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久々に『終末』系のお話を読みました。
変異する世界、そして、人間がいる世界の終焉の中で、たった二人の男女に話が収束する、というこの感じは何度読んでもいいものです。
それこそが『終末』独特のノスタルジーというものでしょうしね。
文章的には、よくまとめてあるなぁという印象です。
特に「ん?」と止まってしまう個所も無いですし、正直、文章力は俺よりもあなたの方が上ですので、何とも言えません(笑)
とはいえ、少々気になった部分がありますので、簡単な修正をば。
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ようやくホワイトクリスマスを迎えることのできた今年。
これはきっと、神様からの餞別なんだろうか。
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この文章だと読者的には「神様からの餞別」=「ホワイトクリスマス」という認識になりますが、もしそうならば時系列をきちんと整理させましょう。
あと「きっと」と「〜だろうか」は若干意味も違い、表現が狂います。
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ようやくホワイトクリスマスを迎えることのできた今年。
今考えると、あれは、神様からの選別だったのだろうか。
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ふと、屋上のフェンスに体を預けてたそがれている僕のズボンを誰かが引っ張った。
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このままの文章だと、前文、後文と比べて少しずれが生じます。
たそがれている、だけだと何も考えずに傍観しているイメージですし、
引っ張る正体の正解が〈人間でない〉と分かっているなら「誰か」は不適格です。
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ふと、黄昏気分で屋上から街を見下ろしていた僕のズボンを、〈何か〉が引っ張った。
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よく知っている幼馴染の顔は、今月に入ってから悲壮感に彩られたような印象が強くなった気がする。ちょっと不謹慎かな。
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不謹慎、と言うのとは全くかけ離れた言葉ですので、要りません。
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よく知っている幼馴染の顔は、今月に入ってから悲壮感に彩られたような印象が強くなった気がする。
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少なくともこの国の8割以上の人間はチャオになってしまったのではないか……と、強ち否定できない予想を打ち立てていた。
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あちらこちらで「主人公とヒロインだけ」という考えが主人公の頭をよぎっているんだな、と想わせる文章がある中、この文章だけがやけに浮いている感じがしました。生存掲示板にしたって、返信はヒロインだけだったのですし。
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聖誕祭の12月23日から7日経った今日、この国にまだ人間がどれくらいいるかは分からない。
分かっていることは、少なくともこの町では僕とくるみ以外の人間は見かけないこと、そして、掲示板への返信は〈K〉ただ一人だけ……ということだけだった。
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「お姉ちゃんが、自分の弟の事がわからないなんてね」
「だって、しょうがないじゃ――」
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主人公の皮肉さを浮かばせたかったのでしょうが、くるみの弟に対する行動を鑑みるに、この言葉はいくらなんでもあまりに辛辣な意味にしか取れないと思います。
皮肉ならば皮肉らしく、くるみのことを考えて、決して彼女にとっての暴言にはならないようにしましょう。
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(セリフはそちらがご自由にお考えください)
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そして最後の――なんて事がないといいんだけど。
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主人公の諦念がこの文章以前の地の文にあらわれているので、もう少し、その諦念を押し出すような感じが良いかもしれません。
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そして最後の――という言葉が喉まで押しあがって来たが、もう言わないことにした。
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こんな感じですかね。
個人的にはすごく好きな題材でしたので、読むのが楽しかったです。
またの鍛錬室へのご参加を心よりお待ちしております。
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