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CHAOS PLOT 「CHAOS―チャオス―」 スマッシュ 09/12/23(水) 0:19

CHAOS PLOT 「CROSS」 スマッシュ 10/7/3(土) 4:04

CHAOS PLOT 「CROSS」
 スマッシュ  - 10/7/3(土) 4:04 -
  
5つ目のカオスエメラルドが発見された。
最初にその持ち主と遭遇したのは俺だった。
それも偶然に。
「よお、ケイオスさん」
街へ出歩いていたらそう声をかけられた。
声をかけた男はいかにも不良だと言わんばかりに目をぎらつかせていた。
それが本当に不良であれば面倒な人間にからまれたものだと思ったのだが、彼が俺にかけた言葉がそうでないことを示していた。
「……お前は誰だ」
「俺様はめっちゃ強いチャオス」
相当自信があるということがよくわかった。
「最近ここらで人間がバラバラになって殺されてて、近くに被害者の血で落書きされているって事件が多発してるんだけどぉ、知ってるかい?新聞は見てないのかな?まあどっちでもいいんだけどよ、どうも人間が殺したとは思えない位に遺体が酷いことになってんだけど落書きとかあるし人間以外の生物が殺したようには見えないわけよ。色んな所で超話題になってる。びびったやつはいよいよ外も出歩けないだろうぜ。で、その不気味な事件の犯人が俺様」
「何が言いたい」
「人を殺すのって楽しいと思わねえか?」
「思わない」
「でもチャオスを虐殺するのは楽しい」
「全くそうは思わない」
なんだこいつは。
人間の尺で考えれば狂っている。
チャオスとして考えてもおかしいはずだ。
「ま、別にいいけどよ」
「それで、何の用だ」
世間話をするために話しかけたわけでもあるまい。
「俺様、これからもばんばん人殺していくから頑張って止めてみろよ。お前らと戦うの面白そうだし」
「……」
「それと、俺様部下がいっぱいいるし、カオスエメラルドも持ってるから油断してかかってくるなよ?」
「カオスエメラルドだと?」
5つ目のカオスエメラルドということになる。
まさかこんな形で遭遇するとは。
「それじゃあお前のお偉いさんに伝えといてくれよ。キキキキキ」
そんなおかしな笑いを残して去っていった。
寒さが厳しい日だったというのに、その気味の悪い笑いがさらに肌寒さを助長したように思えた。
日が沈んでいる時間の方が長いわけであるが、この時は気分が沈んでいる時間の方が長かった。
そして帰って件のニュースを確認した俺は胃が痛くなった。
先田さんがわざわざ事件現場の写真、それも遺体がまだそのまま残っているグロテスクな写真を持ってきたからだ。
どうもARKではチャオスの仕業であると察知して情報を集めていたようだった。
そのうち討伐する予定だったらしいが、カオスエメラルドを所持しているということですぐにでも殲滅することに決まった。

カオスエメラルドの威力は絶大だ。
「しっかしつまんねーな、くそ」
人間に使ったら木っ端微塵になった。
一瞬で塵芥と化すことのできる石の破壊力に感動するものの、跡形も残らないのはつまらないと感じた。
もっと苦しむ様が見たい。
もっと血を流させたり体を切断したりして苦しませたい。
狂ったチャオスは人間の姿でカオスエメラルドを手で弄びながらそんな欲望を募らせていた。
しかし同時にもっとこの絶大な力でもって暴れたいとも思うのだ。
じゃあその遊びをするのに最適なやつは誰か?
決まっていた。
ケイオスのやつらだ。
他にも理由はある。
チャオスという人間様にとってオッソロシー怪物。
それが最もよく出る地域が今まさにこの狂ったチャオスのいる地域なのだが、そこには偶然か必然かケイオスがいてその化け物を退治している。
ケイオスがいなければ、しばらくの間にこの地域はとても人の住める場所ではなくなってしまうことだろう。
そうやってARKの連中が自爆した姿を思い浮かべるととても笑えてくる。
とっても大事なケイオスちゃんが死んで絶望している偉いヤツを見下しながらこう言ってやるのだ。
てめえら人間ごときが俺たちチャオス様を踊らせられると思ったら大間違いなんだよ、身の程を知りたまえ。
で、人間を殺戮。
この地域は地獄と化す。
愚かな人間には苦痛を、強い鬼には悦楽を提供する素敵娯楽施設だ。
ARKにあるだろうカオスエメラルドも俺たちの物。
入手したカオスエメラルドも使ってどんどん地獄を拡大していく。
いよいよこの星は人間の物からチャオスの物になるのだ。
そうしたら人間を奴隷にしても面白そうだ。
優秀な肉体や頭脳を持つ人間をキャプチャすることでチャオスはさらに栄えることだろう。
使えなさそうな人間はヤプーしてしまえ。
いっそのこと食用にするのも面白そうだ。
ここまで想像すると非常に面白くなってきた。
今まで自分たちを道具のように扱ってきた、いや、実際に道具として扱ってきた、あの人間たちが恐れおののき顔を真っ青にする姿が見れるのだから。
しかも、しかもだ。
この想像は根拠の存在しないクズのような夢想とは違う。
ケイオスさえ倒してしまえば十分に実現し得るものだ。
実現したくなる。
こりゃあなんとしても勝たなければ。
革命だ。
だがトランプのゲームで3が2より強くなるのとは違う。
ただ頭の悪い人間たちに、チャオスの方が人間より優れた生物なんですよ。あなたたちは勘違いをしていたんですよ。と教えてあげるのだ。
超親切。
それでこそこの星の王者の器があるってもんなのかも。
そう思って狂っている彼はけかけか奇声を上げているかのように笑った。
その姿を見守る無数のチャオスがいた。
彼の戦力である。
「……おやおや」
手に持っている紫のカオスエメラルドが自ら光を強く出している。
どうも何かに反応している様子だ。
「来たか来たか」
それぞれのチャオスも察し始めてきたのだろう。
空気に糸が張り巡らされた。

狭く長い路上での戦闘。
市街戦ではこういう事態に遭遇することもある。
事実何度かあったことだ。
俺ですら驚くことはなかった。
しかし、俺たち4人を驚かせたのは相手の数だ。
路上には無数のチャオスが隙間のできないように埋め尽くされていた。
空中にも念入りに配置されている。
そして横はビルなどの高い建造物によって壁となっていた。
3体の敵を相手にするには十分すぎる数と状況だ。
俺たちの目的とするカオスエメラルドへ手が届く前に容易に包囲ができるし、それまでに逃げることだってできる。
突破するのに時間がかかると思われた。
この戦闘の困難はそれだけではない。
俺やオルガを排除しようという思惑がしっかりとこの戦闘にも働いた。
優希さんの持っている水色のカオスドライブと俺たちに渡された数には相当な差がある。
そして何よりの差はカオスエメラルドを所持しているかいないかだ。
今回の戦闘のために持ち出されたカオスエメラルドは優希さんの持つ1つ。
相手がカオスエメラルドを持っているというのにだ。
俺たちが死ぬ可能性は結構高いだろう。
俺も早く向こう側につくと宣言していれば優希さんのような待遇になったのだろうが。
そして作戦でも先陣を切るのは俺とオルガになった。
優希さんは後方支援。
確かに銃器をケイオスの時でも扱える優希さん向きの役割ではあるが。
それだけではない陰謀も見えてしまう。
「はい」
オルガが水色のカオスドライブを俺の手に押し付けた。
2個だ。
「ああ、ありがとう」
こいつはいらないんだったな。
これで俺のカオスドライブは4つ。
20分でどうにかしないと死ぬ。
「しかしどうするよ。直感的に無理だ」
白いカオスドライブは一応1つ渡されているが、カオスエメラルドと比較すると非力すぎる。
「少しは頭を使え人間」
「お前も人間の体持ってるんだから考えろ」
「はは。そだね」
こんな状況なのにオルガはのん気だ。
いざとなったら逃げられるからか?
俺は20分経つ前にそこらへん判断しなきゃいけないんだよな。
辛い。
その前に普通に殺されるかもしれないし。
「どうやって効率よくこの数をさばくかが問題なわけだが……その方法が無い」
「そうだね」
「……どうしたものか」
頭をひねる。
問題点は理解できているんだ。
多少数が多いくらいなら一度の攻撃で大量のチャオスを巻き込むとかでどうにかなるんだろうが、そういう工夫程度で完璧に解決するような数ではあるまい。
「ビルの中はどうなんだろう。中に潜んでいる可能性はあるが、もしかしたら一時しのぎにはなるかもしれない」
「そうだね」
「時間さえあれば前にいるやつらからゆっくり倒していけばいいんだがな」
「……あ、思いついた」
「なんだと?」
「ちょっと耳貸して」
と、オルガは俺の耳に口を接近させ、優希さんに聞かれぬように俺に作戦を話した。
それは中々いいもので、やってみる価値はあると思った。
「いいな。他にいい案も無いわけだし」
「じゃあよろしく」
「ああ」
そしてオルガは会話から疎外されていた優希さんの方に体を向けて、にやりと笑みを浮かべた。
「それじゃ、後方支援ちゃんとよろしく」
「ええ」
「もしかしたら倒し損ねた敵が優希の方に行くかもしれないけど、ちゃんと命守ってね」
「……ええ、わかっているわ」
笑顔でそういうオルガは何かとんでもない企みを持っているとしか思えなかっただろう。
優希さんの顔には疑心が表れていた。
ただ明確に伝わったのは優希さんに危険が降りかかるようなことをオルガが思いついたということだけだろう。
「さて、じゃあ細かい処理について話そうか」
「ああ」
一体どのように大量の敵を相手にしていくか。
大まかな方針は決まった。
細かい部分での対策を練っていく。
優希さんに隠す必要は無い。
なので3人で検討し合った。

「……何やってんだ、あいつら」
狂ったチャオスは敵の様子を見て、呟いた。
どうも話し合っているように思える。
敵の数が多いから、その対策を練っている。
そのように見えた。
カオスエメラルドを用意してきてド派手な戦いにするのかと思っていたが。
衆目を気にして大きな音を立てたくないのか?
それともカオスエメラルドを持ってきていない?
どっちにしても大量のチャオスに対して頭を唸らせている。
「と、するならば」
じっくりと待つ必要はない。
苦しませてやる。
「前へ進め!戦闘開始だ!!」
叫んだ。
命令は伝達されていき、最前列へ伝わる。
そしてチャオスたちは戦闘のために動き始めた。

チャオスの群れがぐらりと動いた。
波のようにうねり、その次には獣のように突き進んできた。
「来た」
「ああ」
俺たちは変身した。
そして俺とオルガが前へ出る。
優希さんの体はすっと後ろへ下がった。
そして、襲い掛かってくる大群を俺たちは。
飛び越えた。
空中のチャオスよりも低く、しかし地上のチャオスが容易に触れられないように飛んでいく。
不死身のチャオスがやっていた方法で空中でジャンプしているように見せかけ欺く。
1度、2度、3度。
まるでそこに見えない足場があるかのように急激に軌道を変える目標に敵は驚愕し反応が遅れる。
そんな目を見開いて思考を停止させているチャオスの頭上に着地する。
荒々しい悲鳴が地に沈んでいく途中で踏み切り再び空中を駆ける。

奥へ奥へ進んでいく。
回避と進行に時間がかかった。
「うおおお!」
空中を飛ぶ敵の並びが道に見えた。
その道を通って上へ向かう。
次々に踏み、飛び上がる。
道の最後を思い切り踏み、他の誰よりも高く飛んだ。
このついでに、水色のカオスドライブをキャプチャしておく。
最上の視界からは光り輝く物体を発見することが容易だった。
そして同時にそれを持ったチャオスがどうやらオルガを狙っているらしいことも理解できた。
重力に引き寄せられながらオルガの状況を見る。
チャオスが包囲している。
攻撃をされはしていないが、動けないように厳重に囲んでいる。
逃がさないためだ。
考えられる可能性。
それはあの狂っているチャオスが仲間を巻き添えにしてでもカオスエメラルドの力でオルガを粉塵にすることだ。
味方を巻き込むなんてことをするだろうか、という問いはする必要がなかった。
きっとするだろう。
いよいよエメラルドの光が強くなるのを見てそれは確定した。
あいつがカオスエメラルドの力を解き放った瞬間。
それは非常に大きな隙となる。
カオスエメラルドという無敵の装備が攻撃に使われているせいで鎧として機能しないからだ。
俺は落ちながら白いカオスドライブをキャプチャする。
羽をはばたかせ速度を緩和しながらも落下を続ける。
オルガはどうやら自分が狙われていることが見えていないようだった。
自分の周囲の敵に対して警戒を放っている。
相手が動けば即座に倒すという威圧だ。
しかし彼女が見ている相手は動くことはないだろう。
それは逃がさないための檻だからだ。
カオスエメラルドの光が十分すぎる威力を含んでいることを告げていた。
俺は羽の動きを止め、地面へ向けて加速した。
オルガの真横に落下し、着地する。
「橋本っ……!?」
放出されたとてつもないエネルギーが巨大な光として視認できた。
オルガもそれに気付いたようで、あっと声を上げた。
俺はオルガを引き寄せて瞬間移動した。
視界が切り替わる。
ビルを上から見下ろしている。
そのくらい高い場所に移動できたようだった。
下にはチャオの行列が存在していたが一箇所だけそれに穴が開いていた。
結構広い。
無駄に長い時間をかけてチャージしただけの威力が確かに結果としてそこにあった。
「生きてるか?」
「まあ」
見る分には無傷なようだった。
チャオスの数はじわじわと減っている。
優希さんのおかげである。
大群を飛び越えて、彼女に全て任せたのが大正解であったと思える。
実際には嫌がらせのような感覚でやったんだけど。
「すごい威力だな」
「即死だね」
「ああ」
「あの瞬間ならあいつ隙だらけだったのに。もったいない」
「俺はお前を殺す方がもったいないと思ったんだ」
「……ありがとう」
「おう」
ゆっくり落ちていく。
まだ戦場は遠い。
この会話をもうちょっと楽しくこともできるが。
「そろそろ行こうか」
「そうだな。とっととカオスエメラルドを奪って帰るか」
示し合わせて、落ちる。
羽をばたつかせ、下へ飛ぶ。
急降下して狙うのはカオスエメラルドを持ったチャオスだ。
相手はこちらを見失って高所からきょろきょろ頭を動かしている。
このまま不意打ちで、と思ったが途中で気付かれた。
視線が確かにこちらに合う。
そして視覚情報に反応してカオスエメラルドをこちらへ向けた。
落下をやめ、横へ軌道を変えていた。
死をもたらす攻撃範囲が元いた場所を貫いたのを尻目に降下していく。
オルガが既に到達しており、目標にまとわりついていた。
俺も真上から踏みつけるように狙う。
しかし、敵は消える。
どこかに移動した。
「面倒だな」
下にいたチャオスを踏みねじり、地面に着地する。
オルガが既に赤いフェニックスの羽をばたつかせ一直線に加速していた。
見つけるのが速い。
俺もそれを追う。
傍にいたチャオスを踏み台にして、地上の渋滞から空中へと抜け出した。
俺も一瞬のみカオスエメラルドを持ったその姿を確認したが、すぐにチャオスの大群の中に身を隠された。
オルガが今まさに攻撃しようと上から爪を突きたてたと思ったら身を引いた。
直前まで狙い定めていた場所からカオスエメラルドによる非常識な威力の攻撃が発射された。
一筋縄には行かない相手だ。
後方の優希さんは着々とカオスエメラルドを利用して雑魚を蹴散らしているが、こちらへ来るまでにもうしばらくかかりそうなペースであった。
そしてオルガは再び周辺を見渡していた。
おそらく移動されたのだろう。
俺はオルガに近寄った。
「俺が先に行くから、お前が隙を見つけてとどめを」
「わかった」
白いカオスドライブをもう使ってしまった俺では相手の意識をこちらに向けることくらいしかできまい。
すぐにお互い別方向へ飛ぶ。
俺の視界からは目標を見つけることができなかった。
しかし空中にいることからこちらの姿は見つけられていることだろう。
俺は地上に潜った。
下降の勢いに任せつつ思い切り目の前にいたチャオスを殴る。
そのチャオスを始まりとしてドミノ倒しが生じる。
視界の悪い地上に長くいても、狙われた時に回避が困難になるだろう。
俺は倒れたドミノの上を走り、カオスエメラルドを探す。
広がっていくドミノの先でぎらりとした光が見えた。
高く跳躍する。
真下に光の太線が通る。
そして線の始点に向かってゆるやかに飛ぶ。
相手の目がこちらを向いていた。
成功だ。
オルガがそのカオスエメラルドを持ったチャオスの真後ろに突然出現する。
そして腕が背後から体を貫いた。
俺はオルガの傍に行って、周辺のチャオスをさばく。
オルガがカオスエメラルドを回収してここより脱出したのに一瞬遅れて俺も退避した。
こうして5つ目のカオスエメラルドを入手したのだった。
引用なし
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