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これはるるかるふうりんを書いたときに作った、パラレルワールドを扱いやすくするための設定です。あの作品には「魔法が一般的に使われている世界」と「そうではない世界」との二種類があって、一方から他方にワープしたり、その他にもいろいろな干渉の仕方をしていました。そういうことが出来るようになるための設定です。
全然ボツネタじゃないんですが、色んな場面で使えそうなので投稿します。たとえば既存の作品の矛盾点解消やスピンオフ、複数作家による共作などにも応用可能だと思います。
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1.五次元の中の世界
小説の中に登場する世界は、私たちの世界と同じで、空間の三次元と時間の一次元、合計四次元によって表されると考えることが出来ます。
ここで、世界を表す五番目の次元が存在すると仮定します。
すると、五番目の次元上の任意平面が、一つの世界になっていると考えることが出来ます。
四次元に対する五次元がイメージしにくいときは、二次元に対する三次元をイメージしてみるといいと思います。
これを表したのが図1(添付ファイル)です。これ以降は、この図にのっとり、一つの世界を二次元(平面)で、別世界を意味する次元を座標系(w)で表すことにします。
小説の中の登場人物は、原則として自分の暮らす世界の四次元までしか知覚出来ません。
2.世界間干渉
w=0の世界と、w=0.000001の世界とは、きわめて近い存在であると考えることが出来ます。たとえば、Aさんがw=0の世界で話をしていると、そのすぐそばにある世界でもAさんが話をしています。ほとんど同じ世界が同時に複数存在するわけです。
もう一度二次元と三次元に立ち返って考えてみます。世界は空間の中の平面です。あなたが積み重なった紙の中から一枚だけを取り出そうとしても、かならずそのそばの紙がずれてしまいます。つまり、ある特定の平面一つだけに影響を及ぼそうとしていたとしても、かならず周囲の平面に影響を与えているということです。
もっと数学的に考えると、任意平面と任意平面との間は、それが数学的に全く同じ面でない限り、無限に分割することが出来ます。だから、世界は無限個存在し、それが切れ目なくつながっていると考えることが出来ます。
遠く離れた世界と世界の間では、こうは行きません。紙の例を見ても明らかで、あなたが紙を一枚引き抜いたからといって、変化しない平面もこの世にはたくさんあるからです。
ある登場人物の行為がどのような範囲の世界に影響を及ぼすのかは、そのつど柔軟に変化します。
この設定の何が便利かというと、例えば、過去のストーリーとほんのちょっと矛盾した話を書いてしまったとしても、「あれはずれた次元の世界の話だったんだ」と言い訳ができるようになります。また、その矛盾したエピソード自体も、本来の世界の出来事として、修正された形でフィードバックすることが可能です。
3.世界間移動
パラレルワールド・ストーリーを書くときには、世界間移動について考えることは、絶対に必要ですよね。
五次元を考えれば、世界間移動も単純に考えることが出来ます。私たちがxyz軸方向に歩くのと同じことで、登場人物をw軸方向に歩かせればいいわけです。色々な世界を通り過ぎたあげく、最終的には目的の世界に到着することができます。
また、パラレルワールドを多用していると、いつのまにか時間の相互関係が狂ってしまっているということもあるでしょう。分かります分かります。これを解決するためには、登場人物が世界間移動をすると同時にタイムトラベルもしていると考えるといいでしょう。多次元世界ではw軸方向に移動するのも時間軸方向に移動するのも大差ありません。
これを表したのが図3です。
図で書くとあまりにも簡単ですが、四次元の閉じた世界にいる登場人物にとっては、世界軸の存在を知ること自体が難しいはずです。なので、作中でバンバン世界間移動するような破天荒な話にはならないと思います。
4.六次元以上の世界
先ほどまでのように、世界と世界との関係を一時的に捉えていると、様々な問題が生じてきます。隣り合う世界が、右か左かの二つしかないので、矛盾した設定が多くなりすぎてくると、間を分割して新たな世界を確保することが難しくなるからです。
次元を増やすことで、この問題を解決できます。例えば世界座標が二次元で表されると考えれば、
AはあるけどBはなかった | AはあってBもあった
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AはなくてBもなかった | AはなくてBはあった
という四パターンを矛盾なく共存させることが可能になります。
現実的には、作者が今扱っている次元の数を考える必要はないでしょう。考えるべきなのは、「距離の近い世界と遠い世界とがあって、近い世界の方は、ストーリーのちょっとしたズレをごまかすのに使える」「遠い世界の方は、普通のパラレルワールドのように扱うことができる」という二点だけです。
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