●週刊チャオ サークル掲示板
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十八話 カオスガラス
 だーく  - 18/5/6(日) 22:06 -
  
 原因がわからないまま、またエレメントの反応があった。色は紫。フェニーは相変わらず本調子じゃなかったので、ヒコウ員はライザかバードだ。ヒコウ員はもちろんそうだが、他のメンバーもフェニーのようになってしまうのではないかという不安とまではいかない空気が漂っていた。
「俺が行くよ」と言ったのはバードだった。「変化を感じたらすぐに報告するよ」
「ああ、頼む。あとは俺と、テーラと、メンメ。いいか?」
 反応があった場所はかなり近場で、通称ガラスの町と呼ばれる町だった。近場、つまり今まで反応があった箇所の中心に近い部分ということで、何か手がかりが得られるのではないかという期待がバスターにあった。
 早速、いつものように準備をして、バードに取り付けたバスケットへ乗り込んだ。距離が近いので必要以上には飛ばさず、エレメントの反応が出ている箇所以外にも注意を払って向かった。エレメントが発生している間、この付近で別の変化点が起きている可能性があるとテーラが言ったからだった。
 だが実際に飛び立つと「うーん、特に変わった感じではなさそうね」とテーラが言う。
「そうだなあ」とロースト。
「俺も今のところ何も感じないね」とバード。
 辺りを見渡していると、反応がある方向の風景に違和感を覚えた。でも、その違和感の正体はすぐにわかった。ガラスの町、とはこういうことか、と思った。建物の壁がガラスでできていたり、住宅の屋根がガラスでできていたり、ガラスがありとあらゆるところに使われていた。全部がガラスという訳ではないみたいで、普通の建物も多く見える。工業地帯と思われる場所は大きな工場が建て並び、そこは他の場所の工業地帯と何ら変わらない。ただ、周りにガラスが多いので、工場の存在感は確かに強かった。
「もう着くか」とロースト。「相変わらずすごい町だ」
 ローストはこの町に来たことがあるらしい。私は初めてだ。というか、私はバスターの中で一番後輩なので、もしかしたらローストだけじゃなくてみんなも来たことがあるのかもしれない。
 そのまま反応がある場所へと降りる。そこはかまくらのような建物で、可愛らしい見た目に似合わない黒い煙突がついていて、煙が立ち上っている。
「今回は多分外れだな」とロースト。
「なんで?」と私。
「ここは、ウチにカオスガラスを供給してくれてる工場だ」
「へえー」
 ドアを開けて、中に入る。中は確かに工場だ。あの外観は何だったんだろう。ライン作業という感じではなくて、職人が精密なものを作るようなイメージの場所で、作業員も一人しかいない。
 不思議な場所だ。建物の形が丸いから、内側の壁に四角い棚はフィットしないけど、棚もちゃんと内壁にフィットするように作られてる。他にも机とかソファとか機械とかあるけれど、物が少ない印象を受ける。
 棚には綺麗なラベルが貼ってあって、中には綺麗に整頓された金型が沢山入っている。そこだけに注目すると物は揃っていて、決して少ないという印象は受けない。棚の数だって少なくない。ラベルを剥がしてまとめたら、すごい束になると思う。
 ソファの前にはテーブルがあって、その先にはテレビ台とテレビも置いてある。そこだけ切り抜くと、バスターの元の拠点そっくりかもしれない。多分、物が少ない訳じゃない。広すぎるだけだ。
「ミヨさん」とローストが声を掛ける。が、そのミヨさんが操作している機械がウォンウォンと動いているので、聞こえていないようだった。
「ミヨさん」とローストが声を大きくする。そこでミヨさんは振り返り、目を丸くした。ミヨさんは私と同じニュートラルオヨギだった。私はチカラ二次進化で、ミヨさんはノーマル二次進化なので、少し違う。見たところそこそこ歳を取っているように見えた。
「ローストか。いや、バスターか。連絡もなしに来るなんて珍しい」
「まあね。カオスエレメントの反応があったもんでね」
「あ、ああ」
 とミヨさんはバツの悪そうに口篭った。
「そうだったね、バスターのことを忘れてたよ」
「ミヨさん、もしかしてカオスドライブ作ろうとしてた?」
「ああ、そうだよ」とミヨさんは口元に笑みを浮かべた。
「ミヨさん、からかわないでくれよ」
「はは、悪いね。カオスガラスは見たことがあるけど、カオスドライブは見たことなかったからね。ちょっと気になってね」
「ああ、そういうことか」
「物作りをしてるヤツは大体、自分が作ったものがどう使われてるのか気になるもんさ」
「そうだろうな。俺もそう思う。ところで、カオスドライブを見終わったらどうするつもりだったんだ?」
「ゴミ箱にポイだ」
「それはダメだ、ミヨさん。ゴミ置き場から持っていくヤツがいるからね」
「そうなのかい、知らなかったよ」
「ウチで引き取るから、早く作っちゃいな」
「色々と悪いね」
 エレメントはミヨさんの前にある機械の横でふわふわとアメーバのような形をして浮いている。ミヨさんは機械の蓋を開けて、中からガラスを取り出した。結晶のようなガラスだ。これがカオスガラス。バスターの事務所に置いてあるようなカオスガラスや、メンバーが持っている小さいカオスガラスとは比べ物にならないくらい綺麗だ。
「綺麗だろう? お嬢さん。ちゃんと仕上げるとこんなにもなるんだよ」
 私は無言で頷いた。
 ミヨさんはカオスガラスを持って、エレメントの中にカオスガラスを突っ込んだ。すると、みるみるエレメントはカオスガラスに吸い込まれていき、カオスガラスは紫色の輝きを放つカオスドライブとなった。その輝きは、今まで私がカオスガラス越しに見たエレメントの光よりも遥かに強いものだった。
「すごい」と声を上げたのはローストだった。ローストもこのレベルのものを見るのは初めてなのかな。
 だが、ミヨさんはバスターのメンバー以上に言葉を失っていた。
「ミヨさん、大丈夫か?」
「あ、ああ」
 とミヨさんはカオスドライブを目を奪われながら、ローストにカオスドライブを渡した。
「これは……驚いたねえ」と我に帰るミヨさん。
「こっちも驚いたよ。もしかしたらカオスドライブは、エレメントよりもカオスガラスの方に効果が依存しているのかもしれないと思うくらいだ」
「それは大変だねえ。あんまり綺麗すぎるカオスガラスは作れなくなるね」
「そうだな、カオスガラスの注文があったときは気をつけてくれると助かる。そういえば、最近エレメントがちょっと異常な振る舞いを見せているんだけど、ミヨさんは何か知らないか?」
「ガラスについてはわかるけど、エレメントについてはわからないねえ。隣町のトロンが詳しいんじゃないかい?」
「トロン?」
「生物学の研究者だよ。前にカオスガラスを作ったやったこともある。必要だったら住所も教えるよ」
「ああ、頼む」
 ミヨさんは綺麗なラベルの貼られた机の引き出しから名刺が入ったフォルダを取り出して、メモに住所を書き写すとローストにそれを渡した。

引用なし
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ステンドグラス だーく 17/7/11(火) 21:19
一話 ガラスの町 だーく 17/7/11(火) 21:20
二話 裏鬼 だーく 17/7/16(日) 14:49
三話 ヒビ入りのガラス球 だーく 17/8/20(日) 22:57
四話 ぺーこの力 だーく 17/9/17(日) 18:58
五話 強さへ だーく 17/10/1(日) 17:00
六話 大会 だーく 17/10/22(日) 0:08
七話 次の だーく 17/10/30(月) 0:21
八話 マックル だーく 17/12/17(日) 17:15
九話 飾り だーく 17/12/19(火) 23:58
十話 運命の赤い鎖 だーく 18/1/3(水) 12:34
十一話 メンメ だーく 18/1/3(水) 23:26
十二話 カオスドライブ だーく 18/1/4(木) 16:45
十三話 お疲れチャンプー だーく 18/1/22(月) 21:53
十四話 ケツに銃弾はぶち込めない だーく 18/3/5(月) 14:17
十五話 バスター だーく 18/3/11(日) 16:38
十六話 カオスエレメント だーく 18/5/2(水) 0:56
十七話 新拠点 だーく 18/5/6(日) 0:42
十八話 カオスガラス だーく 18/5/6(日) 22:06
十九話 あたしも絶対パス だーく 18/6/6(水) 22:36
二十話 指令役 だーく 18/8/16(木) 14:38

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