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寂れた町と賑わいのある町を行き来させることで、
今のチャオ界隈と他のコミュニティを示しているように感じましたが、
そこには特に興味を惹かれませんでした。
なぜかといいますと、最初の「田舎」的な描写と比べて、「都会」の描写が薄いからです。
前半部分(田んぼ〜チャオが映るまでの三行)はイメージとして郷愁深いものでした。これは最初からイメージとして「田舎」という漠然としたものを置くのではなく、ひとつひとつのパーツを描写していくことで寂しげな町を形作っていく、といった描写成果だと思われます。
そのかいあって、パーツ以外のものが薄い。寂しい印象を受けました。
ただ、それ以降の流れが少し弱いかな、とも思いました。
コンクリートやアナウンスで、人がいないか/いるかという前半・後半の対比だと思いますが、前半が確かに寂しいイメージであるにも関わらず、後半(眩しい朝〜チャオが映るまでの三行)は感じるものがなかったです。
これは、たぶんぼくたちが見慣れた光景である、という点と、どことなく表現そのものが無機質的であるせいでしょう。「木」や「錆びた」や「濡れた土」や「田んぼ」と比べて、「コンクリート」とか「テレビ」とかの持つ情報・イメージが弱い。そういう意味では、無機質な後半と寂しい前半でたいした皮肉にはなっていると思いますが……。
で、最後の段落ですが、〆はよかったように感じました。
これは大半が「〜る」という形式で文章が終わっているのに対し、最後だけ「〜た」という形式である、というリズムの差が大きな貢献だと思います。
確かに寂しいけど、まあ、それでもいいかな。という心境にさせられたという点では、けっこう面白かったです(ただやっぱりコンクリートの描写とかが弱くて、残念)。
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