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あのー…… 数えきれないほど投稿してきた 19/8/2(金) 22:14

チャオワールド (4) 数えきれないほど投稿してきた 19/8/6(火) 12:26

チャオワールド (4)
 数えきれないほど投稿してきた  - 19/8/6(火) 12:26 -
  
 目が覚めても、アオコは動かないでいた。
 とにかく脱力している。
 いつでも眠りが訪れられるように。
 特に腕の力は一切抜き、全身をシーツの上に捨てておく。
 ベッドや布団はなく、床の上に敷いただけのシーツだ。
 アオコは、なにもしたいと思わなかった。
 
 もうスピアが出かけてしまっていることは、部屋からなんの物音もしないから、わかった。
 アオコには、スピアの帰りを待つこと以外にするべきことがなかった。
 なにもしなくたって、夜になる。
 アオコは、ハートの実が欲しい、と思った。
 でも、ハートの実を飲んだって、一人じゃ空しい。
 おそらく薬の効き目で、空しさなどは感じないだろうと、アオコはわかっていた。
 だけど一人で服用する気にはなれなかった。
 代わりに、ベランダで育てているプチトマトを食べることにした。
 日はもう真上に来ていた。
 そういえばお腹が減ったような気がする。
 アオコは這ってベランダに出た。
 プランターで育てているプチトマトの、一番赤い一粒を取ってみる。
 口に入れてみると、プチトマトはまずかった。
 ろくに味がしない。
 噛むとあふれるトマトの汁が、生ぬるかった。
 ああ、毒だ。とアオコは思った。
 アオコは鉢植えの傍で横になって、さらに何粒も取る。
 まだ熟していなくても、構わずに一粒ずつ口に入れていった。
 これも毒だ。これも。
 味のしない実と汁を次々に咀嚼し、飲み込む。
 アオコは野菜が嫌いだった。
 野菜を美味しいと思った記憶がない。
 だけど拒絶反応はなかった。
 食べれば、確実に体の調子は良くなっていく。
 きっと私の細胞はすっかり毒で出来ていて、だから毒を食べ続けなければならないんだ。
 気付けばアオコは、毒と思っているプチトマトの実をほとんど取ってしまっていた。
 アオコは野菜ばかりを食べて、生きてきた。
 彼女の母親は菜食主義者だった。
 母親から離れるまで、アオコは肉を食べたことがなかった。
 初めて食べた肉は豚肉を焼いただけのものだったが、野菜とはかけ離れた味がして、恐ろしくなった。
 これはきっと食べ物なんかじゃない。
 アダムとイヴの食べた知恵の実だ。
 肉体もアオコの違和感に同調して、動物のタンパク質や脂質を受け付けず、翌日は熱を出して寝込んだほどだった。
 そうだというのに、スピアは私に肉を食べさせたがっている。
 今日もきっとなにかの動物の肉を買って帰ってくるのだろう。
 それは毎日のことだった。
 アオコは一口か二口だけ食べて、残りをスピアが平らげていた。
 スピアは肉を普通に食べられる。
 スピアは、私にもそうなることを望んでいる。
 そうしたら私はどう変わるのだろう。
 アオコは室内に戻らず、プランターの傍で眠ってしまった。
 アオコの非常に静かな呼吸は、リズムを持たずにぼんやりと漂っているだけだった。
引用なし
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