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【Galactic Romantica】 ホップスター 20/12/23(水) 0:06

エピローグ:笑え、少年少女と共に ホップスター 21/12/23(木) 0:00

エピローグ:笑え、少年少女と共に
 ホップスター  - 21/12/23(木) 0:00 -
  
かのライオットでの戦いから半年後。

X組の面々は、首都惑星アレグリオの墓地にいた。
【カンナ】「レイラ、ごめんね。…この景色、見せてあげたかった…ついでにケーキも…」
そう墓前で祈りながら、カンナはつぶやいた。


        【エピローグ 笑え、少年少女と共に】


あの入学式からそろそろ1年。
X組のメンバーが、士官学校を卒業する時が近付いていた。

【クーリア】「そういえば…」
横にいたクーリアがカンナに話しかける。
【カンナ】「何かしら?」
【クーリア】「最後…ライオットのガス惑星で、結局艦長は何を見たんですか?戻ってきた時には何故か参謀総長閣下もご一緒でしたけど…」
そう疑問を投げかけた。戦闘終了直後からクーリアは何度か聞こうとしていたが、その度にはぐらかされていた。今度こそ、と思い尋ねる。
【カンナ】「そうね…」
それに対してカンナは、少し考えた後、こう答えた。
【カンナ】「何もなかったわよ。偶然参謀総長閣下が不時着してたから拾っただけ。ただ…」
【クーリア】「ただ?」
【カンナ】「わがままな子供の幻影を見たような気がするわ。…ま、ただの夢かもしれないけどね」
【クーリア】「何ですか、それ…」
そのカンナの返答に、クーリアは呆れながらそう返すのが精一杯だった。それと同時に、これは今後もはぐらかされ続けて答えてはくれないんだろうな、と諦めた。カンナも参謀総長も(クーリアが見た限りでは)無事であるし、それで良しとしろ、というカンナの無言のメッセージだと受け取った。


さて、X組は本来であれば卒業後は軍の配属先によりそれぞれがバラバラの道を歩むのだが、彼女たちは先の戦争で多大なる貢献をしたということで、参謀総長の特別判断によりクロスバードとは別に新造艦を与えられ、各メンバーがそのクルーとしてそのまま配属される形になった。

…但し、敢えて別の道を歩む者もいた。
【オリト】「パトリシアさんは新造艦に入らないと聞きましたけど…これからどうするんですか?」
【パトリシア】「ちょっとハーラバードにいた時の伝手でな。…クリシア教の教会兼孤児院で、シスター見習いをやろうと思ってる」
【オリト】「し、シスターですか!?」
思わずオリトが聞き返す。ある意味彼女のイメージとは正反対の進路だったからだ。
【パトリシア】「半分機械で、この手が血に染まった…そして、たくさんの人の死を間近で見てきたあたしだからこそ、逆にできることがあるんじゃないかってな」
パトリシアは空を見上げながらそう説明した。オリトも納得する。
【オリト】「なるほど…」

【アネッタ】「いやーでもちょっと残念ねー、折角この半年で仲良くなれたのに。徹夜でドラマ観て大号泣してたのは忘れられないわ、『パティちゃん』」
【パトリシア】「う、うるせぇ!しょうがねぇだろ、あぁいうの見るのガチで初めてだったんだから!!あとパティはやめろ!マジで!!」
茶化すアネッタに対し、パトリシアが顔を真っ赤にして反論する。
【パトリシア】「…と、とにかく、何かあったらいつでも呼んでくれよ。カペラで駆けつけてやるからな」

【ジェイク】「…二丁拳銃持って人型兵器で暴れ回るシスターとか新手のギャグか?」
【ゲルト】「そういうのを『ギャップ萌え』とか言うらしいぜ」
【パトリシア】「そこ!聞こえてんぞ!」
近くにいたジェイクとゲルトの会話に、パトリシアがツッコミを入れた。

【マリエッタ】「私も一度、グロリアに戻ろうかと思います。…今後は、故郷と銀河のために自分が何ができるか、少しゆっくり考えたいので」
【ジャレオ】「元々ここにいるのが異例だったし、仕方ないですか…」
【フランツ】「でも現実問題として、新造艦のオペレーターはどうするんです?」
マリエッタもX組を離脱するとなると、新造艦のオペレーターが不在になる。それについてフランツが尋ねるが、それに対してはクーリアがこう答えた。
【クーリア】「それなんですけども、一般クラスの卒業生から新しく選抜すると聞いています。雰囲気的に少し入りにくいかも知れませんが…」
【ミレア】「そこは、あたし達が、フォロー、しないと…」
【クリスティーナ】「ま、何かあったら同じく途中加入組のあたしがサポートしますよー」

【ゲルト】「…で、逆にアンタはいつまでここに居座るんだよ?」
逆にゲルトが半分呆れたような目をしながら話しかけた相手は、彼女である。
【アンヌ】「あら、いてはいけなくて?」
そう笑いながら答えるアンヌ。同盟の軍服も着こなして完璧に馴染んでいる。
【クーリア】「パトリシアと違って終戦後も記録上は士官学校やX組に編入していないはずなのですが…」
【フランツ】「気が付いたらずっと居ますね…」
そう微妙な顔をしながら話す2人を意に介そうともせず、アンヌはこう続けた。
【アンヌ】「先の戦争があのような結果になった以上、これからの銀河は同盟を中心とする統一国家として再出発を切ることになります。当然、共和国の宗家という名前も名目上は意味を成さなくなる…だからこそ、私はここでまだまだ学ぶべきことがたくさんあります」
そうアンヌはもっともらしい理由を並べたが、
【ゲルト】「いやだったらまずは同盟のルールに従ってちゃんと編入手続きしろよ!!こういうのをなぁなぁで認めるのが一番まずいんだよ!!校長や軍のお偉いさんも何やってんだよ!!」
ゲルトのツッコミにかき消されていった。

【パトリシア】「というかオリトこそ新造艦には入らないんだろ?どうするんだ?」
一方、パトリシアは逆にオリトにそう尋ねる。オリトは本来「1年生」であり、士官学校のカリキュラムはまだ残っているのだが、敢えて中退し残らないと決めたのだ。その理由について、オリトはこう答えた。
【オリト】「はい、この間貰った特別ボーナスで、一度この銀河を隅々まで旅してみたいんです。この世界にはもっと知らなければいけないことがある、…いや、知りたいことがある、と思いましたから。…そしていつかは、スラムの人やチャオの為に、恩返しできればと思っています」
【パトリシア】「そうか。何か勿体ねぇ気はするけどなー…蒼き流星ぶっ倒した英雄さんがなぁ」
【オリト】「やめてください、それは…皆さんのおかげですし、何より…」
そう言いかけて俯く。本当に、あの時の判断は正しかったのか。彼女が生きる道も、どこかにあったのではないか。…オリトにとって、この半年間はその問いに対して悩み続ける半年でもあった。『士官学校を中退して旅をする』という結論も、その問いに対する自分なりの答えでもある。
【パトリシア】「…あぁ、悪い。…でも、だからこそ、胸を張るべきなんじゃないか?…蒼き流星さんも、地獄でそんな姿を見せられちゃ堪らないと思うぜ?…エカテリーナもな」
パトリシアはそう言い、オリトが持っているエカテリーナの遺品である人形に触れた。
【オリト】「…そう、ですね…そうですよね」
オリトはそう、静かに繰り返した。そこでやっと、悲しい別れ方をしてきた人達に、しっかりと応えなきゃいけない、と思い、顔を上げた。


【カンナ】「みんなー、何やってるの!行くわよ、卒業式!間に合わなくなっちゃう!」
気が付くと、墓地の入り口の近くでカンナがそう叫んでいた。
それに応えるように、全員がカンナの方へ向かい駆け出した。


【ゲオルグ】「えー皆さん、本日は誠にめでたい卒業式の日を迎え…」
いよいよ卒業式。こういう時に、校長先生の祝辞が長いのはやはり古今東西変わらない。

【ミレーナ】「…ふぁー…しっかし、あの波乱万丈な半年が嘘みたいねー…」
そんな祝辞を聞きつつ、教員席でミレーナ先生があくびをしながらつぶやく。
【エルトゥール】「平和なのは良いことではありませんか」
そう話しかけたのは、他でもない参謀総長。来賓として来ていたのだ。
【ミレーナ】「か、閣下!?」
思わず声をあげるミレーナ先生だったが、
【エルトゥール】「しーっ、声が大きいですよ、先生」
と、エルトゥール参謀総長は人差し指を口に当てた。

【エルトゥール】「…あの子達、間近で見てて、どうでした?」
そう参謀総長が小声でミレーナ先生に尋ねる。
【ミレーナ】「そうですねー…結局あたしは最後の方は医務室で寝てただけだったし、よく見てないけどー…まぁ、手がかからなくなったという意味では、成長したんじゃないかしらー?」
ちなみに、新造艦の医務官についても新たに卒業生から選抜することになっている。ミレーナ先生は、下級生、即ち「来年度のX組」の担任にスライドするのだ。
そういう意味では、クロスバードに唯一残るのが、彼女であるとも言っていい。

【エルトゥール】「今年は例外が重なって凄いことになったけど…来年度のX組についても期待していますよ、先生?」
【ミレーナ】「そんなに期待しないで下さいよー、あたしはドジやらかして左遷されたただの保健の先生ですってばー」
ミレーナ先生はそう苦笑いしながら答えた。


【ゲオルグ】「…えー、それではあんまり私の話が長くなってはいけないのでね、皆さんのご期待通り、この人に登壇してもらいましょう」
そう言い、校長先生は演台から降りる。ざわつく学生たち。呼ばれているのは、そう、彼女である。
【司会】「…それでは、卒業生代表スピーチ…カンナ=レヴォルタ少佐!!」
【カンナ】「はいっ!」
カンナがそう返事し、壇上に登ると同時に、学生が一気に沸いた。
ちなみに戦争終結時点では彼女は大尉だったが、戦争終了後に軍、というよりエルトゥール参謀総長がその活躍と貢献、そして知名度に応える形で少佐に昇進させた。また、副長のクーリア以下他のクルーも同様に昇進。かくして、異例中の異例となる、わずか18歳の少佐が誕生した。

【カンナ】「あー、あー…」
カンナがマイクを握り、声を調節する。会場は波を打ったように静まり返る。
【カンナ】「えー、なんか凄い感じになっちゃってるけど…小っ恥ずかしいな…」
そう喋り出すと、
【ジェイク】「銀河相手に大立ち回りしといて今更小っ恥ずかしいはないだろー!」
とジェイクの茶々が入った。笑う学生たち。
【カンナ】「ジェイクもその一員だったでしょ…っと、すいません。…でも、学生生活の最後ぐらいは、自分達らしく締めたいと思います!」
そう言いカンナは、自分の言葉で語り始めた。

【カンナ】「…とりあえず、色々ありすぎて正直あんまりお世話になってないけど、先生方、同級生・下級生の皆さん、本当にありがとう!!
      そして、これからもみんなのため、銀河のために!頑張っていきますので、よろしくお願いします!!」
そう言い、頭を下げた。拍手に包まれる会場。

【カンナ】「それじゃあ最後に…恒例のあれ、いきます!みんな、準備はいい!?」
そう告げると、卒業生が一斉に帽子を取り出す。

【カンナ】「卒業…おめでとう!!!」
カンナのその合図と共に、一斉に卒業生の帽子が青空へと舞った。

その青空は、アレグリオを突き抜けて、銀河の果てまで広がっていた。
引用なし
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