●週刊チャオ サークル掲示板
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カオシング現象発生中! 予告 スマッシュ 16/11/17(木) 18:12
第1章 1話 マスタードわさび焼きそば スマッシュ 16/11/19(土) 23:44
お詫びと訂正 スマッシュ 16/11/20(日) 0:02
第1章 2話 走るホテルウーマン スマッシュ 16/11/20(日) 20:50
第1章 3話 作戦会議をするぞ! スマッシュ 16/12/25(日) 2:33
第1章 4話 カオシング現象 スマッシュ 16/12/31(土) 23:47
第2章 1話 この時代に生まれたソニック スマッシュ 17/1/8(日) 11:39
第2章 2話 Cヒューマン スマッシュ 17/1/14(土) 0:36
第2章 3話 小動物 スマッシュ 17/1/22(日) 0:36

カオシング現象発生中! 予告
 スマッシュ  - 16/11/17(木) 18:12 -
  
 かつてソニックたちが悪を打ち倒した世界――
 そこは争いのない、とても平和な世界になっていた――

 だけど全然平和じゃなかった!
 世間を騒がせているのは予測不可能の怪奇現象「カオシング現象」であった!

★カオシング現象とは?
 カオスエメラルドに近い力を秘めた人工物、疑似エメラルド。
 その疑似エメラルドが起こす超常現象が、カオシング現象だ。
 ひとたび発生してしまえば何が起こるかわからない!
 とっても可愛いペットだったチャオたちもカオシング現象のせいで、人を簡単に殺せてしまうほどの力と知能を手に入れてしまったぞ。

★ニューチャオの恐怖!
 変化したチャオたちは、自分たちのことをニューチャオと名付けた。
 そして、自分たちは人類に代わって生物の頂点に立つ者である、と調子に乗りまくっている!
 ……と思いきや、これまで通り人間と友好的なやつも結構いる。
 よそはよそ。うちはうち。どう振る舞うかはそいつ次第。
 自由だなあ。

★主人公を紹介するぞ!
 物語の幕を上げる主人公は……こいつらだ!

レッシ「俺の名前はレッシ・ラッシュ。そしてこいつが相棒のラジカル」
ラジカル「飯と金とカオスドライブよこせ」
 悪事を働くニューチャオや、カオシング現象の対応で生計を立てているコンビだ。
 戦闘担当はダークハシリチャオのニューチャオ、ラジカル。
 小動物チーターの力を使い、素早く敵を狩るぞ。
 戦闘以外担当が普通の人間、レッシ・ラッシュ。
 報酬を上げてくれと雇い主に泣きついたりする。
 だけどこいつら、一話で瀕死になります。

 そして二話から大活躍するのが、こいつらだ!
ジンカ「ジンカ・チェイス、華麗に見参ってカンジ?」
 謎の美少女ジンカ・チェイス。
 そしてソニックに憧れ過ぎて自らを改造しまくった改造人間であり天才科学者の、ニック・ガジェット!
ニック「私のことは、ドクターソニックと呼ぶがいい!」
 呼ばれません。

 実はこのニック・ガジェット、疑似エメラルドを発明した人なのです。
ニック「ある日、私の研究所にカオスエメラルドが届いた。それを持った瞬間だよ、びびっときた!あれだ、コインパーキングが湧いた!」
ジンカ「ええと、たぶんなんですけど、インスピレーションなのでは」
レッシ「どうやって間違えたんですか今の……」
 しかしニックはその疑似エメラルドを探し求めている。
 なぜか?
ニック「ぶっちゃけ作り方忘れちゃったんだよね。思い出すためにサンプルが欲しいのだ」
レッシ「どうして忘れちゃうんすか……」
ニック「それはだね、コインパーキングが消えてしまったのだよ」
ジンカ「ええっと、つまりは記憶喪失ってことですね、たぶん」
レッシ「ううん……?」

★たくさんいるぞ、主役じゃないやつら!
 謎の青年、キャノ・コア。
 こいつのいる所に限って、カオシング現象が起きている気がする。
 なんて迷惑なやつなんだ!
キャノ「ドリーム! ドリームだよ、みんな!」
 言うこともよくわからない。
 だから、たぶん凄く迷惑なやつなんだ!

 赤いダークカオスチャオ、レッド・フォレスト。
 ニューチャオの中でも屈指の実力者。
 その戦闘力はもう凄いってもんじゃない。
レッド「そのエメラルドは俺がもらう!」
 おまけに、カオスチャオだからなのか、めちゃくちゃしぶといぞ。

 銀色のニュートラルハシリチャオ、ブレード・ハーバー。
ブレード「見せてやろう、俺の能力を! 俺の能力は俺自身の肉体を材料にして、切れ味抜群の剣を作り出す、ブレードブレード!」
 こいつは、強くない。

★戦え! 新たなヒーロー!
 正義のヒーローたちは、小動物のパワーを引き出しきった挙げ句、もはや動物も人間もチャオも超えた力を使い、悪党を倒しまくる!

ニック「ソニックダッシュ! そしてソニックキック!」
 ニックはとにかく速い!
 なんと言っても天才科学者。自分自身が最高傑作なのだ。

 ジンカは様々な小動物の力を使って器用に戦う。
 そして希少小動物のドラゴンの力を得た時、彼女は炎をその拳にまとう。
 そのパワー、その派手さ、他の小動物の力とはわけが違う!
ジンカ「これこそ炎を吹くドラゴンの力。ドラゴンフレイム!」

レッシ「それなら俺は、ゴリラフレイム!!」

 新連載冒険チャオ小説『カオシング現象発生中!』乞うご期待!!
引用なし
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第1章 1話 マスタードわさび焼きそば
 スマッシュ  - 16/11/19(土) 23:44 -
  
 町に入る手続きをするのに、少しの間待たなくてはいけないらしい。
 関所は大きく、空港を思わせる。
 まるでこの町が一つの国であるかのようだ。
 腹が減っていたので、レッシ・ラッシュは関所の中にある売店で食い物を買うことにした。
 この町の名物らしい、マスタードわさび焼きそばを二つもらう。
 マスタードもわさびも抜きにしてほしいと相棒は言っていたが、それを抜いては名物にはならないだろう。
 だからそんな注文はしなかった。
 両手に焼きそばを持ったレッシは、土産物屋に心を奪われているはずの相棒を探す。
 やけに大量の物がある、キーホルダーのぬいぐるみや菓子のコーナーを回る。
 ヒーローチャオとダークチャオのペアが飼い主の女と一緒になって、ぬいぐるみのキーホルダーのどれを買おうか話し合っていた。
 シマウマをモチーフにしたマスコットキャラクターのぬいぐるみで、白い部分が別の色になっているのだった。
「白はあるのに黒はないんだね。超絶かっこいいのに」とダークチャオが言う。
「お前馬鹿だな。白い所が黒だったらシマウマになんねえじゃん」
 ヒーローチャオが嘲笑う。
「えーっ、なら黒い所を白くすればいいじゃん」
「なるほど。それはそうかも」と飼い主の女は頷く。
「どっちにしろ、ここには黒なんてないけどな」とヒーローチャオは言う。
 ここにはレッシの相棒はいないようだった。
 レッシが売店以外の所を探そうとすると、ロビーのソファに座っているダークハシリチャオを見つけた。
 ダークハシリチャオは、のろのろとレッシに手を振った。
「ここにいたのか。ほら」
 焼きそばを渡すと、ダークハシリチャオは嫌な顔をした。
「抜けって言ったよな?」
「抜いたらただの焼きそばだろうが」
 レッシはダークハシリチャオの隣に腰掛ける。
 このチャオが、彼の相棒だ。
 名前はラジカル。
「そもそも焼きそば自体が、別の国の食べ物っていうのがな。なんか気に食わない」
「いいから食えよ」
 麺をすすると、ラジカルは即座に咳き込んだ。
 レッシも顔をしかめた。
「辛いな」
「殺す気かよ、これ」
 レッシは少しずつ食べていくが、ラジカルはしばらくの間、上にかかっているマスタードとわさびを端によける作業を懸命にした。
 それをよけたところで、マスタードやわさびは麺に練り込まれていて、辛いことには変わりなかった。
 それでも一応、よけた甲斐はあったようだ。
「ぎりぎり食える」とラジカルは言った。
 ちびちびと食べていたのに、ラジカルが焼きそばを食べ終わってもまだ呼び出されなかった。
「なんで手続きにこんな時間がかかるんだ?」とラジカルは不機嫌そうに言った。
「薬物かなんかを持ち込もうとして、引っかかってるやつでもいたんじゃねえのか」
「なんて迷惑なやつだ」
 レッシはラジカルのように苛立ってはいなかった。
 今回受けた依頼の打ち合わせまでにはまだ時間が多分にあった。
 徒党を組んで暴れているチャオの排除という依頼だった。
 そのために町の外の人間まで雇うということは、相当な問題になっているのだろう。
 数が多いか、警察などでも対処しきれないほどの力を付けてしまったチャオがいるか。
 その分だけ、報酬も高かった。
 そしてそういった凶暴なチャオを相手にすることこそが、レッシたちの仕事であった。
 とうとう、レッシたちの名前が呼ばれる。
 身分証であるパスポートを提示する。
 レッシだけでなく、ラジカルもパスポートを持っていた。
「遺伝子照合をします。こちらに手を乗せてください」
 はかりのような、機械と一体になった台に手を乗せる。
「今回も何か依頼があったのかい?」
 初対面の係員が、親しげに話しかけてくる。
 それもそのはずだ。
 係員はラジカルの方に話しかけていて、子供と接するような態度をしていたのだった。
「まあな」とラジカルは対等に思っているような口振りだ。
「この町の中で最近凶暴になっているチャオの話って聞かせてもらえませんか?」
 レッシがそう尋ねると、係員は首を傾げた。
「凶暴っていうのとは違うんですがね、チャオたちで徒党を組んでたむろしているっていう話はありますよ。まだ何かしたってわけじゃないですけど」
「なるほど。じゃあ何か大きなことをしでかす前に叩いちまおうってことかもな」
 ラジカルがそう言う。
 みだりに話すものではない、とレッシは思った。
 しかし、たしなめることはせず、黙っている。
「へえ、そういうことか。じゃあ、よろしくお願いしますね」
 係員はそう言ってパスポートを返す。
 そしてレッシとラジカルは荷物検査を受ける。
 旅には慣れていて、最小限の荷物しかない。
 必要な物の多くは旅先で買って、そして移動する時には捨てるというのがレッシたちのスタイルだ。
 検査が終わり、晴れて町の中に入ることを許される。
 正面から真っ直ぐと町の奥の方まで伸びている道が、異様に広い。
 町の端から端まで一直線に貫いているメインストリートだ。
 左右には高層のマンションやビルが鍵盤のように並んでいる。
「なんかすげえ都会って感じだな」とラジカルが言った。
「おかげでどこが待ち合わせの場所か、わからないな」
 こういう時はタクシーに限る、と言ってレッシはすぐ近くに駐車していたタクシーに手を挙げてアピールする。
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お詫びと訂正
 スマッシュ  - 16/11/20(日) 0:02 -
  
 予告編で、1話でレッシとラジカルが瀕死になり、2話からはジンカとニックが活躍する旨を紹介しましたが、はじめの4KBではそこまで話を進めることができませんでした。
 レッシとラジカルの瀕死と、ジンカとニックの活躍は、第1章の終盤となります。
 ファンの皆様の期待を裏切ってしまったことを深く反省すると共に、ここに謝罪いたします。
 予告編とは異なる展開となること、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 
 今後もファンの皆様に楽しんでいただけるよう、努力をしていく所存です。

 この度はまことに申し訳ありませんでした。
 今後とも『カオシング現象発生中!』をよろしくお願いいたします。
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第1章 2話 走るホテルウーマン
 スマッシュ  - 16/11/20(日) 20:50 -
  
 レッシはタクシーの運転手に、目的地のホテルの名前を告げた。
 運転手はすぐに、
「ああ、あそこですね。わかりました」と言って車を走らせた。
「お二方は、観光ですか?」
「仕事なんですよ。なんか最近ここらでチャオが徒党を組んでって聞いて。それで」
 レッシはそう運転手に説明する。
「それってもしかして、バードのことですか」
「え、バードって言うんですか。名前とかはまだ聞かされてなくて。できればそこらへん、もっと教えてもらえません?」
「バードって、鳥?」
 ラジカルが首を傾げた。
「たぶんそうですね。鳥のバード。要するに、自由だってことなんじゃないんですかね」
 リーダー格のチャオがヒコウタイプなのだろうか。
 そうレッシは考えた。
「なにか被害が出たりは?」
「今のところは特に聞いてませんけどね。民家が一軒占領されてますけれど、ずっと誰も住んでない所だったので」
 それ以外、被害らしい被害はないそうだ。
 誰も住んでいない民家にチャオが住み着いたというだけ。
「彼らも、城が手に入って満足しているのかもしれませんね」
 これ以上チャオたちが悪さをするとは思っていない。
 そんなふうな言い方だった。
 しかしレッシは、なにかあると思わずにはいられなかった。
 たとえばそのバードが占拠した家の中に、どうしても秘密裏に回収したい物がある、とか。
 どうあれ、詳しいことを依頼主から聞き出す必要があるようだ。
 タクシーはホテルに着いた。
 普段ならまず泊まることのない、高級なホテルだった。
 中に入り、チェックインする。
 金は既に支払われている。
 手付金の一部として、シングルルームが用意されているのだった。
 打ち合わせはこのホテルの上部にある、スイートルームで行われることになっていた。
「まだ時間あるんだよな?」
 ラジカルはベッドに飛び込み、うつ伏せになったまま言った。
 このまま寝てしまうつもりのようだ。
「ああ、寝ててもいいぞ。俺はもうちょっと調べておきたい」
「任せる。そうだ、カオスドライブくれ」
「はいよ」
 レッシはリュックサックからカオスドライブを一本出すと、それをラジカルに投げ渡して、部屋から出た。
 ロビーにはコンシェルジュがいた。
 本当にいいホテルのようだ。
 好都合だとレッシは彼女に話しかける。
「教えてもらいたいことがあるんだけど、いいかな?」
 なんでしょう、とコンシェルジュは笑顔で言う。
「最近ここらへんでチャオが徒党を組んでいるって噂を聞いたんだ。バードとかいう。それについて何か知らないかな」
「バード、ですか」
「うん。仕事で彼らと接触しなければならないんだけど、情報があまり無くて。だから些細な情報でも知っておきたいんだ」
 少々お待ちください、とコンシェルジュは電話の受話器を取った。
 そして五分ほど待つと彼女は心の底から嬉しそうな顔をして、
「スタッフの中に存じ上げている者がおりました。今、こちらに向かわせておりますのでお待ちください」と言う。
「ありがとう。それから、小動物やカオスドライブを扱っている店なんかは近くにあるかな。小動物を奪われたとかそういう被害がないか、知りたいんだ」
「かしこまりました」
 コンシェルジュは様々な所へ電話をかけ、受話器を取って少し話をしては、また置くことを繰り返す。
 チャオを専門に扱っているペットショップが一軒と、他のペットショップ数軒、そして家電量販店などのカオスドライブを扱う店。
 彼女が電話をかけた店では、盗難の被害は全くなかったそうだ。
 レッシは少し安心した。
 小動物やカオスドライブの略奪をしていないのであれば、チャオたちの戦闘力は低いということになるからだ。
 略奪を繰り返せば繰り返すほど、キャプチャーによってチャオたちの能力は高まり、手強くなる。
 そして手が付けられないほどチャオたちが強くなってしまうと、町はチャオによって占領されたも同然となるのだ。
 チャオは本来、大人しくか弱い生き物であった。
 見た目の可愛さもあり、ペットとして愛玩されてきた。
 そんなチャオがどうしてこうも凶暴な生き物になってしまったのか?
 原因は、カオシング現象にある。
 カオスエメラルドを量産する目的で作られた疑似エメラルド。
 その疑似エメラルドが制御不能になった時に引き起こす予測不能の怪現象。
 それがカオシング現象だ。
 五年前、世界で初めて発生したカオシング現象は、チャオに怪物としての性能を付与するという変異を起こした。
「お待たせいたしました」
 走ってホテルに入ってきた中年の女が、息を切らしながらレッシに言った。
 コンシェルジュが、彼女がそのバードについて知っているスタッフなのだと紹介する。
 しかし彼女は普段着であった。
「もしかして、今日お休みだったんじゃないんですか?」
「お客様のためですから」と中年の女は言った。
「ありがとうございます」
 レッシは深く頭を下げて礼を言った。
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第1章 3話 作戦会議をするぞ!
 スマッシュ  - 16/12/25(日) 2:33 -
  
 スイートルームで、今回の仕事の説明が始まった。
 レッシ以外に、十一人の人がいた。
 その中に、レッシが関所で見かけた女性と二匹のチャオもいた。
 依頼主は、ヒドゥン・ベイスという男だった。
 五十歳くらいの中年で、ひげを蓄えている。
「君たちには、この屋敷を根城にしているチャオたちを根絶やしにしてもらう」
 ヒドゥンは、プロジェクターで屋敷の画像を写した。
 正面から撮影された三階建ての屋敷は、正方形に近い形をしていた。
「見ての通り、屋敷は三階建てである。地下室はない。そしてこの屋敷は、戦闘の際いくらでも破壊して構わない。屋敷の持ち主から許可が出ている」
 おお、と声が上がる。
 思う存分暴れたいという力自慢もいるようだ。
 好きにしていいのなら、戦いやすくなる。
 レッシもそんなふうに肯定的に捉えていた。
「最優先事項は、屋敷内のチャオを殲滅することである。そしてこの町に完全なる平和を取り戻していただきたい」
 しかしこの依頼には裏がある。
 レッシはそのことを知っていた。
 ホテルの従業員の話では、占領された屋敷の持ち主は、ヒドゥンという男だそうだ。
 つまり、依頼者の男である。
 さらにヒドゥンは、疑似エメラルドやカオシング現象の研究者なのだそうだ。
 なにか秘めた狙いがあるのだ。
 それが単に、都合の悪いことを隠蔽しようというだけならいいが。
 ヒドゥンの話が終わり、彼が退室すると、レッシは関所で見かけた女性に話しかけた。
「あんたもこの依頼で来たんだな」
「はい?」
 彼女の二匹のチャオがレッシの顔の高さで飛び、彼女を守るように間に入る。
「関所で見かけたんだよ。二匹連れは珍しいから、気になっていたんだ」
「そういうことか」
 ダークチャオは飛ぶのをやめた。
 ヒーローチャオはまだレッシを睨んでいた。
「俺、ラジカル。よろしく」
「俺はゲート。どうぞよろしく」
 二匹は握手する。
 そしてゲートはヒーローチャオを指して、
「あれはウォール。性格が悪いんだ」と言った。
「うっせえ馬鹿。変なこと言ってんな」
「ごめんなさいね。ウォールはいつもこんな感じなんで」
「これはこれで可愛いですね」とレッシはゲートを撫でる。
 ゲートは逃げるように床に降りた。
「私は、リリカ・レーン。この子たちは飛ぶのが得意なの」
「俺はレッシ・ラッシュ。こいつ、ラジカルは走るのが得意だ」
 大男が、よし、と大きな声を出し、手を叩いた。
「作戦会議をするぞ!」
 男に視線が集まる。
 リーダーに相応しいか値踏みする目だ。
「俺はタツダ。俺のチャオは、チカラタイプだが飛ぶこともかなり得意だ」
 紹介されたチャオが飛び、そして腕を広げ、ヘリコプターのように回転を始める。
「こいつの力なら、家の壁だってぶち破れる。飛べることも合わせて、こいつには三階から突撃させるのが妥当だろう。次は一階からの突撃を誰がするか、だ」
 タツダはラジカルを見た。
 ハシリタイプを突撃させるつもりのようだ。
 しかし挙手した男がいた。
「私のチャオが突撃する」
 その男のチャオはオヨギタイプだった。
 そして腕がゴリラのものだった。
 今日び、小動物パーツを隠さないチャオは珍しい。
「パワーも耐久力もある。最前線に立つのにこれ以上のチャオはいないだろう?」
 すると別の男が立ち上がる。
「面白い冗談だな。スピードとパワーが重要なんだよ。それがなければ、敵を逃がしてしまうからな。そしてうちのチャオにはそれがある」
「ならどちらにも突撃をしてもらおう」
 大男は言った。
 そして、それぞれのチャオの役割が決められていく。
 ラジカルは出入り口から逃げ出すチャオを、ゲートとウォールは飛んで逃げるチャオを漏らさず倒すことに決まる。
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第1章 4話 カオシング現象
 スマッシュ  - 16/12/31(土) 23:47 -
  
 夜。
 屋敷を占拠しているチャオたちへの攻撃が始まった。
「リトルネード!」
 大男のチャオが回転しながら飛び、屋敷に突っ込んだ。
 屋敷の壁を破壊し、なおも回転したまま中に入っていく。
 続いて飛べるチャオが二匹、開いた穴から入った。
 小さな竜巻のように激しく回転している大男のチャオは、驚いて体を硬くしたチャオたちをなぎ倒した。
 続いて侵入したチャオが、大男のチャオから逃げようとするチャオを探し、追う。
「このまま一気に三階をクリアする!」
 回転している大男のチャオは周囲を見渡していて、チャオを見つけるセンサーとなっていた。
 三階のチャオは瞬く間に、殲滅された。
 大男のチャオは潜んでいるチャオがいないか警戒し、二匹のチャオは階段を見張る。
 一方で屋敷の外では、一階から突撃するチャオたちがドアを破壊していた。
「私たちの出る幕はないかもね」
 リリカはレッシに言った。
 上から突入したチャオは階段を降り、二階にいるチャオも蹴散らしていった。
 上階から一階に逃れてきたチャオも含めて、一階は混戦になった。
 しかし屋敷の外へ逃げるチャオは一匹たりともいなかった。
 逃げようとするチャオがいない、ということはないだろう。
 中では突入したチャオによる容赦ない虐殺が行われているに違いない。
 リリカの言うとおりに、彼らのチャオの出番はなさそうだった。
 しかしそのままでは終わらなかった。
 屋敷の明かり、街灯の明かり、周辺の照明全てが消えた。
 そして一秒遅れて、ガラスの割れる音がそこかしこでした。
「なんだ!?」
 リーダー役をしていた大男が叫んだ。
「これは」
 とリリカはわかったように呟く。
「ああ」
 レッシも“なに”が起きたのか、察していた。
「これは……カオシング現象だ」
 カオシング現象は、疑似エメラルドが制御不能になった時に引き起こす予測不能の怪現象である。
 それであるという証拠が、レッシたちの目に映り始める。
「なんだ……あの光は」
 屋敷から光る液体が流れていた。
 弱い光ではあったが、しかし確かに水自体が光っていた。
「なにが起きてるかわかる!?」
 リリカは飛んでいる自分たちのチャオに呼びかけた。
 ゲートとウォールは屋敷に近付き、中で起きていることを確認する。
 ダークチャオの方、ゲートがリリカのところへ戻ってきた。
「電球から光る水が出てきてる! 光が液体になったんだ!」
 それを聞いて、はっとしたレッシは近くの街灯を見た。
 そこでもゲートが言ったことと同じことが起きていた。
 光る水が湧き水のように漏れている。
「カオシング現象が起きてるってことは、まずいな」
 レッシは気付いた。
 気付いて、気付くのが遅かったと危機感を覚えた。
 カオシング現象が起きているなら、疑似エメラルドは暴走状態にあるということだ。
 その持ち主はおそらく、屋敷を占拠したチーム、バードのリーダーのチャオだろう。
 そのチャオは暴走した疑似エメラルドから発生する無限の力を得て、手に負えないほどパワーアップしているかもしれない。
「どうする。突っ込むか、退くか」
 レッシはリリカに聞いた。
「様子、見てきて」
 リリカはゲートに命じた。
 ゲートはまずウォールの方へ飛んでいった。
「状況を見て決めよう」
「ああ」
 最悪でも自分たちのチャオが助かればいい。
 そう二人は判断していた。
 ゲートからリリカの命令を聞いたウォールは、即座にリリカのところへ戻った。
「相手は、ちょっと強くなってる程度。苦戦しているけど、大丈夫そう。加勢しておく?」「そうだね。それならサポートしてあげて」
 レッシもラジカルに指示を出す。
「ラジカル、お前も行こう。とどめをもらっちまえ」
「おう」
 ラジカルが屋敷に向かい走った、その時だ。
 屋敷が弾けるように壊れた。
 そして屋敷のあったところの地下から、昇降機に乗ってロボットがせり上がってきていた。
 巨大な両腕のある、人間の上半身をかたどったロボットで、その大きな両手で接地している。
「やばいぞ、戻れ!」
 レッシは叫んだ。
 ロボットは大きな手の指で疑似エメラルドをつまんだ。
 頭部にあるコクピットが開き、中にいた男がロボットから疑似エメラルドを受け取った。
「あいつは!」
 レッシにはその男が誰だかすぐにわかった。
 なにか企んでいると疑っていたからだ。
 男は今回の殲滅作戦の依頼者、ヒドゥン・ベースであった。
「気付いてしまったのか」
 レッシの声が聞こえて、ヒドゥンはレッシの方を見た。
「君たちが彼らを刺激してくれたおかげで、新しい研究データを得ることができた。ありがとう。この疑似エメラルドは元々私の物だから、回収させてもらう」
「逃げよう」
 小声でリリカがレッシに言った。
 そうするつもりだった。
 ヒドゥンとお喋りなどしていたら、口封じに殺されかねない。
「そして君たちにはもう一つの研究データを提供してもらう」
 ヒドゥンは疑似エメラルドをロボットにセットした。
 ロボットは強く輝いた。
 その輝きに照らされ、光る液体が凍った。
 レッシたちの体も動かなくなり、意識を失って倒れた。
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第2章 1話 この時代に生まれたソニック
 スマッシュ  - 17/1/8(日) 11:39 -
  
 ヒドゥンは疑似エメラルドが白煙となって消えていくのを見ていた。
 バードのリーダーがカオシング現象を起こした時に、ヒドゥンの想定以上に消耗した様子だった。
 ヒドゥンのロボットが起こしたカオシング現象は不完全なものだった。
「後始末をしておいた方がよさそうだな」
 気になるのは、遠くにいたチャオの飼い主たちだ。
 それにチャオも数匹、ロボットから離れていたために、まだ生きているかもしれない。
 巨大な手を足代わりに、倒れている飼い主たちに近付こうと一歩前に出た。
 ロボットの手で殺すつもりだ。
 ヒドゥンは疑似エメラルドをもう一つ所持していたが、そちらも既に一回カオシング現象を起こしていて、ここでもう一度カオシング現象を起こして失いたくはなかった。
 そのタイミングで、何者かの攻撃を受けた。
 重い弾丸を一発撃ち込まれたような衝撃で、機体がよろめいた。
 さらにもう一発、機体の腹に攻撃を受ける。
 ヒドゥンはロボットの腹部に、若い男が蹴りを入れたところを見た。
 人間の力とは思えない威力であった。
 攻撃から逃れるために、ロボットは飛ぶ。
 しかし男はロボットの頭部に飛び乗った。
「お前、一体!?」
「俺はこの時代に生まれたソニック・ザ・ヘッジホッグ、ドクター・ニック。ドニックと呼んでくれ」
 男は言い終えると、かかと落としをした。
「ドクター・ニック……ニック・ガジェットか、貴様!」
「だからドニックって呼べっての」
 さらにもう一人が、上空から急降下してロボットの頭部を壊した。
 それは、水色がかった白い髪の女だった。
 髪の先だけが金髪で、目つきが悪い。
「ジンカ・チェイス、華麗に見参ってカンジ?」
「さあ、疑似エメラルドをもらうぜ」
 ニックがそう言うと、ジンカがコクピットに入り込もうとした。
「そうはさせるか!」
 ヒドゥンはなにか機械を操作すると、疑似エメラルドが光る。
「カオスコントロール!」
 ジンカは阻止するために、光った疑似エメラルドに手を伸ばす。
 そして機械からもぎ取った。
 直後、ヒドゥンはロボットごと消えた。
 しかし疑似エメラルドはジンカの手に残っていた。
 ニックはそれを受け取る。
「だいぶ小さくなってしまったが、まあいいだろう。生き残りがいないか、探してくれ」
 ジンカはうなずき、空を飛んだ。

 レッシは目を覚ました。
 心地よい夢を見ていたような気がした。
「やっと起きた」
 女の声がした。
 明るいところで眠っていたようだ。
 まぶしくて、よく見えない。
 目が慣れてくると、ここがチャオガーデンであることと、すぐ近くに変わった髪の色の女がいることがわかった。
「なんで俺はチャオガーデンに寝ているんだ?」
「ここ、廃墟っていうか、使われてないっぽいんだよね。だから勝手にお邪魔してる」
「君は?」
「私は美しく強い刃、ジンカ・チェイス」
「そうか……。俺は静かなる溶岩、レッシ・ラッシュだ」
 適当に言ったがジンカは、
「へえ。静かなる溶岩。いいね」
 と感心した様子だった。
「ところで俺の相棒がどこにいるか知らないか? ダークハシリチャオで、ラジカルって名前だ」
 するとジンカはレッシを指した。
「は?」
「ラジカルは君の中に」
「ああ、うん。そうだな。それで本当はどこなんだ?」
 レッシは周囲を見るが、ラジカルは見当たらない。
 このチャオガーデンにはチャオ自体がいなかった。
「君の中に」
 もう一度ジンカは言った。
「そうか、死んだのか」
 カオシング現象のせいで。
 こういう別れは覚悟していた。
 だからすぐに死を認めることができた。
「そうじゃなくて」
「は?」
「私たちが来た時、ラジカルは生きていた。だけど助かりそうになかった。だから博士が君にラジカルを移植した。だからラジカルは君の中にいる」
「待った待った。移植ってなんだよ」
「とにかく君とラジカルは一体になったんだよ」
 そう言われても、自分とラジカルの身に起きたのか理解できない。
 ジンカもそれ以上の説明ができず、もどかしそうにする。
 そこへ、チャオガーデンの岩場にある洞窟から男が出てきた。
「私が説明しよう!」
 男はレッシたちからかなり離れた所にいたが、ひとっ飛びするだけで近くに着地した。
 また変な人間が出てきた、とレッシは思った。
「私はドクター・ニック。私のことは、かのソニックのようにドニックと呼んでくれ」
「それで、俺の身になにが起きたって言うんですか、ドクター」
「……」
 ニックは喋らない。
「……なにが起きたって言うんですか、ドニック」
「うむ。教えてあげちゃおう!」
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第2章 2話 Cヒューマン
 スマッシュ  - 17/1/14(土) 0:36 -
  
「私はかなり凄い科学者で、疑似エメラルドを開発したのも私だ」
 ニックはそう真面目な顔をして言った。
「それって、あなた、ニック・ガジェットですか」
「ああ、そうだ」
「うわぁ……。マジかぁ」
 レッシは困惑した。
 顔にも露骨にそれが出る。
 無理もないことだった。
 疑似エメラルドの開発者、ニック・ガジェット。
 チャオの変化など、カオシング現象が引き起こした異変は、彼が引き起こしたようなものだという者も少なからずいる。
 そこまででなくとも、多くの人にとって疑似エメラルドは負の発明であった。
「そして私は、疑似エメラルドによる力で、新しい人類を生み出すことに成功した。名付けてCヒューマンだ」
「Cヒューマン?」
「そう。CはチャオのC。つまりチャオの力を得た人間ということだ。もちろんこのチャオというのは、カオシング現象によって変異した後のチャオを指す」
「つまり俺は改造人間チャオおとこになったというわけなのか」
 そういうことだ、とニックはうなずいた。
「じゃあチャオおんな」
 けらけらと面白がって、ジンカは自分を指した。
「そして私も自分をCヒューマンにしている。さっきの素晴らしくそして速いジャンプを見ただろう。人間がチャオの力を得るとは、こういうことなのさ。と言っても、私は特別上出来に作り上げたからね、君たちとは格が違うのだけれど」
「嫌なやつだな、あいつ」
 レッシはジンカに耳打ちした。
「私もそう思う。天才で、ナルシストなんだ」
「聞こえている」
 ニックは意に介していない顔で言った。
「とにかく君はチャオの力を得た。君のチャオはその素材にさせてもらった。人間がチャオの力を得れば、小さなチャオに頼って戦う必要がなくなる」
「そうですか」
 これからは一人で戦って稼いでいくのか。
 それか、新しい相棒を探して今度は一緒に戦ってやろうか。
 それなら死なせてしまうことももう。
 そんなふうにレッシは考えた。
「さて君にはやってもらわなくちゃいけないことがある」
「はい?」
「疑似エメラルド、それもなるべく損耗していない完全に近い物、それを君には集めてもらう。僕の研究には、完全な疑似エメラルドが必要なんだ」
 そのためにCヒューマンにしたのだとニックは言う。
 拒否権はないようだった。
 強引だったが、まあいいやとレッシは思った。
「金はもらえるのか?」
「ああ。僕の指示に従って探索をしてくれれば、成否を問わず報酬を出そう。飢え死になんて馬鹿らしいことをされたら困るからね」
「それならいいが、そもそもなんで開発者のあんたが疑似エメラルドを探すんだ。必要なら作ればいいだろう」
「残念ながら作れないんだ。記憶がない」
「記憶が?」
「そう。疑似エメラルドをどのように完成させたのか、その記憶もデータも失われてしまった。カオシング現象の影響かもな。だから疑似エメラルドを手に入れて研究しなければ、疑似エメラルドを増やすことができないのだ」
 そう語るニックに、残念などと思っているような雰囲気はなかった。
 さっぱりと現実を受け入れているようだった。
「疑似エメラルドの力をもっと強くして、カオスエメラルドを超える究極のエネルギー源とするために、疑似エメラルドが必要なのだ。わかったかい?」
「パワーアップする前にカオシング現象が起きないようにしろよ」
 レッシがそう言うと、ニックは鼻で笑った。
「それは制御もできないのに、エメラルドの力を引き出そうとするのが悪い。使用する側の問題だ」
「そうは言っても、ちょっとしたきっかけで簡単に発生するから、実質暴走だよね、あれ」
 ジンカが冷ややかな目をして言った。
 ニックはコメントをしなかった。
 そして数秒の後に、
「レッシ君、君はまだCヒューマンの力をよくわかっていない。だから君の指導役としてこのジンカ・チェイスを同行させる。私はソニックのように速く走れることを最大限活かすために単独行動をさせてもらう。それではさらばだ」
 と言って走り去った。
「逃げた!」
 ジンカは絶叫した。
 レッシは可哀想にと思いながらも、
「よろしく」
 と追い打ちするように言った。
 ジンカはレッシを睨んだ。
 睨みながらも、
「まず君は君の力がどのくらいあるか、知る必要がある」
 と言った。
「ちょっとガーデンの中を走ってみてもいいかな」
「どうぞ」
 レッシはガーデンを一週する。
 わかっていたことではあるが、ニックに比べればずっと遅い。
 しかし人間の時と比べても圧倒的に速い。
「速く走れるっていうのは気持ちがいいな」
「ラジカルの能力が反映されているから、ラジカルが得意だったことは得意だし、苦手だったことは苦手だよ」
「そうか。それじゃあ走るのが速くなっているわけだな」
 ジンカは怪訝な顔をした。
 そんな顔で見られて、レッシは首を傾げた。
「どうした?」
「ラジカルは別に走るの得意じゃなかったはずだけど」
「そんなことはない。と言うか、お前ラジカルのことがわかるのか?」
「アビリティは見せてもらったよ。ランはあんま高くなかった。一番はパワーで、二番がスタミナ、三番がスイムだったかな」
「嘘だろ!?」
 レッシは飛び上がりそうなくらい驚いた。
「マジで。そもそもなんで走るのが得意だと思ったのさ」
「なんか走ってたから」
 なんだそりゃ、とジンカは呆れる。
 ラジカルはレッシが無計画に小動物やカオスドライブをやっているうちに走るようになって、それでレッシは勘違いをしたのだった。
「じゃあ俺は間違った育て方をしていたのか」
「まあ、過去のことは仕方ないとしてさ、とにかくあんたは駆け回るよりもぶん殴る方が向いてるってこと。これをキャプチャしな」
 ジンカはレッシに小動物を投げよこした。
 それはゴリラだった。
「やだ。かっこわるい」
 こんなんだからラジカルもハシリタイプになったのだった。
 ジンカもそう予想がついて、ため息をついた。
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第2章 3話 小動物
 スマッシュ  - 17/1/22(日) 0:36 -
  
「かっこわるいとか言ってないで、とっととキャプチャしなさい」
 レッシが小動物のゴリラを避けるので、ジンカはゴリラを抱いて押し付けようとする。
「お断りだ」
 レッシは好みではないゴリラを絶対にキャプチャしないつもりだ。
 ゴリラは、ラジカルにもキャプチャさせていなかった。
「アビリティなんて関係ないだろ。ラジカルはスピードで敵を翻弄した!」
 ラジカルにキャプチャさせていたチーターを思い浮かべ、脚に力を込める。
 本能だろうか、レッシの脳や体は既にCヒューマンの能力の使い方を覚えていた。
 そしてレッシは走り出した。
 すぐにジンカに追いつかれた。
「なんでだっ!」
「今あんた、チーターかなにかの能力を使おうとしただろ」
 ジンカはレッシを羽交い締めにして言った。
「ああ、そうだ」
「目覚めたばかりでそれができるのは、けっこうすごい。褒めてあげる。でもね、あんたはまだチーターの力を使うことはできないよ」
「はあ?」
「それをキャプチャしたのはラジカルであって、君ではない。君はまだ小動物をキャプチャしていない」
「でもラジカルは俺と一つになったんだろ?」
 ジンカはレッシを解放し、背中に跳び蹴りをくらわせた。
「屁理屈言っても無理なものは無理なの」
「くそ、わかったよ。理解した」
「わかったなら、ゴリラをキャプチャする」
 ジンカは、レッシを追う時に置き去りにしたゴリラを指した。
 しかしレッシは鼻で笑った。
「そのゴリラはキャプチャしない。俺は自分の金で小動物を買って、それをキャプチャする」
 ジンカはまた跳び蹴りをくらわせようとした。
 しかし今度は避けられる。
「あのね、ふざけないでほしいんですけど」
「それはこっちのセリフだ。俺がラジカルにさせた戦い方は間違ってなんかいなかった。それを俺がこの身で証明してやる」
 ラジカルは走るのが得意で、あれ以上の戦い方はなかった。
 そうレッシは思いたかった。
 ジンカはため息をついた。
「勝手にすれば」
「そうさせてもらう」
 ガーデンを出る。
 レッシたちが依頼を受けて来た町だった。
 ホテルに戻れれば小動物を売っている店の場所を教えてもらえると考え、現在地を調べようと辺りを見回す。
「こっち」
 ジンカがそう言って、レッシの先を歩いた。
「お前?」
「小動物買うんでしょ」
「ああ。お前、ここの町の人間だったのか」
「違うよ。あんたにキャプチャさせるゴリラはどこで手に入れたんだって話だよ」
「あ、なるほど」
 ゴリラ代は払ってもらう、とジンカは言った。
 そのゴリラを彼女は抱いていた。
 まだキャプチャさせるつもりのようだった。
 ジンカが案内したのはチャオを専門に扱っているペットショップだった。
 小動物を探すと、チャオガーデンが使われていない町であるのに、種類も数も豊富だった。
 目当てのチーターもいた。
「これください」
 すぐ店員にそう言って、代金を支払う。
「この町はチャオが少ないけど、小動物は売れるんですか?」
「ええ。お客さんみたいに、町の外から来た人が買っていくんです」
 この町の近くにはチャオと小動物が多く生息する、チャオの森と俗に言われるスポットがあり、そこから小動物を捕まえることができる。
 そのため品揃えには自信があるのだと店員は言った。
「お二方は、チャオを連れていないようですけれど、どうされたんです?」
「別行動中」
 さらりとジンカは答えた。
 なるほどチャオを連れていないことにはそう答えるのか、とレッシは感心した。
「私たちのチャオは優秀なんで」
「へえ。長いことやられているので?」
「まあね。カオシング現象を止めたことも一度や二度じゃない」
「それはすごい」
 すると店員は声をひそめて、
「でしたらお二人に依頼したいことがあるのですが」
 と言った。
「なに?」
「最近、チャオの森のチャオたちが凶暴になってきていて、小動物の入荷が難しくなるかもしれないんです。なんとか大人しくさせることってできませんかね?」
 どうする、とレッシは目でジンカに尋ねた。
 ジンカは店員に微笑んだ。
「わかりました。チャオの森に行ってみましょう」
「ああ、ありがとうございます!」
 店員は深く頭を下げた。
 店から出るとジンカはレッシに、
「練習相手は決まった。ただのチャオだからって気は抜かないでよね」
 とささやいた。
「わかっている」
 そう答えながらも、ラジカルが今まで倒してきた相手だと考えるレッシには緊張感がない。
「そんなので戦う以上、死なないように気を付けてよ」
「死なないよ」
「危なくなったらゴリラをキャプチャ。わかった?」
「ああ。危なくなったらゴリラをキャプチャな」
 その後ゴリラをキャプチャすることになるとは、レッシは全く思っていなかった。
 ジンカはそうなる気がしていた。
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