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☆★☆週刊チャオ第338号(9月2週)【表紙】☆... チャピル 08/9/13(土) 0:00

☆★☆読みきり作品☆★☆ チャピル 08/9/13(土) 0:03
亜空間ホテル 08/9/15(月) 0:34
亜空間ホテル 08/9/15(月) 0:35
後書き 08/9/15(月) 0:39
著作権 08/9/16(火) 18:25

☆★☆読みきり作品☆★☆
 チャピル  - 08/9/13(土) 0:03 -
  
一回限りのお話、詩、短歌、歌などの投稿はこちらへどうぞ。
詳しくは、週刊チャオ表紙の「作者の方へのお願い」を、ご覧下さい。
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亜空間ホテル
   - 08/9/15(月) 0:34 -
  
私、ツジアイコは夕方の静かな街を歩いていた。

ひょっとしていたら…大切な人が消えている。
そんなこといくらでもあった。

夕方の街をぶらぶらと1人家に帰る。
荷物は1人分の野菜。
私を笑顔で待ってくれている人はいないし、
私が笑顔で待つ人もいないだろう。

でも、帰ってくると、
いつも誰かがいてくれているような気がする。

そう、いわゆる亜空間ホテル。

私はここに住んでいるんじゃなくて、
ここに泊まっているだけの気がする。
これから、大切な人を探しに行くための、戦士の休息?
分からない。
分からないけど、未だにそんな空気を追い払えないでいる。


『亜空間ホテル』


「…また、キャバクラ?」
「そうだよー。良いじゃん、何もするわけじゃないんだし。」
「…あんた…ちょーーーバカ!」
「う…バカってひでえな!お前が食べてばっかで、
 少しも痩せねぇからだよ!」
「何だってぇ!?この古亭主(←死語)!」
「古女房(←死語)!」

お互い20代後半になると、そんな感じだ。
新車がすぐに中古車になるみたい、
新婚かって、アレは熱の延長。恋人の熱の…。

“今夜ダメになりそう”

そんな日がだんだん多くなってくる。
あなたはかわいく笑っているだけなんでしょう?
大人びているアイスレモンティー。
氷が溶けるたびにその濃い色は薄く薄く、消えかけてくる。

そうよ、この関係はこんなのよ。

どう思う?

ねぇ、どう思うの?


………。


…バカらしくなってきた。
私はいつの間にか落ち着いた目で彼を見ていた。

「…じ、じゃあ、誕生日には何か買ってきてやるから。」
「…100円?」「ばか、もっと高い奴。」
「…期待していない。」
「そっちの方が気が楽だよ。じゃ、俺はもう寝るから…。」

あなたは軽い笑いを浮かべて、
静かに暗い部屋の中に吸い込まれていった。

素敵な人がいるもんだ。この世界って。
恋人の時は楽しかったきがする。
何か色々と泣いた覚えはあるけど、
これから絶対に触れられないような楽しさがあった。

今はこうなってしまったけど。ね。



次の日、起きると彼はもういなかった。
早朝から大変だ。トラックの運転手はそうも大変なんだ。
改めて実感している私。

私は、“昔は”朝早く起きていた気がする。

だって、大好きな彼が見たくて。

だって、これからしばらく(とは言っても14時間)会えないからって。

今ではバッカみたいと思えてきた。
いや、昔からどこかでバッカ見たいとは思っていたんだろう。
ただ、それ以上に何かがあっただけで。…。

朝起きるとそこにはいつもの太陽の光と、
ダイニングがある。

私は1人で悶々と料理を作る。

昔、遠い世界の異国の路地裏で迷子になったとき、
一番最初に手をさしのべてくれたのは彼だった。

バリバリッとキャベツを破く。

私の存在しない心というモノもその時そうなった。
昔の想い出にこもっていた私を、
優しく、丁寧に、で、激しく(夜は)ほどいてくれた。

きっと好きだった。
今も、きっと好きなはずである。

最後に二つのトマトを添える。
特に深い意味は無い。
ただ、残っていたのがそれだけであるだけで。

今年で10年目になるこの生活。
もはや昨日の「古女房」だったりするのかな?

28歳の顔は小じわを少し気にする年。
ゆっくりとゆっくりと、若いときの私が消えていく。
ダイアモンド、パール、エメラルド。
そんなモノよりも、私は昔の私が欲しい。

それでもって、昔の…

そうしているうちに最後の一枚のキャベツをもう食べていた。



数時間後、私は病院を思いっきり走っていた。
サクヤが事故にあった。
トラック同士でぶつかって、重体、死にそう。

死にそう。死にそう。死にそう。死にそう。

女はもしもになると一つのことしか考えられない。
それをバカにするならバカにすればいい。
バカにされるより、
その一つのことが本当にならない方が良いに決まってる!

「サクヤ!?」

がらっとドアを開ける。

…実際、がらっなんて音はしない。
スーッと気持ちいいくらい静かに開いた。

そして、部屋の中も、もう静かだった。

あなたも、もう、静かだった。

「…17時56分、臨終です。」
「…」





その時は泣いた。死ぬほど泣いた。
死ぬほど泣いたけど、死ぬことは出来なかった。

次の日から、私は気が抜けていた。
自殺願望なんてちっとも無いけれど、
何回か本気で死にかけたことがあった。

バカよね、私。

今でも多分少しはバカ。

一年経ってもやっぱりバカなままなのかな?

今日も友達と笑う私。
馬鹿話で盛り上がって彼と笑っていた私。
天秤にかけたら、どっちが重たいだろう?
知らない。
だって、もう計ることは出来なんでしょう?

喧嘩さえも懐かしい想い出に変わるなんて。

確か値段が高いからって、
ディズニーランドでおみやげのお菓子を一個分減らせと言って、
口げんかが勃発(?)して、
その後二日くらい口をきかなかった気がする。
「ケチ、ケチ」なんて言ってさ。

ある時はなんかが原因で、
とことん私をバカにしてからかっていた気がする。
あぁ。そうだ。
私が強がりでひっさびさのキスを慣れてるように嘘付いたら、
間違って変なところにしてしまったんだ。
で、その後、泣いた私をクレープ一つで笑わせたあなた。

何億回喧嘩しても、
結局はどっちかが笑ってそれで終わっていた。
お互い強いからかも知れないけど、
でも、何度も戻って戻って離れて、離れて。

“こんなにも愛していたのに”

なに、先にリタイアしているの?ねぇ…



「…アイコ?」
「ん?あぁ、ミズキじゃない。」
「じゃないって…。私の話聞いていなかった…。」
「あ、あはははは…。」
「…お馬鹿。」「へへ、そんなこと昔からでしょ〜?」
「…そうだね。」
「ちょ、突っ込んでよ!」

小さなオープンカフェで一番の親友と話しながら外を見る。
髪を優しく触る男の子と、嬉しそうに笑う女の子。

…ぁぁ、いつの間にか「〜の子」なんて考えるようになってた。

「…そろそろ、出る?」
「うん、そうする。」
「じゃ、私は彼氏とデ・ェ・トだから。」
「…あはは。」
「アイコも、…気持ちは分かるけど、
 1人だと、何も出せないんだから、ね?」
「うん、分かってる。そのうち、何とかする。」
「…いつでも応援してるからね。」
「ありがと。」



私は少し雲が残る青空の下を歩いていた。
家に近づくに連れて、またいつもの感情が襲う。

近所の幼稚園を通る。

もしも、私たちに…と考えてはみるけど、
いなけりゃ、いないだけ、また生活が変わっていただろう。
だから、それは気にしない。
もしもいたら、
あなたのことを考えている暇なんて無いまま年をとっていただろう。
それよりは今の孤独の方がいい気もする。
引用なし
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亜空間ホテル
   - 08/9/15(月) 0:35 -
  
私はそっと顔をあげる。

いつものようにそこには普通の一軒家が…。


…あれ?


そこには“見慣れないホテル”が建っている。


…いやいやいや!


こんな住宅街にこんな高い建物!
絶対に日照権とか条例無視しているし!

…よーく見てみると雲までそれは届いている。
嘘だ嘘だ!
そんな高いホテル、あってたまるか!

私はなんかいろいろな気持ちが交錯して、
そのホテルの自動ドアを通り抜けていた。


“亜空間ホテルへようこそ”


「…嘘…。」

中にはいるともっと広い空間が待ち受けていた。
絶対にあり得ない!
何か夢を見ているに違いない!

私が頬をつねろうとすると、
急に自分の名前が呼ばれた。

「ツジアイコさんですか?」
「…えぇっ!?」

つい変な声が出る。
それもそうだ。
絶対に一生にあったことのない、
色白の男が私をまっすぐに見て、少し微笑んでいる。

「…そうですけど…。」
「それは良かった。
 このカギをどうぞ。」
「…398046497号室?」

…一体、何階なのよ!?

「…エレベーターにはいると、女性が1人いるので、
 このカギを見せてください。
 そうすれば、その場所まで案内してくれますから。」
「…そこには何があるの?」
「あなたを待っている人がいます。」
「…誰?」
「あなたが良く知っている人ですよ。」
「誰よ!名前!」
「それは言えません。プライバシーの侵害ですから。」
「…っ。」

それならこんな広いところで私を呼ぶな!
と愚痴を言おうとしたが、
それ以上に誰が待っているのかが気になったので、
私はまずはエレベーターに向かうことにした。



「…あぁ、398046497号室ですね。」
「…何階なの?」
「ざっと、一分でつきますね。」
「早っ!」
「指定室なので、すぐにつきますよ。」

エレベーターガール(?)の彼女は、
ぴぴぴっと色々な色のボタンを操作する。
すると、エレベーターは急にがたがたと動き出した。

「…で、何階なの?」
「階は決まってません。
 このホテルはそう言うホテルなのです。」
「いや…意味分からないし。」
「ここは現実ではありません。
 亜空間です。亜空間、ホテルです。」
「亜…亜空間?」
「そうです。さぁ、つきましたよ。どうぞ。」

私は促されるままドアをくぐり抜けた。
目の前には「398046497号室」がある。
窓から見た光景が宇宙でありそうで怖い。


私はそっとドアを開く。


そこには見覚えのない女1人と、
いつもの笑顔で手を振る男がいた。

「さ…ささ…サクヤ!どこへ行ってたのよ!」
「あ、アイコ。いやー、それが死んじゃって…。」
「嘘つけ!今そこにいるだろうが!
 ってかその女誰よ!ねぇ!」
「んー。明日からお世話になるトモちゃん。」
「…っ。」
「ん?なに?そんなイライラした表情して…。」
「サクヤの…ばかぁ!」

私はそこにあった靴を思い切りサクヤにヒットさせる。
彼の頭にクリーンヒットしたらしく、
少しよろめくが、
すぐに笑顔で私の方を向いた。

「怒るなよアイコ。
 そりゃ、死んだことはお詫びするけど。」
「嘘でしょ!
 遺灰も、全部ただの炭だったんでしょ!
 不倫するためにそんなコトしてまで私を騙すなんて…!」
「騙してなんか、いないさ。
 俺は本当に、死んだんだ。
 この人は、死に神。明日から、俺は本当にあっちに行く。」
「…。嘘よ…嘘に決まってる…。」

私はそこにあったベッドに寝ころんだ。
泣く気はなかったが、涙がこぼれ落ちてとまらなかった。

「あなたを待ってたのに…
 あの日かって精一杯料理していたのに、
 あなたのために一生懸命待っていたのよ…。
 キャバクラ行ったとか…飲んできたとか…
 いつもいつも、そんな日ばっかりじゃない…。」


As ever, the heavy rain makes me stop
and I chase the grow light in the dark,
shorting "Don't get away, but don't say truth"
You say,"How foolish that phrase of yours is...?"
Ah...,I heve already known...


サクヤは黙ってこっちを見ているようだった。
トモとかいう死に神は「後から来ますね」と言って部屋を出て行った。
サクヤは暖かい視線を向けたままそっと話し出す。

「…もう来ないで欲しいけどな。
 でもまあ、俺はもう戻れないんだよな。
 お前がいても、待っていても、戻れは出来ないんだ。
 それだけは信じてくれるだろう。
 俺の身体は全部燃えてしまって灰になったんだ。」
「…。サクヤ。」
「何?」
「何で私をここに呼ぼうとしたの?」
「あぁ、誕生日プレゼント。」
「…今更?」
「いいじゃん、もう渡せないよりは。」

そう言うと、うつぶせで泣いてばかりいる私に、
彼は花が咲き乱れるバスケット私の横に置いた。
私は涙を拭いてそれをそっと見つめる。
彼はそれにすぐに気付いて私に目を合わせようとする。
拒否は、しなかった。

「…。」
「結構綺麗な花だろ?ネリネって言うんだ。
 よく分からないけど、綺麗だったから買ってきたんだ。」
「…ふうん、別に安物ー。」
「おいおい…そこは許してくれよ。」
「もしも、明日も私といてくれたら、許してあげるけど。」
「…それは、ゴメン。」
「だよね。…嘘でも、うん、って言って欲しかった。」
「でも、この花は枯れないんだ。
 何かの力で俺がこの世界に持ってきたときから、絶対に枯れないんだ。」
「へぇ…ホント?」
「そ、ホント。だから、これから俺は誕生日プレゼントはあげれないけど、
 許してちょ。」
「…いつの間にか泣きやんでた、私。」
「いつもそうじゃなかったっけ?」
「…へへ、そうだよね。いつも、そうだったよね。」
「…アイコ。」
「何?」

サクヤが口を開く。
だんだんと自分の意識が遠のく気がする。

“…俺はいつでも傍にいるから”
“…ぷっ、臭いセリフ。ばっかみたい!”
“バカだよ!黙ってればいいのにっ、この古女房!” 
“うるさい古亭主!!…でも”


“…でも、私は好きだったよ…”


“…俺も…。…じゃあな、元気でいろよ…アイコ”




いつも言い合っていたその暴言も、
いつの間にか“幸せな想い出”になっていたりする。


気が付いたら、私は自分の家のソファで寝ていた。
今までの事は全部…


…大丈夫、嘘じゃない。


目の前の机、彼がくれたネリネが元気そうに咲いている。
私は少し笑顔がほころんだ。
それは間違いなく、これまでで一番の笑顔。
これもそれも、結局あなたのおかげなのね。


…これまで色々あったけど。
…これまで散々嘘を付かれていたけど、
もう許してあげよう。


最後の言葉は嘘じゃなかった。
もうそれでいいや。

寛大でしょ?
だって私はあなたの妻だから。


fin
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後書き
   - 08/9/15(月) 0:39 -
  
初めての試み。
こんな年齢の人の小説を書くのは初めて。
最後の方は綺麗すぎたかなぁ。なんてね。

ネリネの花言葉は本文中にもあります。
探してみてくださいな。
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著作権
   - 08/9/16(火) 18:25 -
  
「ねぇねぇ。聞きたいチャオ」
「なに?」
「どうして、ハリケーンには人の名前を付けるチャオ?」
「日本じゃ台風を1号2号、って数えるだろ。ハリケーンは、アルファベット順に名前がつけられるんだ。それも、男女の名前が交互にね」
「ふーん」
「例えば、その年の一番最初のハリケーンには、Aから始まる名前がつけられる。二番目のハリケーンのはBから始まる名前、という具合にね。最近で言うと、ハリケーン『アイク』はIから始まる名前だから、今年に入って9番目のハリケーンということになるね」
「そうだったチャオか」
「そうだったんだよ」
「じゃあ、チャオにも名前をつけて欲しいチャオ!」
「お前にはちゃんと名前があるだろう」
「今の名前は嫌チャオ! もっと格好いい名前がいいチャオー!」
「しょうがないなぁ。どんなのがいいの?」
「ハリケーンみたいに、外国人っぽい名前がいいチャオ! アルファベット順に、どんどん思いついた名前を言っていくチャオ!」
「じゃあまずはAから始まる名前だね。〇〇〇っていうのは?」
「ダメダメチャオ! 全然格好よくないチャオ!」
「じゃあ次はBから始まる名前。〇〇〇は?」
「却下チャオ! 次チャオ!」
「じゃあ……」





「次は、Mから始まる名前。〇〇〇。どう?」
「……きたチャオ! これチャオ! この名前チャオ!」
「この名前はね――世界で一番有名なキャラクターと同じ名前なんだよ」
「ますます気に入ったチャオ! この名前にあやかって、チャオも大物になるチャオ! 今日からチャオは〇〇〇チャオ!」

 数日後、〇〇〇は僕の前から姿を消した。



 数日後、〇〇〇は帰ってきた。

「た、ただいまチャオ……」
「お帰り、〇〇〇」
「そ、その名前はもうやめるチャオ! 前の名前に戻すチャオ!」
「そう?」
「ネズミ怖い……ネズミ怖い……」


 ハハッ!
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