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【勇者】「ついに辿り着いた…魔王の部屋！」
【女剣士】「ここまで長かったわね…人間と魔族が戦争を始めてから100年、やっとケリをつけられる…！」
【魔導士】「でもさー、そのうち99年と６ヶ月はグダグダと小競り合いばっかやってた訳だよねー。俺達が立ち上がってからじゃん、魔族側に攻め込めるようになったの」
【修道女】「まぁ、向こうも人間側を攻め切れなかった訳ですし、その辺はお互い様ということで…」
【勇者】「みんな、状況説明ありがとう！」
【女剣士】「いや状況説明した訳じゃないんだけども」
【勇者】「とにかく、その戦いもこれで最後だ！みんな、準備はいいか！？」
【３人】「ええ！」「ああ！」「はい！」
【勇者】「それじゃ、いくぞ…！」
ギイイィィィィ…
【勇者】「魔王、覚悟しろっ！………って、あれ？」
【女剣士】「玉座に魔王がいない！？」
【魔導士】「いや、よく見ろ！玉座に何かいるぞ！」
【修道女】「あ、あれは…」
【４人】「チャオ！？」
【チャオ】「チャ〜オ〜♪」
【メイド】「よくぞここまで辿り着いた、勇者達よ…と、魔王陛下が申しております」
【勇者】「…あのー、すいません、状況が飲み込めないんですが…」
【メイド】「いやですから、魔王陛下がよくぞここまで辿り着いたと」
【女剣士】「ひょっとして…あのチャオが…魔王？」
【メイド】「左様。私めは魔王陛下にお仕えしているメイドでございます」
【魔導士】「いやいやいや！魔王がチャオだなんて聞いてねーぞ！魔王ってのはもっとデカくて怖くて残虐で、それでいてちょっぴり優しくてたまにこっちから優しくすると照れちゃったりして告白なんかしたら『な、なな何言ってるのよ！』って顔を真っ赤にして」
【勇者】「…このバカはほっとくにしても、どういうことだよ、メイドさん？影武者にしては安直すぎねぇか？」
【メイド】「どうもこうも、魔王がチャオじゃなきゃいけないなんて決まり、ありませんよね？」
【修道女】「それは、そうですけど…」
【メイド】「てっきり人間界にも多少は知れ渡ってるものとばかり思ってましたが…」
【女剣士】「いやー、あたし達４人でずっと旅してきたからそういうのには疎くて…」
【メイド】「敵にアドバイスをするのもどうかと思いますが…今は情報化の時代ですよ？情報を制するものが戦いを制すると言っても過言ではないかと存じます」（と、おもむろにスマホを出す）
【勇者】「スマホあんの！？ってか電波通じるのここ！？」
【メイド】「もちろん魔王城もLTE対応ですよ？ちなみに最近魔族の間でもパズドラが流行してまして、私もほら…」
【魔導士】「どちらかというと君たち狩られる側だよね！？」
【修道女】「そういえば、魔王城に入ってからここに来るまでも魔族の将軍や幹部が襲ってくること、ほとんどありましたね…それもやはりパズドラに熱中しすぎたとか？」
【メイド】「いえ、将軍や幹部たちの間では艦これが最近の流行りでして、恐らくそのせいかと」
【魔導士】「将軍や幹部ってわざわざ提督にならなくても指揮官だよね！？」
【メイド】「昨晩も幹部のうち数人がどの艦娘が好みかで言い争いを始めて最後には取っ組み合いに…」
【勇者】「それでいいのかよ魔界！いやダメだから俺らが攻め込んだんだけども！」
【メイド】「ちなみに私の一推しは」
【女剣士】「聞いてないから！！」
【メイド】「…とにかく、魔王が魔王たる証拠を見せろ、というのであれば…陛下、お願いします」
【魔王チャオ】「チャオ〜！」（右手を上げる）
（ちゅどーん！）
【４人】「………」（呆然）
【修道女】「壁に大穴が…」
【魔導士】「こんな魔法、俺でも無理だぞ！？」
【勇者】「…というか自分の城ブッ壊していいの？」
【魔王チャオ】「チャ、チャオ〜」
【メイド】「ヤバいと思ったが魔力を抑えきれなかった、と申しております」
【女剣士】「なんかいたわねそういうコト言って捕まった人…」
【メイド】「とにかく、これで信じて頂けましたか？」
【勇者】「一応信じたけど…100年も人間と争ってきた宿敵の親玉がチャオだとはなぁ…」
【魔導士】「まったくだよ！だいたい最近は魔王が幼女だったとかいきなり経済を語り出したとか笹塚でバイトしだしたとかそんなんばっかりじゃないか！」
【勇者】「…とにかく！例え魔王がどんな姿をしていようが、人間を滅ぼそうとしたことに変わりはない！いくぞみんな！」
【３人】「ああ！」
（バトルシーンめんどくさいので略）
【勇者】「そこだぁっ！」
【魔王チャオ】「チャオ！？」
【メイド】「しまった！？…と仰せです！」
【勇者】「そういうのまで翻訳しなくていいから！」
【魔導士】「とにかく、女剣士！今だっ！」
【女剣士】「はあああぁぁぁっ！！」
【修道女】「…あ、あれ？」
【勇者】「女剣士の動きが止まった…？」
【魔導士】「どうしたんだ！？」
【女剣士】「…ごめん、やっぱあたしにはチャオを斬るなんて無理ーっ！！」
【魔導士】「じゃあいつ斬るの？」
【勇者】（例のドヤ顔で）「今でしょ！！」
（ちゅどーん！）
【修道女】「勇者さん！？」
【勇者】「くっ…完璧なタイミングでのツッコミ…さすが…魔王だ…」（がくっ）
【魔導士】「いや魔王にツッコミのセンスは求められてないからね！？」
【メイド】「…え？魔王陛下は魔力・教養は勿論ですが、ツッコミのセンスも兼ね備えるのが魔界の常識ですよ？」
【魔導士】「あるんかい！！」
【魔王チャオ】「チャ〜オ〜」
【メイド】「！？ し、しかしっ！」
【魔王チャオ】「チャオー、チャオチャオ！」
【メイド】「ですが、陛下っ！」
（数分経過）
【魔王チャオ】「チャオ〜！」
【メイド】「それでは陛下が！」
【魔導士】「…明らかに俺達そっちのけだよね、これ」
【修道女】「一体何を話しているんでしょう…？」
【勇者】「よし、俺が聞いてくる！」
【勇者】「…あの〜、申し訳ないんだけど、一体何を話してるのか…」
【メイド】「逆にお聞きしますが、人間界には敵に会話内容を教えてあげる親切な馬鹿がいらっしゃるのですか？」
【勇者】「あーそうですよね、すいません…」
【魔導士】「…で、何か聞き出せた？」
【勇者】「も、もちろん！
………いや、今回の調査で、我々は、いや、今回も！何の成果も！得られませんでしたぁっ！！」
【女剣士】「そういうのいいから！巨人が壁を越えてくる世界じゃないからここ！」
（さらに数分経過）
【メイド】「…勇者ご一行様、お話がございます」
【勇者】「な、なんだ？改まって」
【メイド】「私としてはとても不本意なのですが、魔王陛下が『めんどくさいし降伏するチャオ〜』と仰せです」
【女剣士】「そんな理由で降伏！？」
【魔導士】「まぁ、メイドさんはすごく優秀みたいだけど、他の部下が別の意味で壊滅状態だしな…俺達何にもしてないし」
【メイド】「ゆ、優秀だなんて、そんな…///」
【勇者】「え、そこでロマンス始まっちゃうの！？」
【メイド】「…と、とにかく、細かい条件等は今後人間界の担当者と詰めさせて頂きますが、とりあえず魔族に対し一切の抵抗をやめるように通達します」
【勇者】「分かった。こちらも魔族に対しての攻撃はしないように呼びかける」
【メイド】「お心遣い感謝します。そこで１つ提案なのですが…」
【４人】「？」
【メイド】「歴史的な停戦を記念して、今夜はここで食事などは如何でしょう？最高級の料理をご用意させていただきます」
【修道女】「おおー！」
【メイド】（例のジェスチャーで）「いわゆる『ば・い・が・え・し』というやつです」
【勇者】「もてなす気が微塵も感じられねぇー！」
【女剣士】「どうせ降伏ってのも嘘で料理に毒でも仕込むつもりだったんでしょう！その手には乗らないわよ！」
【メイド】「…さすがですね。しかしこの手も見破られた以上、今度こそ本当に降伏するしかなさそうです」
【魔導士】「いや見破られたっていうか自分でぶっちゃけてたしね！？…あれ、そういえば魔王のチャオは？」
【メイド】「魔王陛下であれば、今ちょうどあちらの車に…ほら、ブレーキランプを５回点滅させて『お・も・て・な・し』のサインですよ」
【勇者】「いきなり90年代のネタ持ってくるんじゃねー！！」
【メイド】「…まぁ、あんまり疑われても不本意ですし、魔王城を明け渡しましょう」
【修道女】「あなたたちはこれからどうするつもりですか？」
【魔王チャオ】「チャ〜オ〜」
【メイド】「もう魔王とかそういうの関係なく、田舎でのんびり暮らしたい、と仰せです」
【勇者】「田舎暮らし、一度は憧れるよなぁ」
【魔導士】「そういえばそんなアニメも最近流行ったよな、確か…」
【魔王チャオ】「にゃんぱす〜」
【ALL】「！！？？」
…おしまい。
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適当に今年流行ったネタを突っ込んでみました。
数年経ってから読み返したら死にたくなりそうな気がします。
それでは皆さんよいお年を。
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