】「あなたが言いますか」
【チャピル】「はい、すいません」

これより下に発言を書かれた方は☆★☆週刊チャオ チャオ生誕10周年記念特別号☆★☆を一度よく読んでから
週チャオに参加してみてください。
引用なし
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2メートル50センチ --1
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:01 -
  
僕はため息をつく。
まさか旧友との再会がこんなにも疲れるものだなんて、思いもよらなかった。
昔は何の隔たりもなかった二人が、今ではこんなに気を使ってしまうのはなぜだろう。
それがつまり、仲違いというものなのか?
いや、しかし彼は僕にとっていつまでも親友で、彼にとって僕もいつまでも親友だと、そう思う。でなければ、いくら誕生日が近いからといって、プレゼント交換のためにわざわざ時間を割いて再会しようなどということにはならなかったはずだ。
……それだけが親友として、本当にするべきことなのだろうか。
僕には分からない。僕が何をすればいいのか。

再会前に感じていた不安の二割は喜びへと昇華した。でも、残りの八割はこの、ぐるぐると渦巻く、何とも言えない心の重荷として僕にのしかかっている。
何だろうこの気持ちっ!……なんて、ナックルズのような台詞を言ったところで、彼には分からないんだろうな……
彼がソニックXを見ていたという話を、僕は聞いたことがない。
そう、彼はもうチャオを育てていないし、ゲームもほとんどしないし、だから僕と彼の価値観は、あの時から大きく変わってしまった。
毎日のようにソニアドを共に攻略し、毎日のようにチャオの育成状況を報告し合ったあの日には、もう戻れない。


小学校を卒業すると、自動的に僕らは同じ地区の中学校へと進学できる。
だから僕は当然のように、彼と同じ中学校に行くものだと思っていた。学校がどうなろうと、放課後、彼と遊び続ける生活は変わらないものだと、思っていたのに。

中学校から本格的に勉強を開始するというのは、彼の両親の方針だったらしい。
彼は近所に一つだけある、国立大の付属中学の受験を決めていた。そしていつの間にかそこに受かって、彼の生活は、途端に忙しくなっていった。
時々彼の自宅まで遊びに行ってみると、話は出来るものの、一緒にスポーツやゲームをするような時間はなくなった。
それでも何度も彼と遊ぼうとしたのだが……いつからか、次第に僕も諦めに気づき始めた。
一応連絡を取り合っていたので、友人としての関係は維持できていた。けれど、それが僕には不満だった。

僕は小学校のときのような関係を望んでいたんだ。
端から見れば、それは幼稚な望みのように思われるかもしれない。
でも、遊びの時間というのが当時の僕にとっては、とても重要だったんだ。


二メートル五十センチという言葉が、僕の頭の中に浮かんできたのは、いつのことだろう。
もし、写真家が僕ら二人の距離感を表現する写真を撮るとしたら、写真家は僕と彼とを、二メートル五十センチ離して立たせて、それを撮る。
なぜならそれが、僕ら二人の距離感だからだ。
近いとも遠いとも言えない。
この距離を縮めるために、僕が必要とするのは時間である。それは分かっている。
でもその時間は、もうない。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10.5; ja-JP-mac; rv:1.9.0.5) Gecko/2...@ntttri018177.ttri.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp>

もみの木の夜明け〜クリスマス前
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:01 -
  
クリスマスのちょっと前の日のこと。
ソニックはチャオガーデンで、あの調査を始めることにしました。
腰をかがめて、できるだけさりげなく、近くにいたチャオに話しかけます。
「なあ、今年のクリスマスは、サンタさんに何を頼むつもりなんだ?」
話しかけられたチャオは、一瞬きょとんとしてから、うーんとうなって、それからポンと手を打ちました。
「やっぱり、今年の冬は、DSiちゃおね」
ここまではソニックの予想通り。ソニックはDSiの欠点をあらかじめメモしています。
「DSiってあれだろ。GBAスロットが廃止されたやつ」
しかしチャオの方も、負けてはいません。
「で、でもね! カメラだってついてるし! 音楽も聴けちゃうちゃおよ!」
「たった30万画素のカメラなんて、どこで使うのかなあ?」
ソニックのいじわるそうな顔が、チャオににじり寄ります。
「……どこで使ったって、チャオの勝手ちゃお!」
「それにお前、DSのゲームソフトを持ってたっけ?」
「う……」
「お前のことだから、DSiを持ったまま池に飛び込んで、すぐに壊してしまわないか心配だなあ」
「う、う……」
ソニックは立ち上がって、極めて明るく言い放ちます。
「もうちょっと、考えてみろよ」
プレゼント口論に負けたそのチャオは、がっくりとその場にひざを(ないけど)つきました。
そう、ソニックはクリスマスにチャオにプレゼントをするために、下調べをしている最中なのです。

ソニックは次のヒーローチャオに話を聞きます。
「なあ、今年のクリスマスプレゼントは?」
「待てちゃお!」
ヒーローチャオのするどい声と、その目つきに、ソニックはただならぬ気を感じました。
「ワタシが狙っているのは、あれちゃおよ〜」
ヒーローチャオの視線の先を辿ると、ガーデンのテレビにちんまりと映る、プレイステーション3。
「最高の映像美、最高のサウンド、最高のエクスペリエンスが、あの中には詰まっているちゃお〜」
ソニックはそれを聞いて超音速で、PS3のダメなところを書いたメモを取り出しました。
「そ、そのためにはまず、ハイデフテレビがないと楽しめないんじゃないかな?」
「フッフッフ……」
不敵な笑い声がチャオガーデンの向こう側、斜面の頂上から聞こえてきます。
「それならチャオが、ビエラをサンタさんに頼んでやるちゃお!」
青チャオの逆プレゼント予告。
「フッフッフ……」
不敵な笑い声が、今度は池の向こう側から聞こえてきます。
「じゃあチャオは、5.1チャンネルサラウンドシステムを!」
コドモチャオの逆プレゼント予告。
「フッフッフ……」
不敵な笑い声が、今度はやしの木の上から聞こえてきます。
「チャオはMGS4を頼むちゃお!」
震える声で、チャオに告げ口するソニック。
「あの、それCEROでDランク(※注:17才以上対象)……」
「サンタさんなら、たとえDランクでも、堂々と買ってこれるちゃお!」
やしの木の上に立つチャオがふんぞりかえって言い放ちます。
「ほんとはソニックワールドアドベンチャーが欲しかったちゃおけど、延期してしまうから、どうしようもないちゃおよ〜」
痛いところを突かれて、ソニックは困ってしまいました。
ソニック、15歳。肩書きは、苦労人。
「やれやれ……」
ソニックが失意のうちにチャオガーデンを去ろうとした、その時でした。
ぐすんと、だれかが泣くような声がしたのです。
お出かけマシーンのかげのところ、ふだんあまり目立たないダークチャオの子が、そこにはいました。
ソニックは近づいて、そっと話しかけます。
「どうしたんだい?」
でも、そのチャオはどうにもめそめそと背中をふるわせるだけで、何もしゃべろうとしない、いや、しゃべりたくてもしゃべれないようでした。そのチャオは、今にも泣き出しそうな様子で、くちびるを(ないけど)ぎゅっとかみしめていました。
「お前も、クリスマスに欲しいものがあるのか?」
ダークチャオは黙って首を横に振って、か細い声で言いました。
「チャオ……」
「ん?」
「チャオ……PS3もビエラも、5.1ナントカカントカも、買えないちゃお……」
明らかに落ち込んでいるダークチャオの声。
理由はよくわかりませんが、とりあえずソニックは励まします。
「お前が買えなくたって、サンタさんに頼めばいいじゃないか? なっ?」
「うーん……」
「Hey! 元気出せよ」
でも、ソニックがいくら励まそうとしても、ダークチャオは悲しそうな顔で、首を横に振るばかりなのでした。
「どうしてPS3やビエラを、お前が買わなくちゃならないんだ?」
「それは……言えないちゃお……」
ダークチャオはチャオガーデンのテレビの方に目をやって、それから「はあ」、とため息をつきます。
「そんなに急がなくても、ゆっくりリングを貯めて買えばいいじゃないか」
「ソニック……」
ダークチャオが振り向いて、ソニックの目をじっとり見つめます。
「お前、デリカシーがないって言われたことはないちゃおか?」
その言葉は矢となって、ソニックの心を突き刺しました。
「あ、あのなあ……」


ソニックはチャオガーデンを出たあと、超音速でステーションスクエアのおもちゃ屋さんへと向かいました。
店名のRが鏡文字になっていることが気になる、あのお店です。
ソニックはとてもじゃないけど、DSiやPS3をプレゼントしてやるつもりはありませんでした。ましてやビエラや、5.1チャンネルサラウンドシステムなんて。
もうちょっとチャオたちにもサンタクロースの財布の事情も考えてプレゼントを要求するようにしつけないといけないなと、ソニックは思いました。
「さーて、クリスマスプレゼントっと」
ソニックは買い物かごを手に取り、軽やかな足取りでおもちゃを見て回ります。
ミニカー、積み木、ぬいぐるみ、お絵描きセット……
チャオガーデンでの調査はあまり役に立ちませんでしたが、ソニックはもちろん、育てているチャオの好みをちゃんと知っています。
でも……
ソニックの手が止まりました。
(あいつには……?)
ふだん目立たないダークチャオ。その好みを考えて、ソニックは困ってしまいました。
こういうとき、いつもなら適当なおもちゃを選んでやるのですが、今日は事情が違います。あんなことを言われた手前、どうすればいいのか見当もつきません。
デリカシーなんて言葉、いったいどこで覚えてきたんでしょう。
「……ま、いっか」
ソニックは組んでいた両腕をふりほどきました。
「なんとかなるだろ」
ソニックは持ち前のポジティブシンキングを発揮して、買い物かごを手に、レジへと向かいます。ちゃんとプレゼント用の包装をしてもらうのも忘れずに。
サンタクロースがやって来る、数日前のお話です。
引用なし
パスワード
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:04 -
  
※最初に注意
このお話は、かなり早い段階で構想及び執筆に取り掛かっており、
「チャオBの終わらないメンテ」及び「週チャオの休刊」が全く想定に入っていません。
一応全力で修正して現状と矛盾点のないように仕上げましたが、ひょっとしたら修正しきれてないかもしれません。予めご了承ください。
(字数制限もチャオBを想定しているため、無駄に発言数が多いです…)
引用なし
パスワード
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 2.0.5...@122x210x150x178.ap122.ftth.ucom.ne.jp>

2メートル50センチ --2
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:04 -
  
彼と再会するきっかけとなったのは、ほんの些細なことだったのだけど、それは一つの誕生日メールだった。
もともと、僕と彼との誕生日は非常に近い。一日しか違わない。
だから僕らは小学校のときも出席番号が隣り合わせで、それをきっかけとして仲を深めていったように思う。
でも、それだけではない。

彼とは不思議と馬が合った。
例えば、小学校六年生の時に修学旅行があったのだが、あの時の僕らの班の計画は僕と彼の二人がいなければ決してまとまらなかったと断言できる。
互いに意見を交換すればするほど、彼と僕との間では、不思議な推進力が発生する。
僕のアイディアは彼によってより具体化され、それを僕が実行して……また逆も然り、というような、正の方向へのスパイラルが、僕ら二人の間ではいつも成り立っていた。
喧嘩したこともなかったと思う。
そしてそれぐらい仲が良かったのに、まるで兄弟のような間柄だったのに、いざ再会してみると、こんなにも違和感を感じてしまう。

彼は中学高校と必死に勉学に励み、社会の上へ上へと、一歩ずつ着実に歩みを進めていったのだろう。
一方の僕は、悠々と遊びに時間を費やして、他は割とほったらかしにしていたが、まあ、なんとかなっていたという、すごくいいかげんな人生だ。
僕がまだチャオを育てていると言うと、彼はとてもビックリしたというような顔をした。
今回の再会では、彼が僕の自宅へ訪問するような形だったので、ゲーム機を引っ張りだしてきて、一緒にチャオレースなどもやってみたのだけど、全く覚えていない様子だった。
それも仕方がないかと、僕は思った。
自分とて、今までにいつどのタイミングでチャオを止めていたか分からない。そんな僕が彼を責めることは出来ない。

なぜ僕がチャオを止められなかったかと言えば、それはおそらくCHAO BBSの存在を知ってしまったからだろう。
あそこで他のチャオファンとたくさんことによって、自分も、チャオブリーダーとしての知識も格段に身につけたのだから、チャオの奥深さに触れることが出来た。
でも、彼は違う。
彼の家にはもともとPCもネット環境もなかった。
環境が彼にそうさせたのであって、もし僕が逆の立場だったら、おそらく同じ道を歩んでいたことだろう。
それは自明だ。
だからこのもやもやの正体は、そんなくだらないことではない。
何なんだ、一体。
引用なし
パスワード
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2メートル50センチ --3
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:04 -
  
あの再会の場面で、彼は僕に対してどんなふうに思って接していたのだろうか。
僕が今、彼に対して抱いているような、ひどく不器用で、言い表しようのないもやもやを感じながら接していたのだろうか。
僕には、そうは思えない。
彼のそぶりはナチュラルだった。
そもそも彼は、固より自分が他人からどう思われるかなんて、全然気にしていないようなところさえある。
彼は小学校のときからずっといじられやすいキャラだったが、それでも楽しく生きていた。
いつだってそうなんだ。

ひょっとすると変わってしまったのは、彼ではなく、僕の方なのかもしれない。
勉強や社会というものから目をそらし、結果としてチャオの世界へ逃げ込んでしまった僕が。

チャオBや、そこで育まれていたたくさんの文化……チャオ研究やチャオ小説といったものに多大な感銘を受け、そこにたくさんの時間と労力を費やしてきた。
でも、一つだけ、恐れていたことがある。
それはこの世界にいくら力を注いだとしても、周りの人は誰もそれを理解してくれないということだ。
例えばチャオBに立てた企画ツリーが今までにない成功を収めた。そう誰かに伝えたとして、その価値を分かってくれる人がいるのだろうか。
その答えは、Yesだ。
同じBBSの参加者なら、きっとこの感情を理解してくれる。

僕にとって、チャオとは、世界の縮図だった。
チャオの持つ、統一的な遺伝のモデル。
チャオBBSで繰り広げられる、若年層と高齢層の衝突。
そして週チャオには無数の作家群と、それを束ねる編集部という「社会」がある。
現実にも適応できそうなたくさんのパターンを、僕はそこに見出していた。

こんなこと、現実という世界に生きる人達に言っても、なかなか伝わらないのかもしれない。
でも、その当時僕が求めた社会的承認というのは、全てそのチャオ世界の中に通じていた。
それが僕にとっての現実であり、実像だったのではないだろうか。
今になって思う。
真に現実に取って代われるようなバーチャル・ワールド、というのは、いつだってチャオのような姿をして現れるのかもしれない。
引用なし
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2メートル50センチ --4
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:04 -
  
週刊チャオと呼ばれる、チャオに関係する創作活動を日々行っている集団がいる。
「週刊チャオ」とは彼らの発行する仮想週刊誌であり、今日もチャオ小説を中心とした様々な作品が掲載されている。
実は2ちゃんねるよりも長い歴史を持つ。

昨夜、その歴史にピリオドを打つことを決めた。
徐々に減っていく参加者。今や誰もが個人でウェブサイトを作れる。ニーズの低下は明白なのに。
休刊を提案すると、皆が口を塞いだ。

そもそも僕は単なる一人のコミッターだったはずなんだ。
それがいつの間にか、重要なポジションを担うようになっていた。
この週刊誌には、季節に合わせた企画がいろいろとある。
そういうのに、口を出していた。面白そうな企画であれば、進んでプッシュしていた。
良く言えば、実行力があったということなのかもしれない。
気がつくと中心的な立場に立っていて、休刊を決断しなければならないのも、なぜか自分だ。

実行力と決断力は全くの別物だと思う。
事を始めるのと、事を終わらせるのでは、全く違う。


僕は怖いんだ。一人だけで責任を負うのが。
みんなどうして自分の意見を紡ごうとしないのか、わけが分からない。
実はこの決断をする前の日に、僕の隣の席のやつが言った「善悪は結局のところ多数派によって決められる」という理屈に、ひどくイライラしていたところだった。
その時は口に出さなかったけれど、僕は自分の意見すら持てないような人間を、非常に恥ずかしいものだと思っている。
善悪のようなグローバルな話でも、週チャオのようなローカルな話でも、その「場所」を作っているのは紛れもなく自分たちであるというのに。
目の前にして逃げるのか?
このコミュニティの原則は全員参加にあるはずだろう?

だからそのイライラした感情のまま、僕は一人で半ば伝言板と化したチャットルームに書きなぐった。
脅迫にも近い形で、全員参加を訴えるような文章だ。
もちろん、こんな文章で全員が意見を述べてくれるとは思わなかったけれど、二、三人なら、乗ってくれる気がした。
すると、案の定、一人の男がその意見に口を出してきた。僕はにんまりした。
そんな脅迫まがいの事はやめろと言う。ついでに、聖誕祭で休刊の方針に賛成だとも言う。
これだ。これを狙っていたんだ。僕はますますにんまりした。
この一連の書き込みは、あなたにそれを吐かせるための罠だったのだよ!!
あなたに意見を出させ、それが休刊決断へと、僕の勇気を後押しするようにね!!

なんて、決断した後ならこういう考えに駆られるのだけど、これが真相だったかどうかは、実は自分自身にも分からない。
僕の発想は常に突飛で、解釈は後から論理的っぽくするために付け足しているのではないかと考える事がよくある。
実際のところ、その脅迫の内容……僕がそのコミュニティを離脱する事で、根本から倒壊させて終わりにするという、それも結構本気で考えていた事なのだ。もちろん、彼が発言してくれた以上、それは彼を釣るための餌だったということになってしまうのだが。
僕の思考は常に仮定と経過と結論とがごっちゃになっていて、どうしようもないぐらい混沌としている。
だから、仮定や経過から考えたのか結論から考えたのか、ニワトリとタマゴの話のように、僕にだって、分からないんだ。

一つだけ言える事実は、僕は昨夜決断したんだということ。
決断してみて分かったのは、実はみんな結構優しかったんだということ。
たくさん迷惑をかけたのに、何事もなかったかのように許してくれてありがとう。
この四年間は、本当に最後まで僕を成長させてくれた。
引用なし
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:【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.1 鳴動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:04 -
  
どこかから、声が聞こえる―――

『・・・い・・・せ・・・』

最初は不明瞭ではあるが、徐々に大きく、そしてはっきりと―――

『・・・おもい・・だせ・・・』

声の質からして、どうやら若い女性のものらしいが―――

『思い出せ・・・!!』

その声の持ち主の姿が見えそうになったその瞬間―――

目が覚めた。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act1.鳴動


「・・・夢、か・・・」
それにしても妙な夢だとは思う。
普通、夢なんて朝起きて昼には忘れているものだが、午後の授業になっても頭にしがみついて離れない。
いやとんでもない内容の夢ならば覚えているかも知れないが、こんな不明瞭な夢を覚えているなど普通はありえない。

・・・彼の名は神凪誠一[かみなぎ・せいいち]、17歳。高校2年生。

【先生】「神凪!何ボーっとしてんだ!」
そこに先生からの怒鳴り声が飛ぶ。現代国語の名物教師、怒らせたら大変だ。
【神凪】「す、すいません・・・」
ここは平謝りするしかない。

その日の帰りも、彼はそのことばかりを考えていた。
【神凪】「思い出せって・・・何を・・・」

「おい、お前今日どうしたんだよ?」
と声をかけるのは、彼の友人、森下と富永の2人。
【富永】「あの現国の授業でボケっとするなんて、富士の樹海で飛び降りるのと一緒だぞ。」
【森下】「おい、富士の樹海でどうやって飛び降りるっつーんだよ。あそこ崖じゃねぇぞ。」
【富永】「あれ、そうだっけ?」

余談ではあるが富士の樹海は深い森だからこそ自殺者が絶えないのである。崖はない。

【神凪】「わ、悪ぃな・・・ちょっと色々あって。スマン、今日は先帰るわ。」
【森下】「お、おう。何か知らんが、気をつけろよ!」
【神凪】「ああ!じゃあな!」
そう言うと、神凪は逃げるようにして友達のところから離れた。
・・・友達と一緒に帰るとか、そういう気分ではなかった。

12月もいよいよ差し迫ったこんな日は、走ると冷たい風が当たって余計寒い。
神凪は唇を噛みながら、自分の家へ駆け込んだ。
【神凪】(こんな日は部屋でゴロゴロするに限る・・・!)


・・・が、運命はそうはさせてくれなかった。というより、ここから彼の運命は大きく狂った。

家へ駆け込みただいまの挨拶も軽く済ませ階段を駆け上がり自分の部屋に飛び込む・・・ここまでは良かったが。
次の瞬間、自分の部屋の入り口で彼は呆然と立ち止まった。
そこで見たのは、おおよそあり得ない光景である。


・・・見たこともない少女が、自分の部屋を漁っている。

本棚を片っ端から覗いた後、TVラックの下に目を移し、そこに右手を伸ばそうとする。
思わず、神凪は声をあげた。

【神凪】「・・・は?」
するとその少女はこちらに気づき、クルリを向きを変えた。そして。
【少女】「・・・あ゛。」

どうやら自分でもマズイ事をしているということは自覚しているらしい。
次の瞬間、左手に持っていた本をサッと捨ててその場を立ち上がり、逃げようとした・・・が、神凪が捕まえる方が早かった。
【神凪】「悪いけど今日の俺は黙って見過ごす気分じゃねぇんだよ・・・」


【神凪】「・・・まぁ色々言いたいことはあるが・・・単刀直入に目的は何だ?」
するとその少女は、悪びれた様子もなく。
【少女】「あ、事情聴取?てっきり襲うのかと。
     ・・・んー、信じてくれんのかなー。まー信じちゃくれないだろうからコソコソやってたんだけど。」
【神凪】「いや、見知らぬ人がこの部屋にいる時点で信じられねぇから。」
神凪の母親は特にパート等をしている訳ではないので基本的に平日の昼間は家にいる。不審者云々が騒がしいこのご時世、誰かが無断侵入して気づかないはずがない。

【少女】「んー、そうか。」
彼女は諦めたように、まずブッ飛んだ一言。
【少女】「・・・こう見えてもあたし、一応神様なのよねぇ。」
【神凪】「・・・はい?」

少しの沈黙の後、
【神凪】「神様って・・・神様仏様の神様?」
【少女】「うん。だからこーいうとこにも入り放題。
     ・・・だから言ったでしょ?信じちゃくれないだろうって。」
そう言って怪訝そうな目つきで神凪を見る。
【神凪】「あー分かったよ、神様なんだろ神様!で、その神様が俺の部屋に何の用?
     あれか?俺の名字が『神凪』だから神様の親戚だとかそーいう類か?あ?」
既に神凪は半分ヤケクソだ。どんどんまくし立てる。
【神凪】「んでベタな漫画だとその後俺のおかんが『実はウチは・・・』とか言い出して俺が世直しの旅に出るか訳分かんねぇ敵と激烈バトルを繰り広げるかどっちかだがどっちだ!?」

・・・数秒沈黙。その後。
【少女】「んー、100点満点の30点。」
【神凪】「なんだよ30点って。」
【少女】「ぶっちゃけると、悪い敵と戦ってくれる勇者様捜してます、って感じ?別にアンタじゃなくてもいいんだけどね。候補者探しみたいな?」
【神凪】「は、はぁ・・・」

そこで神凪は少し考えた後、
【神凪】「分かった、とりあえず話だけは聞いてやるから話せ。」
【少女】「あいよー。」

<続く>
引用なし
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2メートル50センチ --5
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:04 -
  
本当のところ、僕は彼から認めてもらいたかったんだと思う。
今までこのチャオBという空間で僕が身につけてきた知識を、技能を、そして、僕がこのBBSに、何を貢献してきたかということを。
しかしながら、その貢献は結局のところ、彼には何ら関係のない世界での出来事なのだ。
僕はこのチャオ世界での出来事がどうすれば理解してもらえるのか分からない。
彼だけじゃない。
僕の周りに生きるほとんどの人は、このチャオ世界に触れることなく一生を過ごしてしまう。

彼なら理解してくれると思っていた。でも、チャオを忘れてしまった彼にとって、こんな世界の存在を知り、そこでどのような富が動いているかなんて、そもそも関心になかったんだ。
僕は彼に、自分がチャオ世界に置いてきた作品を、自慢できない。
一方の彼は社会的にみんなから理解を得るような道を選んで、そうして実力を僕に見せつける。
悔しいんじゃない。悲しいんだ。
自分で言うのもなんだが、僕ら二人は、どちらも頑張ってきたと思うよ。
でもその力が別々の方向を向いている限り、もう昔のような、新しいミラクルが生み出せるようにはならないんだろう。
それがとても悲しい。

僕は彼の背中を追いかけたいとは思わない。
ここ数年間、社会のルールにへそを曲げて生きてきた自分に、今更そんな道が似合うとも思えない。
ただ、僕には自信を持って言えることが一つある。
彼の存在も、チャオの存在も、僕にとっては同じ世界だ。

僕が彼と出会ったことは、今でも僕の胸の中で光り輝く思い出だ。
僕がチャオと出会ったことは、そこで身につけた知識や技能は、いつまでも深い体の奥底で眠る。
僕は決して、この二つを無駄にはしない。
だから僕は言う。ありがとう、と。
それは別れの挨拶である。もう彼らは僕の生きる道しるべ、羅針盤ではないのだ。
でも、僕は彼らをいつまでも思い続けながら、生きていける。
道がなくても進んでいける事を示してくれたのは、彼らだったのだから。

僕のハンドルネームには今でも、君と僕の、二匹のチャオ達の間に生まれたあの子の名前が使われている。
だから、必ず。
引用なし
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もみの木の夜明け〜イブの夜
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:05 -
  
クリスマスイブの夜。
みんなが寝静まった時間帯に、ひっそりとガーデンに忍び込む一つの影があります。ソニックです。
ソニックは物音を立てないよう、慎重な足取りでチャオたちの寝ている側までやってくると、手に持った袋の中身をあさり始めます。
絵本や、人形や、電車の模型……
それらを一つずつ、チャオの寝ているそばに置いていきます。
中にはあらかじめ靴下を用意して寝ているチャオもいました。そんなチャオには、ちゃんと靴下の中に入れてあげるように、丁寧にプレゼントを配ります。
実はこのとき、一人だけ眠っていないチャオがいました。おでかけマシーン近くの、ダークチャオが、チャオにはチャオの深い悩みごとがあって、それを考えていたらいつのまにか、ぜんぜん眠れなくなっていたのです。
ダークチャオはぎゅっと縮こまって、チャオガーデンに入ってきた不審な人物がプレゼントを配る小さな音を、耳を澄まして聞いていました。
それは用意してきたプレゼントを全て配り終えると、忍び足でチャオガーデンを出て行きます。
たった一匹、何のプレゼントももらわないチャオを残して……

しばらくして、もう一つの影が、チャオガーデンに物音一つ立てずにやってきました。
暗闇なので、姿形ははっきりとはわかりません。でも、ソニックと比べると、ずいぶんと大きな背丈をしています。
間違いない、人間のシルエット。
その人はチャオガーデンの斜面をのぼって、おでかけマシーンのところにやってきて、そこに眠っている……ふりをしている、一匹のダークチャオを見おろしました。
「ああ、この子にプレゼントをやっておらんじゃないか」
ダークチャオの耳に、しわがれた低音の声が聞こえてきます。今までに聞いたことの無い声色に、どきどきするダークチャオ。
「おっと、いかんいかん」
さっきのは遠くでプレゼントを配っているだけでしたが、今度の人は、ダークチャオのすぐ側にいるみたい。
いったい、だれ?
ダークチャオは好奇心がまさって、つい、うっすらと目を開けてしまいました。
太った体に真っ赤な服を着た、ひげもじゃの、おじいさん。
「なんと、起こしてしまったか」
気づかれてしまいました。
「さ、サンタさんちゃお!?」
赤服のおじいさんはダークチャオの驚いた声で周りのチャオが起きてしまっていないことを確認してから、ダークチャオの方へ目をやりました。
「おじいさん、怪しい人ちゃお?」
チャオ幼稚園で習った怪しい大人のことを思い出しながら聞きます。
「いいや、わたしは怪しい人ではないぞ」
「じゃあサンタさんちゃお?」
口ひげをいじりながら答えるおじいさん。
「まあ、そのようなものかの」
途端に、ダークチャオの目がきらきらと輝き始めます。
「じゃあチャオにプレゼントを……」
と、言いかけて、ダークチャオの言葉が途切れました。
「ううん。なんでもないちゃお」
「どうしたんじゃ?」
「サンタさんには関係ないことちゃお。もう寝るちゃお。おやすみなさい」
そう言って、ダークチャオは、ごろんと横になって目を閉じました。
「まあ、待つのじゃ」
サンタさんは、ダークチャオにやさしく話しかけます。
「ついてきたら、いい物を見せてあげよう」

サンタさんのそりは街をびゅんびゅんと駆けていきます。
トナカイもいないのに地面をすいすい走っていくさまは、まるで自動車みたいです。
「ねぇ、何を見せてくれるちゃお?」
車で言うところの助手席に、ちょこんと座ったダークチャオは、サンタさんに聞きました。さっきから数えて五回目の質問です。でも、サンタさんはこういうふうにして聞くたびに、どうにも答えになっていないことを言ってごまかすのです。
「もう少ししたら、着くじゃろう」
ダークチャオは、何も教えてくれないサンタさんに、ちょっと不満顔。
やがてそりは街を出て、住宅街をくねくねと走り、いつのまにかただっぴろい野原へとやってきました。
野原の真ん中には、一本のもみの木が生えています。サンタさんの身長と比べても、その十数倍はあろうかという、大きなもみの木です。
サンタさんはそりを、そのもみの木のすぐ横に停めました。
「ここじゃよ」
「ここが、どうかしたちゃおか?」
ただ広いだけの野原。そこにはもみの木と、あとは何か特別面白そうな物があるわけでもありません。
聞かれたはずのサンタさんは、黙ってにこにことしています。
「また教えてくれないちゃおか!」
ダークチャオはほおを膨らませ、ぷんぷん腹を立てながら、そりを降りました。
でも、この人はサンタさん。ちょっと期待してしまうところもあります。
探せば何か見つかるのかもしれないと思ったダークチャオは、ずんずん奥へと、野原を歩き始めました。
ステーションスクエアに、こんな広い野原があったなんて。
無限に続くのかと思われるぐらいに、どこまでも野原は続いています。
しばらく進んでから、ダークチャオは少し心細くなって、後ろを振り返りました。
でも、そこには少し小さくなったもみの木が見えるだけ。
本当に、サンタさんはこんなところにダークチャオをつれてきて、何をしたかったのでしょうか。
その疑問は、唐突に解けました。
ダークチャオの足が止まります。
そこから先、野原が、すっぱりとなくなっていました。
高い崖が、野原とその下の林とを区切っています。
そして、なによりもダークチャオが驚いたのは、崖から臨むその景色でした。
この街、ステーションスクエアの全てが、そこにはありました。
高くそびえるビルの連なりに、きらめくイルミネーション。街の中心はまるで世界中の宝石が集められたみたいに輝いて、ダークチャオのほほを照らします。
ビルの背景が切り取る夜空と、まっすぐに走る地平線。
その地平線を、海にかかった吊り橋が縦断しています。車の光の小さな点が、ちかちかと流れていきます。
ステーションスクエアがこんなに奇麗な街だったことに、ダークチャオは初めて気がつきました。
ダークチャオは思わず駆け出しました。
崖に沿ってどれだけ走っても、どこまでもどこまでも、この街並みが連なっています。
そこでダークチャオはふと思い立って、思い切り方向転換。
「サンタさん! サンタさん!」
サンタさんにお礼を言わなくちゃ、そう思ったのです。
もみの木に向かって一生懸命走りました。走って走って、そして、もみの木までたどり着いたとき、きょろきょろと辺りを見回しました。
サンタさんと、サンタさんの乗っていたそりが、跡形もなく、なくなっていたのです。
「サンタさん! すごい景色ちゃおね! サンタさん!」
ダークチャオはサンタさんがどこかに隠れているに違いないと思って、もみの木の周りをぐるぐると駆け回りました。
でも、いないのです。
ついさっきまでそこにあったはずのそりは姿を消し、あるのはただ、ひんやりとそびえ立つもみの木。
走り疲れたダークチャオが、息を荒げて立ち止まったとき、言いようのない絶望感がダークチャオを襲いました。
サンタさんがいないと、帰り道がわかりません。
辺りは真っ暗で、目印となるのはこのもみの木ぐらい。当然、今まで来た道順も、ダークチャオはほとんど覚えていません。
ダークチャオは、怪しい大人についてきてしまったことを後悔しました。
見渡す限りの野原には、冷たくて重たい冬の空気が満ちています。
人の気配はどこにもなく、周りに何も動きが感じられないことが、逆にダークチャオの背筋をそばだたせます。
このままずっとここにいたら、誰かに見つけてもらう前に、凍えて死んでしまうことでしょう。
あれはサンタさんじゃなかったんだ。と、ダークチャオは思いました。
クリスマスイブの夜に起きていたから、罰が当たったのかもと思いました。
だとしたら、あれはダークサンタさんで、チャオには到底かなわない、恐ろしい力を持っているのです。
けれど、プライドの高いダークサンタさんは、自分自信で悪い子チャオをいじめるようなことはしません。
ダークサンタさんは、この原っぱに悪い子チャオをつれてくるだけなのです。そして、そのチャオたちは、いずれ食べる物がなくなったり、寒さに耐えかねたりして、自分の肉体に火をくべ始めます。
自分の右腕が焼けると、暖かい暖炉や、やしの実の幻影が炎の中に浮かびます。
でも、それも一瞬で消え、あわててチャオが左腕に火をつけると、今度はやさしいソニックがだっこしてくれている様子が浮かびます。
それを見たチャオは、どうしてもその幻影がもう一度見たくなって、自分の持ちうる全ての肉体に火をつけて、非業の死を遂げるのです。
唯一、頭の上に浮かぶポヨだけを残して。
ポヨはこのもみの木の葉となって、永遠に助けを求め続けています。
何千年も、昔から。
引用なし
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.2 胎動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:06 -
  
『神様』を名乗る少女が突然神凪の部屋に現れた。
彼女は、その『理由』を説明しだす。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act2.胎動


【神凪】「・・・『チャオ』?」
【少女】「そ。あたしはそのチャオってイキモノがいる世界の神様なんだけど、その世界がピーンチ!なのよ。」
【神凪】「で、この人間世界とやらで勇者様探しってワケか。」
【少女】「そゆコト。」

・・・しかし、最大の疑問はなお残る。
【神凪】「・・・で、その勇者様探しに何で部屋のガサ入れが必要なんだ?」
すると彼女は笑顔がひきつる。
【少女】「そ、それは・・・その、なんというか・・・ごめんなさい。」
神様、あっさり謝った。どうやら無関係らしい。

【神凪】「・・・何も盗ってないよな?」
【少女】「何か盗るつもりで入ったワケじゃないし。まぁちょっとこっちの世界の調べ物よ。」
【神凪】「ふーん・・・まぁいいや。」

・・・で、一番重要な話。
【少女】「で、勇者様にはなってくれるの?」
【神凪】「やだ。」
即答。

【少女】「・・・」
【神凪】「んな面倒なコトするかっての。ミスったら死ぬだろ?」
【少女】「まぁザックリといくわね。」
【神凪】「ザックリ・・・まぁそういう訳で、悪いが他をあたってくれ!」
と、言い切った。

彼女はその様子をみて、これ以上説得するのを諦めた。そして、急に表情を変えた。
【少女】「んじゃそうする。・・・だけど、最後に1つ忠告しとくわ。
     危機に陥ってるのはチャオ世界だけど、その影響はこちらにも及んでる・・・」
【神凪】「・・・!」
思い当たるフシがあった。ここ数日、マスコミを賑わす謎の失踪事件。
無関係の人が次々と行方不明になり、もう既に30人を越えている。
【少女】「無理に勇者様になれとは言わないわ。でもせめて、被害者にならないようにはすべきね。
     ・・・それじゃ!」
すると彼女は部屋を出ようとした。が、神凪は右手を伸ばして彼女の肩を掴み、それを止めた。
【神凪】「折角の縁だ、最後に名前だけ聞いておこうか・・・最も神様に名前があるのかどうか俺は知らないけど。」
【少女】「そうね。『アリサ』よ。まぁ、仮名みたいなもんだけど。
     ・・・それじゃ、今度こそ、いいかしら?」
【神凪】「ああ。」

すると彼女はタン、と軽くジャンプする仕草をすると、空へと舞い上がり、部屋の天井をすり抜けて、消えた。

【神凪】「神様、か・・・」

・・・その瞬間、思い出した。
【神凪】「まさか!!」

昨夜見た、『悪夢』。
『思い出せ』、と叫ぶその声は、今立ち去った『神様』と同じ声だった―――

【神凪】「何を思い出せってんだ・・・」
だが、そもそも忘れているから思い出せと言われている訳で、何を思い出せばいいのか分かるはずがない。


その夜、彼は夢を見なかった。見た記憶が、無かった。


【森下】「おい、本当にどうしたんだ?この前から・・・」
【富永】「今日もボケっとして怒鳴られてたよな。」
【神凪】「何でもないっつってんだろ・・・」
その数日後の日曜日、3人で遊びに行った帰り、数日前と同じような会話を繰り返す。ある意味、それは日常でもある。

・・・が、その日常は、あっけなく崩壊した。

帰り道にある交差点、森下と富永は脇道へ曲がり、神凪は直進する。そこまでは普段通り。
神凪が2人に対し言い忘れがあった事に気づき、クルリと回り、戻って2人の曲がったほうを見た。その時―――


2人が、消えた。


神凪が見た瞬間には、まだ2人の姿があった。が、刹那、2人の姿が消えた。
【神凪】「・・・!?」
声も出ず、その場で立ち尽くす神凪。何が起こったのか分からない。しばらく、彼の耳にはどんな音も入らなくなった。

【神凪】「森・・・下・・・?富永・・・!?」


そこで、『声』が耳に飛び込んだ。
聞き覚えのある声。これは―――昨日の―――そう、『神様』、アリサ。

【アリサ】「あっちゃー、まさかこんなに深刻だとはねぇ・・・。」

神凪はその声のする方、右後ろを振り向き、突然胸倉を掴む。
【神凪】「おい・・・どういう事だよ・・・まさか・・・」
【アリサ】「ちょ、いきなりオンナノコの胸倉掴むって何よ!?」
その一言で神凪はその手を緩め、離す。アリサは苦しそうに右手を自らの喉に当てた。
【アリサ】「はー、はー・・・まぁそういう行動に出たくもなるわよね・・・
      確認するけど、今の2人は・・・オトモダチ?」
【神凪】「ああ・・・」
ゆっくりと頷く神凪。

少しの間を置いて、アリサは話す。
【アリサ】「『闇の侵食』よ・・・昨日言ったチャオ世界ってところで『闇』が広がって、その闇がこの世界にも侵食し始めた・・・」
【神凪】「どうやったら止められるんだ?あいつらは戻ってくるのか!?」
【アリサ】「これは推測でしかないけど・・・『闇』を操っている者がどこかにいる。そいつを止めれば侵食は止まる。
      そして『闇』を完全に消せば、消えた人はみんな戻ってくる・・・」
【神凪】「分かった・・・昨日は断ったが、事情が変わった。俺がその勇者様とやらをやるよ・・・!」

<続く>
引用なし
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.3 始動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:07 -
  
決めた神凪。受けたアリサ。するとアリサは右手をサッと振ると、光の剣を作った。

【アリサ】「とはいえ、フツーの人間をいきなり戦場に放り込むワケにもいかないし。
      かといってのんびり鍛えてる暇も無さそうだし・・・この手でいくわ。ちょっとコレ持って。」
するとその光の剣を神凪に渡す。受け取る神凪。
【神凪】「な、何を・・・」

すると次の瞬間、アリサの姿までも消えた。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act3.始動


【神凪】「・・・おい、アリサ!?・・・まさか!?」
アリサすらやられたか。全てを覚悟した瞬間、異変が起こった。

光の剣を持った右手が、勝手に動いたのである。

【神凪】「!?」
すると、彼の脳内に声が響いた。
【アリサ】(いわゆる憑依ってヤツね。あたしが体を動かすから、アンタは感覚を覚えなさい!)
アリサは神凪の体を乗っ取って操り、神凪に無理矢理「戦いの感覚」を覚えさせようという腹積もりである。
【神凪】「えええっ!?ってか、敵なんているのかよ!?」
ごもっとも。剣を持ったところで、敵がいなければ意味は無い。

が、彼女にはアテがあった。
【アリサ】(この感じ・・・学校!)
【神凪】「分かるのかよ!」
【アリサ】(あたしを誰だと思ってるのよ!)
・・・神様です。

という訳で、アリサは神凪を『操って』、学校の方へと駆け出した。

神凪は走らされながら、アリサの話を聞かされる。といっても、自分以外には聞こえるはずもないが。
【アリサ】(あーそうそう。あたしに話しかける時は、念じるだけで大丈夫よ。誰もいないのに喋りまくって頭がおかしい人と思われないことね。)
【神凪】(そう思われたら確実にお前のせいだろ!)
【アリサ】(でも他の人に今のあたしは見えないもーん。)
【神凪】(ち、ちくしょお・・・っ!!)


そうこうしているうちに、毎日通う道を逆戻りして、学校へと到着。神凪は、すぐにその『異変』に気がついた。
【神凪】「おい、ちょっと待てよ・・・日曜でもこの時間なら部活やってる連中とかいるはずなのに・・・人の気配がしねぇ・・・!」
【アリサ】(やっぱり・・・いくわよ!)
アリサは再び神凪を操り、玄関へ飛び込む。

【神凪】(マジで誰もいねぇ・・・)
毎日見ている景色。だが異様な雰囲気に包まれ、人の姿はどこにも無い。

・・・が、次の瞬間、『気配』を感じ取った。
【アリサ】(・・・来る!!)


・・・廊下を曲がって現れたその人の姿に、神凪は驚いた。
【神凪】(が、ガキじゃねぇか・・・!それも女の子・・・!)

現れたのは、10歳ぐらいの女の子。さらに驚くべきことに、彼女の服はいわゆる「ゴスロリ」と呼ばれるものである。
【女の子】「・・・誰? わたしの、邪魔をするのは・・・」
そう、小さくつぶやく。
【神凪】「お前がこの騒ぎの犯人か!?」
【女の子】「犯人・・・そうね・・・わたしは、復讐に来たの・・・夢を忘れた人間に・・・」
【神凪】「だからって・・・こんなことしていい訳ねぇだろ!!」
と、語気を強める。

【アリサ】(おーう、その調子その調子!勇者様っぽくなってきたねーっ!)
【神凪】(そこ、茶化すな!一応こっちもダチが消えて必死なんでな・・・)
【アリサ】(とにかく・・・いくわよ!)
するとアリサは剣を構えさせ、いきなりその女の子に突っ込んだ。


その女の子は、左手をすっと前に出すと、
【女の子】「防御[Guard]。」
一言発する。するとバリアのようなものが張られ、神凪を弾き返す。

【神凪】「っ・・・!」
【アリサ】(どんどんいくわよ!)

二撃、三撃、四撃と、次々と剣を叩き込む神凪。だが彼女はそれを全て弾くと、
【女の子】「攻撃[Attack]。Shift…剣[Sword]。」
そう唱える。すると右手に光が集まり剣が生まれ、今度は彼女が神凪に突っ込んできた。

【神凪】「おわあっ!?」
【アリサ】(落ち着いて!)
そう言いアリサはその子の剣を神凪に受け止めさせる。だがその後も、物凄い速さで剣を打ち込む。まるで、
【神凪】(こいつ・・・本当に人間か!?)
と思わせるぐらいに。

神凪もアリサの憑依により何とかそれを全て弾く。カン、カンと剣のぶつかる音が夕方の無人の校舎に反響する。
【神凪】(くっ…何とかならねぇのかよ!)
【アリサ】(最初はいけると思ったんだけど…予想以上だわ。)

だが、それは向こうも同じだったらしく、
【女の子】「データにない人間が、ここまで対抗するなんて・・・一時、撤退・・・」

すると、その子は突然姿を消した。目の前で、跡形もなく。

【神凪】「消えた!?」
【アリサ】(助かったみたいね・・・)

同時に、異様な雰囲気も消え去り、学校は普段の色を取り戻した。ただし、消えた人間は戻ってこずに、無人のまま。

【神凪】「くそっ、一体どこに・・・・!?」
・・・その次の瞬間、神凪は体中に激痛を感じ、その場にへたり込んだ。
日常生活ではまずあり得ない超高速戦闘を(操られたとはいえ)行ったのだ。体が悲鳴をあげるのも、当然である。

<続く>
引用なし
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もみの木の夜明け
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:07 -
  
何はともあれ、ガーデンに帰らないといけないと、ダークチャオは思いました。
所詮ダークサンタさんなんて妄想です。妄想の方がいいです。
ダークチャオは目を閉じて、どの方角へ行くべきか真剣に考えます。
そりにのってダークチャオが来たのは、景色のいい崖とは正反対の方向。でも、本当にそちらへ向かうべき?
……とりあえず街の中心を目指そう、と、ダークチャオは思いました。
街の中心はあんなにきらきらしているのだから、方向をまちがえるはずはありません。それに、街へ行けば、人に道を尋ねることもできるはずです。
ただし、この作戦には、いくつかの問題がありました。
街ともみの木との間には、まず崖があります。それに崖を降りたところには林があって、その先の道筋はまったくわかりません。
いくらクリスマスイブとはいえ、今の時間は深夜。街の中心まで行かないと、人と会える保証はないのです。
どうすればこの崖を越えられるのか……
ダークチャオは空を飛ぶことに関してには、ちょっと自信がありません。彼はオヨギタイプなのです。
回り道はないかと思って、崖伝いに歩いていくと、茂みが見つかりました。その茂みから飛び降りれば、他のところから飛び降りるのに比べて、ちょっとだけ高さが低いみたいです。
ダークチャオは茂みをかき分けながら、わずかに前へと進み出ました。
茂みの葉っぱはちくちくしていて痛かったけれど、気にしていては、帰れません。
そして茂みを抜けたところからジャンプ! するのには勇気がちょっと足りなくて、崖をずるずると滑り落ちるような感じになってしまいましたけれども、それでもちゃんと、ダークチャオは、林に降り立つことができました。
まだ体のあちこちがずきずきします。が、それ以上に、ダークチャオは崖を乗り越えたことに強く達成感を感じていました。
「行ける……ちゃお?」
ダークチャオは林の中を歩き始めます。林の中に入ると、ついさっきまでは見えていたダイヤモンドみたいな街もたくさんの木の葉に隠れてしまって、どこもかしこも同じような景色で、下手をすると迷ってしまいそうです。
それに前に降った雨のせいなのか、地面が変にぐちょぐちょしていて、いやでも気持ち悪い足の感触。
ダークチャオは木々の間隔が広くなっているところを見つけ、なるべく迷わないように、直線的に、曲がるときも道順をしっかり覚えるようにしながら歩いていきます。
これで、もし道に迷ったとしても、後戻りができるようになります。
この工夫、ガーデンのお友達に言ったら、そんけいされるでしょうか?
ガーデンのお友達。
ダークチャオの脳裏に、一匹のチャオの姿が思い浮かびました。
あの子に今日の武勇伝を話したら、自分を見る目を変えることができるかもしれません。いや、もっといいアイディアがあります。あの子にも、今日見た景色を紹介してあげるのです。
でも、そこまで思いついてから、ダークチャオは不安になりました。
「チャオにちゃんと誘えるちゃおか……」
口に出してしまって、ダークチャオはますます不安になりました。
そんなダークチャオの心に映し出されるのは、あの景色。あのすてきな夜景だったら、ぜったいあの子も見たいと言うでしょう。
そう考えると、ダークチャオの体の中には、まだまだ力が湧いてくるような気がしました。
「よーし! ぜったいに帰ってやるちゃお!」
真っ暗な林の中を、道順を覚え忘れないようにしっかりと踏みしめていきます。

二十分近く歩いたでしょうか。
気がつくと、ダークチャオは林を抜け出して、市街地へとたどり着いていました。
遠くから見るとあんな光景だった市街地が、近くで見るとまた違った顔を見せてくれます。
街をきょろきょろしながら歩いて、ダークチャオはふと、ここが以前来たことのある場所であることに気づきました。
ソニックにつれられて、昔歩いた道でした。
あのときは昼間だったので、夜のステーションスクエアをまったく知らないダークチャオがすぐには気づかなかったのも当然です。
でも、一度気づいたからには、もうチャオガーデンに帰れたようなものではないですか!
ダークチャオは嬉しくなって、夢中で記憶の中にあるソニックとここまで来たときの道筋を辿りながら駆け出しました。
夢中で走って走って走って、へとへとになりながらも、ダークチャオは、チャオガーデンの入り口へと戻ってきました。
真夜中なので、みんなはぐっすり寝ついていました。が、ダークチャオは今夜の大冒険に興奮して、とても眠る気分にはなれませんでした。
知力と体力を総動員して、普通のチャオなら迷子になってしまうところを、ダークチャオは一匹だけで生還できたのですから、今でもどきどきして、本当に帰って来れたのか信じがたいぐらいでした。

ダークチャオはガーデンの池に浸かって、体についた泥を落としながら、思いました。
「早くあの子を起こしてあげないと、あの夜景が終わっちゃうちゃお……」
寝ているヒーローチャオを起こすのにダークチャオは少し躊躇しましたが、そんな細かいことを気にしているわけにもいきませんでした。今夜渡さないと、クリスマスプレゼントにならないのです。クリスマスに好きな子とデートしてあの景色を見せてあげれば最高のクリスマスプレゼントになると、ダークチャオは確信していました。
ダークチャオは、テレビの側で寝ていたヒーローチャオの体を揺すります。
「起きて! 起きてちゃおー!」
「う、うーん」
ヒーローチャオはひどく不機嫌そうな顔をしながら大きく伸びをして、目の前のダークチャオを見て、それから隣に置かれている薄っぺらい包みを見て、今度はひどくがっかりした表情になりました。
「PS3じゃないちゃおかー。サンタさん、いじわるちゃおよー」
そうつぶやいてから、目の前で妙ににこにこした表情をしたダークチャオの方を見やります。このダークチャオ、いつもはおでかけマシーンのほうでいじいじしていたダークチャオです。
ヒーローチャオは不思議に思って聞きました。
「どうかしたちゃおか? ダークチャオくん」
「来てほしいところがあるちゃお! すごいものが見られるちゃお!」
ダークチャオは、つい先程の景色と冒険の興奮を伝えようと一生懸命です。
「ふーん。どのぐらいすごいちゃおか?」
「ソニックワールドアドベンチャーより、すごいちゃお」
「行く」

というわけで、ダークチャオはヒーローチャオをつれて、さっきは帰り道だった道を、今度は逆向きに進んでいきます。
すぐ後ろをヒーローチャオがついてきます。
気分はお姫様をエスコートするナイトです。
「えー、こんな夜中にチャオガーデンの外に出るちゃおか?」
と、最初は渋っていたヒーローチャオでしたが、ダークチャオのしゃべり方があまりに楽しそうだったので、つい、行ってみようかなという気分になってしまったのです。
「この林は、ところどころに沼みたいなのがあるから、気をつけるちゃお」
「うん、わかったちゃお!」
ダークチャオは迷いなく暗闇の林の中を進んでいきます。
そうすると、意外にすぐにあの崖にまでたどり着きました。
上から見たときはとても高い崖だと思っていましたが、下から見ると、つみき岩よりもずっと低い高さだとわかります。ダークチャオは少し拍子抜けしましたが、今はヒーローチャオといっしょなのだからその方が都合がいいのだと、すぐに考えを改めました。
「さあ! この崖をのぼったら、もうすぐちゃお!」
「うん……」
少し頼りなげに答えるヒーローチャオ。
ダークチャオはヒーローチャオの先に立って崖をのぼります。ヒーローチャオも、ダークチャオのしっぽを追いかけるようにしてついてきます。
ダークチャオは両腕に力を込めて、崖の上の野原へと足をかけました。あのもみの木が、視界に飛び込んできます。
野原に立って、ステーションスクエアの夜景を臨みます。
よかった。日の出までには、間に合っていました。
「ほら! すごい絶景ちゃおよ!」
「うぅん」
崖の下の方から、苦しい声が聞こえてきます。
「大丈夫ちゃおか?」
ダークチャオが見おろすと、ヒーローチャオが崖に捕まって、落ちまいと必死に耐えていました。
実はヒーローチャオ、崖のぼりは苦手でした。
「うぅん」
「待ってるちゃお!」
ダークチャオの伸ばした右手が、ヒーローチャオの左手をつかみました。
ヒーローチャオは、自分の体重が急に軽くなったように感じます。そうしてそのまま、引っ張り上げられるようにして、野原へと転がりこんだのです。
「うわぁ」
ヒーローチャオの表情に、花が咲きました。
ステーションスクエアの街の光はダークチャオが来たときよりも少し和らいでいたものの、ほんのりとやさしい灯火のように、暗闇の中に浮かび上がっていました。
しばらくヒーローチャオはそこに立ちすくんで、ずっと景色を見ていました。
視界を横方向にまっぷたつに分ける地平線と、道路を走る車の小さな光の点と、眼下に映える崖と林と、見上げれば夜空の星々とが、渾然一体となって、二匹のチャオを取り囲んでいました。
ダークチャオは、ずっとこのままヒーローチャオといたいと思いました。
でも、時は無情に過ぎていくもの。
二匹の背後、もみの木の方から、やんわりと朝焼けが顔をのぞかせ始めます。
それといっしょに、天上の星は消え、街の光は太陽の光と溶け合い、暗黒の林はただの林へと姿を変えていきます。
二匹だけの夜が、終わっていきます。

ダークチャオは何気なく自分の手に目を落とし、それがヒーローチャオとずっと手をつないでいたことに気づいて、今になってどきどきしています。
ヒーローチャオの方はというと、にこにこしながら夜の終わりを見届けて、でも、ダークチャオの手をしっかりと握り返しています。
「あ、そうだ!」
そう言ってヒーローチャオが手を振りほどいてしまったので、ダークチャオは少し残念な気持ちになりました。
「ちょっとまっててね〜」
ヒーローチャオが取り出すのは、夜中にサンタクロースが置いていったあの包み。
中を取り出すと、スケッチブックとクレヨンのセットが出てきました。
「描いてあげる!」
そう言ってスケッチブックのページを開き、もみの木の方を向くと、クレヨンを構えます。
「景色がきれいなのは、あっちちゃおよ?」
ダークチャオが海の方向を手で指すと、
「動くな!」
ヒーローチャオのスルドイ声で、ダークチャオの動きが止まりました。
「フッフッフ、すぐにできるちゃおからね〜」
ダークチャオは金縛りにあったみたいに、うなずくこともできず、その場でかちこちに体を固めます。
スケッチブックにはさらさらと、もみの木と、それを背景に立つ二匹のチャオの絵が描かれていきました。
二匹のチャオが手をつないでいるのを見て、ダークチャオはちょっと嬉しくなりました。
「できたちゃお!」
ヒーローチャオが、スケッチブックをひっくり返して、ダークチャオに向けます。
前見たときはあんなに堂々とそびえていたもみの木が、今では小さなもみの木にしか見えません。

「ん?」
ダークチャオは、絵の中のもみの木に、少し変なところを見つけました。
「ここに青い何かが描いてあるチャオけど、何ちゃおか、これ?」
聞かれて、ヒーローチャオが手をもみの木の方に向けます。
「これは、ほら、あそこにいる、青い鳥みたいやつちゃお」
ダークチャオは後ろを振り返りました。そして、目をこすりました。
野原のもみの木はさらさらと、風もないのに揺れていました。
引用なし
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.4 反動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:07 -
  
学校での激突の翌日。激しい筋肉痛は止まらず、神凪は学校を休んだ。
・・・そして部屋では、アリサが『あの日』と同様に座り込んでいる。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act4.反動


【神凪】「くっ・・・起き上がるのもキツイってどーなってんだ・・・」
そしてアリサはそれに味を占めたのか、テレビのスイッチを入れた。

【レポーター】『昨日夕方、県立第二高校の生徒及び教職員計24名が失踪した事件につきましては、・・・』

24名。これが平日であれば、さらに倍以上に増えていただろう。日曜日だったからこそ、この人数で済んだともいえる。

【アリサ】「ま、こればっかりは慣れしかないんじゃないの?」
と言いつつ、部屋にあったお菓子をつまむ。
【神凪】「あっ、俺の…ってこの際どうでもいい。
     あの女の子・・・なんなんだ?というか、どこまで知ってるんだ?この事件のことを・・・」
結局、まだ神凪は何も知らされちゃいないのだ。

【アリサ】「そうねぇ、まず、あの女の子だけど・・・コードネーム『カレン』、らしいわ。
      といっても、あたしが知ってるのはそれぐらいで、どこの世界の住人なのか、そもそも人間かどうかすらわかんない。」
【神凪】「カレン・・・」
【アリサ】「分かってるのは、彼女が『侵食する側』、だということと、めちゃめちゃ強いってこと。
      これはあたしの推測だけど、昨日の学校みたいに闇の侵食がうまくいくかどうか確認して、あたしらみたいな邪魔者を排除する役割だと思う。」
【神凪】「そういや、復讐とか言ってたな。夢を忘れた人間に、だっけか?」
【アリサ】「そうねぇ。でもそれだけじゃ何も推測しようがないじゃん。」

そもそも、『夢を忘れた』のは特定の人間なのか、それとも人類全体に対するものなのか。
前者にしては無差別すぎるし、後者にしては小規模すぎる。最も、この方法しかできない、という可能性もあるが。
いずれにせよ、今のままでは不明点が多すぎるのだ。


しばらくテレビの音声だけが部屋を占める。

少しして、神凪が「もう1つ」の疑問に触れた。
【神凪】「そういえば・・・お前が神様をやってる『チャオ世界』って、どんな世界なんだ?」
するとアリサは少し考え込んだあと、
【アリサ】「そうね・・・行ってみる?」
と、逆に聞き返した。
【神凪】「行ってみるって・・・」
【アリサ】「チャオ世界に。それも、今。」
【神凪】「はぁ!?」


神凪が聞き返したその時、突然どこからもなく光が溢れ出し、思わず目を伏せた。
・・・数秒後、目を開けると、そこには草原が広がっていた。

【神凪】「なっ・・・!?」
【アリサ】「ここが『チャオ世界』よ。最も、今は闇の侵食でこういう場所はほとんど無くなってきてるけど・・・」

戸惑いつつ、辺りを見渡す。
すると、前方から、見慣れない生き物が現れた。こちらに向かってくる。
【神凪】「!?」
【アリサ】「あれが、チャオ・・・この世界に住む生き物の名前。だからここは、チャオ世界。」
すると彼女は一歩進み出て、やってみたチャオを抱え上げる。

【神凪】「なるほど・・・」
それを横で見ていた神凪。だが、妙な感覚に襲われていた。

【神凪】(知らないはず・・・初めて見たはずなのに・・・どこかで見た事あるような・・・
     知っている・・・?俺は『チャオ』を知っている・・・?)

どこかで見たことがあるような気がするが、全く記憶に無い。
彼は、これがいわゆる「デジャヴ」なのかと、無理矢理納得した。そうでないと、収まらないからだ。

【アリサ】「ん?どうかした?」
彼女も神凪の『異変』に気付くが、
【神凪】「んや、何でもない。」
と軽く流した。


と、その時。
【アリサ】「・・・!!!」
アリサの表情が変わった。
【アリサ】「・・・来る!?まさかここまで!?」
【神凪】「まさか、あいつが!?」
【アリサ】「ええ・・・この子を頼める?」
と、彼女は抱えていたチャオを神凪に見せる。
【神凪】「つったって、どうすれば!?」
【アリサ】「とりあえず、あの方向ならまだ安全なはず!」
と、右後方を指差す。
【神凪】「おし、とにかく走って逃げるから、追い払ったら追っかけてくれ!」
【アリサ】「分かったわ!」
そして、チャオを神凪に渡す。

【神凪】「っしゃああっ!」
神凪は草原を回れ右して、チャオを抱えて走り出した。
それを確認するとアリサは、

【アリサ】「さてと・・・神様を怒らせると、恐いわよ・・・」
スッと一瞬目を閉じた後、正面の彼方を見つめた。

・・・その彼方から猛スピードでアリサに迫ってくる『影』は、昨日戦ったカレンに間違いなかった。


【神凪】「け、結構重いのな、お前・・・!」
チャオを抱えて走りながら神凪はそうつぶやいた。さっきまで動けなかったはずの筋肉痛は、全くしなかった。

<続く>
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.5 煽動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:08 -
  
アリサにとって、昨日の戦いは人間世界だった上に、神凪に憑依して戦うという制限付きの戦いであった。
だが今は、自分の支配する世界であるチャオ世界。それに、神凪もいない。
本気を出さない理由は、無かった。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act5.煽動


次の瞬間、アリサは背中から巨大な翼を広げ、カレンを包み込もうとする。
【カレン】「・・・!!」
それを見て動きを止めるカレン。やがて、巨大な『包囲網』が完成した。
【アリサ】「いくらなんでもこれなら!!」
そして、その全周囲から、無数の光線をカレンに浴びせた。中央で、巨大な爆発が起こる。


【神凪】「!?」
その爆音に驚き振り向く神凪。だが、もう何が起こってるのかよく分からないような場所まで来ていた。
すぐに再び走ろうと、正面を向きなおしたが―――


【アリサ】「フェイク!?」
爆発が起きた場所に残されたのは、真っ黒に焦げた人形。その形跡から、カレンと同じ服を着ていたことがやっと分かるぐらいだ。
つまり、見事に騙された訳である。
【アリサ】「本物はどこに―――まさかっ!?」


神凪の正面に、人の姿があった。
【神凪】「なっ・・・!
     か、カレン・・・っ!!」
アリサと戦ってるはずのカレンが、目の前にいる。状況は、圧倒的不利。武器もない上に、チャオを抱えてる。
【カレン】「あちらは・・・フェイク・・・」
彼女は神凪の心の中を読み尽くしているが如く、そう答える。
【神凪】「な、なんで俺を・・・っ!」
【カレン】「『寄り代』を消せば・・・彼女は人間世界で再び無力になる・・・」

前日、アリサは最初の戦いの際、「神凪を戦えるようにするために」と言い憑依したが、実はもう1つ理由がある。
人間世界では、彼女の力は弱まってしまい、一人ではマトモに戦えないのだ。だからこそ、『寄り代』となる人間が必要。

両者がチャオ世界にいる今は、『神様』として暴れ放題のアリサより、神凪を叩く方がどう考えても楽である。

そして、カレンが剣を抜く。
【カレン】「これで・・・!」
【神凪】「ぐっ・・・!」
神凪は覚悟した。チャオは泣き出すが、それどころではない。そもそもこのままでは、どちらも―――

その瞬間、神凪の後方から一条の光が延び、カレンの胸を貫いた。

【神凪】「!?」
【カレン】「・・・!!」

振り向くと、アリサの姿が。ギリギリ間に合った。
【アリサ】「ふーっ・・・このあたしが不覚をとるなんてね・・・」

カレンはというと、胸部にポッカリと穴が空いた状態でしばらく動かずに止まっていたが、その後、両足の先から『崩れ出した』。
彼女の体が、足先から小さくて青い立方体になり、バラバラと崩れていき、それが消えていく。
【アリサ】「・・・!!」
【神凪】「こ、これは・・・まさか、こいつ・・・」
【アリサ】「デジタルデータ・・・ゼロとイチの化身・・・」

彼女は、『プログラム』だったのだ。
ここから導かれることは、つまり、このプログラムを組んだ『人間』が、どこかにいるはず、ということ。

呆然として見ているうちに、カレンの姿は徐々に消えていき、やがて頭も完全に消えた。
しばらくの沈黙の後、神凪が喋り出す。

【神凪】「つまり・・・チャオ世界を通じて人間世界を滅亡させようとした『犯人』が、俺達の世界にいるってことか・・・!?」
【アリサ】「ええ・・・でもどうしてそんな面倒なことを・・・?」
その謎が残る。これだけのプログラムを組むことができる人間ならば、直接世界に手を下すことだってできるはずなのだから。

【アリサ】「・・・とりあえず、当面の脅威は去ったわ。今日は戻って寝ましょう。」
闇の侵食自体は消えておらず、その広がるペースも変わらない。いなくなったのは監視者だけなのだから。
だが、とりあえず今日は休んでおいたほうがいい。その思いは、神凪も同じだった。
【神凪】「ああ、そうだな。・・・ところでコイツは・・・って寝てるな。」

いつのまにか、泣いていたチャオは、すやすやと寝ていた。
神凪はそれをそっとアリサに渡すと、次の瞬間にはもう、自分の部屋に戻っていた。


【神凪】「ふーっ・・・・いでででっ!!」
ベッドに転がって安心すると、収まっていた筋肉痛が再発した。あまりの苦痛にベッドから転げ落ちる。
その勢いでテレビの横のラックにぶつかり、しまっていた漫画やゲームソフトが一斉に部屋に散乱した。・・・元々お世辞にも片付いてるとは言えない部屋ではあるが。
【神凪】「あ゛ーっ!!」
体の上にも容赦なく落ちてきた漫画やゲームソフトに、思わず叫び声をあげる。今は家は留守で、反応する者はいない。アリサも今日はチャオ世界に戻っている。

これを片付けるのは明日だろうなぁ、と思いつつ、ふっと床を見る。
【神凪】「な・・・っ!!」
そこには、『あるもの』が落ちていた。

<続く>
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もみの木の夜明け〜おまけ
 チャピル  - 08/12/23(火) 0:08 -
  

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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.6 脈動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:09 -
  
翌日、神凪の筋肉痛は完全に引いていた。だが、神凪は学校を休んだ。アリサを待つために。

午前中、部屋でぼーっとテレビを見ていると、アリサがどこからともなく現れた。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act6.脈動


【アリサ】「ちーっす。ゆっくり寝れた?」
すっかり馴れ馴れしい口調で話し掛ける。
【神凪】「まぁな・・・」
【アリサ】「ってか随分散らかってるねー。何かしたの?」
と、漫画やゲームが散乱してる部屋を見ていう。無論、昨日神凪が散らかしたものである。
【神凪】「昨日帰ってからちょっとな・・・」
     それより、話があるんだ。」
【アリサ】「うん?」

と言うと、神凪はゲームや漫画の山から、1つのゲームソフトを取り出した。


・・・ソニックアドベンチャー2バトル。


それは7年前、小学生の時に、親に買ってもらったゲームソフトだった。
本編を半年ぐらいかけてクリアし、チャオもエンブレム集め程度にやったところでしまいこんでそのまま。売らずに残ってるのが奇跡的なぐらいである。

それを手に神凪が言う。
【神凪】「昨日チャオを見たときに妙な既視感に襲われたんだが・・・偶然こんなもんを見つけちまったよ。」
するとアリサも一気に表情を崩す。
【アリサ】「あーそれそれ!つまりあたしらはゲームの世界の中の住人なのよ!」
【神凪】「あっさり言うのか・・・」

そして、アリサはチャオ世界と自分についての『種明かし』をした。


チャオ世界が危機に陥っていると言っても、いきなり何も知らない人間に助けてもらえるとは思えない。
だが、チャオを知っている人間ならば話が早い。そこでどうするか。

神様の『能力』を使ってソニアドシリーズの所持者の家を探し、片っ端から当たっていたのである。
但し、所詮はゲームキャラ。忘れてる人もいるだろう。だからこそ、部屋の「ガサ入れ」が必要だったのだ。

【神凪】「そうか・・・それじゃ、あの夜の夢も・・・」
【アリサ】「夢?」
【神凪】「アリサと似たような声が、思い出せって連呼してたんだよ。」
【アリサ】「あー、あたしの能力で持ってる人の家見つけた時に脳に干渉入っちゃったかな・・・」
神凪は納得し、話を続ける。

【神凪】「でもよ、かなり前のゲームだぞ?今やってる奴なんて・・・」
【アリサ】「いるのよ。」
神凪の言葉を遮るように、アリサが強い口調で言い切った。

するとアリサは、部屋にあったパソコンの電源を入れ、IEを開き、アドレスを打ち込んだ。
http://karakuri-clock.com/WCC/c-board38/c-board.cgi

【神凪】「まだ『生きてる』・・・」
【アリサ】「これだけなら、狂信者、の一言で済ませればいい。だけどね・・・」

しばらく黙った後、アリサが語ったのは、チャオ世界で、最も重要な事実。

【アリサ】「チャオ世界は、どうやら人間がチャオ関連行動で費やした電気がエネルギー源みたいなのよ。」

つまり例えば、誰かがGCなりDCを起動してチャオを育てる。誰かが週チャオやチャオ関連の掲示板で発言する。そこで使った電気が、チャオ世界の太陽となる。

【神凪】「そんなバカな話が・・・あるんだろうなぁ。」
半分諦めたように、神凪もつぶやいた。今まで自分が目にしてきたことを考えれば、そんなこともあっておかしくない。

【アリサ】「もちろん、かなり前のゲームだから、もうあんまりチャオを育ててる人もいない・・・
      そのためのエネルギーの弱まりが、闇の侵食を許す原因になった・・・」

そのセリフは、神凪にある疑問を抱かせた。そこで、わざと悪意を持って聞き返す。
【神凪】「・・・つまりあれか?チャオを育てなくなった俺達のせいってか?」

だが、アリサの返答は途中で途切れた。
【アリサ】「いや、そうじゃなくて、・・・!!これは・・・!」
【神凪】「どうした?」
と聞くが、アリサの答えは大体予想できた。
【アリサ】「闇の侵食が・・・加速してる・・・!」

【神凪】「・・・どうするんだ?」
神凪が改めて訊く。
【アリサ】「カレンがプログラムと分かった以上、これも犯人がコンピュータを使って操作してる可能性が高いわ。となると・・・電脳世界か・・・」
アリサの口から何の躊躇も無く、『3つ目の世界』が飛び出した。
【神凪】「で、電脳世界?」
【アリサ】「ええ。漫画やアニメだけの御伽噺[おとぎばなし]じゃないわ。ただその中に普通の人間が入れないってだけでね。」

すると彼女は、チャオBが表示されたままのパソコンに、右手を突っ込んだ。画面の中に吸い込まれるように、右手の手首から先が消える。
【アリサ】「あたしにつかまって!いくわよ!」
【神凪】「あ、ああ!」
神凪は言われるがまま、自らの右手でアリサの左手を掴む。
するとアリサは一気にモニターの中に飛び込んだ。続いて、神凪もモニターの中に消えた。

<続く>
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.7 躍動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:10 -
  
電脳世界。そこは、光と闇の世界。
基本的には闇で構成されているが、そこを無数の光が飛び交う。
そこをアリサは、光の矢をかいくぐるように突き進む。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act7.躍動


そのアリサに、必死でつかまってるだけの神凪。
【神凪】「だ、大丈夫なのかよこれ!?」
【アリサ】「まぁ任せといてって!」

すると、アリサはさらにスピードを上げる。
【神凪】「うひいっ!」

そのスピードにだいぶ慣れてきた頃、神凪がふと思ったことをアリサにぶつける。
【神凪】「・・・って、そもそも光に当たるとどうなるんだ?」
【アリサ】「この世界を飛び交う光はつまり、信号、というか通信。
      ぶつかってもあたしらに害はないけど、届くはずのメールが届かないとか、重要な情報が通信できないとか、そういう事になるわね。」
【神凪】「へぇ・・・で、犯人をどうやって探すんだ?」
【アリサ】「あれだけの事をやるんだから、当然たくさんの通信が必要。となると・・・」
【神凪】「この世界で光をたくさん出しているはずって話か。でも、他の通信をたくさん出すような場所って、普通にあるだろ?」

大企業や官庁クラスであれば、当然たくさんの通信をしてるはずである。が、彼女には判別できる根拠があった。
【アリサ】「確かにそうだけど、そういう場所って、受信もたくさんしてるでしょ?
      いずれにせよ、あれだけの事をやるんだから絶対的に送信量のほうが多いはず・・・」
【神凪】「なるほど・・・」
そんな場所を見つけ出す。大量の光を避けながら。神様ならではの芸当だ。


【アリサ】「・・・候補は絞れたわ・・・あと3ヶ所・・・」
【神凪】「こっからは勘、か?」
【アリサ】「そうねぇ、でも・・・」

と、アリサはそのうちの1ヶ所の目の前に移動した。
すると、右手をスッと前に出す。
【神凪】「・・・?」
【アリサ】「恐らくハズレの2ヶ所は凄腕のハッカーか何かね・・・となると・・・」
その右手から一発、光の矢をその『場所』に向けて撃った。

すると、規則正しく放たれていた光の矢が、乱れた。
【アリサ】「当たりね・・・この程度のパケット送信で動揺してるなんて・・・」
【神凪】「普通攻撃してるところに攻撃受けたら動揺しないか?」
【アリサ】「ああいう事をやってる奴はこの程度は想定内、らしいわ。
      ・・・さて、いくわよ。」
【神凪】「あ、ああ・・・」

神凪は息をのんだ。アリサが言うには、ここに犯人がいる。
チャオ世界を通じ『闇』を侵食させ、無関係の人すら巻き込もうとした人間が。

そして、アリサに続いて、その無数の光が飛び出している『点』へ、飛び込んだ。


そこにいたのは、一人の女性だった。
【女性】「な、なんで・・・こんな、ことが・・・っ!!」
さすがに驚いている。というより、驚かない人間はいないだろう。パソコンのモニターから人間が2人出てきたのだから。

するとアリサは、今自分たちが『出てきた』パソコンを少しいじる。
【アリサ】「やはりビンゴだったみたいね・・・
      闇を侵食させてこの世界をも滅ぼそうとした犯人・・・」
【女性】「・・・っ!」
彼女は唇を噛む。バレてしまった、という表情だ。

【神凪】「この人、ひょっとして・・・」
神凪には、その顔に見覚えがあった。
【アリサ】「知ってるの?こっちの世界の有名人とか詳しくないけど・・・」
【神凪】「ああ、前にテレビで見たことがある・・・
     弱冠22歳にして数々の大企業のシステム構築を請け負う天才プログラマー、黒川紀子・・・!!」

その女性、つまり黒川は、椅子にカタンと座った。
【黒川】「・・・で、私を捕まえに来たの?」
【アリサ】「残念だけどあたしらは警察でもなんでもないわ。ただあたしは、自分の世界が侵食されて消えてしまうのが嫌なだけ・・・」
【黒川】「自分の・・・世界?」

そこでアリサは、自分のことについて話す。
すると黒川は、何かを思いついたようにパソコンをカタカタといじると、大きくため息をついた。
【黒川】「まさか・・・自分で自分の首を絞めるとはね・・・」
【神凪】「自分の首?」
【黒川】「チャオ世界・・・正式名、『IDOLA』[イドラ]を創造したのは、他でもない私よ・・・アリサ、あなたもね・・・」
【アリサ】「・・・え・・・!?」

そこで、アリサの動きが止まった。明らかに動揺している。
黒川はこう説明した。

アリサは、チャオ世界(=IDOLA)が昔から存在しているように思っているが、実は違う。黒川が数年前に自らプログラムして創りあげたものだ。
だが、既に天才と騒がれ、業界で注目されていた彼女にとって、創りあげたものを管理する暇はなかった。そこで、『管理者』を創造した。

後に、黒川がIDOLAを利用した侵食を企てた時に、『管理者』をその『監視者』として作り変えた。
【アリサ】「監視者・・・カレンっ!!?」
【黒川】「ええ、そうよ・・・」

だがその後、黒川がチェックしていない所である予期せぬ事態が生じる。
元々管理者にあった『良心』が、カレンから分裂して、別の人格になった。
【黒川】「それが貴方・・・アリサ・・・」
【アリサ】「嘘・・・そんな・・・っ!!」
その場に崩れ落ちるアリサ。

<続く>
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.8 衝動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:10 -
  
崩れ落ちるアリサ。その一方で、神凪は黒川の部屋を見回していた。
【神凪】「これは・・・ソニックのゲームにグッズ・・・こっちはナイツ、ぷよぷよ、ファンタシースター、この前発売されたばかりのワールドアドベンチャーもある・・・ソニックチームのゲームばかり・・・」
前日の夜、家にソニアド2バトルを見つけてから、色々とソニックチーム関連について調べていた。見れば大体わかる。
・・・そして、1つの疑問が生まれた。
【神凪】「なぁ、何でだ・・・?
     自分でチャオの世界を創っちまうぐらい、チャオが好きなんだろ?じゃあ何で、IDOLAを利用して世界を滅ぼそうとするんだよ!!」


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act8.衝動


すると黒川は、神凪の方を振り向くや否や、こう叫んだ。

【黒川】「これ以上・・・絶望したくないのよ!!!

     創世記の旧チャオBを見て、チャオは絶対有名になるって信じたのに!!
     旧チャオBの大物たちが、チャオを永遠に支え続けるって信じたのに!!
     ソニアド2発売を聞いて、チャオの無限の可能性を信じたのに!!
     ゲームキューブに移植して、今度こそチャオが広まるって信じたのに!!
     新チャオBにたくさんやってきた子供達が、チャオの未来を支えるって信じたのに!!
     署名運動が始まるって聞いて、絶対にチャオを救ってくれるって信じたのに!!

     ・・・私はその度に絶望した・・・」

その語気の強さに、神凪の動きは止まった。彼女の言っていることの細かい意味は、神凪には分からない。
ただ、言いたいことはおおよそ察することができた。この人は、昔からチャオを見ている。そして、チャオが育成できる新作ゲームは、ここ数年出ていない。それが把握できれば十分だ。

【神凪】「それで・・・チャオ10周年で週チャオも終わってしまう今、自棄[やけ]になって全部壊そうって・・・」
【黒川】「でも、もう私の負けよ・・・このままチャオも私も消えていく・・・何事も無かったかのように・・・」

彼女がプログラマーになったのも、全てはチャオのため、IDOLAを創るためだったのだ。
でも、いくら自分が有名になって天才になったところで、チャオが有名になる訳ではない。
何より、IDOLAを創ったところで、結局はそれは偽物でしかないのだ。決して本物にはなり得ない。

【黒川】「IDOLAを創ったのはただの自己満足だって気づいてから・・・破滅願望が出てきた・・・
     なんでみんなこんなにかわいいチャオを分かってくれないのって・・・なんでみんな忘れていくのって・・・!」
【神凪】「だから、世界をIDOLAから滅ぼそうとするって・・・!」

その時、神凪にある台詞が頭をよぎった。
『復讐に来たの・・・夢を忘れた人間に・・・』
カレンのこの言葉である。そしてつまり、黒川の憎悪対象は、チャオという存在を忘れていた自分のような人間だと悟った。

と、同時に、こんな言葉が口をついて出た。
【神凪】「やってられるかよ・・・たかがゲームキャラ1つ忘れただけで復讐されて滅ぼされるなんて・・・やってられるかよ!!!
     ・・・なぁ、どこだよ!?てめぇの勝手な逆恨みで消えた森下と富永はどこだよ!!行方不明になった何十人って人間はどこにいるんだよ!!!」
気がつくと、それは怒りに任せた叫びに変わっていた。

黒川は力なくうつむきながら、カタン、と自分の椅子に座り込む。
【黒川】「闇を消せば、行方不明者は戻ってくる・・・だけど、プログラムは不可逆・・・もう戻れない・・・戻れないのよ・・・!!」

神凪はそれを聞くと、
【神凪】「ちくしょおおおっ!!!」
やり場の無い怒りを、ベッドに向かって蹴りこんだ。ここで黒川にあたっても無意味だ。


ところが。
【アリサ】「いや・・・いけるわ・・・1つだけ方法がある・・・!」
突然、アリサがそうつぶやいた。
【神凪】「!?」
そちらを振り向く神凪。
【アリサ】「闇の侵食がこれ以上加速することはない・・・ならば、それ以上の速さで、逆に『光』で闇を侵食してしまえばいい・・・!」
【黒川】「闇以上の、光・・・?」
さらにアリサは続ける。
【アリサ】「言ったでしょ?チャオ世界…IDOLAのエネルギー源は、この世界でみんながチャオ関連に費やす電気だって・・・」

・・・そこで神凪は気がついた。
【神凪】「・・・まさか!!!」
【アリサ】「ええ。この世界でたくさんの人間が一斉にチャオ育てを始めれば・・・!」

【黒川】「無理よ・・・無理よそんなの・・・無理に決まってるじゃないの!!」
それを聞いた黒川が絶叫する。半分目が笑い、狂ったような表情で。
【黒川】「もう何十人ってレベルの人間しかチャオを育ててないのよ!?どうやってそれだけの人間にチャオを思い出させるのよ!!
     こんな話をして信じてくれる人間が一人でもいると思ってるの!?奇跡でも起こらない限り無理よ!!」
だが、神凪はこう言い放った。
【神凪】「アンタ、チャオが好きなんだろ!?だったら、チャオを、チャオラーを信じろよ!!
     チャオラーが起こす奇跡を信じろよ!!それが本来とるべき行動じゃねぇのかよ!?」
【黒川】「・・・・・」
黒川は何も言い返せず、黙り込んでしまった。


<続く>
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act.9 激動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:11 -
  
神凪はアリサに問う。
【神凪】「アリサ、どうすりゃいい?」
【アリサ】「やっぱり、一番はチャオBだけど…今は書き込めないから…週チャオの掲示板!」
黒川のパソコンを借りて、掲示板を開くアリサ。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act9.激動


【アリサ】「ハンドルネームは・・・とりあえず『K』にしときましょう。」
そして、文章を考える。
【アリサ】「実は、今起きている行方不明事件は・・・」
バカ正直に行方不明事件のことを書こうとするアリサだったが、
【黒川】「・・・それじゃダメよ・・・」
【神凪】「黒川さん!?」
黒川が止めた。
【黒川】「本当の事を書いたら、大騒ぎになるに決まってるでしょ・・・!」
     私に任せて。」
そう彼女は言い、隣の2台目のパソコンでカタカタと文章を打ち込み始めた。職業が職業なだけあり、パソコンは部屋に5台ほどある。

【神凪】「黒川・・・さん・・・」
さっきまで無理だと笑い飛ばしていた黒川が、必死になって文章を打ち込んでいる。そのスピードはまさに天才。
さらに、打ち込みながらこうつぶやいた。
【黒川】「こんなもので、私の罪が拭えるとは思ってないけど・・・奇跡が起こせるなんて思ってないけど・・・
     私はやっぱり、チャオが大好きだから・・・!!」
気がつくと、彼女の頬には涙が伝わっていた。


▼週チャオを見ている皆さんへ K 08/12/23(火) 12:23

 突然ですが、はじめまして。

 私はソニアド1の発売日からずっとチャオを育て続けています。
 今までこういう場所は見るだけで書き込むことはありませんでしたが、ここを見ている皆さんに、ある提案をしたいと書き込みをすることにしました。

 今日はチャオ10周年というとてもめでたい日ですね。
 折角ですから、最近チャオと会ってない皆さんも、久しぶりにチャオと会ってみるのはどうでしょう?

 中には、ゲームキューブやドリームキャストが今は手元にないって人もいるかもいるかもしれません。
 そういう人も、ちょっとだけでもいいので、チャオのことを考えてみるのはどうでしょう?
 考えた内容を、このチャオBに書いてみるのも、面白いかもしれませんね。

 また、皆さん、最近チャオを育てなくなったお友達は周りにいませんか?
 今日はチャオの誕生日だよ、と周りに教えて、みんなで久しぶりにチャオを育てたりしてみませんか?

 チャオが育てられる新作のゲームが出なくなってから随分経ちますが、みんなが少しづつそうやってチャオのことを考えていれば、奇跡だって起こっちゃうのでは、なんて考えています。

 私も今は仕事が随分忙しくなってしまったので、多分お返事をもらってもお礼をすることはできないと思います。でも、なるべく時間を作って、全部読みたいと思います。
 それでは、失礼します。チャオガーデンで会いましょう!



【神凪】「すげぇ・・・」
数分後には、この内容のメッセージが書き込まれていた。
【神凪】「でもこれ、完全に黒川さん視点だよね・・・」
【黒川】「こうでもしないと説得力がないでしょ・・・」

すると、隣でアリサが驚きの声をあげる。
【アリサ】「ウソ!?もうレスが!?」
【神凪】「マジかよ!!」
確かにレスがついていた。
『いいですね!ぼくも友達に言ってみんなでチャオを育てます!』

その後も、続々とレスがつく。その様子をリアルタイムで見ていき、驚く3人。
【アリサ】「もうこんなに・・・!?」
もちろん、そのレスの全てが、賛同の声である。・・・そして。

【黒川】「これは・・・そんな・・・!?」
【神凪】「どうしたんですか?」
【黒川】「闇の侵食のスピードが・・・止まった・・・っ!!」
そう、みんなが掲示板に書き込み、チャオを育て始めたのだ。

やがて、モニターに表示される侵食率を示すグラフは、逆方向へと動き始める。
【神凪】「闇の侵食が消えていく・・・」
【アリサ】「いける!これならいけるわ!!」

【黒川】「自分が作ったプログラムが敗れるところを見るのは・・・あまりいい気分はしないものね・・・」
そんな中、黒川は再び下を向いた。それを見た神凪は、彼女の肩をポンと叩いた。

【神凪】「俺はとっくにチャオなんか忘れてた人間だから大きい事は言えねぇけどさ・・・
     天才プログラマーなんだろ?だったら、もっと頑張って、世間を驚かせてやれよ。
     それが、チャオラーさんにとっての希望になるんじゃねぇのかな・・・チャオ好きが世界を動かしてる!ってな具合にな。」

黒川はなおも下を向いたまま言う。
【黒川】「私にそんな大層なことができるかどうか・・・」
【神凪】「できるさ。現にこんなデカイ騒ぎやらかせるぐらいなんだしな。」
そこで、ようやく黒川は顔をあげた。
【黒川】「そうね・・・最も、私がチャオ好きだなんて、誰も知らないでしょうけど・・・」


【アリサ】「2・・・1・・・0!!闇の侵食、完全に消滅・・・!!!」


<続く>
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【REMEMBER!![リメンバー!!]】Final.Act 不動
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:12 -
  
12月24日、水曜日。
何事も無かったかのように学校に通う神凪。2日連続で休んだのではあるが、病欠という言い訳はできている。
【神凪】「おーっす、大丈夫か?」
【森下】「なーんかよく分かんねぇけど戻ってきたぜ。」
【富永】「俺らからしたら2日分タイムスリップしただけように感じるだけだからなぁ。」


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】FinalAct.不動


闇の侵食が完全に消えた途端、行方不明者が消えた場所で次々と発見された。
全員ともに行方不明になっている間の記憶は無く、年の瀬の怪奇現象としてマスコミを騒がせた。
富永と森下もマスコミからの取材を受けており、何もしていないのに有名人である。

行方不明になる直前に2人と一緒にいた神凪も1回インタビューを受けたが、無論『真実』は伏せた。
2人と別れて、なんかフッと音がしたので振り向いたら姿がなかった、寄り道したのかと思い不審には思わなかった―――それが彼の『証言』である。


【神凪】(チャオ、か・・・)
チャオ。昨日から、その単語が頭を離れない。あれだけのことがあって、ある意味当然なのかもしれないが。


あの後、電脳世界を通じ神凪の部屋に戻った後、アリサはIDOLAへと帰っていった。
もちろん黒川に世間の疑いの目が向けられることはなく、何事も無かったかのように仕事を続けている。
『いま話題の天才プログラマー・黒川紀子に直撃インタビュー!!』
そんな記事の載る雑誌が相変わらず本屋に積んである。

神凪は下校途中に本屋でその雑誌をパラパラと立ち読みしたが、インタビュー内容に興味は持てなかった。
雑誌がパソコンの専門誌のためインタビュー内容も専門的、というところが大きいが、何より、もう彼女は他人なのだから。


【森下】「おーい、何やってんだよ。」
森下が声をかける。
【神凪】「おう、ちょっとな。」
【富永】「しっかし相変わらずボーっとしてるなぁ。本当にどうしたんだ?」
【神凪】「何でもねぇってば・・・」
【森下】「ん、これって有名なオタク系パソコン雑誌じゃん。お前、実は隠れオタクだったのか!?」
【神凪】「違ぇーよ!!ちょっと気になっただけだよ!」
【富永】「何がだよ?・・・あ、この人だな!最近話題になってる美人プログラマー!!」
と、富永が指したのは、雑誌の表紙にあった黒川の写真。
【富永】「お前、ひょっとしてこいつのファンなのか!?」
【神凪】「いや、違うってば・・・」

無意味な押し問答を続けつつ、神凪は思った。これが日常なんだな、と。
やっと帰ってこれたんだな、という感情が沸き起こり、不意に笑い声がでた。

【森下】「つ、遂に神凪が狂ったぞ・・・」
【富永】「今ならまだ間に合う!神凪!引き返せーっ!!」


何とか2人の詰問をかわし、神凪は自宅へ。
階段を駆け上がり、自分の部屋へと向かう。
【神凪】(ここ数日色々ありすぎたし・・・今日はゆっくり寝るかな)


が、部屋の入り口で、神凪は再び呆然と立ち尽くした。

そこで、数日前とほぼ同じ光景が繰り返されていたからだ。


・・・そこにいたのは、テレビのお笑い番組を見てお菓子を食べつつたまに爆笑するアリサ。

【芸人】『これで楽におそうじが・・・ってなんでやねん!!』
【アリサ】「ぎゃははははは!!」

次の瞬間、何の気なしにふと入り口の方を振り向いたアリサと、神凪の目が合った。

【アリサ】「・・・あ゛。」
【神凪】「・・・をい。」
とっても気まずそうに目を合わせる2人。


【アリサ】「い、いやー、こっちの世界のテレビっておもしろいなーって・・・てへ♪」
【神凪】「てへ♪じゃねーっ!!」
神凪が一発アリサにブチ込む。その力は、テレビの中のお笑い芸人のそれよりはるかに強かった。


<おわり>
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【Lost Decade Chronicle】その1
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:13 -
  
聖誕祭まであと数日と迫った、ステーションスクエアの一角のマンションの一室。

【エルファ】「ふー。」
コーヒーを飲みつつのんびり休憩中なのはヒーローヒコウの眼鏡っ娘、エルファ。

そこに、カタン、と音がした。
どうやら、郵便受けに郵便が届いたらしい。

どれどれ、と彼女がドアの郵便受けをのぞいてみると、そこには1通の封筒が入っていた。差出人は―――
【エルファ】「リネージュ財団総裁、ルーティア=リネージュ…」


                    ≪Lost Decade Chronicle≫


中身はこんな感じ。

『やっほー!エルちゃん元気にしてるー?
 今度の12月23日に、チャオ10周年記念パーティーをウチのホテルの大広間でやるから、絶対来てね☆ ルーティア=リネージュ』


【エルファ】「招待状、ですか…」
もちろんこんなお誘いを断る訳にはいかないし、そもそもこの日は絶対に空けてある。彼女は手帳を開くと、カレンダーにメモを書き加えた。
書き終わってメモを閉じた、その時。

♪もってっけ〜!流星散らしてデイト…♪

どこかで聞いたような着うたが流れる。テーブルの上のケータイを取り、電話を受けようとするところで、その番号に驚いた。
【エルファ】「こ、これは…」

電話してきた人物は…この人。
【ルーティア】『やっほー!封筒届いた?』
【エルファ】「ええ、たった今…で、封筒を送ったところで電話なんて、どうされたのですか?」
【ルーティア】『そうそう、その件について相談なんだけどさ、パーティーを狙った犯行予告が来てるのよ!』
【エルファ】「犯行予告…?」
【ルーティア】『うん、なんか爆破するとかなんとか…警備体制には心配ないんだけど、一応調べるの、手伝ってくれる?』
【エルファ】「ええ、分かりました。」
【ルーティア】『とりあえず、明日のお昼に本部ビルにお願い!詳しくはそこで説明するから!』
とまぁ、こんなやり取りの後、電話を切った。

【エルファ】「さて…久しぶりに大騒ぎになりそうな気がします…」
そうつぶやきながら、再びコーヒーを一杯。

===

さて、翌日のお昼、リネージュ財団の本部ビル。

【エルファ】「ここに来るのも久しぶりですね…」
自動ドアが開き、中に入る。
受付の女性がエルファの姿を見ると、すぐに立ち上がり、こちらにやってきた。
【女性】「エルファ様ですね、こちらへどうぞ。総裁がお待ちです。」

彼女の案内でエレベーターを上がり、着いたのは、最上階の総裁室。
【ルーティア】「ひさしぶりーっ!」
【エルファ】「お久しぶりです。」
軽く挨拶を済ませていると、扉が開いて、後から入ってくる人が。

【神楽坂】「しっかし、まさかただの高校生が総裁室に入れるって…」
【川島】「あ!総裁、お久しぶりです!」
神楽坂啓と、川島涼子。パートナーのチャオがいるはずの2人だが、今日はいない。
【ルーティア】「ひさしぶりー!ルーティアでいいよ、あたしのことは。」

【エルファ】「その制服は、確か…チャトル大付高の2年生?」
【ルーティア】「紹介するね、こちらが友達のエルファさん。
        で、この2人があたしの頼れる後輩、こちら神楽坂くんで、こっちが川島さん!」
【神楽坂】「あ、どうも…」
【川島】「頼れるだなんて、そんな…」
軽く、お互いに挨拶を済ませる。

【ルーティア】「そういえば、パートナーの2匹はどうしたの?」
【神楽坂】「作者が『あまりキャラを出しすぎると収拾がつかなくなるから』とストップを…じゃなくって、今日は近所でチャオだけのお祭りがあるんですよ。」
【川島】「一応原作が完結してから2年半経ってるし知らない&忘れてる読者も…じゃなくって、つまりそういうことで今回はお休み。」
【ルーティア】「そ、そうなんだ…」
【川島】「その代わり、って訳じゃないけど、もう1人呼んでもいいかな?」
すると川島は一旦部屋の外に出ると、私服の女の子を引っ張るように部屋の中へ連れてきた。

【木更津】「な、なんなんですか…?ここ、どこですか…?
      何であたし連れてこられたんですか…?」
あっけにとられる彼女をよそに、川島は部屋の鍵を閉める。
【木更津】「なな、何で、かか、鍵を閉めるんですか!?一体何を」
【川島】「黙りなさい。」
【木更津】「ひぃっ!?」
一喝する川島、うろたえる木更津。

【神楽坂】「またしても美少女だった…じゃなくって、パロディはいい加減そこまでにしとけよ…
      (つーか未来人じゃなくて異世界人だし…)」
【川島】「仕方無いわねー…」
川島は不機嫌そうに鍵を元に戻す。

【木更津】「えっと、こ、こんにちは!」
改めて挨拶した女の子が、木更津香織。こう見えても異世界の魔術師である。しかもかなり強い。
ちなみに彼女にもパートナーのチャオがいるが、神楽坂・川島のパートナーと同じ理由でお休み。
【ルーティア】「あー、ひっさしぶりー!」
【木更津】「え、えっと…どちら様でしたっけ!?」

一瞬凍りつく総裁室。確かに木更津とルーティア嬢は原作で面識があるはずなのだが…本当に忘れてしまったらしい。
【川島】「え、えっと、最初にこっちに来たときの、あの…」
川島が必死にフォロー。
【木更津】「うーん、いたようないなかったような…」
【ルーティア】「いいのいいの!これから覚えればいいだけだから、ね?よろしく!」
そんな状況にも、裏のない笑顔で挨拶するルーティア嬢。
【エルファ】(そういえば、彼女には負の感情が存在しないのでしたね…『裏』がいますから…)


さて、面子が揃ったところで、本題。
【ルーティア】「本題だけども…チャオ10周年記念パーティーに爆破予告が来てるってのは話したよね?」
【エルファ】「ええ、それは…」

そんな中、何やらひそひそ話を始める2人。
【川島】(って、連載終了から2年半経ってるのにあたしらまだ高2っておかしくない!?確かに歳は取りたくないけど!)
【神楽坂】(リネージュ先輩なんて初登場からほぼ10年経ってるのにまだ18歳ですよ!一体どうなってるんですかこの世界は!)
【川島】(これはやっぱり…)
【神楽坂】(ドラえもん時空、またの名をサザエさん時空…っ!!)
【川島】(ってことはあたしらは永遠の17歳!どこぞの声優もびっくりね!)
【神楽坂】(数年前の作者が無理矢理時間を進めさせて整合性を取ろうとしたのがバカみたいだな…最初からこうすりゃ良かったのに…)
【川島】(しーっ!言っちゃだめ!聞こえるわよ!)

【ルーティア】「あ、あのー…いいかしら?」
【2人】「あ、はい!」
…話を戻して。

【ルーティア】「で、これが送られてきた脅迫ビデオなんだけど…」
と、ビデオテープをセットする。
【エルファ】「い、今時VHSですか!?」
【川島】「ほ、ほら!98年当時はDVDとか無かったから!」
【神楽坂】「気がつけばブルーレイ…時代が変わったなぁと作者が嘆いてますよ…ってそういう問題じゃねぇだろ!」
【川島】「ここまでやるならベータでも送りつけてくれればもっと面白いことになったのに…」
【神楽坂】「いや、今の読者はベータとか本気で分からない人いそうだから!」
外野が騒いでいるうちに、ルーティア嬢が再生ボタンをON。

映った画像は、何やら覆面をしたチャオ。
【覆面チャオ】『これからお前たちにいいことを教えてやる…』
音声は加工されており、誰かを特定するのは不可能だ。

【覆面チャオ】『今年の12月23日…リネージュ財団所有の高級ホテルで行われるチャオ10周年記念パーティーを爆破する…
        お前たちにこれを止めることは不可能だ…』
【神楽坂】「なんだってこんなことを…」
【ルーティア】「ビックプロジェクトだから、今更中止するのも難しいわ…」

…だが、ここからなんだかおかしくなる。
【覆面チャオ】『どーーーーーしてもこの私を止めたいのならば、えーっと、なんだっけ?
        と、とにかく覚悟するのじゃー!だーっはっはっは!!!』

で、ピンと来た3人。
【神楽坂】「こ、この口調と独特の高笑い…」
【川島】「これは恐らく…」
【ルーティア】「っていうかほぼ100%…」

【3人】「プロフェッサー・ムコージマ!!!」

またの名を向島きょうじゅ。週チャオ史上最凶のマッドサイエンティスト。
【神楽坂】「また俺たちまで面倒に巻き込みやがって…」
【川島】「あーもう、結局いつものパターンじゃない!」
【ルーティア】「ま、まぁ、いつものパターンって分かれば、逆にやりやすいし、大丈夫かな?」

と、gdgdになりかけたその時、ビデオから最後のメッセージが。
【きょうじゅ】『なお、このビデオは再生が終了すると自動的に…』

【ルーティア】「!?」
【エルファ】「まさか…爆発!?」
【川島】「香織ちゃん、下がって!」
訳も分からず数歩さがる木更津、身構える他の3人と1匹。


【きょうじゅ】『…巻き戻される。』

ガチャ。
ウイイィィィィン………


【おぉる】「だあああああっ!!」

【神楽坂】「な、なんというか…巻き戻すっていう発想がまさに90年代というか…」

とにかく、やるべきことは分かったので、改めて作戦会議を開くことにした。

<続く>
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【Lost Decade Chronicle】その2
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:14 -
  
<その2>


リネージュ財団本部ビルがドタバタしていたその頃、月の裏側に建てられた、向島きょうじゅの秘密基地。

【きょうじゅ】「だーっはっはっはっは!いよいよチャオの誕生日こと正反対…じゃなかった、なんじゃっけ?
        まぁいいじゃろう、そのナントカまであと数日!作戦の実行まで抜かりなきように!!」
と、数匹のチャオを前に演説?する。

【ロルフィーヌ】「まったく、この華麗なる僕まで月に駆り出されるなんて奴は一体どういう神経をしているんだ…」
ナルシストチャオ、ロルフィーヌ。
【紀流院】「知るかよ、それより新しい格闘術が学べるって話、まだか?」
格闘バカなチャオ、紀流院。
【タキオン】「よく分かんないけど、父さんはヤルキナシの実がもらえたらそれでいいんだな。」
紀流院と双子で、ぐ〜たらおやぢチャオ、タキオン。
【ペンチャ】「いよいよきょうじゅが本気を出すらしいが…何をするつもりだろう?」
きょうじゅの教え子、ペンチャ。
【水猫】「きょうじゅの考えることは全く分からないですからねぇ…でも今回はこんな大規模なことを…」
やはりきょうじゅの教え子で、彼に負けず劣らず優秀なチャオ、水猫。

…謎の目的のために集められたきょうじゅの知り合いたち(?)。ここで、きょうじゅが自らの目標を高らかに宣言した。
【きょうじゅ】「チャオの誕生日!12月23日にワシは!月から地球に降り立って新世界の神になるのじゃーっ!!」

【紀流院】「何だとぉっ!?じゃあまさか…新しい格闘術が学べるってのは嘘だったのかっ!!」
【ペンチャ】「いや『あれ』に格闘術が教えられる訳ないんじゃ…常識的に考えて…」
あっさりと騙されすぎの紀流院。

【きょうじゅ】「そのために地球に降りるための乗り物がこれじゃ!」
と、きょうじゅは自分の背後にある幕を引いた。そこには―――

【ペンチャ】「ロボット!?」
【水猫】「何か隠してると思ったら…これだったのか!」
いくつものロボット。つまり、これに乗って降りるつもりらしい。

【ロルフィーヌ】「ふっ、なかなか華麗な計画じゃないか。そのためだけにわざわざ月に来るなんてまた素晴らしい。」
【紀流院】「共感しやがった!
      …しかし、月からロボットに乗って降りてくるなんて話、どっかで…はっ!∀ガンダム!!」
【ペンチャ】「しーっ!ここはセガ的にファンタシースターゼロと言っておけ!!」
【タキオン】「明後日発売らしいからみんな買うといいんじゃないのかな。父さんは買わないけど。」
【紀流院】「分かったからお前ら露骨な宣伝やめろーっ!!」

【水猫】「そういえば第1期週チャオ全盛期は∀ガンダムの放送時期と被りますからね…と、それはさておき。
     きょうじゅ、地球に降り立つのはいいとして、目標は?」
【きょうじゅ】「よくぞ聞いてくれた!目標はこのホテルじゃ!」
と、横のスクリーンに地図が映し出される。そして、ルーティア嬢が記念パーティーを行うホテルに目印が。
【きょうじゅ】「ここで政府の幹部によるパーティーが行われるそうじゃ!そこに乗り込む!」
【ロルフィーヌ】「ほほう、珍しくマトモに考えてあるじゃないか。」
【紀流院】「新世界の神になるってのがよく分かんねぇが…まぁいい、どうせ他に降りる手段も無いんだしやってやろうじゃないか。」
なんだかんだでみんな乗り気な方々。

【水猫】「いや、ちょっと待った。このロボット、どこかで見覚えが…」
【紀流院】「ん?そういえば…」
そのロボットは、まるでオモチャオのような外見。…そう、

【タキオン】「父さん思い出したぞ!生首置物だ!!」
【ペンチャ】「違ーうっ!!」
【水猫】「オモチャオーじゃないかっ…!」
オモチャオ型巨大ロボット、オモチャオー。TOYという正義の味方の組織が所有する巨大ロボットなのだ!!

【きょうじゅ】「はっはっは!よく分かったな!!ちょっと設計図をTOY本部から借りてきたのじゃ!」
【ロルフィーヌ】「…それは『パクった』と読めばいいのかな?」
【紀流院】「いいんじゃねぇのか?」

そんなこんなで、計画は進む。

===

さらにその頃、ステーションスクエア郊外。
魔法の雑貨屋さん『くりすたる堂』を訪れる、1人の女性がいた。
【しぃぷ】「あれ、お客さんなんて珍し…あ、こんにちは!」
店番はこの店の次男、しぃぷ。
【霜月】「こんにちは、しぃぷ君。」
霜月麗香。言ってみれば、同業者。街の大通りでアンティークショップ『霜月堂』を開いている。
今日はパートナーのアンナ=バルドルに店番を任せて、くりすたる堂にやってきた。

元々霜月堂の品揃えのうち、大半がここで仕入れたもの。霜月堂自体、彼女の趣味で集めたコレクションを展示しているだけのような店でもある。

【ナッちゃん】「おー、これはこれはおねーさん、いつもありがとうございます。」
奥から出てきたのは、この店の主人でしぃぷの父親のナッちゃん。
【霜月】「いえいえ、こちらこそ。…ところで、水猫くんは?」
水猫は、ナッちゃんの長男、しぃぷの兄にあたるのだ。
【ナッちゃん】「あー、水猫なら、2週間ぐらい前にちょっとしばらく出かけると言ったきり、帰ってこないのですよ。」
【霜月】(ちょっとしばらくってどれくらいなのかしら…)
と彼女はちょっと考え込むが、このチャオも(きょうじゅ程ではないが)壊れているので、それ以上考えないことにした。

【霜月】「そうなんですか、珍しいですね。…おっと、そうだった、注文の品は入ってるかしら?」
【ナッちゃん】「もちろん!ささ、奥へどうぞどうぞ。」
そうナッちゃんに招かれて、霜月は店の奥へと入っていった。

【しぃぷ】(そういえば、ルーキ君もお父さんがしばらく出かけてるって言ってたっけ…)


店の奥、薄暗い倉庫のようなところ。
【ナッちゃん】「えっと…これですかな?」
【霜月】「あー、これこれ!一度見てみたかったのよねぇ…」
と、手に取ったのは、アンティークのガラス細工。
【ナッちゃん】「そうそう、そういえば、これを仕入れる時に、ちょいと耳寄りな話を聞きましてね。」

………

【霜月】「へぇ…それは面白いことになりそうね…」
【ナッちゃん】「でしょう?」
【霜月】「これはあの招待状に『イエス』と書くしかなさそうね…」
そう言い、ふふふ、と小声で笑ってみせた。

===

再び場面はリネージュ財団本部。場所は会議室へと移る。

【ルーティア】「では改めて!作戦会議を始めるよ!」

【神楽坂】「そういえば、最近きょうじゅが妙に大人しいな、と思ったらこういうことだったのか…」
チャトル大学教授でもある向島きょうじゅは、普段は隣にある付属高校をも巻き込んで毎日大騒動を起こすのだが、最近はめっきり起こらなくなっていたのだ。
【川島】「まぁ、今までもしょっちゅう行方不明になるから大して気にはしてなかったけど…」

【エルファ】「問題は、きょうじゅがどこに行ったか、ですね…」
【ルーティア】「それなんだけど、ちょっと色々調べたら、こんなのを見つけたんだよ。ぴーた君、お願い!」
と、ボディーガードのオモチャオ・ぴーた君に言う。
【ぴーた君】「了解シマシタ…もにたー起動シマス。」
と、会議室のモニターに、地球と月の地図が映し出された。

【木更津】「これ、何?」
【神楽坂】「えっと、これが地球で…って、ひょっとして地球が丸いとこから説明しなきゃダメか?」
木更津は科学技術の代わりに魔術が発達した世界の住人。まずは「地球が丸い」というところから説明する必要がある。
という訳で、中略。

【木更津】「へー、なんかよくわかんないけどすっごーい!」
【川島】(結局分かってないみたい…)

ようやくぴーた君が説明開始。
【ぴーた君】「数週間前ニ、向島キョウジュ製作ト思ワレルろけっとガ地球カラ月ヘト向カウノガ確認サレテイマス。」
【エルファ】「月、ですか…」

【ルーティア】「なんでパーティーを爆破するのに月に行くのかよく分からないけど…要注意ね。」
【神楽坂】「きょうじゅのことだから、派手に攻めてくるんじゃないですか?」
【川島】「というか十中八九そうね…」

そこで木更津が質問をぶつける。
【木更津】「えっと、そのきょうじゅってチャオがお月様にいるんだったら、あたし達も行けばいいんじゃない?」
【ルーティア】「うーん、お金と技術はあるんだけど、さすがに宇宙までは想定外で、23日までに準備できそうにないんだよねー…」
リネージュ財団、意外なところに弱点。では、どうするか。

【ルーティア】「まぁ、コソコソやられるよりは派手に来てもらったほうがやりやすいわ。23日に派手にドンパチやっちゃおーっ!」
【川島】「って、先輩!遊びじゃないんですから!」
【ルーティア】「だってその方が盛り上がるじゃん?」
【神楽坂】(無事で済めばいいけど…)

その時、突然ケータイの着うたが会議室に響き渡った。

♪もっていけ!最後に笑っちゃうのはあたしのハズ!…♪

【エルファ】「!?ちょ、ちょっと失礼します!」
またまたエルファのケータイ。彼女は慌てた様子で電話を取った。

【神楽坂】「って、もってけ違い!?」
最初のもってけをどこで聞いたんだというツッコミはさておき。

【エルファ】「もしもし!?こんな時に何の用ですか!?へ?『月は出ているか?』知りませんよそんなの!
       こっちはそれどころじゃないんですから、切りますよ!いいです!?それじゃ!」

…ガチャ。

【ルーティア】「え、えっと…何も聞かなかったことにしておいたほうがいいの?」
【エルファ】「そ、そういうことにしておいてください…」
と、そこで彼女は大きなため息をついた。

【エルファ】(しかし…これは『あれ』を使うことになりそうですね…)

===

こんな感じで適当にそれぞれの思惑が絡み合ったりそうでもなかったりする中、12月23日、当日がやってきた。

<続く>
引用なし
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【Lost Decade Chronicle】その3
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:15 -
  
<その3>


12月23日、正午。ステーションスクエア中心部の某高級ホテル、大ホール。
【ルーティア】「それじゃ、チャオ10周年を祝って!かんぱーいっ!!」
【参加者】「かんぱーい!!」
彼女の掛け声とともに、パーティーが盛大に始まった。

【ルーティア】「みんなー、ゆっくりしていってね!!」
【神楽坂】(色んな意味でゆっくりできねぇよ!!)


その頃、月の裏側でも。

【きょうじゅ】「だーっはっはっは!!いよいよ準備は整った!!これから地球へと突撃じゃーっ!!!
        …プロフェッサー・向島が命じる!!全力で地球のこのホテルへと突撃せよ!!」

【紀流院】「イエス・ユア・チャオネス…ってギアス持ってねーだろ!!どうせ命令されなくても乗るっつーの!」
いずれにせよ、乗らないと地球に帰れない。

かくして、きょうじゅと愉快な仲間たちは月を出発。地球へと向かった。


―かつて、栄光があった―

【ぱある】「では、再びこのパーティーの司会を務めさせて頂きますぱあるより一言!
      今日はあのボケじじいがいなくてまことに清々しい!いい気分でパーティーを楽しめそうだ!!」
【ルーティア】「そういえば、きょうじゅの他にも呼んだはずなのにいないチャオがいるような…ま、いいか☆」

―当時の人々は、繁栄の果てに数々の名キャラクターを生んだ―

【神楽坂】「…にしても、きょうじゅが月から攻めてくるってのに、本当に大丈夫か?」
【川島】「リネージュ先輩が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫でしょ。あたしらにまで害は及ばないわよ。」

―そして、10年―

【紀流院】「チャオ10周年か…そういえばルーティアちゃん、今頃何やってるんだろう?」
【タキオン】「そういえばこのアルバイト、結局ヤルキナシノミはもらえるのかなー…?」

―白き空のさなか、月は漆黒に染まり―

【きょうじゅ】「よーし、目標が見えてきたぞい!!総員、攻撃開始じゃーっ!!」

―忘れられたチャオは、舞い降りた―

【ペンチャ】「…って、これファンタシースターゼロのプロローグだろーっ!!!」


午後1時30分。
轟音と火柱が、突如ホテル周辺に上がった。

「きゃああああっ!!」
「うわああああっ!!」

叫ぶ人々。そして、彼らが空に見たのは、ホテルに向う6機のオモチャオー(?)の姿であった。


【木更津】「え!?なになに!?」
【神楽坂】「マジで…きやがった!!」
ここら辺の人は、一応状況を飲み込んでいる。

【ナッちゃん】「おやおやおねーさん、この前ぶりですね。」
【霜月】「ええ、お久しぶり。…にしてもきょうじゅ、本当にやる気だったのね…」
【ナッちゃん】「まだまだ、これからですよ…」
霜月とナッちゃんも、この真相を知っていたようだ。

【ルーキ】「うわっ、なんだ!?」
【プロン】「マジヤバイって感じじゃない!?」
【バーブ】「バブー、バブー!」
【マッハ】「こ、こんなイベント、母さん聞いてないわよ!?」
タキオンファミリー一同。この隣には、ルーキのお友達であるしぃぷもいた。

【ルーティア】「来たわね…ぴーた君、あれをお願い!!」
【ぴーた君】「了解シマシタ…新型ヲ起動シマス。」
ルーティア嬢はぴーた君にそう頼むと、壇上のほうに向かい、何が起こっているのかサッパリ分かっていないぱあるからマイクを取り上げると、こうアナウンスした。
【ルーティア】「みんな落ち着いて!ちょっと外の騒ぎを収めてくるから、ぱある君、その間をお願いね!」
そう言い残すと、ルーティア嬢はあっけに取られているぱあるに再びマイクを渡すと、パーティー会場から走り去っていった。

【川島】「あたしらもいくわよ!!」
【神楽坂】「あ、ああ!」
【木更津】「ほ、ほへ〜!?」
追うように、この3人。

【エルファ】「はぁ…仕方ありませんね…」
さらに彼女も。

【ナッちゃん】「さてさて、どうします…?」
【霜月】「歴史の証人ぐらいには、なれるかしら…?」
不敵に笑いながら、霜月も歩いて出て行った。

そうやって何人かが会場から出て行くのを見た他の参加者も、ある者は興味本位、またある者は避難経路だと思い込み、次々と会場を飛び出した。

【ぱある】「何が起きてるのか分からないが…ここは!この私が皆を落ち着かせて…って、あれ?」

既にだ〜れもいません。


ルーティア嬢が真っ先に飛び込んだのは、極秘に存在する地下の格納庫。
【ルーティア】「システムオールグリーン…VF-1998、出撃!!」
戦闘機のような機体に乗り込むと、一気に出撃。これで彼らを迎え撃とうという訳だ。

【エルファ】「まったく、生身のチャオで巨大ロボット相手に戦えだなんて、作者の顔が見てみたいですね…まぁ私の相方ですけど!
       舞えよ四天剣!!クアトレスパーダ!!」
そう叫ぶと、首にさげてる鈴が光り、瞬く間に2本の光の刃に変化した。それを両手に携えると、羽をバサリと羽ばたかせ、開けた窓から空へと飛び立った。


【川島】「香織ちゃん、この靴を履いて!」
と、川島がバッグから1足の靴を取り出した。
【木更津】「へ?」
【神楽坂】「リネージュ財団特製の『空を飛ぶ靴』だ。いいから急いで!」
2人の慌てている様子を見て、木更津は訳も分からず慌てて履き替える。
【木更津】「ど、どこに行くの!?」
【川島】「香織ちゃんの魔術で、攻めてきた敵をやっつけに行くのよ!」
【木更津】「え、ええーっ!?」
ようやく状況が飲み込めてきた木更津。
【神楽坂】「俺たちはこっちじゃ魔術を使えないけど、同じ靴を履いてるからサポートしてやる!準備はいいな!」
2人は木更津が靴を履き替えたのを確認すると、彼女の右手を川島が、左手を神楽坂が持って、
【2人】「せーのっ!」
タン、とジャンプした。すると思い切り、ポーンと跳ねて、開いた窓から空へと飛び出した。2人が木更津を連れて行く形だ。

【木更津】「うわあああっ!?と、飛んでる!?」
【川島】「深く考えないで、自由に空を飛ぶ様子をイメージして!」
【木更津】「う、うん!…こう?」
2人がそっと彼女の手を離すと、クルクルクル、と空中を自在に回ってみせた。
【木更津】「す、すっごーい!!」
【神楽坂】「マジかよ…一瞬で使いこなしやがった…」
     (俺がマトモに飛べるようになるまで3日かかったのに…!)

【川島】「それじゃ、行くわよ!」
【木更津】「う、うん!!」
再び川島が加速すると、それを追うように2人もついていた。


【霜月】「今のところ、6対3みたいね…まぁ、個々の能力に差があるから、どうなるか…」
双眼鏡を片手に、そうつぶやく。相変わらず、余裕の表情だ。

===

【ルーティア】「もうすぐ…いた!あそこ!」
発進から2分。ルーティア嬢が、視界に6機をとらえた。だが、すぐに彼女は、自らの目を疑った。
なにせ、相手はあのオモチャオー。本来、『正義の味方』であるはずのロボットである。
だが、もう1つ、驚くべきことがあった。

【ルーティア】「あの1機は…なに…!?」
一番最後尾につけている機体。それは、オモチャオーではなかった。
明らかに異様で、彼女の記憶にも存在しない機体。日本語では表現しきれない、ひたすら異様な雰囲気を放つ。
【ルーティア】「まるで、生物と機械が融合したような…はっ、バジュラ!?」

ルーティア嬢が「パクリ」と結論を出した時、ようやくエルファと神楽坂たち3人が到着した。
【神楽坂】「バジュラだかバジユラだかヴァジュラだか知らねぇが…」
【川島】「PSUの杖だとかPSOの防具だとかそういうレベルじゃないわね…こうやってフォローしなきゃ誰も分かんないでしょうけど…!」
【エルファ】「とにかく…さすがにあれは生身では太刀打ちできるレベルではありませんね…頼みますよ…!」

【ルーティア】「うん…、ホテルには指一本触れさせない!」

そして、そのバジュラもどきに乗っている(?)のは、もちろんこの方。
【きょうじゅ】「だーっはっはっは!ここで出会ったが10年目ぇっ!今度こそケリをつけようぞ、ルーティア=リネージュ!!」

【紀流院】「まったく…さすがにあれの設計図はTOY本部にはないよな…?」
【ペンチャ】「きょうじゅ曰く、大学の文学部の近くを歩いてたらたまたま落ちてたらしいが…まさかなぁ。」
【水猫】「オモチャオーの設計は大体私にも分かるけど、あれは解析不能だった…まさか操縦可能にしてしまうなんて、さすがというか…」


かくして、結局お互い何がしたいのかよく分からない戦いは、いよいよ両者が激突する。

===

その頃、週刊チャオ編集部―――

【かいろ】「うおおおおっ!!なんだか熱いぜええええぇぇぇっ!!」
なぜか燃えてるのは、編集部きっての熱血オモチャオ、かいろくん。
【ふうりん】「はいはい、分かりましたから、聖誕祭の準備、早く手伝って下さい!」
冷静にあしらうのが、編集部のツッコミ役、ニュートラル・ノーマルチャオのふうりん。
【かいろ】「いやしかし!とにかく熱い!俺は今猛烈に燃えているうううううっ!!!」

勝手に燃えているかいろくんをよそに、ふうりんは段ボール箱を持ち上げたところで何となく窓の外を見た。
【ふうりん】「今は真冬なんですから、火事でも起こってない限り…って起こってるー!!」

原因は、もちろんきょうじゅと愉快な仲間達。

<続く>
引用なし
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【Lost Decade Chronicle】その4
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:16 -
  
<その4>


ルーティア嬢の戦闘機は、戦闘体制に入るために人型へと変形した。
【きょうじゅ】「ほほー、変身できるのか!まるで魔法少女じゃな!」
【ペンチャ】「いや変形だろ…どこが魔法少女なんだよ…」

【ルーティア】「へっへー!すごいでしょー!?実はこの機体、人型と戦闘機型の中間形態にもなれるんだ!」
と、変形してみせる。
【ロルフィーヌ】「おおーっ、素晴らしい!まさに華麗だ!」
【エルファ】「敵ホメてますけどいいんでしょうかね…?」
というか敵を目の前に変形して遊んでる時点でどうかしているが。そしてそれを攻撃しない側も。

【神楽坂】「いやちょい待てよ?こんなのどっかで見たことあるような…」
【川島】「そういえばそうね…」

【2人】「って、バルキリーじゃんか!!」</b>

【エルファ】「確かに、バルキリー、ガウォーク、バトロイド…相手がマクロスならこっちもマクロスってことですか…!」
【神楽坂】「っていうかこともあろうにあのルーティア嬢がパクっていいのかよ!?」

するとルーティア嬢は後ろにいるみんなの方を振り向き、

【ルーティア】「キラッ☆

【2人】「ごまかしたーっ!!」

【エルファ】「とにかく、こうなった以上は…バルキリーもどきとバジュラもどきは直接対決!
       残りを私たちで抑え込めば…っ!」
【川島】「そう考えるのが妥当ね…!」


【きょうじゅ】「とりあえず、突撃じゃあああーっ!!!」
との、きょうじゅの掛け声が響くと同時に、両方が突撃した…と思いきや。

【紀流院】「ちょっと待ったぁーっ!!」
【きょうじゅ】「えっと…アンタ誰じゃっけ?」
【紀流院】「忘れるなーっ!!」
まぁまぁ落ち着いて。

【紀流院】「なんでこの俺がルーティアちゃんの敵にならなきゃいけないんだよ!」
ルーティア嬢の熱狂的なファンである紀流院。そもそも彼を騙すために、きょうじゅはわざわざ「政府の幹部による」パーティーと嘘をついたのだが。

【紀流院】「俺が好きなのは2人の超時空アイドルでも5人のプリキュアでも11人のアイドル候補でも12人の妹でも31人の魔法少女でもねぇ!
      たった一人のルーティアちゃんなんだあああっ!!!」

【きょうじゅ】「むぅ…バレてしまったか…」
【紀流院】「絶望した!ルーティアちゃんを敵に回した俺に絶望したぁっ!
      俺は今からルーティアちゃんの味方になる!!」
と、オモチャオーを動かそうとしたが。
【紀流院】「!?」
紀流院の体が動かない。
【紀流院】「な、なぜだっ!?」

【ロルフィーヌ】「ま、まさか…」
【ペンチャ】「本当にギアスがかかってるだとーっ!?」
【水猫】「あれはハッタリではなかったのか!」

【きょうじゅ】「だーっはっはっはっは!!これでワシには逆らえん!!総員突撃じゃあーっ!!!」

かくして、ようやく両者が激突。


【ルーティア】「とりあえず、ミサイル発射ーっ☆」
ルーティア嬢がババババーっとミサイルを乱射する。全てきょうじゅのバジュラもどきへと向かい、全段命中…のはずが。
【エルファ】「効かない!?」
【ルーティア】「ならこれでっ!」
続いて両肩の部分から砲身が伸び、2連ビーム砲。だが今度は、バジュラもどきの周辺にフィールドのようなものが発生し、打ち消してしまった。

【きょうじゅ】「ATフィールドにディストーションフィールド!さらにフェイズシフト装甲で無敵じゃーっ!!」
【神楽坂】「ぱ、パクリのオンパレード…ヤバイってレベルじゃねーぞ!色んな意味で!」

だがまだ策はある。
【ルーティア】「だったら…格闘戦に持ち込めばっ!」
バルキリーもどきは戦闘機へと変形し、一気に距離を詰める。それをさせまいとバジュラもどきも加速。一気に熾烈なドッグファイトへとなだれ込んだ。


【川島】「なんかあそこだけ別次元みたい…」
【神楽坂】「こっちはこっちでやるっきゃねーだろ!いくぞ!」
【木更津】「へ?ま、まさか、あたしが戦うのって…あれ?」
と、オモチャオーを指差す。
チャオ専用であるため全高5mと、ロボットにしてはやや小型だが、それにしても人間が戦うには大きすぎる相手だ。
【川島】「大丈夫!いけるわ!」
【神楽坂】「オモチャオーの構造なら頭に入ってる!」

さて、『原作通り』ならば、オモチャオーの本体は胴体部分。頭の部分はいくつもの武装があるが、何度壊しても超次元エネルギーで自動再生する。
【川島】「でも、超次元エネルギーなんて…」
【神楽坂】「相手はあのきょうじゅだ!何があってもおかしくないだろ!?」
【川島】「となると…狙うは胴体!」

そこに、1機のオモチャオーが。
【川島】「来たっ!」
オモチャオーの主兵装、頭のゼンマイことオモチャオートマホークを抜くと、一気に襲いかかった。
【木更津】「うわあっ!?」
慌ててよける3人。

【木更津】「ど、胴体でいいんだね!?」
【神楽坂】「ああ!」
木更津が確認をとると、クルリと向きを変え、オモチャオーに向かい加速。そして、
【木更津】「アイスキューブ!」
魔術を発動。
オモチャオーの胴体に見事命中したが、大きなダメージにはならない。

【川島】「右から来るわ!」
【木更津】「!」
右からもう1機のオモチャオーが迫る。
【神楽坂】「…って、あれ大丈夫か…?」
そのオモチャオーは、他の4機に比べ、明らかにオンボロ。
【神楽坂】「なんというか、よく地球まで降りてこられたな…」
これに乗っているのは、もちろん…
【タキオン】「第1期週チャオには、『チャオは宇宙服などの装備無しで宇宙にいられる』っていう謎設定があるんだな。これ父さんの豆知識ね。」
【川島】「まぁ、順当なところね…」
ちなみに、資材不足で4機までしかマトモに作れなかったらしい。

木更津はタキオンのオモチャオーの攻撃をあっさりかわし、
【木更津】「ブラスティ・フロストっ!」
と一撃。先程のオモチャオーと違い、あっという間に大破。
【タキオン】「え?あれ…?ひょっとして、父さん危ない…?」

【神楽坂】「後は俺が何とかする!」
すると神楽坂は大破したタキオン機の方へ向かい、
【神楽坂】「オレンジ畑でも…耕してなぁっ!!」
蹴りを一撃。そのままタキオン機は墜落していき、1機撃破。


一方、こちらにも1機オモチャオーが迫る。
【エルファ】「来ますか…Allow!」
『Allow Mode.』
彼女がそう指示を出すと、彼女のデバイス、クアトレスパーダが応えた。弓の形へと変形し、彼女がそれを引く。
刹那、光の矢が疾る。が、オモチャオーはそれをやすやすとかわした。さらに迫る。
【エルファ】「やはり距離を取らせてはもらえないようですねっ…!Sword!」
すると今度は巨大な剣になる。相手の一撃を受けようと構えたが…オモチャオーはそこで止まった。

【エルファ】「!?」
何やら声が聞こえる。呪文のようなお経のような…その正体はこれだった。

【ロルフィーヌ】「この華麗なる僕のウルトラハイパースペシャルツンデレデリシャスドリームエターナル…」
【エルファ】「…今ツンデレとか聞こえたのは気のせいでしょうか…」

とにかく、気を取り直して。
【エルファ】「そんなにツンデレが好きならツンデレで葬ってあげますよ!伊達にPSUでネタキャラ化してませんからね!!」
と、なんだか無茶苦茶な口上で大剣を構え、
【エルファ】「べ、別にアンタと戦いたい訳じゃないんだからね!偶然待ってたらここに来ただけなんだから!!」
と、なんだか意味不明な決め台詞でオモチャオーを突き刺した。

【ロルフィーヌ】「スーパーネコミミメイドクリスタルブリザード…ってうわあああっ!!!」
…あっさり2機目撃墜。

【エルファ】「さすがに猫耳メイドはちょっとこの場では無理ですが…」
そう言いながらクアトレスパーダを通常の双剣に戻した。


さて、魔術師3人組の方はタキオン機を撃破したものの、1機がなおもこちらに迫る。
オモチャオートマホークを抜くオモチャオーに対し、木更津も氷の剣で対抗。
【木更津】「うー、さすがに大きさが違いすぎるよーっ…」
とか泣き言を言いつつもしっかり対応している辺りが、彼女の強さである。

そのオモチャオーに乗っているのは、紀流院。
【紀流院】「ちくしょおおっ!!なんでルーティアちゃんを敵に回さなきゃいけないんだよぉっ!!」
と言いつつも攻撃を繰り返す。そして、木更津の一瞬の隙を突き、オモチャオートマホークを振り上げ、
【木更津】「! しまっ・・・」
【紀流院】「俺が…俺が!オモチャオーだ!!
      茶・王・爆・炎・断!!!!!
必殺技であるVの字斬り、茶王爆炎断!!敵は粉々に……

【神楽坂】「って、今回はこっちが味方だろーっ!!」
間一髪、神楽坂と川島が木更津を助けセーフ。

【川島】「あいにくその技は見切ってるのよ!9年前にね!!」
【木更津】「あ、ありがとう…今度こそ!」
すると木更津は自ら2人のところを離れ、オモチャオーへ一直線。
紀流院機のオモチャオートマホークを完全に見切ってかわすと、
【木更津】「果てよ吹雪!ブリザードクラッシュ!!」
必殺技を叩き込んだ。

【紀流院】「あ…アンタって人はぁーっ!!」
紀流院はそう叫びながら墜落していき、3機撃破。


【水猫】「あらあら、あっという間に2機になってしまいましたねぇ。」
【ペンチャ】「なんというかまぁ、妥当といえば妥当だが…ギアスがかかってる手前止める訳にもいかねぇ!」
この2匹はそう簡単にはいかない。エルファと水猫機、木更津とペンチャ機が激しいタイマンを繰り広げる。


一方その頃、パーティー会場の近くの道路。
霜月麗香は、双眼鏡で戦闘の様子をのんびり見ていた。
【霜月】「派手にやってるわねぇー。」
その横に、ナッちゃんの姿が。
【霜月】「あら、いいんですか?お宅の水猫さん、あちら側にいらっしゃるようですけど…」
【ナッちゃん】「いーんですよ、何でもアリが週チャオなんですから。あのルーティアさんですら生きてるぐらいですから、死ぬようなことはないでしょう。」
【霜月】「それもそうですね…」


さらにその近くには、タキオン一家。安全な所へと避難すべく移動中。
【ルーキ】「まったく…こんな時に父さんはどこに行ったんだ?」
【プロン】「どうでもいいけどさー、ケータイ圏外なんですけどー。基地局もやられたってゆーかー?」
【バーブ】「バブー、バブー。」
【マッハ】「みんな早くしなさい、流れ弾がきたら危ないわよ。」

と、そこに、流れ弾ならぬ流れ機体が墜落してきた。衝撃と埃で一瞬視界が遮られる。
【プロン】「!?」
埃が収まったところにいたのは…一家の父親、タキオンであった。
【ルーキ】「お、親父!?なんでこんなとこに!?」
【タキオン】「いやー、誰かと思えば父さんの家族じゃないか。こんなところでどうしたんだ?」
【マッハ】「あなた…しばらく家を出て行って何をしてたかと思えば…!!」
マッハ、怒り心頭。当たり前といえば当たり前。
【タキオン】「え…あれ?ここって感動の再会のシーンじゃないの?」
【マッハ】「これのどこが感動の再会なのよーっ!!」
と、パンチを一撃。

【タキオン】「折角地球に降りてきたのに、父さんまた月まで飛んじゃうよー………」
そう言い残し、きれいな曲線を描いて空に消えた。最後に「キラッ☆」と輝いた…かどうかは定かではない。

<続く>
引用なし
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【Lost Decade Chronicle】その5
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:17 -
  
<その5>

さて、話は空中に戻る。
【水猫】「あなたが噂に聞くエルファ嬢ですか…さすがですね!」
と褒めているが、さすがは水猫。オモチャオーと生身のチャオの圧倒的な体格差を活かし、戦闘経験が豊富なエルファをも追い詰める。
【エルファ】「くっ…やはり分が悪すぎる…っ!」

【水猫】「これでどうです!?」
と、オモチャオートマホークを振り下ろすと、耐え切れずに、クアトレスパーダの大剣にヒビが入る。
【エルファ】「!!」
慌てて剣を引くエルファ。木更津のような魔術師とは違い、デバイス式の魔法はデバイスが壊れるとしばらく戦闘不能になってしまう。

【エルファ】「まだいけますか!?」
『OK, Master.』
【エルファ】「ならば…TwinGun!」
エルファはクアトレスパーダに確認を取ると、二丁拳銃に変形させ、連射しながら距離をとった。そして。

【エルファ】「はぁ…まさか本当に最後の手段を使うことになるとは…まぁ週チャオ最後の舞台ですし、やるしかないでしょう…!」
すると彼女は、衣装(デバイス使用時)のポケットから小さなキャンディーのようなものをパクリと飲み込んだ。

次の瞬間、突然彼女が光に包まれ、さらにその大きな羽で自らの体を包む。
【水猫】「!?」
しばらくすると、光が収まり、羽も解けた。そこに現われたのは…
【水猫】「ほほう…実に興味深い!人間に変身するとはね!」
【エルファ】「人間化[ヒューマナイズ]です…これで体格差を埋められればいいのですけどね…」
紫髪のツインテールに、黒と青の2色で構成された服、そしてトレードマークの角眼鏡。
【エルファ】(まったく…まさかラグオルとグラール以外でこの姿になるなんて思ってもみませんでしたよ…!)
そこで再びクアトレスパーダは大剣の形へと変形し、彼女の右手に収まった。
【水猫】「これは面白くなってきましたね…いざ勝負!」

と、互いにぶつかろうとしたその時、
【エルファ&水猫】「!?」
両者は衝撃的な光景を目にすることになる。


さて、時間は少し遡る。
【ルーティア】「さすがに速いねー…どうしよっか…」
【きょうじゅ】「これ、これじゃあ!この感覚じゃーっ!!」
猛スピードでもつれるようにドッグファイトを繰り広げる2機。

【ルーティア】「うん、これでいこう!」
と、軽く操作する。次の瞬間、腰の部分から隠し腕が伸び、バジュラもどきを捕らえた。
【きょうじゅ】「!」
【ルーティア】「これでどう!?」
と、すかさずバトロイドに変形し、本来の腕でビームの刃を形成、斬りかかるが、
【きょうじゅ】「ところがぎっちょん!!」
なんと次の瞬間、きょうじゅのバジュラもどきも変形したのである。
【ルーティア】「!?」
バジュラもどきが変形する、という予想外の出来事で、さすがのルーティア嬢も反応できない。逆に掴まれると、
【きょうじゅ】「時空共鳴砲じゃあーっ!!」
変形後の機体の背部にある2つの砲身が伸び、バルキリーもどきを挟むと、砲身から放たれる次元波により4次元レベルでの振動を起こした。

…と、日本語で説明するのも大変なので、要は「とにかく強烈な一撃を撃った」のである。
【神楽坂】「っつーかこれの元ネタ解る奴この世に5人もいねーだろっ!!」

【ルーティア】「きゃあああっ!!」
強い衝撃を受けた彼女は気絶。バルキリーもどきも大破し、力なく地上へと墜落していった。


【エルファ】「そんな、まさか…!!ルーティア嬢が敗れるなんて!」
エルファ達が驚いていたのは、ルーティア嬢が敗れる瞬間が目に入ったからである。


そして、その様子は、地上にいた紀流院にも。
【紀流院】「る、ルーティアちゃん!?」
その瞬間、紀流院の中で様々な感情が渦巻き、そして、
【紀流院】「うおおおおおおっ!!!!」
突如叫ぶと、墜落したオモチャオーに再び乗り込み、気合で再起動させ、飛び上がった。

【川島】「気合で再起動できるもんなの!?」

【紀流院】「おおおおおおっ!!ギアスがなんだああああっ!!!」
紀流院は気合できょうじゅのギアスをあっさり解くと、きょうじゅのバジュラもどきへと一直線。
【川島】「オモチャオーで!?リネージュ先輩でも勝てなかったのに!!」
【神楽坂】「っていうか全部気合で何とかしやがった!!」

【紀流院】「バジュラもどきは!金縛りにする!!ディストーションフィールドーっ!!!」
前方にディストーションフィールドを展開させ、バジュラもどきに突撃。ビルの壁に自らの機体ごと叩きつけた。
【紀流院】「向島きょうじゅ!!刺し違えてでも、その命貰い受ける!!」

…だが、きょうじゅも黙ってはいない。
【きょうじゅ】「この紀流院すごいよ!さすがタキオンのお兄さん!!」
【川島】「どっちが兄か不明なんじゃなかった!?」
バジュラもどきが押し返そうとするが、今の紀流院はその程度では下がらない。

【紀流院】「(ファンタシースター)ユニヴァース!!!」
【神楽坂】「いやそのカッコいらねーだろっ!!」
そう紀流院は叫ぶと、最大出力でプロミネンスブレイザーをぶつけた。目の部分からエネルギーをぶつけるオモチャオーの必殺技である。
だが耐えるバジュラもどき。そして、

【きょうじゅ】「月光蝶であーる!!!」

【エルファ】「!?」
【水猫】「このモロパクリな展開でもしやと思ったが…バジュラもどきなのに月光蝶を使う気かっ!!」
【神楽坂】「もう何があっても驚かねぇぞちくしょーっ!」

バジュラもどきは、その左腕を空に掲げる。すると、その先端から、次元の裂け目のようなものが生まれ、そして―――


【バン】「おめでとさん!」
【セリオ】「コングラッチュレーション!オメデトウ、ね!」
【ライホワイト】「うむ、めでたい!」
【ライブラック】「………。」
【ライゴールド】「おめでとうございます!」
【ライシルバー】「なんやブラックの奴、こんな時も何も言わんのかい。2人分まとめでおめでとさん!」
【ライパープル】「おめでとうッス!」
【オーム】「お、おめでとうございます!」
【ギリアム】「………めでたい。」
【ラン】「…おめでとう。」
【コナッツ】「10周年おめでとーう!」
【アムセレ】「チャオも10年か、おめでとう。」
【ゴルメ】「真におめでたいことだ。」
【ブゲル】「非常におめでたい!」
【バルカ】「めでたいが、これからも精進するのじゃぞ。」
【ポポロン】「お、おめでとう…」
【ファルネイミュ】「おめでとう!」(小声)
【ウェルフォン】「めでたか〜!」
【ザコダー】「めでたいでゴス。」
【キョーバ】「チャオ10周年おめでとう!」

…次元の裂け目から、作者の技量不足で本編に出せなかった第1期キャラクター達が一言づつおめでとうを言って消えていった。

【キョーバ】「って、俺を混ぜるなー!!!」


【おぉる】「だあああああっ!!」
【エルファ】「な、なんというやっつけ…!それも既視感たっぷりの…っ!」
【川島】「しかも名前が違う同一人物が混ざってるんですけど!!」
【神楽坂】「どうでもいいツッコミは後だ!きょうじゅはっ!?」

【紀流院】「…いない!?」

きょうじゅのバジュラもどきは、その場から忽然と姿を消していた。


【木更津】「…!あそこ!」
【神楽坂】「いたっ!!」
木更津が見つけたのは、この激戦で廃墟になっている場所。その先には、

【川島】「っ!バルキリーもどき!」
【エルファ】「まさか!?」

そう、大破したバルキリーもどきが。その中には、まだルーティア嬢が。
そこに、きょうじゅのバジュラもどきがまっすぐ向かっていく。
【きょうじゅ】「これでワシの勝ちじゃーっ!!」

誰もが「もうダメだ」と思った瞬間、―――歌が流れた。


♪星を廻せ、世界の中心[まんなか]で…♪


【神楽坂】「今度はライオンかよ!?」
【川島】「この歌声…まさか!?」

そう、声の持ち主は、他でもない、ルーティア=リネージュ。

♪くしゃみすれば どこかの森で蝶が乱舞♪

すると、きょうじゅのバジュラもどきが、突然挙動がおかしくなり、その場で狂ったように蠢きだした。
【エルファ】「ほ、本当に…効いてる!?」
【ロルフィーヌ】「これが…噂の超時空プリンセスって奴か…!」
いや厳密には違いますが。

♪キミが守る ドアの鍵デタラメ♪

【川島】「よく『10年早い』って言うけど、きょうじゅがリネージュ先輩に対してテロなんて10年どころか1万年と2千年早かったってことね。」
【神楽坂】「実際に10年経って無理だったからな…まぁ1億と2千年経っても無理な気がするけど…」

♪恥ずかしい物語 舐めあってもライオンは強い…♪

【きょうじゅ】「で、デカルチャーっ!!」
きょうじゅがそう叫ぶと、バジュラもどきは力なく落下し、バルキリーもどきの隣に落下した。
のそのそと、コクピットのようなところからきょうじゅが出てくる。
【きょうじゅ】「ワシは…ワシはただ…こいつを渡したかっただけなのに…」
そう言い、右手に持っていた小箱を開けた。中には、『祝!チャオ10周年』と刻まれた宝石。

【ルーティア】「え…?」
サビに入ろうとしたところで、ルーティア嬢の歌が止んだ。静まり返る周辺。

【神楽坂】「いや待て!それじゃあイマドキVHSの爆破予告は何だったんだよ!」
【きょうじゅ】「爆破予告?ワシはプレゼント予告のビデオなら送ったが…しかもVHSではなくベータじゃぞ?」
【エルファ】「べ、ベータ!?」
【木更津】「…って、なに?」
【きょうじゅ】「It's a SONY!</i>」
ぐっ!と指を立てるきょうじゅはさておき。

【川島】「それじゃあ、あのVHSは…ニセモノ!?」
【神楽坂】「ベータが伏線だったのかよ!!っていうか、それじゃあ摩り替えた奴は誰なんだ!?」
【エルファ】「わざわざきょうじゅを偽装させていたことから、今回のきょうじゅの計画を知っていて、かつそれを阻もうとした者…」


そこで、パチパチパチ、と手を叩いて、どこからともなく現われた人物。

【ホップ】「いやー、いいもの見せてもらったよー。」

【川島】「作者っ!!」
【エルファ】「まぁほぼ予想はついていましたが…」

【ホップ】「折角のチャオ10周年だから、どーんっとドンパチやるのもいいじゃないか、って思ってね。摩り替えさせてもらったよ。」

【木更津】「つまり、今回の黒幕は…」
【神楽坂】「今回っつーかコイツの話、いつも大体自分が黒幕じゃねぇか…その時点で気付けよ…っ!」

【ホップ】「さすがにきょうじゅが月光蝶発動した時はどうなるかと思ったけど、いやー、めでたしめでたし。
      …あれ?なんかみんな怒ってる?」

【エルファ】「当たり前です…こっちはどれだけ大変な目に遭ったと思ってるんですか…!」
【紀流院】「折角のルーティアちゃんとのパーティーを逃したんだぞこっちは…!」

【ホップ】「る、ルーティアさん…」
チラっとルーティア嬢の方を見る。彼女はニコニコと笑いながら、こう答えた。
【ルーティア】「頭…冷やそうか…?」

【ホップ】「こりゃまずいっ!」
【ペンチャ】「あ!逃げる!待ちやがれ!」
逃げる作者。追いかける一同。

【神楽坂】「俺たちのチャオ世界をメチャクチャにしやがって!」
【川島】「滅び行く者は滅びよ!これがあたしの貴方へのせめてもの手向けの言葉よ!」


還らざる時の終わりに、彼らは一体何を見るのだろうか…

<おしまい>


【ホップ】「って、このオチの元ネタ分かる人いるのかよーっ!」


【けいりん】「事態の沈静化を確認、これ以上の記録は必要ないと判断しました。
       『刻が未来に進むと、誰が決めたんだ?』…以上、報告を終了します。オーバー」

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【Lost Decade Chronicle】余録
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:18 -
  
…作者がたくさんの人やチャオに追いかけられているその頃、パーティー会場の隅っこ。


【霜月】「10年、か…長いわね…」
ドタバタ騒ぎを一通り見終わった霜月が誰もいない会場に戻り、ワイングラスを片手に1人で座りながらつぶやいていた。

するとその横に、1人の女性が現われた。年齢は20代前半だろうか。
【女性】「お久しぶりです、霜月さん。」
と、彼女が一礼をする。霜月も立ち上がり、軽く挨拶をした。
【霜月】「あら、久しぶりね。…最近どう?」
【女性】「ええ、おかげさまで元気にやってます。」
【霜月】「そう、なら良かった。…そういえば、『あっちの世界』は今、どうなってるのかしら?」
【女性】「ついにオタクが総理大臣になっちゃったわ。かと思えば海の向こうでは黒人が大統領になるっていうし…」
【霜月】「なるほどねぇ。…時代は変わったわね…」
そう、静かにつぶやいた。

少しの沈黙の後、霜月はこんなことを彼女に尋ねた。
【霜月】「10年前の総理大臣って、誰だったかしら?」
【女性】「橋本さん…は98年の夏に退陣してますから、小渕さんですね。」
【霜月】「今ではどちらもこの世の人ではないのよね、確か…」
【女性】「ええ…」

【霜月】「10年前、まだ黎明期だったインターネットの世界で、チャオという1つのキャラクターの下に集まり、次々と傑作が生み出されていった…その結晶が、ここにある…」
【女性】「黎明期なのに、ではなく、黎明期だからこそ、でしょ?」
【霜月】「そうね…もうこんな世界を作り上げることは、誰にもできないでしょう…
     だからこそ、価値がある…分かってるわよね?」
【女性】「はい。この『失われた10年の記録』を…あっちの世界に…
     それじゃあ、また会いましょう。…必ず。」
【霜月】「ええ、必ず、ね。」

そう別れを告げると、その女性は歩いて立ち去った。

【霜月】「………」
霜月は彼女の姿が見えなくなるのを確かめると、『2つの世界』について、考えを巡らせていた。
もう『あちら』とは繋がることがないかもしれない。そんな話も、この喧騒の中では現実感に乏しい。

【霜月】「ふーっ…」
しばらく考えた後、彼女は大きく、深くため息をつきながら、再び椅子に腰掛けると、ワイングラスを傾けた。

<おしまい…?>
引用なし
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オマケ:戯言
 ホップスター WEB  - 08/12/23(火) 0:20 -
  
気がつけば私は、日本で3番目ぐらい(?)に長く週チャオと関わった人間になりかけています。
作中に登場した黒川さんではありませんが、チャオとそれを取り巻く歴史を、この目で見てきました。
そして、たくさんの希望と絶望を味わいました。

作中、彼女はチャオに対する絶望が故に世界を破滅へと導こうとしてしまいます。
ですが、作中で神凪くんに喋らせたように、彼女のような存在こそが、逆に希望の象徴なのではないのでしょうか。
小さい頃チャオを育てて遊んだ世代が、10年を経て、いよいよ社会に出て第一線で活躍する。それこそが、私たちにとっての「希望」だと思うのです。
(最も、彼らの頭の片隅にチャオという単語が残っているかどうかは分かりませんが・・・)

初代ソニアド1当時の、いわゆる旧チャオBは大人ばかりの場所、というイメージがありますが、もちろん子供だってたくさんいました。
(その中の一人が私だったりするのですが、それはまぁおいといて)
そんな子供たちは、今どこで何をやっているんだろう。
きっと、社会に出てちゃんと働いているのでしょう。チャオのことなんか忘れて。

ソニアド2バトル発売以降、たくさんの子供たちが、チャオBにやってきました。
例えば2002年春に中学校に入学した子供であれば、今は高校3年生。
きっと、必死になって受験勉強しているのでしょう。チャオのことなんか忘れて。

なんだかんだいっても、所詮はゲームのキャラです。大半の人は忘れていくだろうし、それが当たり前です。何も悪いことじゃありません。
そんな彼らの未来を、ほんの少しでもいい方向に向かわせることができたのなら、私にとって、それが本望です。


最後に、小さなお願いをして、締めたいと思います。

チャオにとって、そしてチャオに関わった全ての人にとって、これからの10年が、ますます輝かしいものでありますように。

                                      2008/12/23 ホップスター
引用なし
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チャオとサンタさん
 DX WEB  - 08/12/23(火) 8:09 -
  
「じんぐるべーるじんぐるべーるすずがーなるー♪」

チャオ幼稚園ではクリスマスの歌のお稽古がされているようです。
みんなニコニコしながら歌っています。

「せんせー!さんたさんってなにものチャオか?」

ポヨをハテナにさせた白いチャオが質問します。
先生は少し困った顔をしてこう答えました。

「サンタさんはいい子にしてた子達にご褒美としてプレゼントを配る人よ。
 だから皆いい子にしてましょうねー!」

「「はーい!」」

みんな声を大きくあげて返事をします。
ただ白いチャオのポヨはハテナのままです。


お稽古がおわり、皆チャオガーデンへ帰ります。
白いチャオはエントランスでまたポヨをハテナにさせています。

「あれじゃあさんたさんのことがわからないチャオ。みんなにききにいくチャオ!」

そういうと白いチャオはまずダークガーデンに向かうことにしました。
ダークガーデンはダークチャオばかりです。
白いチャオはまず、近くにいたシャドウチャオに聞いてみることにしました。

「こんにちはチャオ!」

「おっすチャオ」

「チャオはしつもんがあるチャオ!」

「何チャオ、チャオに言ってみるチャオ」

「さんたさんってなにものちゃお?」

白いチャオはポヨをハテナにさせます。
しかしシャドウチャオはポヨをハテナにさせず、すぐにビックリマークにしました。

「そんなのホントはいないチャオ!」

「チャオ?」

「そんなのは作り話チャオ!」

「そんなわけないチャオ!!」

白いチャオは怒ってダークガーデンをでていってしまいました。

「まったく、つくりばなしなわけないチャオ!
 チャオのところにはまいとしさんたさんがきてくれてるチャオ!」


次に白いチャオはチャオガーデンに向かうことにしました。

「やっぱりちゃおがーでんはきもちいいちゃお!」

チャオガーデンは空が澄み切っていて水もとても綺麗です。
やはり普通のチャオが暮らすのならここが一番でしょう。

「こんにちはちゃお!」

「こんにちはチャオ!」

「きみはさんたさんってしってるちゃおか?」

「うーん・・・ひげがぶわーって、赤い服きてて・・・」

「ちゃお・・・そういうことじゃなくて・・・うーんちゃお・・・」

二人のポヨがうずまきになります。
白いチャオは「ありがとうちゃお」といってチャオガーデンを出て行きました。

「ちゃお・・・やっぱりみんなはやっぱりあのいめーじしかないちゃおね・・・」

白いチャオのポヨはまたうずまきになります。

「ちゃお・・・ひーろーがーでんにいくちゃお!あそこはあたまがいいこがそろってるちゃお!」

白いチャオはポヨをビックリに変えて階段を登ります。
チャオは足が短いので一段、また一段とゆっくりしたペースで登っていきます。

「ちゃお〜・・・ようやくついたちゃお・・・」

ヒーローガーデン、それは本当に天国のように美しく華やかな場所です。
ここですごしているとアッ!というまに時間が過ぎてしまうそうです。

「やぁ!こんなところに一人でよく来たね!」

ヒーローチャオが話しかけてきました。

「はぁはぁちゃお・・・こんにちはちゃお!」

「何か用事かい?」

「はいちゃお」

ヒーローチャオはポヨをハテナにしてこういいます。

「何の用事だい?」

「さんたさんちゃお」

「サンタ?」

「さんたさんってなにものちゃお?」

「何者?・・・うーんクリスマスの前の夜に良い子のもとへプレゼントを持って訪れるとされている伝説の人物だね」

「そういうことじゃないちゃお!いいこみんなにぷれぜんとをあげるなんてなにかとんでもないことをかくしてるにちがいないちゃお!」

ヒーローチャオはポヨをうずまきにします。

「そんなことを言われても・・・」

ヒーローチャオはうずまきだったポヨをビックリに変えます。
そしてこういいました。

「いいかい?サンタさんは良い子にプレゼントをあげるんだ。一年間頑張った子にね。でもね、そんなに悪いほうへ考えちゃだめだよ。
ご褒美なんだ、一年間頑張った子への。だからもう自分の場所に帰ろう?」

「ちゃお・・・」

白いチャオはしょんぼりした顔でポヨをうずまきにします。

「ちゃお・・・ちゃおはぷれぜんともらえるちゃおか?さんたさんのことをわるくいっちゃって・・・」

白いチャオがそういうとヒーローチャオはにっこりしてこういいました。

「大丈夫だよ、君がまたちゃんとサンタさんの事を信じればね」

ヒーローチャオがまたニコっと笑うと
白いチャオはぺこりと頭を下げて笑顔で帰っていきました。


そしてクリスマス当日

「ちゃお!あたらしいぼーるちゃお!わーい!」

白いチャオは無事にプレゼントを貰えてたとさ

『『Merry Christmas!!』』
引用なし
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けいりん論
 スマッシュ  - 08/12/23(火) 9:50 -
  
スマッシュ「けいりん。けいりんはいるかね」
けいりん「なんでございましょー」
スマッシュ「聖誕祭っすね」
けいりん「っすねー」
スマッシュ「ネタが無いのですが」
けいりん「はい?」
スマッシュ「困ってます」
けいりん「知らんです。勝手にしやがれ」
スマッシュ「とりあえず、なんか豪華メンバーでやればいい気がするから呼んでみるー」

指ぱっちん☆

おれ1「おれ1!」
おれ2「おれ2!」
おれ3「おれ3!」
おれたち「3人揃って、おれたちっ!!」
けいりん「……」
スマッシュ「どうよ」
けいりん「死ねばいい」
スマッシュ「酷いっ!」
博士「話は聞かせてもらった!人類は絶滅する!」
おれたち「な…なんだってーーー!」
スマッシュ「すげっすよ博士っすよ。ほら、博士」
けいりん「……誰です」
スマッシュ「けいりんさん、ご存知ないのですか!?」
けいりん「少なくともスターの座を駆け上がっているシンデレラではないかと」
スマッシュ「……」
けいりん「なぜ黙るです」
スマッシュ「えっと、その、局地的に人気なパシリさんと話す博士です」
けいりん「インパクトない説明ですねー」
スマッシュ「うるさいやい!」

でんでん(←なんか、場の流れをリセットする効果音)

スマッシュ「そういうわけでけいりんさん。質問です」
けいりん「なんです」
スマッシュ「チャオなの?美少女なの?」
けいりん「……」
スマッシュ「どうなのさ」
おれ1「なのさ」
おれ2「なのさ」
おれ3「なのさ」
博士「僕が説明しよう」
おれ1「何!?わかるのか博士!!」
博士「ああ。けいりん君はずばり、チャオでも美少女でもないのだ!」
スマッシュ「そ、それはどういう事だ!」
博士「そして同様にけいりん君はチャオでもあり美少女でもある。どういう事だかわかるか……?」
おれ2「どういう事なんだ!」
博士「けいりん君はチャオなのか美少女なのかわからない、曖昧な立場に立っていた。しかしこれが、将来的にどちらかに確定するとしよう。例えば現時点をAとし、チャオとして扱われる作品をB、美少女の場合Cとする。この時、BとCは全く別世界として扱われることになる。同じ世界だと矛盾が生じるからな」
けいりん「そりゃそーでしょう」
博士「しかしだ。Aの世界とは同じ世界であると解釈する事は可能だ。Aの時点でのけいりん君がBやCによってチャオや美少女に確定するだけだからな。しかし、ここでおかしな現象が起こる」
おれ3「おかしな現象……?」
博士「Aの中でA−1という作品があるとしよう。もし、BでもCでもA−1と関連性があるという設定があるとしたら?」
スマッシュ「そっ、それは……!!」
博士「そうだ。この時けいりん君はチャオであり美少女でもある。同様にチャオでなく美少女でもなくなる」
おれ1「でもそれはおかしいじゃないか!」
博士「しかし、これで一つの仮説が出来上がる」
博士「そう――」
博士「人間は、チャオだったんだよ!!」
おれたち「な…なんだってーーー!!」
博士「我々の意識には人間とチャオは別物であるという意識がある。当然だ。姿形が違うからな。しかし、我々の認識が間違っているとしたら?」
スマッシュ「……!」
博士「一見けいりん君がチャオであり美少女であるのは矛盾に見える。しかし、それが当然の事だとしたら?」
おれ2「チャオと人間が同じだって言うのか……!?」
博士「そう。我々は誤認していたんだ。チャオと人間は別の生物である、と。しかし、そこにけいりん君が現れ、我々の認識では矛盾の生じる現象を起こした。我々にとって矛盾でしかないそれこそが、真実を見つけ出す鍵だったんだ」
スマッシュ「なんてことだ……。チャオ10周年で、おまけに週チャオが休刊になる今更になってそんな事に気付くだなんて……!」
博士「いいや。違う。そうであるからこそけいりん君という存在が現れた。そう考えるべきだろう」
おれ3「なぜ今更になって……?」
博士「チャオの発見。それはつまりチャオと認識される人間の登場を示す。チャオの人気は高まり、チャオと認識される人間にとってはいい事だっただろう。しかし、今。チャオは徐々に忘れられつつある。このままではチャオと認識される人間は消滅してしまう。そこで現れたのが、けいりん君だ」
スマッシュ「ま、まさか……!」
博士「そのまさかだ。けいりん君によってチャオは人間であると我々は認識できるようになった。それによって、チャオと認識される人間もまた人間として認識され、これからも存在し続けることが可能になった。そう、けいりん君によってチャオは人間と同化した!」
博士「チャオは永久に消え去ることがなくなったんだよ!!!」
おれたち「な…なんだってーーー!!」


けいりん「この物語はフィクションです」
スマッシュ「えー」
引用なし
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チャオのはね 宣伝編
 スマッシュ  - 08/12/23(火) 9:53 -
  
チャオを抱えた少女が準を見つめていた。
ニュートラルフライチャオの大きな羽がより少女を小さそうに見せている。
男は、少女と出会ってしまった。

「準君ね」
「いかにも、俺は準なんだが」
「わたしは、木村かえで」
「君はあれか。エスパー少女とかそういう類なのか?」
「いいえ。すぅぱぁしぞいど」
「スーパーシゾイド?」
「あなたも、闘う人」

あなたも、闘う人
あなたも、闘う
闘う――
そう。
彼の戦いは始まったのだ。

迫りくる敵の存在。
彼らはどう戦えばいいのだろうか?

「これって、ちょっとまずいか?」
「まあ、確実に、来るだろうね」

そして、旅立ちの時――


「わたしは、チャオにキャプチャーされて、チャオのはねになって、飛ぶの」
「ああ。前にも聞いた」
「……明日にでも、そうしようと思って」
「……そうか」
「念のため確かめておくが、自殺じゃないよな?」
「うん」
「それならいい」
「うん」
「いい旅をしてくれ」
「うん。する」


チャオのはね
週刊チャオ ベスト・アンソロジーにて公開!!


「どこにでも、いつまでも飛んでいける」
引用なし
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『チャオ生誕10周年 〜感謝祭〜』
 斬守 WEB  - 08/12/23(火) 13:38 -
  
斬守「さて・・・もうすぐだな・・・。」


私・・・水月斬守(すいげつざんしゅ)は、部屋のベット上で寝転がっていろいろ考えていた。
チャオ生誕10周年・・・・・。
いろんな人達が既にいろいろ計画を立てていた。


しかし、私は最近はいろんなところに行き、そして忙しかったため何も考えていなかったのだ。

今から新しく小説を書くのも良かったのだが・・・やはりここは・・・。


斬守「集結して、チャオ生誕10周年を祝うのが一番でしょうねぇ。」


そして、私は手紙を書き始めた。


それは・・・・・とある方々へ向けての招待状である。


『チャオ生誕10周年 〜感謝祭〜』


ソニー「なんだこれ?」


ここはチャオの森。
主にチャオ達が住んでいる世界である。
ソニック系チャオのソニーのいる周りは森だらけであり、自然が豊かな場所だった。
旅をしている最中のソニーにオモチャオから、手紙を渡された。
オモチャオはそのままどこかに飛んでいってしまった。
ソニーにとっては珍しい出来事である。


ソニー「・・・とりあえず、チャオティックルーインにいけばいいんだな?」


ソニーはとあるチャオの森にある街、チャオティックルーインに向かって走り出した。


テル「シャー!」
ナックー「いるんならでてこーいッ!」


テイルス系チャオのテルとナックルズ系チャオのナックーは、シャーと呼ばれるシャドウ系チャオの家に訪問していた。

家の中から、シャーとHSR型のチャオのミユキがでてきた。


シャー「お前達か。なんのようだ?」
テル「こんな手紙が届いたんだけど・・・シャーにも届いた?」


そういって、テルに手紙を見せてもらったが、どうやらシャーには見覚えがないらしく、ポヨが?に変わっていた。


ミユキ「あぁ。これのこと〜?」


隣にいた、ミユキがいきなり同じような手紙を取り出してきた。
シャーとミユキとで、二枚持っている。
やはりシャー達にも届いていたらしい。


シャー「・・・何故僕に見せてくれなかったんだ、ミユキ。」
ミユキ「渡すの忘れてたー。でもいいじゃないかー今渡したんだしぃー。」
シャー「お前というやつは・・・。」


ミユキはいつでもマイペースである。


ナックー「ところで最近あってなかったが、元気だったか?」
シャー「あぁ、おかげさまでな。ミユキがとても元気だった。」
ミユキ「元気が一番だよ!!」
シャー「ゲームも沢山してたがな。」
ナックー「・・・あいかわらずだな。」
ミユキ「ナックーも相変わらず馬鹿元気だねええええ!!」
ナックー「おう!・・・・・なんだとこの野郎おおおお!!」


そして、久しぶりに二人の鬼ごっこが始まった。
鬼はナックー。逃げるのはミユキ。
そんなのは、夜空のエメラルド騒動以来である。


夜空のエメラルド騒動については・・・違う機会で話が明らかになるだろう。
今となっては、あの時の出来事はそう呼ばれているのであった。
その旅の中、二人はいつでもこんな感じに喧嘩していたのであった。


チャオの森にある迷いの森・・・。
そこにはとある基地があり、とあるチャオが率いている賊の軍隊があった。
その親方であるロミーにも、手紙が届いたのである。


ロミー「なにかしらこれ?」
ユリカ「さぁ・・・?でもお祝いのようですねー。」


その基地内にいたNSS型のチャオのユリカがロミーに対していってきた。
彼女らは、夜空のエメラルド騒動時に一緒に旅をした仲間なのであった。


グワンツ「私にも届いたぞおおおおお!!」
カレン「私もです。後、グワンツ様静かにしてください。」


ロミーの二人のもっとも優秀な部下にも、手紙が届いたようだ。
グワンツはHPF型、カレンがHFF型のチャオである。


ロミー「もしかして、ソニーに会えるかしら!?」
ユリカ「多分会えますねー。楽しみです・・・。」
ロミー「こうなったら、すぐにチャオティックルーインにいくわよ!」
グワンツ&カレン「了解!」


こうして、彼らはチャオティックルーインに走り出したのであった・・・。


「あぁん?なんじゃこりゃ?」


ここはとある部屋の中。
ご主人様が、手紙を持ってそうつぶやきました。

私はご主人様のヒーローチャオ(HN)のヒューマ。
ライトグリーンで、体が光っているという珍しいチャオなのです。
もう一人、ご主人様のチャオであるダークカオスチャオのライドというチャオがいるのです。


「チャオ生誕10周年ぃ〜? ワイはそんなん呼ばれる筋合いあったかのう・・・?」


そんな時、部屋にチャイムが響き渡りました。
ご主人様が急いで玄関の扉を開けにいって、部屋の中に誰かが入ってきました。

ご主人様のお友達の蓮さんです。


「おう!どないしたんや蓮!?」
「いや・・・こんな手紙が届いたんだが・・・。」


そういうと、蓮さんは手紙をとりだしてきました。
ご主人様と同じ手紙なのです。


「奇遇じゃのう・・・ワイにも同じ感じの手紙が・・・。」


ご主人様が手紙を取り出そうとしましたが、置いてあったところに手紙がありませんでした。
ライドが手紙を持って、走り回っていたからです。


「おま・・・!こらまたんかい!毎回毎回お前というやつは!!」
「チャオオオオ!!」


そんなこんなで、ご主人様とライドはまた暴れ始めました。


「・・・あいかわらずのやつだな。」


そう蓮さんがつぶやきました。
蓮さんはとある秘密を持っているのです・・・。
それは、また違う話なのです。


「さて、チャオティックルーインじゃったかのう。」
「お前分かるのか?」
「前にチャオの森にいったことが何度かあってのう。場所はしっとるんじゃ。あまりチャオの森にいってはいかんのじゃが・・・たまにはええじゃろ。」


そういうと、ご主人様は私とライドを肩に担ぎました。


「そいじゃあ行こうかいのう、蓮。」
「あ・・・あぁ。(仕事・・・休みとっておこうかしら。)」


こうして、私達はチャオの森に向かいましたのです・・・。


スイーク「・・・クラウド、ルヴァ、出かけるぞ。」
クラウド「あぁ?どこにだ?」
スイーク「親友の首無しの元へ。」
ルヴァ「首無し!?怪奇なもの!?」
スイーク「いや、首はそいつはあるが、名前がな・・・。」
クラウド「名前がなんというんだ・・・?」


スイーク「斬首という・・・。」


こうやって、俺達はチャオの森に連行された・・・。


岩王「で、祝おうってことか・・・。」


斬守の友人である、岩王勇(がんおういさむ)と斬守はチャオティックルーインで、手紙を送った人々がくるのを待っていた。
チャオが不思議そうにこっちを見ている。
無理もない、チャオの森に人がいるなんてめったにないのだ。


斬守「そういうこった。」
岩王「珍しく俺を呼んだかと思えば、こんな企画を・・・。」
斬守「まぁいいじゃないか、昔の懐かしのメンバー集合ってことで。」
岩王「お前だけだろ・・・懐かしいって思えるのは・・・・。」


そんな会話をしているうちにぞろぞろと集まってきた。


夜空のエメラルドメンバー
〜斬首〜メンバー
斬れてしまった首メンバー


このメンバーを呼んで祝おうということなのだが・・・。
全員集まった時、斬守はこういい始めた。


斬守「皆さんー。今日は集まってくれてありがとうございます。」
ソニー「で?今日はどうやって祝うんだ?」
岩王「そうだ、こんだけのメンバーでどこで祝うんだ?」


確かに、これだけの人数だとチャオの森で祝えるところは少ない。
本来チャオの森の施設などは、チャオに合わせて造られたため、人間と一緒に祝えるようなところがない・・・。

しかし・・・。


斬守「とりあえず、移動しましょうか。」
「どこに移動するんじゃ?」


珍しいチャオ二人持っている男がそう聞いてきた。
すると、斬守が行き先を答えた・・・。


斬守「屋敷ですよ。」


あたりは既に夜になっていた。
夜空の星が輝いている。


チャオティックルーインという街の北の森の奥に、一つの大きな屋敷があった。

人間が住めるような広さの屋敷で、庭も相当広い

その屋敷には、屋敷の持ち主であり、お嬢様であるF型の『フィル』。
チャオでありながらメイド服をきているメイドのNNN型の『メルト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来るツッコミをすることが多いHSS型の『ジェイド』。
屋敷の庭の管理をしているHNN型の『ピューマ』。
屋敷の地下にある図書室で幻闘術というものを研究しているDSS型の『ジェネリクト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来る瓢箪を持ち、いつも酔っ払っているNPP型の『ヴァン』。

そんなチャオがいる屋敷が・・・チャオの森に存在していた・・・。


メルト「お嬢様。本当によろしいのでしょうか?」


メルトは、フィルに向かってそう尋ねた。


フィル「何がよ?」
メルト「この屋敷に大勢のお客様を招くなんて・・・。」
フィル「知り合いの提案だし、断る理由がないからいいじゃないの。」
メルト「しかし・・・。」


そう言ってると、ヴァンがメルト達のそばに酔いながらやってきた。


ヴァン「いいじゃないかーたまにはさーッ。」
メルト「ヴァンさんまで・・・。」
フィル「そうよ。おもしろそうだし、いいじゃない。」


そう・・・フィル、彼女はおもしろそうなことが大好きなのである。
そんなこといってる間に、ジェイドとジェネリクトが走ってこっちにやってきた。


ジェネリクト「どうやらきたみたいだよ。」
ジェイド「てか、あんなにいるのかよ!聞いてないぞ!」
フィル「あんただけには人数はいってないから、当たり前だわ。」
ジェイド「ちょ・・・てめぇ!!」
フィル「いいから、客を出迎えるわよ。」


そういって、フィルは自分勝手に話を進めた。
ジェイドは後からコテンパンにしてやるとひそかに企んだのであった・・・。


ピューマ「いらっしゃいませ〜。」


ピューマがそういいながら、屋敷の扉を開ける。


ナックー「うおぉ!?なんだここ!?」
スイーク「こちらスイーク・・・屋敷に潜入した。」
クラウド「いや、しなくていいから。」
メルト「いらっしゃいませ。本日は皆様ごゆっくりして行ってください。」
ミユキ「メイドさんだ!メイドさんチャオがいる!!」


そんな馬鹿騒ぎの中、お祝いをすることになった。
屋敷の中で走り回っていたり、図書室で本を読んでいたり、幻闘術と呼ばれるものの勉強をしていた。


エリ「ソニー、これからもチャオを愛してね。」
ソニー「・・・!」


屋敷の屋上にいたソニーは、かつての友人であるヒーローカオスチャオのエリの声を聞いて、空を見た。
夜空から聞こえてくる声は、どことなく不思議な感じだった。
しかし、それ以降・・・エリの声は聞こえなかった。

そんなソニーの元にシャーがやってきた。


シャー「ソニー。そろそろ、ディナーができたようだぞ。」
ソニー「あぁ・・・。」
シャー「どうした?」
ソニー「エリの声が聞こえたんだ・・・まぁ、気のせいかもな。」
シャー「・・・そうか。」


ソニーは夜空を眺めていた。


「なぁ、蓮。」
「なんだ?」


屋敷の図書館で、ご主人様と蓮さんが話していました。


「チャオは・・・これから忘れ去られる一方なのかのう?」
「・・・さぁな。」


チャオは人間たちの中から、どんどん忘れ去られていた。
現代の人々の中で、チャオを知るものは限りなく少なくなっている。
そんな話の中、後ろから誰かがやってきた。
スイークである。


スイーク「だが、まだチャオを忘れない人間もいる。だからこそこうやって祝える。あんた達だって、チャオを忘れられないそういう存在なんだろう?」
「・・・そうじゃのう。ワイらが忘れなければいいことじゃのう!!」


ここにもチャオを忘れられない人間がいた。


斬守「あぁ、いいねぇ。」


和室のような部屋にいた斬守がそういった。


フィル「突然あんたが言い出した時はびっくりしたわよ。」
斬守「いや、たまにはチャオを祝うのもいいじゃないか。」
フィル「まぁ、そうだけどね。」
岩王「しかし、よくこんなことしようとしたもんだ。」
斬守「スーさんとしての存在になろうとしている今。こんなこともしてみたいのさ。」


そんな話をしていた時に、部屋にメルトがやってきた。


メルト「お嬢様。ディナーの用意ができました。」
フィル「ご苦労。さぁ、いくわよ。」
斬守「よーし、チャオを祝うかーッ!」


チャオ生誕10周年・・・


しかし、チャオは忘れ去られようとしていた


ただ、そんな中でも忘れない人々がいるからこそ


こうやって、祝うことができるのである


私は忘れない


どのような存在に変わろうとも


私は決して忘れない


そして祝おう


「チャオ生誕10周年おめでとう!!」


チャオ・・・・・幸せをありがとう
引用なし
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チャオを見送る会in夢の森
 銀音(元銀鉄)  - 08/12/23(火) 18:44 -
  
ここは夢の森『Dream Forest』
見渡す限り自然で埋もれた聖地・・・
この森では、ある条件を満たすと願いが叶うといわれている。

今日はここでチャオ10周年を祝うパーティーが開かれるようです。
さて、どうなることやら・・・

「そりゃどういうことだい、ナレーターさんよぉ。」
「まぁまぁ・・・」

会話をしているのは赤いキノコとNNNのチャオ。
キノコのほうには丸の中に『管』と書かれた模様がついています。
キノコの名前は『銀音』、この森の管理者。
チャオの名前は『アース』、その補佐をしています。

「で、招待した奴らはまだこないのか?」
「はい、えーと・・・バトプロより『フォル』『カイ』『メタル』『バース』、チャオストーリーより『バルク』『マイル』『ルセア』、作者の個人的な意見で『テンオウ』『レンファ』・・・ってこれ・・・」
「後ろの二人は作者の意見だからな、逆らうことは出来ない。」
「ていうか、あなたがさく「お黙り。」

などという会話をしているとチャオ影がいくつか遠くから見えてきました。

「お、来た来た。」
「え〜と・・・1、2、3…テンオウさんとレンファさん以外の方々ですね」
「なんだとぉ!?」
「なぜあなたが反応を?」
「いや・・・なんとなく。」

とか何とかしてるうちに七匹は到着。

「いきなり呼び出して・・・おい、クソ作者。」
「クソ作者じゃない、銀音だ。」
「何アホなこといってやがるこのクソs「はいはい、そこまでね〜」

フォルの無茶な発言を制するカイ。
相変わらずである。

「本編を作者が書かないからすっかり久々だね〜」
「そうだ、なんで続きを書かなかったんだ?DXさんに教えてもらってからも。」
「俺に聞くな。」

バースに殴り飛ばされるキノコ。

「んで、急に呼び出して・・・チャオを見送る会ねぇ・・・」
「まぁ、今日でチャオは事実上終わるようなものだからね。」
「・・・淋しいものですね・・・」
「・・・・」

チャオスト組の発言で表情を暗くするゲスト達。

「馬鹿かテメーら、だから今日は思いっきり盛り上げるんだろうが。」
「そうですよ!今日はみなさんで思いっきり騒ぎましょう!」

銀音とアースの言葉で徐々に表情に明るみをもどすゲスト達。
さぁ、パーティーの始まりです!!

「・・・まだテンオウとレンファ着てないけどね・・・」
引用なし
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ニコとタローとほしのふるよる
 ぺっく・ぴーす WEB  - 08/12/23(火) 19:13 -
  
聖誕祭ですね。
ニコタロです。

http://karakuri-clock.com/chaosweekend/comics/nicotaro/04-1.html

いつもより、やんわり、増えました。 えへっ。
そのぶん締切ギリギリでした。 えへへっ。

毎度のことですが、途中からでも問題なく読め……ないです、今回は。
初めての方はせめて3話目だけでも読んだほうがいいんだぜ。
ホムペクリックした先のサイトで、一話目から読めます。

前回から登場人物紹介がなくなった(忘れた)ので、
ここにかいておきます。

○ニコ
まっしろなニュートラルチャオ。
まっしろなのは、別に作画のためとかいうわけではない。
なぜかタローとだけ話せる。
ママさんなどほかの人の言葉はやんわり分かる程度だが、
最近はアニメやゲームのセリフなら完璧に理解するようになった。
難しいテレビ番組はダメ。 テンキヨホーとか。

▼タロー
ゲーム大好き中学生。
いつも制服なのは、別に面倒くさいからとかいうわけではないけど、今回は私服なうえに着替るんだぜ。
なぜかニコと話せる。
どうでもいいけど女子大生のお姉さんがいて色々な目に遭ったようだ。

□ライトカオス
隣の家のライトカオス。
ビームを放つ。 威力は日焼けサロンが要らない程度。
今回の1ページ目に彼の家が入っていないどころか、
タロー宅ですら矛盾しまくりです。

◆ママさん
タローのママさん。
天然説有力。
たまに無駄遣いする。
最近バナナダイエットをはじめたおかげで、少し細い服も着れるようになった。
ちなみにタローは2人目で長男。姉のビジュアルはニコタロダッシュ参照。
パパさんは単身赴任中。

なんじゃこりゃ……まあいいや。
ともかく チャオ おめでとう。
引用なし
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とある青年の一日
 DX WEB  - 08/12/23(火) 20:05 -
  
「やった! ねんがんの DSiを てにいれたぞ!」

ゲームショップの前で一人の青年が大声をだしている。
その青年の手にはDSi。某任天堂の新型DSである。
しかしこれはGBA用のゲームが動かない。
そこで青年は決心した。

GBAカセットをすべて売ろうと

その青年は家に帰るとGBAのソフトが大量に入っているケースを取り出した。

「うわあ・・・久しぶりにこのケース開けたなぁ・・・」

青年は一個一個確認しながらGBAのソフトを取り出していく

「ソニックバトル」

「チューチューロケット!」

「みんなでぷよぷよ」

「ソニックピンボールパーティ」

「ぷよぷよフィーバー」

「ソニックアドバンス3」

「ソニックアドバンス2」

そしてGBAの中に入っていた「ソニックアドバンス」

思えばSEGAのゲームが多いなぁと青年は思う。
そういえば昔、チャオにとてもはまっていてゲームキューブにつなげたりして遊んでいた記憶がある。
しかし、いつのまにか忘れていた。

青年はなんだかとても懐かしくなりGBAを起動させる。
懐かしい音がする。
そしてタイトルがでてすぐにチャオのプチガーデンを選択する。
そしてそこで青年は衝撃的なものを見てしまう。

「ヒトリジャサビシイタスケテ」

本当に衝撃的だった。
ただのゲームだと思っていたのに。
このチャオはもともとソニックアドベンチャー2バトルにいたチャオをこちらに引っ張ってきたチャオだ。
何故こんなことになったのだろう。
このチャオは一番大切に育てていた筈なのに。
いつのまにか忘れていた。
新しいゲームが出たらついそっちに気が行ってしまった。

青年は急いでGBAケーブルを探した。
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・無い。
見つからないのだ
長年放置してきたせいで。

青年は「ごめんな、長い間一人ぼっちにさせてごめんな」と半ベソ状態で探し続けます。
何故かはわからないがゲームが心を持ってしまった。これは事実だ。
しかしGBAケーブルはみつからない。

「・・・買いに行こう」

青年はサイフと電源をいれたままのGBAを持って急いでゲームショップに向かった。


「・・・ッ・・・はぁはぁ・・・」

近くにある普通のゲームショップ。自分はよくここにくる。
急いで入るとすぐに周辺機器のコーナーに向かう。

「・・・無い・・・?」

青年は絶望というものを感じた。
隅から隅まで探したのに無いのだ。
急いでレジに向かって「GBAケーブルありませんか!?」と大きな声で叫ぶ。

「GBAケーブルですか?・・・少々お待ちください・・・」

そういうと店員は奥へと入っていった。
どうやら在庫を確認しているようだ。
「急がないと・・・」何故かそう感じていた。
急がなければいけない理由など何も無いのだ。しかし、急がなければいけないと感じていた。
きっとこのチャオの「死」を感じていたのだろう。
本来、チャオのプチガーデンに死、転生の概念はない。
しかし、突然現れた異常・・・これに死の恐怖を感じざるを得なかったのだ。

そうこう考えているうちに店員が出てきた。

「現在GBAケーブルは品切れとなっておりまして・・・」

「えぇ!?・・・失礼しました!!」

聞いた瞬間すぐに店を飛び出た。
行くあてはない。近くにゲームショップがもうないのだ。

「・・・そういえば」

昔、一緒にチャオを育てていた友人がいた。
しかし、いつからか遊ばなくなった。
でも、アイツならきっと持っている。

青年は走り出した。


「・・・ついた」

チャイムをならす。
懐かしい音がなる。そういえば人の家のチャイムを鳴らしたのは久しぶりだ。
「はい」といいながらドアが開く。

「・・・おう」

青年は照れくさそうに挨拶をする。

「・・・うっす・・・突然どうしたんだ?」

この瞬間、何故か焦りが消えていた。

「いや・・・チャオが」

「チャオ?」

「あぁ・・・俺のチャオがこんな状態に・・・あれ?」

あのヒトリジャサビシイタスケテというフキダシは消えていた。
何故消えたのかはわからない。

「チャオか・・・懐かしいな・・・あの時は楽しかったな」

「あぁ・・・」

「こんなところじゃなんだ、あがれよ」

そう言われると「悪いな」といって青年は友人宅にあがる。
二人は最近あったことや昔の話、そしてチャオの話をした。


来てから何時間経っただろう。
青年は来た理由を忘れていた。
青年はもう時間だということをつたえ、友人宅をでた。
辺りはもう暗く、寒くなっていた。
寒くてポケットに手をつっこむと機械の感触がした。GBAだ。
電源はまだついている。
しかし暗くて画面が見えない。
青年はGBASPはもっていなかった。
明るい場所に移動すると画面にいたチャオがフキダシでこう喋っていた


「フタリデナカヨシタノシイチャオ!」


その後、友人とは度々会っている。
GBAのソフトは売った。
しかしGBAとソニックアドバンスだけは残っている。
何故あの時あんな風になったのかはわからない。
けれどあれは自分の心をチャオが読み取ったのではないかと思っている。
チャオのおかげで絆は元にもどったのだ。
ありがとう・・・チャオ。
引用なし
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Macgafin? (仮)
 ぺっく・ぴーす WEB  - 08/12/23(火) 20:37 -
  
新連載です。えー。
いや、ほんとは長編読みきりにしようとしたんですが、
その、まあ、間に合うわけないじゃん。


次のページから始まります。
しょうもないことに1ページ使ってすみません。
タイトルの都合。
引用なし
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07:34
 ぺっく・ぴーす WEB  - 08/12/23(火) 20:40 -
  
 ◎ Macgafin? (仮題)


 07:34

インターチェンジ付近のコンビニは、車中泊するトラック運転手のために駐車スペースが広めに取ってある場合が多い。
しかしこのコンビニは入りやすい向かい側にライバル店ができてしまって、朝だというのに人気もまばらである。
静かさを優先して入りにくい方のコンビニで一夜を明かした者は、そのお蔭で不運な目に遭うことになる。

作業員の格好をした、まだ運転免許が取れるか取れないかぐらいの年齢の男AとBは、
人目に付かないコンビニの裏手で運転手を襲撃し、トラックの鍵を手に入れた。
Bは、彼の肩幅ぐらいの大きさのダンボール箱を抱えている。

「運がなかったな」

Aは運転手に冷たく言い放った。


 07:34

大きめの黒い鞄を持った吹奏楽部員Cは、AとBの一部始終を見ていた。
女子高生のCではあの二人には敵わないだろう。
Cは携帯を取り出し、ボタンを3回押した。


 07:38

警察官DとEは、作業員風の二人組の男がトラックの運転手を襲っているとの110番通報を受け、パトカーで現場に急行した。
Cはやってきたパトカーがたったの一台、しかもEが女性だったのを見てあからさまに不安そうな顔をしたが、
DとEが今まさにトラックに乗ろうとしている二人に拳銃を突きつけると、AもBも素直に両手を上げた。
Bはそのとき箱をトラックの座席の上に置いたが、DもEも特に気に留めなかった。

AとBは、二人が拳銃を下ろす瞬間を見逃さなかった。
油断したDとEの隙を見計らって、二人が近づいてくる前にAとBは素早くトラックに乗り込んだ。
Aは鍵を乱暴に差し込み、アクセルを思いっきり踏んで、あっというまにコンビニから逃げ去ってしまった。
AとBはにやにやと笑いながら、達成感に浸っている。
だが二人の表情はすぐに沈んでしまった。

「おい……チャオの箱、どこやった?」


Cは入部して初めて、フルートでもサックスでもなくトランペットをやっていてよかった、と思ったのだった。


 07:40

警察署の刑事Fは、無線でDからターゲットの作業員もどきAとBに逃げられ、通報してきた女子高生Cにチャオを奪われたとの報告を受け、
DにAとBを、EにCを捜すように命じた。


 07:45

何故か朝からラーメンを食べたがる物好きのために出前を届ける途中だったHは、橋の上で向こうから走ってくるCに気がついた。
Hの昔の彼女も吹奏楽部員だったから知っているが、多分Cの持っている大きめの鞄はトランペットのケースだ。
本当は自転車は車道を走るべきなのだが、渋滞を避けるためにHは歩道を走っていた。
その橋の歩道は狭い。 HはCを避けようと橋の内側に寄った。 同じことを考えていたのか、Cも内側に寄る。
じゃあ今度は外側に、と、Cも外側に寄る。
おいおい、マンツーマンディフェンスかよ、と思うのもつかの間、CとHは衝突した。

トランペットケースが宙に舞う。 ん?トランペットが入っているにしては、随分軽そうだ─

「あーっ!」

トランペットケースは欄干の向こうに落ちて行った。
Cは欄干にしがみつくように橋の下を覗き込む。 幸い水を吸わない素材のトランペットケースは、ゆっくり、ぷかぷかと川を漂っていった。
Cに謝ろうとして立ち上がったHは、転がったおかもちから、ラーメンのスープがこぼれているのに気がついた。


 08:02

名前のまだない猫Gは、いつもどおりの散歩コースを歩いていた。
通る人や犬やほかの猫もいつもと大体同じだったが、堤防に差し掛かった時、Gは見慣れないものを見つけた。
Gは川岸のくたびれた植物にひっかかった黒い鞄に近づき、前足で陸へ引き上げた。
そして器用にも鞄のジッパーを爪に引っ掛けて開け、中に入っていた段ボール箱は何度か転がして開けようとする。
箱は前転し地面にぶつかった勢いで、ふたを開けて中から何かを吐き出した。
それはぽよんっ、と弾んで、不機嫌そうなマークを頭上に浮かべた。

チャオは立ち上がると、とことこと堤防の上まで上がっていった。
Gもチャオを追っていくが、チャオが堤防の反対側にたどりつきぱたぱたと飛んで降りていったところで足をとめた。
どうしよう。 あのあたりは、あのかんじのわるいねこのなわばりだ……。
Gはそうして迷っている間に、チャオを見失ってしまった。


 08:22

「おい、あれ、見ろよ」

ランドセルを背負う男子小学生のJは、同じく男子小学生のIと、女子のKに呼びかけた。
IとKがJの指す方を見ると、水色のチャオがとことこと通学路を歩いていた。

「何でこんなところに?」
「知らねえ。 で……どうする?」
「……捕まえるべきじゃないかな」
「で、でももう学校始まっちゃうよ」

と言いながらも、チャオが道を曲がるのを見て、見失うまいと三人はそれについていく。
ランドセルの三人組は、顔を見合わせて、頷いた。

「うん、終業式ぐらいサボったってしかたないな」


 08:52

婦人警察官Eは、出前を届けなおしてきた帰りのH
に遭遇した。
EはHをコンビニに
行く途中でちらりと見かけたような気がして、聞き込みをしようと声をかけた。

「え? 女子高生? 見たなんてどころじゃないよ、そいつのせいでラーメン落としちゃったんだもん」
「本当ですか!? 黒い鞄、持っていませんでした? 学校指定のじゃなくて、ちょっと大きめの」
「持ってた持ってた。 それで、橋の上でオレとぶつかってさ、それで落としちゃったんだよ、それ」
「なんですって!? まさか、橋の下に?」
「ええっ、まあ、うん。 川に流されてったよ。 その子すぐに追っかけて行ったけどさ」
「あとは?」
「え、女の子はどっか行ったけど」
「鞄のほうは? どこにいったか分かりませんか?」
「強いて言えば川下じゃない?」
「……そう、ですか。 ありがとうございました」

小走りでその場を去るEを見送りながら、Hはその場に留まって少し考え始めた。
どうしてあんなにしつこく、鞄のことを聞いてきたのだろう。
問題は、あの女子高生じゃなくて鞄のほうにあるのだろうか。
警察官が、躍起になるもの─なにか、まずいものには違いない。
銃だろうか? いや、銃が入っているなら、ぶつかったときあんな飛び方はしないだろうし……。
あ、わかった。 じゃあ麻薬だ。 間違いない。
彼女は運び屋かなにかなんだ。
これで辻褄が合った。 完璧だ……。
少しわくわくしてきたHは、身軽になった自転車でCの向かったであろう川下の方へ急いだ。


 09:02

「─やった!!」

チャオを追うこと半時間以上、やっとJは路地裏でチャオを捕まえた。
ちょろちょろと人の入れない所に入り込んだり高いところから飛び降りたりするチャオのせいで、IとKもかなり息を荒くしていた。

「ったく、お前ほんとしぶといよなー」

KはIに続いてチャオを持ったJのもとへ駆け寄ろうとした。
ランドセルが何かに引っ掛かって、転びそうになる。
なんだろう、と後ろを振り返ると─

「大声出すんじゃねえぞ。 ガキ、大人しくチャオをこっちによこせ」

聞きなれない男の声に、JとKも振り返った。
三人をつけていたAは、Kのランドセルと口を押さえて立っていた。

JとKは、顔を見合せて頷く。
Jがチャオを持ってAに近づく。
─Aがチャオを受け取り、Kを放そうとした時だった。

「おい、そこで何をしているんだ!」

Aにはすぐに、警察官Dの声だとわかった。 くそっ、奴もつけてやがったのか。
路地を挟む建物の外壁に声が反響する。 まだ距離がある─
Aは、チャオを持って、と、どさくさにまぎれてKの腕をつかんだまま、路地の奥へ走り去って行った。
咄嗟に、Iもそれを追う。
判断の遅れたJだけがそこに残り、Dが姿を現した頃には、ほかの3人はいなくなっていた。

Aは路地を出て、狭い通りに停めておいたトラックの荷台を開け、新しい段ボール箱にチャオを入れ、うっかり連れてきてしまったごと放り込んだ。
自分は助手席に乗り込み、運転席で待っていたBは乱暴にアクセルを踏む。

後を追うIは、トラックが急発進したのを危なっかしく避けた。
トラックは強引にカーブして大きな通りに出る。
流石に追い付けないな─Iはあたりを見回して、タクシーが停まっているのを見つけた。
何かの映画のシーンを思い出す。 ベタな展開─Iはそのまま実行しようと思った。
先頭の小型タクシーに近づく。 運転手Lは、客が小学生一人なのを見て驚いたようだが、とりあえずドアを開いた。

「どちらまで?」
「いえ、さっきの─すごい乱暴なトラック、追ってください」

Lはにやりと笑った。

「いいねえ、おじさん、そういうの好きだよ」
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チャオを見送る会in夢の森 part2
 銀音(元銀鉄)  - 08/12/23(火) 23:34 -
  
「おっしゃ!まずはこの森の奥に来い!!」

・・・・・と、銀音が言ったのが30分前。

「・・・ここどこだよ・・」

完全に迷っているゲスト達。
いや、正確にはフォル、カイ、マイル、ルセアの四匹ですが。
周りには木々が立ち並ぶばかりで生き物は見当たらない。

「夢の森とか言っといてめちゃくちゃ不気味じゃねぇか・・・」
「どうするの?」
「下手に動くよりかはじっとしてたほうがいいんじゃないかな?」
「そ・・・そうですよね。」

三人の意見はその場を動かないで助けを待つ・・だが・・・

「俺は自分で探す!!」

約一名、愚か者がいたようで・・・

「・・・困った・・・」

完全に迷った馬鹿一名。
周りを見渡すが、さっき四人でいたときとまるで変わっていない。
だが、日も落ちてきて、だんだん辺りは暗くなっていた。

「おいおい・・・本格的にまずいんじゃ・・・おーーーい!!」

大きな声で叫ぶが、返事は無い。

「・・宴のわりにはずいぶん静かじゃねぇか畜生・・・」

フォルはその辺の木の根元に腰掛ける。

「はぁ・・・おとなしく待ってりゃよかったかな・・・」

今頃反省しても当然遅いわけで・・・
すでに辺りはすっかり暗くなっていた。

「・・・なんか・・眠っ・・・」

ゆっくりとまぶたを閉じるフォル。
そしてそのまま深い眠りへとついた。

 ◆ ◆ ◆

・・・あれ?

「あ、フォル!起きたんだね。」

聞きなれた声が耳に入る。
急いで身を起こすと目の前には


大きなクリスマスツリーが立っていた。


「え・・・なんで・・・」

雪が降っており、辺りは一面雪だらけ。
耳を澄ませばベルの音。
暗くなった空をバックにしたクリスマスツリーを、巻かれたプチライトが照らし出していた。

「すごいでしょ、この雪。ていっても、積もってるのは僕が武器から出した雪なんだけどねw」

カイが笑いながら言う。

「この森にはある言い伝えがある。」

そう言いながら近づいてきたのは銀音だ。

「この森で、ある条件を満たすと願いが叶うというな。」
「ある条件・・?」

ニヤリと笑って銀音は言った。

「夢を見ること、だ。」
「・・・夢?」

キョトンとした顔で見つめるフォル。


夢とは、たいがいは自分の寝る直前の思考から構築されるもの。
己の欲望を空想の中で組み立てたものといえるだろう。
ただ夢を見るだけじゃあ、ここでは願いは叶わない。
だが、その欲望を無心で、何も考えてない頭の中で具現化することができたな  ら。
それは欲望とは言わないだろう。
自己満足じゃない、本当の実現したいという『願い』だ。


「その願いがすべてよいものとは限らん。世界征服を無心で考え付く野郎も前にはいたぜ。だがな、それを実現するかどうかはこの森の管理者である俺が決めることだ。」

フォルの前まで着て銀音は立ち止まった。

「あんたの願い、ちゃーんと届いたぜb」
「・・・この・・クソ作者・・・・」

 ◆ ◆ ◆

「おぉ!フォル!!ついに目を覚ましたか!!」
「もぉ・・・・心配かけないでよ・・・」

笑顔で出迎えてくれたのはテンオウとレンファだった。

「お、お前らやっと来たのか。」
「はっはっはっ、ちょいといろんな所へ走り回っててな。」
「え?」
「やっぱり、最後ぐらい全員揃わないとね♪」

直後、ツリーの影から何匹ものチャオが出てきた。

「よぉ、ずいぶん楽しそうじゃないか。」
「ずるいじゃないですか、みなさん。」
「つか、なんで俺らには招待状が無いんだよクソ作者!!」
「まぁまぁ、結局これたからいいじゃねぇか。」

「レスト!エルフィス!ライド!シルバ!」

その他にも見慣れた顔がたくさん出てくる。

「ま、最後はやっぱ全員集合、俺大集合って好きなんだ。」

またもニヤリと笑う銀音。

「なにぼーとしてんだ。」
「え?」
「テメェが寝てたせいでこっちは待ちぼうけ食らってんだ。さっさと言って来い。」
「・・・おう!!みんな!盛り上げていこうぜぇ!!」

オーーーーーーーーーー!!!


ここは夢の森。
夢が本当に叶う場所
無心の夢を見たならば
ここにて『願い』を叶えよう
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 二話
 ダーク  - 08/12/25(木) 14:40 -
  
部屋の隅で丸まって防御態勢になっていたナイツとナイリアも、
その部屋の雰囲気の変化に気付いてシャドウの返事を聞きにきた。
だが、シャドウの言うことは至って普通だ。「どっちもどっちだ。」と。
納得していないように見えるエイリアに、シャドウは言う。

シャドウ「原因は我慢できなかったエイリアだ。
      だが、怒らせるようなことをしたラルドも悪い。違うか?」

やはり至って普通だった。
ただ、二人の悪い点をちゃんとついているので、二人は言い返せなかった。
ラルドは自分が悪いことを分かっていたので尚更だ。
エイリアはボソボソと「じゃあどうすれば良かったんだよ・・・。」というが、
シャドウの耳にはバッチリ届いていた。

シャドウ「ラルドはエイリアの心を読める訳ではないのだから、
      上手く言い訳をして逃げれば良かったのではないか?
      挑発的な言い方を柔らかく言い換えても良かった。
      そのまま我慢し続けて励まし続けても良かった。
      ナイツやマッスルに助けを・・・・・・。」

エイリア「ごめんなさい。」

シャドウの想像力から出てきた槍のような色々な方法に、エイリアは土下座した。
そんなエイリアを見て、ラルドはエイリアに謝った。
エイリアもラルドを許し、すぐに二人の喧嘩は収まったのだった。

シャドウは一息ついて、マッスルと共に部屋に戻った。
部屋に入る時、マッスルがシャドウに言った。

マッスル「さすがシャドウだな。あんな怪物をよく飼いならせるな。」

二人は部屋に入り、ドアを閉めた。
マッスルは、閉めるタイミングを少し間違えたと思い、死にたくなった。

シャドウ「何を言っているんだ。あの状況なら二人が悪いのは当然だ。
      マッスルが言えば良かったじゃないか。」

マッスル「俺が言ったら、ラルドにサイドエネルギー撃たれて、
      エイリアに体中の水分吸い取られて干からびて死ぬ。」

シャドウ「エイリアにそんな能力あったか?」

マッスル「俺の脳内のエイリアは何でも出来る。あいつら二人とも怖すぎる。」

シャドウ「そうなのか?」

そして、二人は自分のベッドに座った。
マッスルは疲れたといったように、ベッドに後ろ向きで倒れ込む。
それと、部屋に入る時に言った言葉はセーフだったようで、安心した。
シャドウもマッスルがしたように、後ろ向きでベッドに倒れ込んだ。

シャドウ「・・・怖いと言えば。」

マッスル「ん?」

シャドウ「さっきまで、凄く恐ろしい夢を見ていたような気がする。」

マッスル「エイリアとラルドのことか?アレは夢じゃないぞ。」

シャドウ「違う。」

マッスル「アレは実は全て僕の夢だった、とか?」

シャドウ「そうじゃない。」

マッスル「教えてください。」

シャドウ「眠っていた時の夢のことだ。どんな夢だったかは覚えていないが。」

マッスル「あぁ。そういうことか。
      ・・・俺も、凄く怖い夢を見ていたような気がする。
      そんで俺、起きた時に思ったんだけどさ・・・。」

シャドウ「?」


続く...
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シャドウの冒険3 第三章 〜半透明〜 三話
 ダーク  - 08/12/25(木) 15:44 -
  
マッスル「天井があって良かった、ってさ。」

マッスルは天井を見ながら言った。

マッスル「夢から覚める時、空に落ちていくような感覚があって・・・。
      天井があったら引っ掛かるじゃん?」

マッスルは笑いながら言った。
シャドウはそれとは対照的に、気難しそうな顔をしていた。

シャドウ「そうか・・・。僕にも変な浮遊感はあった。
      ただ、天井に対しては特に何も思わなかったな。」

マッスル「そうか?俺は寝る前と同じで、そこに天井がなくちゃいけないって感じがしたなぁ。」

シャドウ「確かに、それもそうだな。」

そして、ふとマッスルが気付く。

マッスル「シャドウ・・・。何で泣いてるんだ?」

シャドウ「泣いてる?」

シャドウが目元を手で拭うと、確かに涙が出ていた。
シャドウは、何故涙が出ているのか分からないといった様子で濡れた手を見る。

シャドウ「気が付かなかった。」

マッスル「いや、もしかしたらまだ眠いだけかも知れないしな。
      眠気覚ましにライン達のところでも行かないか?」

シャドウ「あ、あぁ。」

そして、二人は部屋を出て、廊下を歩いてエイリア達の部屋を通り過ぎてもう一つ隣の部屋へと行く。
通り過ぎるとき「マッスル」と「殺す」という単語が聞こえてきた。
アウトだったようだ。

ラインとバウスの部屋に入ると、
ベッドの間で向かい合ってジャンケンをしているラインとバウスを見つけた。
何故かバウスの顔は真っ赤だ。あと、少しフラフラしてる。
二人は見ていて気付いたが、コレはジャンケンで勝ったら相手の顔をビンタするゲームらしい。
どういう訳だか、バウスが全敗している。
ビンタの乾いた音が部屋に響き渡る。

シャドウとマッスルが近づくと、ラインとバウスは気付いてゲームを中断した。

マッスル「楽しそうだな。ライン。」

ライン「あぁ、こんなストレス解消できるなんて最高だぜ。」

どうやら、ビンタするのが当たり前になっていて、
自分が負けてないことにすら気付いてないらしい。
マッスルは、そのことを小さな声でバウスに聞いてみた。

マッスル「何で全部負けてるんだ?」

バウス「高速で後出ししてるからじゃ。」

マッスル「何で?」

バウス「勝ったら撃たれる。」

マッスル「・・・そうだね。」

バウス「始めの方に、本当に3連続で負けたのじゃが、
    そこでやっと勝ったら撃たれる事に気付いて運が良いことを実感したよ。」

マッスル「・・・このゲームの利点は?」

バウス「生きてることを実感できる。」

マッスル「ポジティヴだね。」

そこで、ラインがマッスルに話し掛けた。

ライン「何の話だ?」

マッスル「俺もこのゲームやりたいなぁって話してたんだよ。コツ(生きる)を教えてもらった。」

ライン「でもマッスルがやったら相手が死んじまうだろ。」

マッスル「まぁな。でもシャドウなら大丈夫だろ。」

シャドウ「僕もやるのか?だが、ルールが分からない。」

マッスル「分かった、教えるよ。」

マッスルはシャドウにこのゲームのルールを教え始めた。
だが、丁度その時、部屋の電気が消えた。


続く...
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