●週刊チャオ サークル掲示板
  新規投稿 ┃ツリー表示 ┃一覧表示 ┃トピック表示 ┃検索 ┃設定 ┃チャットへ ┃編集部HPへ  
2249 / 2269 ツリー ←次へ | 前へ→

☆★☆週刊チャオ第332号(8月1週)【表紙】☆... チャピル 08/8/2(土) 0:00 [添付]

〜チャオの奴隷〜 第五話 08/8/2(土) 11:12

〜チャオの奴隷〜 第五話
   - 08/8/2(土) 11:12 -
  
 まどろみから覚めたばかりの体を無理やり起き上がらせる。時刻を確認すると、すでに午後五時を回っていた。
 右手に掴んでいる貯金箱に目をやる。僕は二年前、正せる範囲でボディの歪みを正し、学校へ持っていった。
 ガムテープはべたべた張り付き、割り箸は完全に固定されている――つまり、今手に持つこの状態で。当時は今よりほんの少し綺麗だったけど。
 そしてこの貯金箱は、教室の後ろに僅かな期間展示された後、我が家に帰ってくることになるのだが……。
 当時のカトレアがしまえ隠せと喚いたので、僕が今日久しぶりに引っ張り出すまでクローゼットに押し込められていたのだ。
 カトレア曰く、「恥ずかしい」だそうだ。
「ワカバ」
 開けっ放しの入り口に、カトレアが居た。
「なに?」
「ココア飲みたい。作れ」
 そう言って、背中を向けてとことこ歩いていくカトレア。僕が握っている物には気づかなかったみたいだ。
 僕は辺りに散乱している物を再びダンボールに放り込み、クローゼットの奥へ押し込む。またしばらく、あの貯金箱にはお目にかかれないだろう。
 部屋を片付け終えた僕は、部屋を出て階段を下りていった。一階では、カトレアが僕を待ち望んでいるはずだ。

「はい」
「……ありがと」
 アイスココアの入ったコップを右手でカトレアに手渡す。左手には、僕の分のココアを持って。
 カトレアは、両手で受け取ったコップを傾けて、ちびちびとココアを飲んでいる。
 その様子を眺めていて、僕はふと訊いてみたくなった。
「カトレアって、ココア好きだよね」
「うん」
「なんで?」
「知るか」
 ごもっともだ。僕だって好きな物を尋ねられて、「なぜ好きなのか」と訊かれても、せいぜい「好きだから」と答えるしかないと思う。
 でも僕は、一つの疑念を完全に振り払うことが出来ないでいる。
 カトレアがココア好きなのは、僕が原因なんじゃないか、と。
 ――まさかね。
 コップを右手に持ち替えて、カトレアに倣ってちびちびとココアを飲む。
 甘く冷たい喉越しを堪能しながら僕は、今年の自由研究は何をしようかと考えていた。
引用なし
パスワード
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; AOL 7.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1....@cache-tkp-aa02.proxy.aol.com>

  新規投稿 ┃ツリー表示 ┃一覧表示 ┃トピック表示 ┃検索 ┃設定 ┃チャットへ ┃編集部HPへ  
2249 / 2269 ツリー ←次へ | 前へ→
ページ:  ┃  記事番号:   
56421
(SS)C-BOARD v3.8 is Free