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Love and Chao スマッシュ 13/12/23(月) 0:00

Love and Chao
 スマッシュ  - 13/12/23(月) 0:00 -
  
 恋愛は、鍵を閉めていても勝手に上がり込んでくるから、好きになる相手を決めることができない。普通の男の人を好きになりたいと念じているのに、いつも私は女の子のことを好きになる。
 初恋は中学生の時だった。小学校の頃からの友達の大野志保という子がいた。明るくて、男子でも平気で殴るような元気な子だった。私にはそこまでの度胸はなかったが、彼女と一緒に悪さをするのは大好きで、一番の友達と思っていた。しかし中学生になり胸が膨らむなどしてどんどん彼女が女の体になっていくにつれて、私は彼女の体を触りたいと思うようになったのである。それはたぶん彼女の発育がよくて、自分より大人っぽいからだと思っていた。
 志保ちゃんは中学二年生の頃にクラスの男の子と付き合うことになった。志保に彼氏が出来ることは、私にはとても自然なことに思えた。彼氏のいない志保なんて信じられないと思うくらいであった。それはクラスの女子の中で、志保が一番キスしてみたくなる子だったからだ。顔はいいし、彼女を見ていると、抱き締めて胸の形を感じてみたくなるのだ。抱き締めて、そしてキスをするのである。そうやって志保のことをどこまでも味わってみたいという欲求が私にはあって、男子はそれをもっと感じているのだろうと考えていたのである。そして私は志保のことを抱き締めてキスをするのが、自分ではなく他の男だということに、焦りに近い嫉妬を感じた。いつも一緒に遊んでいた志保の全てを失ったように感じられて、私は志保の彼氏がするようなことを志保にしたいのだということに気が付いた。
 私は、自分も誰か男の人のことを好きになるものだと思っていた。男と女が付き合うというのが自然なことで、女同士ということなど考えたこともなかった。そのような考えたこともない恋愛に私は唐突に突き落とされたのだった。
 落ちた衝撃で、私は友情を壊してしまった。自分が女の子を好きになる女だとわかると、自分の恋心が怖くなった。そして恋心に翻弄されずに友情をそのままの形にしておく器用な方法を私は知らず、彼女への興味を失ったような態度を取ることしかできなかったのであった。すると志保の方が私への興味を本当に失ってしまって、話すこともほとんどなくなった。
 高校生になって、志保とは別の学校に通うことになると、ようやく私は解放されて、今度こそ男の人のことをちゃんと好きになろうと決意するのであったが、また女の子のことを好きになってしまった。男のことは、どうしても恋愛の目で見ることができないのであった。高校生にもなるといよいよ諦めるのが上手くなって、私が男のことを好きになれないのであればならせめて同性愛者同士で好きになればいい、ということを考えたのではあるが、結局私が好きになるのは身近にいる、彼氏を求めている女子であった。

 駅前の広場の、木を囲っているドーナツ型のベンチに腰かけ、スマートフォンで時間を確認しながら七恵さんを待つ。七恵さんは私の五つ上で、色々と相談に乗ってくれる。今日も相談したいことがあって呼び出した。ネットにアップされているチャオの動画を見て時間を潰す。自分もチャオに芸を覚えさせてみようかとか何か玩具を買ってあげた方がいいだろうかとか考える。コートを羽織っているけれど、下は短めのスカートとタイツだから寒い。
「千尋ちゃん、お待たせ」
 声をかけられて、顔を上げる。スーツの上に白いコートを着ている七恵さんがいた。仕事帰りなのだ。
「あ、どうも。すみません、急に相談したいなんて言って」
「いいのいいの。今日は桃子、残業あるみたいだし」
「はあ」
 桃子というのは、七恵さんのパートナーである。同い年だと聞いたが、桃子さんの方が子供っぽく見える。でも二人はちょっと似ていて、はしゃいでいる時の目元なんかに幼稚なところがある人たちである。
 私たちは鍋料理の店に行く。私が高校生だった頃は喫茶店だったのだが、大学生になってからはお酒を飲みながら食べるようになった。二人でビールを飲む。
「それで、何かあったの」
「はあ、まあ。相談っていうより、ただ聞いてもらいたいって感じなのかもしんないですけど」
「うん。とにかく話してみ」
 七恵さんは鍋からキャベツやネギを取っていく。私も野菜や鶏肉を、とりあえず自分の器に移してから話す。
「好きな人が出来たんです。えっと、大学の友達なんですけど。でもその子が」
「ノンケ?」
 七恵さんはキャベツに息を吹きかけ、そして口に入れる。
「はい。その子、彼氏いるんで」
「また?」
「またです」
「またかあ」と言って七恵さんは笑った。私も笑う。
「なんでいつもそうなんでしょうね」
「女運悪いんだな、きっと。そういう子いたよ、大学の時の友達に。好きになる男、どいつもこいつも彼女持ちなの」
「ですかねえ」
「うん、そうだよ」
 二人で息を吹きかけつつ肉を食べる。七恵さんは「熱い」と言って、口をはふはふと開閉させながら食べている。私は念入りに息を吹きかけるので、口の中に入れてから慌てるようなことはない。飲み込んだ肉の温かさが口の中に充満していて、ほう、とそれを吐き出す。
「いっそさ、女の子同士の方がいいって気付かせてあげちゃえば?」と七恵さんは言った。「女同士の方が楽しくて気持ちいいってわかれば、彼氏なんて捨ててくれるよ」
「無理ですよそんなの」
「桃子はそういうことやってたらしいよ」
「そんな、嘘でしょ、それ」
「どうだろうね。でも普段からボディタッチしてそういう人だって印象与えておいて、お泊り会とか開いてそこでやっちゃうんだって。高校とか大学でそういうことしてたって言ってたよ」
「それでその子は桃子さんにメロメロ?」
「うん」
「そんな上手くいくわけないでしょう」
「そうかなあ」
 私はそんな幼い妄想のようなことあるわけないと思うのだが、七恵さんは信じているようである。それはもしかしたら今の話を信じられるだけのことを桃子さんが七恵さんの前ではしているということなのかもしれない。想像の届かない暗所が羨ましい。
「じゃあ桃子さんだったら、その子変えられますかね」
「やってみる?」
「やりませんよ」
「そんでさ」
 七恵さんはビールを勢いよく飲んだ。ジョッキの中身が半分ほどになる。
「その子とは、どうしたいと思ってるの」
 私もビールを飲む。私は少しずつゆっくり飲む。お酒でなくても、棒倒しの砂のように少しずつ飲んでいくのだ。
「そりゃ、付き合いたいって思ってますよ。好きなんですから」
「ま、そうだよねえ。諦められないか」
「はい」
「ううん、だったら桃子みたいにがっつりいかないと。友達のままで満足なんて甘っちょろいこと言っちゃ駄目だからね」
「そうなんでしょうけど、でも怖くないですか。ビアンってわかったら引かれそうで」
「引かれるかもしれないけどさあ、そんなの男と女が告白する時だって同じだって。振られる時は男でも振られるの。だから数撃ちゃ当たるって」
「はあ」
 心からそういう風に考えられれば気楽だろうなと思う。でも私は怯えている。好きな人は勿論、友達にも、自分がレズビアンであると告白したことはないのである。私のことを知っているのは、皆レズビアンだ。私は臆病者なのだった。

「ただいま」
 アパートに帰ってそう言うと、ケイが「チャチャチャオ」と言ってくる。おかえりと言っているつもりらしい。ケイはニュートラルオヨギチャオで、ピュアチャオだ。
「うん、ただいま」
 撫でてやるとケイはすぐ喜んで、頭の上の球体をハートの形に変える。
「ご飯食べた?」
 そう言いながら、私はテーブルの傍に置いておいた木の実を確認する。チャオがよく食べる大きな木の実だ。ケイのお腹ぐらいの大きさがある。今朝二個置いたのが一個になっていた。流石に二個も食べないようだ。それでも、お腹が減ったまま過ごすのは辛いだろうから、二個置いておくのであった。
「お風呂入ろっか」
 そう言うと、ケイは「チャオ」と大きな声を出して喜ぶ。どうやらお風呂という言葉に反応しているらしい。
 私がチャオを飼うことにしたのは、チャオには性別がないからであった。チャオは好きになったチャオと繁殖して卵を産む。誰を好きになっても子孫を残すことができる。面白味もない願望ではあるが、生まれ変わったらチャオになりたいと思うことがよくある。だから私はチャオに対してとても優しくなるのだった。
 飼ってみると、チャオはとても利口で、食べ物の木の実を置いておけばお腹が空いた時に食べてくれたりして手間がかからない。それでも中にはペットのために手間をかけるのが好きな人もいて、チャオが快適に過ごせる環境を作ろうと、家の中にチャオガーデンを作ってしまう人もいるのだという。私にはそこまでできない。ケイのためにしているのは、観葉植物を育てることと、風呂に一緒に入ることくらいだ。
 チャオを遊ばせるのであれば、プールの方がいいらしい。ケイを飼うようになってから、お風呂の温度が少し下がった。風呂場には大きめのたらいと小さめのたらいがある。大きい方がケイ用のたらいで、水を張ってケイを入れる。丁度顔が出るくらいの深さだ。そこで遊ばせているうちに体を洗う。ケイは体を揺すり、波を立てて遊んでいる。体を洗い終えたら、ケイを抱っこして、湯船に浸かる。ケイは仰向けの状態で浮かんだ。ケイは歌い出す。間延びした声を出すだけの、歌のようなものだ。
「楽しそうだね」と言うと「チャオ」と答える。
 それでもケイにはもっとたくさんの楽しいことや幸せがあるのではないか。ケイはこの部屋から出たことがない。せっかく性別がないチャオに生まれたというのに、満足に恋もできない生活というのはおかしいのではないかと思うのである。束縛しすぎなのだろうか。日中、ケイを外で勝手にうろつかせてみたい。そうして私の知らないところで、野良チャオなどに恋をして子供を作るのである。私の知らない幸せを手に入れてほしい。そうすればきっと私にも幸せなことがあるだろうから。

 理沙は、ちょっとしたことでもはしゃぐ、勢いのある子だ。すぐテンションが上がって、おどけて、周りも自分と同じように盛り上げようとする。楽しいことをしたい気分の時に彼女といると何も考えていない馬鹿みたいにはしゃぐことができて気持ちがいい。そういう気分でない時は、爆風に襲われたくなくて、彼女の視界に入りたくないと思う。
 私は理沙のことが好きだ。はしゃぎながら町中でキスしたり、家の中で真剣な顔してキスしたり、といった幻想を見ている。でも理沙には男がいる。
 理沙とは講義で一緒になる。話しかけてこないでほしい、と願う。彼女の爆風に私は打ちのめされてしまう。私は爆発物を静かに抱き締める方法を求めている。でも理沙は勝手に弾けてしまう。
「ねえ、千尋」
 講義が終わって、すぐに教室から出ようと思ったのだが、呼び止められてしまった。
「ん、何?」
「今日さ、チャオのお店、一緒に行かない?」
 理沙のぴんと立ったまつ毛が私を見ている。理沙もチャオを飼っている。理沙はチャオの話がしたい時、私を捕まえる。理沙は最近、自分のチャオを何か特別なチャオにしたいと思っているようだった。ネットの動画を見せてきては「私のチャオもこういう風にできたらなあ」と言ってきた。
「いいよ。行こう」
「やった。まだ講義ある?」
「ないよ」
「じゃあ、もう行こうよ。私色々見てみたいんだ」
 理沙はスキップして教室を出る。早く、と理沙は言う。今から行くことに決まってしまったらしい。私は彼女の勢いに引っ張られて、駆け足になる。
「ちょっと待ってよ」
「早く、早く」
 理沙も走り出す。そのまま階段を下りていく。
「走ることないでしょ、ちょっと」
 どんどん理沙が見えなくなる。私の駆け下り方はぎこちなくて、普通に下りるのと大して変わらない。ようやく一階まで下りると、理沙が待っていて、
「行こう」と言って笑顔を見せてくる。
「うん」
 私は嬉しさでいっぱいになる。こんな人を私は好きになる。そして理沙の隣に並ぶ。もう嬉しくなくなる。手を繋ぐことができない。友達同士で手を繋ぐ人はいる。でも私の指先には血液と一緒に流れてきた欲望が溜まっているようで、こんな手で握ってはいけないと思うのである。桃子さんはどうやって自分を誤魔化すのだろう。私は相思相愛であることを祈るばかりで何もしない。

 チャオの店に行けば、チャオを飼うのに必要な物が大抵揃う。ツヤツヤのチャオの卵や金色のチャオの卵などが売っているが、とても買えるような値段じゃない。色付きの卵でさえ、普通の卵の何倍もするのだ。
「何買うの」
 私は理沙にそう問いかける。
「わかんない。見て決める」
 そう言って理沙は玩具のコーナーを見る。ボールがある。チャオ用の楽器がある。マラカスとかカスタネットとか、そういう単純なやつだ。
「見て見て、マラカス」
 理沙は大人が持つには小さいマラカスを振る。マラカスの膨らんだ部分は理沙の手より一回り小さい。しゃこしゃこ、と音がする。理沙は「楽しい」と言って激しく振る。
「でも、マラカス振るチャオじゃあ、普通かなあ」
 マラカスを振りながら理沙は言う。
「理沙はどういうチャオにしたいの?」
「そうだねえ。人の言葉を話すとか。あと、歌うとか」
 理沙は「チャオチャオ」と言って歌い始めた。ちょっと前に流行ったアイドルの歌だった。
「上手いね」
「ありがと。教えてみよっかな。あのね、アイドルデビューとかさせたいんだよね。あ、そうだ。超可愛い服着せたい。服見よう」
 言い終えた瞬間早足になって、理沙は洋服のコーナーに向かう。私はケイを喜ばせるために、片手で掴める大きさのゴムボールを取って、理沙を追いかけた。
「ピコ、連れてくればよかったなあ。ねえ、このスカート、ピコに似合うかな」
 チャオ用の青いスカートを見せて言う。チャオの脚はとても短いから、スカートの丈は短いと凄く短いの二種類である。理沙が取ったのは凄く短い方のスカートであった。まるで人間の履くスカートの裾に付けるレースのような長さである。
「どうだろう」
 ピコちゃんはヒーローノーマルチャオだと聞いた。だからピコちゃんの姿は想像できるのだが、似合うかどうか、想像だけではわからなかった。
「とりあえず、上の方も見てみたらどうかな。ほら、これとか」
 私は、デニムシャツを取った。背中に羽を出すための穴が開いている。天使のようなヒーローチャオにはデニムシャツが似合うのではないかと思ったのだった。
「あ、それいいかも」
「それとヒーローチャオなら、帽子とかもありかもね」
 前方につばが付いている帽子だ。黒くて、つばの近くに星の刺繍がある。
「ああ、でもこれだとアイドルっぽくなくなっちゃうか」
「でも似合うかもね、帽子。夏とか散歩する時いいかも」
「散歩、するの?」
「するよ。ピコはバッグに入ってるだけで歩かないけど。しないの?」
「うん。したことない」
「するといいよ。楽しいから。なんか、そこらへんの物に興味引かれて、めっちゃ反応するの。それがもう可愛くて可愛くて、たまらんって感じだよ」
「へえ」
 やっぱり散歩した方がいいのか、と思った。
 理沙は結局「今度ピコを連れてきて決める」と言って何も買わなかった。私は咄嗟に掴んだ紫色のゴムボールを買った。

 紫色のゴムボールを投げる。ケイは少し跳ねて、それをキャッチする。最初は上手くキャッチできなかったのが、今では途中でバウンドさせなくても取ることができる。そして私の手元に転がして返す。転がすのも上手くなって、ボールが逸れることはほとんどなくなった。
 ケイはボールを気に入ったらしい。私が投げなくても、ケイはボールを転がしてはそれを追いかけて遊んでいる。たまにこうして遊びに付き合ってやるのだ。今日私がケイとボール遊びをしているのは、気を紛らわすためであった。
 今日、理沙がピコちゃんを連れて遊びに来る。しかも泊まるつもりらしい。
 桃子さんは高校生や大学生の時にお泊り会を開いて好きな子と色々していたと七恵さんが言っていた。その話を意識して、私は理沙の体を想う。腕に触れる、キスをする、抱き付く。どのように女同士でエッチするのだろう。七恵さんたちはどうなのか、恥ずかしがらずに聞けばよかった。
「あほだ、私」
 私が投げたボールはぴったりケイの手元に落ちる。キスさえできるはずがない。それでも諦めることができないのか、理沙への好意が私自身を抱き締めていた。

「お邪魔しまあす」
 理沙は筒型のバッグを抱えていた。その先頭でピコちゃんが顔を出している。ピコは帽子を被っていたが、私が取った物とは別の白い帽子で、リボンを付けていた。
「この子がケイ君?」
 ケイに近寄り、傍にバッグを下す。そしてピコを抱き上げる。ピコはデニムシャツを着ていた。理沙はピコをケイの目の前に置いた。
「ほらピコ、この子、ケイ君だよ。挨拶して」
 ピコちゃんは挙手した。ケイもそれに応じて挙手する。ケイは自分の傍にあったボールを転がしながらピコちゃんから離れて、そしてピコちゃんに向けてボールを転がした。ピコちゃんもボールを転がして、ケイに返す。
「千尋、凄いよ。もう仲良しになってる」
「うん。チャオってすぐに仲良くなれるのかな」
「そうなのかも。チャオには争いがなくて平和なのかな。いいなあ」
 私は座ってコートを脱ぐ理沙を上から見ている。
「飲み物、何がいい?」
「コーヒーある?」
「あるよ」
「じゃあコーヒー」
「うん、わかった」
 インスタントコーヒーの粉末をカップに入れる。お湯が沸くのを待っていると理沙が、
「千尋はケイ君にお洋服買ってあげないの?」と聞いてきた。
「うん。別にお洒落させなくてもいいかなって思ったんだけど」
「ふうん。帽子とか買ってあげてもいいと思うんだけどな。ケイ君、せっかく帽子被りやすそうな頭してるんだしさ」
 チャオによっては頭に突起があって被せにくいのであった。ケイはニュートラルオヨギチャオだから、なだらかな頭をしている。
「まあ、そうだけど」
 私はやかんの傍でじっとしている。目を離さないようにしている振りをして、理沙と距離を取る。そうやって自分の方から離れると気分が穏やかになる。観賞することしかできない物を愛でているような気分になる。
「ねえねえ、見てこれ。可愛いでしょ」
 理沙がピコちゃんに被せていた帽子をケイの頭に乗っけて、持ってきた。しかし乗っけているだけだったので、帽子は落ちてしまった。
「ああ、落ちちゃった。ケイ君、後ろに長いからこの帽子は被せにくいみたい」
「そう」
 私は落ちた帽子を拾って、理沙の頭に乗せた。チャオ用の物だから小さくて、被ることはできない。
「もうすぐお湯沸くから、頑張ってピコちゃんの所まで戻って」
「無理、無理だよ」
 そう言って笑いながらも、理沙は慎重に戻っていく。途中で帽子は落ちてしまった。
「ほら、無理だったあ」
「残念」
 カップをテーブルに置く。理沙はカップに飛び付いた。カップを両手で覆うようにして、
「あったかあい」と言う。「外寒すぎ」
 理沙はコーヒーに口を付けると、口数が減った。彼女のボストンバッグがいつの間にか部屋の隅に寄せられている。バッグの上にコートを畳んで置いていた。
「マフラーも買ってあげればよかったかなあ」
 独り言のように理沙が言った。
「マフラー?」
「うん、最近寒いから。外連れて歩くの可哀想かなって」
「ああ、そっか。そうだね」
 理沙はしばらく黙ってコーヒーをすすっていたのだが、
「っていうか、チャオにマフラーって絶対似合うよね。うわ、どうしよう。買いに行かなきゃ」と言って、盛り上がり始めた。
「まさか今から買いに行くとか言わないよね」
「行こうよ」
 理沙は強引だ。バッグを引き寄せ、コートに袖を通して、絶対に行くという意志を見せてくる。
「わかったからちょっと待ってよ」
 私もクローゼットにかけてあるコートを取る。理沙はバッグから着替えなどを取り出して、出した物の代わりにケイを入れた。
「連れてくの?」
「うん。試着した方がいいじゃん」
 ケイとピコちゃんは向かい合ってバッグの中に入っていた。理沙はバッグを肩にかけて、
「それじゃあ行こっか」と言った。

 チャオ一匹をバッグに入れて歩くのなら、まだ可愛げがありそうなものだが、大きなバッグに二匹入れて歩くというのは恥ずかしいものがある。
「これ、ちょっと恥ずかしくない?」
「かも。やっぱ目立つ?」
「目立つでしょ、そりゃあ。他にそんな人いないもん」
「そっかあ」
 なんで私まで来てしまったのだろう。そもそもどうして理沙はケイまで連れていこうと思ったのか。尋ねてみたら、
「マフラーならケイ君でも大丈夫でしょ」と理沙は答えた。
「私も買うの?」
「買おうよ。絶対可愛いって」
「まあいいけどさ」
 本当に買うつもりで私はそう言った。ケイのためにマフラーを買えば、いよいよケイを外に連れていこうという気になるかもしれないと思ったのである。
 この前行ったチャオの店でマフラーを見る。色が十種類もあって、私は迷う。赤がいいと思う一方で、それよりもうちょっと目立たない紺の方がいいとも思うし、ピンクで可愛くするのもよさそうだった。理沙は迷わずに黄色のマフラーを選んで、別の所を見ている。
 あえて緑をチョイスするのもありだろうか、と考えていると理沙が戻ってきて、
「ねえねえ、見て見て」とニット帽を見せた。
「これならケイ君でも被れるんじゃないかな。これ伸びるから」
「え、ケイに被せるやつ探してたの」
「そうだよ。どうかな?」
「伸びてもちょっときついんじゃないかな。マフラーだけでいいよ」
「ええ、つまんない」
 不服そうに言ったが、
「買わない」と強めに言うと引き下がって、帽子を元の場所に戻しに行こうとした。
「あ、ケイ頂戴。どのマフラーが似合うか確かめたいから」
「はあい。どうぞ」
 私はバッグからケイを引っこ抜く。ケイをじっと見ると、やはり赤が似合う気がした。赤のマフラーを取って、ケイの頭と体の間に当ててみる。ニュートラルオヨギチャオの黄緑と黄色の体に、赤はよく似合った。

 ケイはマフラーが気に入ったようだった。アパートに帰っても、取るのを嫌がった。
「気に入ったみたいだね」と理沙が言った。
「わがままなんだよね」
「マフラー買ってもらえて嬉しかったんだよ、きっと」
「だからって家の中でまで着けてることないのに」
 ピコちゃんの黄色いマフラーは、理沙のコートと一緒にクローゼットにかけてある。
「そういうところがケイ君の可愛さなんだよ。ねえ、ケイ君」
 何を言っているのかよくわかっていないくせに、ケイは元気よく「チャオ」と答える。そして理沙に撫でられて喜ぶ。理沙はケイの頭の上の球体をハート形に変えて、
「そういえば、ご飯どうする?」と言った。
「どうする?」
「コンビニで買ってこようか」
「そうだね。そうしようか」
 二人分の夕食を作ってもよかったのだが、自分から何か言う気分ではなかった。理沙が何も言わなければ夕食の話さえしないつもりだった。
 理沙は弁当の他に発泡酒の缶を六本も買って戻ってきた。
「なんでこんなに買ったの」
「二人でこんぐらい飲むでしょ」
「三本も飲まないよ」
「そう?じゃあ私四本ね」
 理沙は早速発泡酒を飲み始めた。そして弁当のプラスチックのふたを開ける。私は残りの五本を冷蔵庫に入れる。そしてペットボトルの緑茶を温める。
「千尋ってお酒弱いんだっけ」
「まあね。理沙は強いんだ?」
「うん。大好き。正直四本じゃ足りないくらいだね。もっと飲みたい」
「そんなに飲むの」
「ラッパ飲みとかするよ」
 ケイとピコちゃんに木の実を食べさせる。
「チャオってお酒飲まないかな」と理沙が言った。
「何馬鹿なこと言ってるの」
「飲むと気持ちよくなれるじゃん。だからピコにも飲ませてあげたいなあって、今思った」
「飲ませちゃ駄目なんじゃないかな。よくわかんないけど。でもチャオが酔っ払ったら、変なことになりそう」
 人間が泥酔した時みたいになって、そこにチャオの幼稚な感じが加わって、人間とはまた違ったおかしなことをやり始めるのではないかと思ったのである。もしかしたら感情のブレーキが利かなくなって、頭の上の球体がでたらめな形に変わるようなこともあるかもしれない。
「やってみよっか」と理沙は缶を持って、言った。
「やめなよ。何かあったらどうするの」
 理沙は「つまんないの」と言って、そのまま缶の中身を飲み干した。
 もう一缶を飲むと、理沙は、
「お風呂入っていい?」と言った。
「いいよ」
「ありがと」
 理沙は立ち上がり、洗面所に向かう。
「ピコちゃんは?」
「え?」
「ピコちゃんと一緒に入らないの」
「入らないよ。え、千尋はいつも入ってるの」
 私は頷いた。
「へえ。だからオヨギチャオなのかな」
 理沙はその場で服を脱ぎ始めた。私は目を逸らす。
「そうかもね」
 彼女が入った後に、私はケイとピコちゃんと一緒にお風呂に入った。ピコちゃんは服を脱がそうとしても抵抗しなかった。ケイは、お風呂に入るのだということが伝わったのか、ピコちゃんが脱がされるところを見ているうちに、自分からマフラーを取った。
 浴室に入ると、シャワーの残した湯気が肌に当たった。床のタイルも濡れている。小さいたらいにケイを入れ、大きいたらいにピコちゃんを入れる。私のたらいはない。湯気を含んだ空気の中に理沙の髪の香りが混ざっているような気がした。理沙は一人でビールを飲んでいる。彼女のチャオがいなければ私は泣いていたかもしれない。私は理沙の目を気にして、想いを圧縮させてひとまずこぼれないようにしていた。

 私が一本飲み終わらないうちに、理沙は残りの五本を飲んで、寝てしまった。ちょっと眠いかも、と言って布団に横になって、そのまま眠ったのであった。私はあまりにも飲むのが遅くて温くなってしまった発泡酒を飲む。部屋の中を見渡すと、ケイもピコちゃんも眠っていた。部屋は明るい。起こしてしまっては可哀想だと思って、照明の紐を引っ張る。オレンジ色の淡い光の下で私は理沙の寝顔を見ようと、彼女に接近した。
 普段ならこんなことしないだろうなあ、と私は少しずつ近寄りながら思った。私も酔っているのかもしれない。そう自覚しながらも、止まれない。止まらなくていいや、という投げやりな気分で私は横になって顔を近付ける。三十センチの距離で私は一度止まり、そしてじわじわと顔を近付けていく。キスをするつもりはなく、理沙の顔をもっと近くで見たいという好奇心で動いていた。彼女の寝顔に美しい所はない。可愛い女性のただの寝顔である。それでも私は間近で見ているうちに、まつ毛や唇に触れたくなる。理沙の膨らみが私を誘惑するのか、鼻や頬もつついてみたいと思った。
 理沙が目覚めてしまわないように顔を離し、体を起こす。理沙の傍からは動かず、子供を見守るように私は理沙をじっと見ていた。やがて理沙が目を覚ました。
「私寝てた?」
「うん」
 理沙が体を起こすと、また三十センチくらいの距離になる。理沙は私を見つめた。私は理沙と反対の方向にやや傾く。
「ねえ千尋」
「何?」
「キスしてみる?」
「何、言ってんの」
 私のことがばれているのかと思って、怖くなった。しかしそうではないようだった。
「なんか今そんな感じじゃん」と言って理沙は笑った。
「そんな感じって、私たちそんなのじゃないし」
 私はレズビアンではない人を装って答える。本当の私も、今キスするのは嫌だと思っていた。七恵さんと桃子さんのようにお互いのことが好きでするキスがよかった。そうでないキスは絶対にしたくなかった。
「いいじゃん。女の子同士なんだから」
 私は強く抵抗しなかった。ファーストキスが奪われる間私は動かなかった。唇を離した後、理沙は「キスしちゃったよ」と言って笑っていたが、私が笑わなかったので、
「どうしたの、そんな切なそうな顔して。もしかしてファーストキスだった?」と聞いてきた。
 私は頷いた。理沙は手を合わして、
「あ、そうだったんだ。ごめんね。許して」と言う。
「私ね、理沙のこと好きだったんだよ。普通の好きじゃなくて、恋してた」
「え?」
「私、女の子のことが好きになるの」
 ずっとできなかった告白があまりにもたやすく口から出てくるので、私はそのことで泣きそうだった。今言った言葉は、もっと大切に扱うべきものであるはずだと思った。
「そうなんだ。私のことが、好きなんだ」
 理沙はそう言って確認してくる。
「好き」
「いいよ」
「え?」
「女の子が相手なら浮気になんないでしょ。だから大丈夫だよ」
 理沙は、私を安心させるための笑顔を見せた。理沙に拒絶されなかっただけで、受け止めてもらえたわけではないことをはっきりと感じていた。

 そうじゃないんだよ、と言う機会を私は逃したようであった。
 理沙は私の好意をきちんと理解していないとわかった時に言えばよかったのである。そこで言えなかった私は、その後もずっと言えないまま、彼女の言いなりになっていた。
 理沙は週に何回か私の部屋に泊まり、そしてセックスする。今日も理沙は約束もなしに私の部屋に来た。家族と暮らしているが、家にはあまり帰りたくないらしい。どうやら彼氏の都合が合わない日に私の所へ来るらしかった。
「ほら、千尋、おいで」
 理沙はあの筒状のバッグにピコちゃんと色々な道具を入れてやって来る。その道具が理沙の周りに転がっている。私は理沙の隣に座る。理沙は私より小柄だったが、男のように背後から私を抱き締める。
「今日も気持ちよくしてあげるからね」
 そう囁いて、キスをしてくる。
 私とセックスする時、理沙は陰茎の形をした道具を使う。陰茎を膣に入れるのが理沙にとっての性行為であるらしかった。理沙は私の胸を触るなどしながら服を脱がすと、自分も服を脱ぎ、ペニスバンドを腰に着けた。ピンク色の陰茎が理沙の腰に下がる。
「舐めて」
 理沙は腰を突き出し、私の唇に偽物の陰茎を触れさせた。私は仕方なしに応じる。男性器に興味なんてない。目だけで理沙の表情を見ると、意地悪な顔をしてにやにやしている。いくら奉仕したところで理沙は何の刺激も受けない。だから余裕を持って私を見下しているのである。私は見下されるために舌を伸ばして合成樹脂を舐める。
「いいよ、可愛いよ、千尋」
 頭を撫でられる。そしてコンドームの袋を渡される。私は首を傾げた。
「本当に男の人とやる時は、これ着けないと妊娠しちゃうでしょ?だから着け方覚えないと」
 そう言って私に、口で着ける方法を教える。理沙は未来の私を見ている。将来男を好きになって男に抱かれる瞬間の私を見ている。今はちょっとおかしくなっているから女が好きと言っているだけで、本当は男が好きなはずだと考えているのだ。その上で、理沙は私を矯正するつもりでセックスをしているのであった。
「ほら、気持ちいいだろ、ちんちん」
 男性器で突かれて気持ちいいと言わないと、理沙は短い鞭で叩いてくる。我慢するな、と理沙は言う。私は激痛に屈して言われた通りにする。理沙は男になりきって私をいじめると興奮するようだった。理沙が私にディルドを握らせる時には、性器が触ってもいないのに湿っている。そして私の持ったディルドで理沙が満足するとセックスは終わる。服を脱いだまま寝転がり、理沙は異性とセックスすることが幸せなのだと私に説く。

 私たちのセックスの影響なのか、ケイとピコちゃんが卵を産んだ。チャオの卵が一つ、私の部屋に置かれている。
「どうするの、これ」と理沙が言った。「うちじゃあ飼えないよ」
「うちだって無理」
「捨てるしかないかなあ」
「それはちょっと可哀想じゃない?理沙の家、本当に駄目なの」
「だって嫌だもん。親にもう一匹飼わせてだなんて言うの」
「そんな」
「これは可哀想だけど、捨てる。どうしても嫌だって言うなら、千尋が飼ってよ」
 理沙がきっぱりと言った。もうその二つのどちらかしか認めないという風であった。私は、
「わかった」と言った。
「まさか、本当に飼う気?やめなよ。お金かかるのわかってるでしょ」
 どちらにするか迷っている。何も考えずに捨てたいという気持ちと何も考えずに飼いたいという気持ちの両方があった。とりあえず私は慌てた様子の理沙を安心させるため、
「捨てる。捨てるよ。大丈夫」と言う。
「本当に?ちゃんと捨てなよ」
「うん。わかってる。任せて」
「そう、じゃあ、お願いね」
 私はこの卵を捨てようと思った。理沙と捨てると話をしたから捨てよう、と思った。
「理沙、もうやめない?」
「やめるって、何を?」
「私、男とは付き合わないよ」
 なんとなく今が言う時だと感じて、私は思っていたことを言うことにした。
「理沙が私と本気で付き合うつもりがないのと同じで、私は男と付き合うつもりないんだよ」
「そんなことないって。千尋だってきっと男の人と付き合って幸せになれるって。大丈夫だよ。弱気にならないで」
「そうじゃないよ。私は理沙のことが好きだったんだよ。でも、もう理沙は私のことをわかろうともしないってことがよくわかった。だからもういいの。ごめんね、変なことに巻き込んで」
 これでもうおしまい、という空気にしたつもりなのに、理沙は困った顔をして動かない。
「ねえ、私何か間違ったこと言っちゃった?もしそうなら教えてよ。私の何がいけなかったの?」
 私は理沙に言う優しい言葉が見つからなかった。どう言っても理解してもらえないだろうという気持ちが強くて、私は何も教えてあげられない。私はひたすら不器用に、
「あのね、男の人が女の人を好きになるくらい、私にとって理沙を好きになることは自然なことだったんだよ」と言った。
 やはり理沙は私の気持ちがわからなかったらしい。ただ困った様子で、何度も「ごめんなさい」と繰り返していた。私は笑顔で「また遊ぼうね」と言って、彼女と別れた。そこまで頑張ってしまうと、一人になっても泣けないのだった。

 卵をバッグに入れて外に出る。バッグに入りきらなかった所を黒い人間用のマフラーで隠している。このマフラーは卵と一緒に置いていくつもりであった。生まれたてのチャオがマフラーの使い方を理解できるとは思えないが、マフラーを巻いて生き延びてくれるだろうと思い込むことが、チャオの卵を捨てる私の逃げ道だった。
 卵を捨てる予定の公園を目指して歩く。夜の町のどこに置いても私の手元には戻ってこないだろう。それでもケイの飼い主として、生まれたチャオがどうにか生きていけそうな場所にこの卵を捨てたかった。最初はゴミ捨て場に捨てることを考えたが、ゴミ収集車に卵が砕かれるのを想像して、やめた。近所の公園には池があり、木もたくさん生えている。野良チャオが集まる場所をネットで調べたら、その公園の名前が書いてあった。
 夜の公園は外灯によく照らされていて明るく、それがかえって気味の悪さを感じさせた。スポットライトが当てられ、誰かに見られているような気持ち悪さである。私は周囲を見回し、公園内を歩き回り、私を見ている人がいないことを確かめた。野良チャオは警戒心が薄いのか、明るくて目につきやすい場所で寝ていた。ベンチの上で眠っているチャオもいた。ベンチの上で眠っているのは青色のダークチャオだった。私はそのチャオの隣に卵を置いた。傍に卵があればきっと育ててくれるだろう。
 私はアパートに帰ろうとしたが、朝になって青いチャオが目を覚ますまでに卵の中のチャオが死んでしまうのではないかと不安になった。不安になってしまったから、そのまま帰ることができなくなる。コートのボタンを外し、卵を抱えてベンチに座った。そして私はコートで体と卵を連結させるようにして抱き締める。日中よりも寒かったから、公園に向かう時から私は何度も鼻水をすすっていた。風が目に当たると涙が出てきそうになる。寒さに負けずに歩くことはできても、寒さに負けず座っていることは難しいようで、今は寒さが私を惨めな思いにさせる。おまけにベンチが冷たくて臀部まで冷えていた。それと手が痛かった。痛みがずっと続くので、手を口の中に突っ込んででも温めたいなんておかしなことを考えてしまう。
 アパートに帰れば寒い思いをしなくて済むとわかっているが、ここから動く気はなかった。チャオが平気な顔して眠っているのだから、卵も寒さに耐えられるのではないかとも思ったが、どうあれ私はここから動かない。わざと馬鹿なことをして苦しめば、私は失恋した女ではなく、馬鹿な女になれると思った。そうしてこんな馬鹿な女に優しくしてくれる素敵な女の人を探して、七恵さんと桃子さんの二人のようになろうと思っていた。卵を守る苦痛が私を優しさのある所へ連れていってくれるはずであった。私は俯いて、捨てられる卵と捨てられたチャオを見ていた。こんな優しさが一つの卵を守っているのだ、と鼻水を垂らしながら自分に言い聞かせた。
引用なし
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