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※スマッシュ…なかのひと。こっちの揺れから遅れてライブ動画でも揺れ始めて配信ラグを感じられ感慨深かったです。
※けいりん…チャオ?周りに落ち得る物がなかったので停電でパソコンが落ちることだけ心配していましたがよく考えたらノーパソだからバッテリー駆動することにたった今気が付きました。
※エスア=イト……共和国に雇われた殺し屋。スペースコロニーサーミュに侵入した。
共和国に雇われた殺し屋、エスア=イト。
彼女の本分は人型兵器を操ることではない。
彼女は操縦桿から二丁の拳銃に持ち替えて、古びたスペースコロニーサーミュの施設を襲撃していた。
施設内には異常事態を知らせるアラートが鳴っているがその異常の詳細を施設の人間は把握できていない。
不幸にも一人の研究員が、申し訳程度に白衣を着たエスアとすれ違う。
そのまま走り去ってしまえばよかったものの、研究員は見慣れぬ顔に疑問を持った。
はて、あんな職員がいただろうか?
そう思い振り向いた途端、エスアが左手に持つビームハンドガンから放たれた弾が精密に不幸な研究員の頭部を撃ち抜いた。
【第2章 果てある肉体の果ての向こう】
【エスア】「あくびが出そう」
出そうと言いながらもエスアは実際にあくびをしていた。
施設内に侵入してから無抵抗の人間ばかりで張り合いがない。
しかし張り合いがないことこそ、ミッションが順調に進行している証だった。
【シラウィ】「退屈になるほど想定外に上手くいっているってことだ。……あんた、すごいな」
バイクでエスアを拾った男……シラウィがエスアの後ろを歩いている。
【エスア】「すごいんだよ、私は。だけどそんな私にこんな退屈な仕事が回ってくるとはね?」
【シラウィ】「退屈でもあんたの腕が必要だったんだ。この研究所のデータを盗み出すには、物理的なやり方の方が望ましい」
つまりはセキュリティの問題である。
重要なデータを扱う研究所ともなれば外部からのハッキングには対策が厳重にされている。
シラウィは優秀なハッカーであるが彼でも情報を盗み出すことはできなかった。
それゆえ物理的にデータに近付く作戦を取ることとなった。
シラウィが生体スキャンシステムなどに攻撃をしかけ、エスアが銃で道を切り開く。
その道のりが順調なのはエスアの実力だけでなくシラウィの技術あってのことだった。
【シラウィ】「それにここは同盟軍も存在を知らない。やつらは完全にあんたを見失っている。だって、自分たちの使っている地図には存在しない場所に標的がいるんだからな」
常駐する同盟軍も存在を知らされていない研究所。
そのような施設が研究しているものがまともなはずがない。
だからこそ研究データに価値がある。
殺し屋に襲撃させてデータを盗み出そうと考える勢力も出てくるというものだ。
【エスア】「チャオ研究所……今や人間研究所と言っているのとなんら変わりない、か」
今やチャオは人間と同等の権利を持っている。
事実として平等が実現していなくても、そう謳われている。
そのような時代にチャオを研究対象としてぞんざいに扱うことは表向きにはできない。
だが人間とは全く異なる肉体と特殊な能力を持ち、さらには高い知性も併せ持つその生物への関心は尽きるものではない。
【シラウィ】「……!エスア、この先の区画に」
【エスア】「人間?警備ロボ?」
【シラウィ】「ロボの方だ。六体も固まって待ち伏せしている」
研究所の深部に向かうにあたり必ず通る区画。
待合室のようなスペースになっており、そこに警備ロボットが陣取っていた。
システムに攻撃をしかけていても異常は検知されている。
異常の正体を隠すまでがシラウィに可能なことであった。
【エスア】「そっちの用意ができたら言って」
【シラウィ】「既にできている。なにが起きてもダミーの報告が飛ぶ」
【エスア】「仕事が早いのはいいことだ。私も早く終わらせるとしようかっ!」
火に向かう虫のようにエスアは警備ロボットの前に躍り出た。
右手にビームライフルを、左手にシールドを持った人型の警備ロボットたちがエスアの姿を侵入者と判断する一瞬の間に一体目が銃撃で破壊される。
すると警備ロボットたちはビームハンドガンの銃撃を防ぐべくシールドを構えつつライフルで射撃をおこなう。
エスアは側宙でそれを回避し、右手のハンドガンを横に倒した状態で射撃する。
そのハンドガンから放たれた太いビームがシールドを突き破って二体目の撃破となる。
U-ARMS-02『イニア』。
エスア=イトのために改造された二丁のカスタム銃である。
素体となったのは通常のハンドガンよりも大振りに作られているモデルだ。
ビーム銃においては弾に用いるエネルギーの量が多ければ威力や有効射程が増し、散弾の実現も可能となる。
そして大きなエネルギーを持つ弾丸を何発と撃っても故障しない安定性がこの大振りの銃にはある。
銃の中身の損耗だけでなく外側からの衝撃にも強い。
すなわちラフな使い方をするであろう彼女には大型のこの銃がうってつけなのである。
エスアはこのビームハンドガンから高威力の弾丸を放ち、ロボットのシールドを突き破る。
弾の切り替えは銃に仕込まれたジャイロセンサーによっておこなわれている。
手動で切り替えスイッチの操作をするよりも早いが、意図しない弾が出てしまう危険性が高く通常の銃にはまず採用されない機構だ。
しかしエスアの銃はより高度な仕掛けになっており、銃の傾け具合までもセンサーから入力され、それによって弾の威力が細かく調整される。
もはや持ち主にメリットをもたらすものではなくむしろ嫌がらせにかかっているような仕様だが、彼女の両手は寸分の狂いなくセンサーを反応させ思いどおりに弾を切り替えていた。
殴れる距離までロボットに接近したエスアは左手の銃を散弾の方向、通常の七割増しの威力の角度に傾けてシールドと胴体を突き破りその向こうにいたロボットまでも破壊する。
彼女の手は完全に銃にフィットしていた。
一般に女性の手は男性よりも小さく育つ傾向にあり大型の銃を扱うには向かない。
だがエスアの手の大きさは男性の平均を上回っており、たちどころに六体のロボットを破壊した。
【シラウィ】「この先が研究所の最深部。念話能力の研究室だ」
【エスア】「ああ、チャオのテレパシーってやつね……」
チャオの頭上にはポヨと呼ばれる球体が浮かんでいる。
ポヨは頭と物理的に接続されていないように見えるにもかかわらずチャオの頭に随行し、さらには感情表現をもおこなう。
その奇妙な現象は念話や念動によって説明がつくとされる。
よってチャオは念話や念動に興味を持つ科学者にとって格好の研究対象なのだ。
【シラウィ】「情報が確かなら、ここではそのテレパシー能力を強化したチャオを作り出す実験がおこなわれているって話だ」
【エスア】「強化人間ならぬ強化チャオってわけ?へえ……」
二人が研究室に踏み込むと、パソコンなどの機材に隠れていた警備員が二人、ビームセイバーを抜いて取り押さえにかかってきた。
エスアはすかさず発砲するがそれを避けられる。
射線上にあったコンピューターが弾ける。
これからそのコンピューター群からデータを盗もうとしていたシラウィが焦る。
【シラウィ】「エスア!ここで銃は!」
【エスア】「そうだった!ごめんよ!」
エスアは左手の銃をしまい、その左手で右の腰のビームセイバーを抜いた。
彼女の一閃は警備員二人の斬撃を同時に防いでのける。
さてここから斬り合いの様相と予期されたがエスアがビームセイバーから手を放して前に出た。
エスアは警備員の一人の肩と首にそれぞれの手をかけると、そこから腕の力だけで警備員の首をもぎ取った。
【警備員】「貴様……サイボーグかっ!!」
【エスア】「そのとおり!」
もう一人の警備員は驚きながらも戦意は揺るがず、実直な袈裟斬りで侵入者を捉えようとした。
しかしエスアはその太刀筋を飛び越えた。
そのまま空中で頭を蹴り飛ばすと警備員は壁に叩きつけられて動かなくなった。
U-ARMS-01『ネンセ』。
それはエスア=イトのために作られた義肢。
エスアは両腕両脚ともに機械の義肢にされている。
最高品質のその義肢は彼女の戦闘能力の中枢と言って過言ではない。
機械ならではの人並外れたパワーを持ち、しかも生まれ持った四肢よりも精密に動かせる。
さらにその義肢は銃や操縦桿を操って戦闘をおこなうのに理想的な手足の長さ、大きさに設計されているのだった。
【チャオ】「う……うあ……あ……!」
研究室は壁の一部が大きな窓になっており、その向こうは隣室のチャオの部屋になっていた。
そこに実験体のチャオが一匹いた。
彼はエスアによる虐殺の光景を見て怯えていた。
いや、見ただけではない。
強化された彼のESPはエスアの頭脳に感応していた。
【けいりん】「ま……またやってる……」
【スマッシュ】「前回はまだ物語の中核になる設定の説明を全然していなかったからね!今回はダブル主役のエスアとチャオの説明をしたのでもう終われる!」
【けいりん】「え、設定だけ説明して終わりなんすか?」
【スマッシュ】「最悪続きとか書かなくても物語のコンセプトは伝わっただろうから十分お楽しみいただけたものと想像している」
【けいりん】「えー……?」
【スマッシュ】「そういえば前回の返信に」
>【エルファ】「睡眠時間加味したら数時間でコレ仕上げてくるとかどこかの誰かさんとは大違いすぎて震えてます」
>【ホップ】「いや待て完徹の可能性も…」
【スマッシュ】「……とあったけれどそれは誤解です。あらかじめ書いています」
【けいりん】「パトリシアさんが葬式しているあたりでエスアっていうキャラを思い付いて、それに対応するもう一人の主役としてのチャオの設定を考えて、あとはもう二人が出会えばなにかしら物語は転がせられるだろう……という読みで前回の話が作られました」
【スマッシュ】「そして今けいりんが説明したことの具体的なアイデアを前回今回で披露した形ですね」
【けいりん】「ちなみに今回の話は昨日書きました。なので全然徹夜してません!」
【スマッシュ】「しかし今回のギャラロマ、一旦話がお墓参りに逸れるのかと思ったら一瞬でアンヌ様が合流したね」
【けいりん】「しかもなんか戦争を終わらせる方向でキャラクターたちが団結しつつありますね。第26章を参照するに、アンヌ様はスイーツガールに協力して戦争を終わらせた方がその後の自分たちの利になると判断されたようですが」
【スマッシュ】「賭けではあるけどだいぶ魅力的な賭けなんだろうね。スイーツガールと懇意にしておけば当面同盟との外交もやりやすいだろうし」
【けいりん】「スイーツガールの面々って将来的に権力ある立場についてもおかしくなさそうですもんね。そこまで考えると仲良くしておきたい人たちです」
>【エルファ】「というかそもそもアンヌとマリエッタのキャラが似すぎなんですよ。お姫様2人も要らないでしょう」
【スマッシュ】「異議あり!!!!」
【けいりん】「お?エルファさんに口ごたえすんのか?」
【スマッシュ】「だって二人、そんなに似てなくね!?!?」
【けいりん】「まあお姫様って点以外、共通点なさげですよね。アンヌ様は知将だけどマリエッタさんは突撃娘って印象ですもんね」
【スマッシュ】「正直読んでいて一切混乱もしなかったです」
【けいりん】「スイーツガールとアンヌ様が協力関係になって、連合を落としにかかる。だけど共和国は一枚岩でなく同盟内部もきなくさい動きがあって、なんか連合を倒せば終わりって雰囲気ではないですね」
【スマッシュ】「戦争が終わる頃にはどの勢力も酷いことになってそう。スイーツガールの活躍で」
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