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☆★☆週刊チャオ チャオ20周年記念号☆★☆ ホップスター 18/12/23(日) 0:00

Scene:2 ホップスター 18/12/23(日) 0:13

Scene:2
 ホップスター  - 18/12/23(日) 0:13 -
  
「うぅ…えっと確か、トラックに轢かれて、女の子に転生させられて…」
少年は眩暈が残る中、必死で記憶を辿る。そう、異世界。ここは異世界。自分は異世界に転生したのだ。
ようやく状況を把握したところで、まずは周囲を見回した。

「ここは…海岸…?」
自分は砂浜のような場所にいた。周囲に人気はない。ふと陸の側を見ると、近代的な高層ビルが並んでいる。リゾートビーチのような場所だろうか。とすれば、文明レベルは元々いた世界と大差ない。
彼は安堵すると共に、ちょっとガッカリもした。そこまで詳しい訳ではないが、この手の異世界と言えば中世風ファンタジー世界で、自らの知識や才能を利用して楽に暮らせるのがお約束なのではなかったのか、と。

高層ビルが並んでいるのに人気がないのが少し不思議だな、と思いつつ、彼は気を取り直して、高層ビルが並んでいる街の方へ向かおうとした、その時。

「…ん?」
彼の足元に、ぷにっ、と柔らかい感覚がした。
これが最近流行りのアニメであれば恐らく美少女ヒロインなのだろうが、残念ながら周囲に人がいないことはさっき確認したはずである。
クラゲか何かか、と思い、恐る恐る足元を覗く。

そこにいたのは、水色の、ぷるぷるぽよぽよとした、見たこともない生き物だった。

「!?」
思わず驚き、すっと一歩下がる。水色の生き物は、その場から動かない。
彼は少し離れて、その生き物を観察しながら考えを巡らせた。

そう、何度も繰り返すが、ここは異世界である。元いた世界にいない生き物がいても不思議ではないのだ。
落ち着いて考えれば至極当然のことに気が付き、ふぅ、と軽く息を吐いた。見る限り、敵意も無さそうである。

それを確認して安心した瞬間、彼はふとある言葉を呟いた。
「チャオ…」

彼は自分でも、何故その言葉を呟いたのか、よく分からなかった。
が、直感した。これは、この生き物の名前であると。
それを把握した瞬間、突如彼の記憶の一部分がもやが晴れるように澄み渡り、初めて見るはずの目の前の水色の生き物について、ずっと前から知っているような感覚が彼を覆った。

「俺は…この生き物を…知っている…?」
思わず呟く。元いた世界にはいないはずの生き物を知っている。不可思議な現象であり、彼もしばらく混乱した。
数十秒経ってようやく思考が落ち着いてきて、異世界に飛んできたのだからそういうこともあるのだろう、と無理矢理自分の中で納得することにした。

そこでふと、彼の注意がそのチャオから離れた時に、彼の耳にある音が響いてきた。
ザッ、ザッ、という、砂浜の上を人が歩く時の独特の足音。誰か、近づいている。音の感じからして、ほぼ間違いなく人間のそれだ。
果たして、初めて遭遇する異世界の人間とは―――彼は恐る恐る、そちらを振り向いた。

「…あら、驚かせたらごめんなさいね。敵意はないわ」
そこにいたのは、若い大人の女性だった。20代から30代ぐらいだろうか。彼女は目が合うと、そう話しかけた。
そして、次にいきなり、核心を突いてきた。
「貴方も『異世界からの漂流者』かしら?」

「何故、それを…」
思わず彼はそう返したが、彼女は落ち着いた表情を崩さずに話を続ける。
「この世界は『そういう世界』で、たまにいるのよ、君みたいな人が」
「そ、そうなんですか…」
彼はそう答えた。彼女の言った『そういう世界』がどういう世界なのか具体的には解らなかったが、直感的にはなんとなく理解した。

「…かわいいでしょう?『チャオ』っていうのよ」
彼女は続けてそう言い、彼の目の前にいたチャオを拾い上げる。ポヨがハートマークになった。
「この世界の、生き物ですか?」
彼はそれに対し、そう質問した。ただ、少なくとも、自分の頭の中では答えは既に出ている。
「ええ。…そういえば、漂流者の中には、この世界を『チャオの世界』って言う人もいるわね」
彼女はそう答えた。チャオの世界、というのは少しオーバーだな、と思ったが、ほぼ彼の予想通りの答えだった。

そこで彼は、さらにこう問いかけた。
「…少し変な質問をしてもいいですか?」
「何かしら?」
「なんというか…何かが、おかしいんです。俺の元いた世界にはチャオなんかいないはずなのに、俺はこの生き物をずっと前から知っていたような気がして…そういう現象って、ありますか?」
すると彼女は、首を傾げつつこう答える。
「うーん…私は比較的漂流者と話すことが多いけども、そういう話は聞いたことがないわね…」
「そうですか…ありがとうございます」
彼は残念そうにお礼を言った。

そこで彼女がフォローするようにこう続ける。
「そうね…でも、それなら、もしかしたら、あなたは何か運命みたいなものを背負って、この世界にやってきたのかも知れないわね」
運命。その言葉で、彼は異世界に転送された際の少女の言葉を思い出した。
―――貴方が行く異世界は、貴方のパーソナリティや生い立ちをある程度反映した世界になる―――つまり、「チャオの世界」に自分が転送されたのは、自らとチャオに何か関わりがあったからなのかもしれない。最も、異世界の生き物と自分がどう関わっていたのだろう、という謎は解けないが。

一通り話が終わったところで、彼女は話題を切り替えた。
「とりあえず、漂流者を支援している団体があるから、そこに案内してあげるわ。…といっても、実はあたしもそのメンバーなんだけどね。とにかく、この世界で暮らしていくのをサポートするから、安心して」
「そういうのがあるんですね…ありがとうございます」

彼女は抱っこしていたチャオを砂浜に返すと、彼を案内するように歩きだした。彼もそれについていく。
静かな砂浜に、2人の足音だけが響いていた。
引用なし
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