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自分の冒険 〜自分ならこう書く〜 冬木野 12/4/26(木) 11:03

絵無しマンガ物語 〜ボウケン〜 1 それがし 13/12/31(火) 23:55
絵無しマンガ物語 〜ボウケン〜 2 それがし 13/12/31(火) 23:56
絵無しマンガ物語 〜ボウケン〜 あとがき それがし 13/12/31(火) 23:59

絵無しマンガ物語 〜ボウケン〜 1
 それがし  - 13/12/31(火) 23:55 -
  
>ある日、主人公は偉い人に適当な理由を言われてラスボスを倒す旅に出ることになる。心配する異性の幼馴染も一緒についてくることになり、二人で旅に出る。


「というわけで、主人公、ラスボスを倒してきてくれたまえ」
「はい分かりました、王様」

「主人公クン、私も行くわ。あなたのことが心配なの」
「お前はだめだ。これから俺が通る旅路は、常に死と隣り合わせになるだろう」
「……そんなこと分かってる。でも、だからと言って主人公を一人で街から送り出すことなんてできない!私にはできないよっ!」
「……。分かった。幼馴染!一緒に行こう」
「ありがとう、主人公!」


>途中に寄った町でラスボスの配下による大量虐殺が起こる。どうにかして問題を解決した主人公達の仲間に加わりたいという生き残りを連れ、再び旅に出る。


「何だこれは!あんなに穏やかだった〈初めての街〉が燃えている……そして――見ていることすらできない。ひどい、ひどい有様だ」
「信じられない……誰がこんなことを」
「ハッハー、俺だ!」
「お前は……配下X!貴様!」
「ふん、今のお前に用はない……この燃える街を眺めながら、ラスボス様の偉大さにとくと畏敬の念を抱くがよい!ハッハー!」
「くそぉ……行ってしまった」
「許せないわ……」
「主人公さん……ですか?」
「お、お前は、僧侶ちゃんじゃないか!この街で暮らしていたのか、怪我は!?」
「大丈夫です。それより、主人公さん、私は僧侶としてこの街の方々の手当てをしていましたが、聞くところによると、ラスボスは世界のあらゆるところで同じような行為を繰り返しているということです!」
「……俺の父が命を賭して倒したラスボスが、またもこの世界を闇に包もうとするとは……くっ!」
「――主人公さん、私も行きます」
「お、来てくれるのか僧侶ちゃん!頼もしいよ、ぜひ一緒にラスボスを倒しに行こう!」
「ええ!」
「むぅ、何よ。私の時は、こんな風に頼ってくれなかったくせに――」


>ある町で幼馴染と仲間が喧嘩をしてしまい、別れてしまう。主人公は自分よりも若い第三者の協力をもらって二人を探す。


「あなたが適当な地図を描くから、ラスボスの配下の動きに対応できなくて、〈海の近くの街〉がより甚大な被害をこうむってしまったんじゃない!」
「……何よ!私は足りない時間で必死にできることをやったわ!そこまで責めなくていいんじゃない!」
「あなた、主人公クンの幼馴染か知らないけれど、役にも立てないのにどうして主人公クンと一緒に旅をしようとするの?それで助けになっているつもり?」
「おい、僧侶ちゃん、それ以上言うな――」
「主人公クンも、幼馴染さんのこと味方するの?……結局、役に立とうって努力じゃなくて、昔からの関係が優先なのね!こんな人――」
「僧侶ちゃん!!」
「――幼馴染さんなんて、いなければよかったのに」
「!!」
「おい、幼馴染!まだこの街は危険だ、幼馴染!」

「いや、助けて!……主人公!」
「えへへ、キミの恋人さんかい?でもここには俺たち以外はいないさ。財宝だけ手に入れりゃあよかったが、こいつはいい上物だ。おい、お前ら、抑えとけ!」
「いや、助けてっ、助けてー!!」
「助けが呼ばれたような気がしたので!」
「何?……ぐはっ」「ぐっ」「うっ」「かはっ」
「……え?」
「大丈夫、お姉ちゃん。僕、裏の山から師匠と一緒に救護活動をしている空手家なんだ。まったく、こんなに鍛えているなら別のことに使えばいいのに……女の敵!」
「か、空手家くん?倒れている人に乱暴しちゃだめよ?」
「……フフ、さっきまでピンチだったのに、優しいんだね」
「ああ、それは……」
「僕は――あなたみたいな優しいお姉さんを助けるために強くなろうって決めたんだ。いなくなっちゃったお母さんも、僕の尊敬する師匠も、そうであってほしいって僕に言ったから――ねぇ、名前はなんていうの」
「幼馴染よ」
「幼馴染さん、あなたの身なりは旅人のそれだね。どこに仲間がいるの?」
「私は……へへ、一人」
「えっ」
「メンバーさ、首にされちゃったから」
「そんな……。僕は大人のことは知らないけど、こんな危険な世界を旅するチームは、絆が強いんじゃないの?ちょっと喧嘩したくらいで、壊れちゃわないよ――」
「そうかもね。うん、そう、私はそう信じてる。……でも、私は、迷惑をかけちゃったみんんなのところに、戻れないよ」
「幼馴染さん……」
「ごめんね、子供の男の子に、こんなこと言う私、情けないよね?」
「ううん、気にしないで。幼馴染さん、僕の師匠を紹介するよ。そこでしばらく一緒に救護活動をしよう。それで、何か見つかるまでいればいいと思う。師匠にそういうからさ!」
「空手家くん……、ありがとう」


>幼馴染か仲間のどちらかがラスボスの配下に襲われる。その窮地を幼馴染or仲間と第三者が助け、仲間たちは手を取り合う。


「幼馴染さんは、いったいどこに行ってしまったのかしら……。私が、私が追い出してしまったがために、幼馴染さんは、もしかすると、もう……」
「悲観するな僧侶ちゃん。僕がチームをまとめられなかったからだ」
「主人公クン。違うの、ごめんなさい。私――本当は不安なの」
「僧侶ちゃん……」
「いつかみんなで子供時代を過ごしてたのに、私だけが遠い街に行ってしまって、主人公クンや幼馴染さんみたいに、同じ時を刻んでこれなかったから」
「僧侶ちゃん……」
「それに、私はきっと嫉妬しているんだと思う。私は知っているの。小さい時から、あなたの気持ちも、そして、私自身の気持ちも」
「僧侶ちゃん、それは――」
「――夜な夜な、そんな悠長に過ごしていていいと思っていたのかい?」
「お前は配下Y!……くそっ!いつの間に」
「いつの間に?馬鹿だなキミたちは。こんな誰もいない辺境の地で炎を炊いてキャンプしているうえ、当の旅人さんたちも自分のことで思い悩み、付け入る隙はいくらでもあったのさ。特にそこの男の子君。誰よりもチームを守るべきキミがそうだから、さ」
「……俺が」
「そう。でも大丈夫、弱いのは君だけじゃない。人間みんな弱いのさ。……そう。人は偉大なる悠久の力に包まれたラスボス様の支配下に下るべきなのだ!そして、それを邪魔するものは私が殺すのさ!」
「そんなこと――ぐっ、動けないだと」
「主人公クン!」
「残念だが、主人公。君はもう戦えない。そういう魔法を施したからな。そこの女の子は……ふふ、僕の好みだから逃がしてあげるよ。どうせ君一人いても、世界が変わることはないだろうさ」
「……僧侶ちゃん、逃げろ!!」
「主人公クン!?」
「あいつが言っていることはどこまで信じれるか分からないが、少なくともまずは俺を殺すだろう。だから、俺が絶えている間に、逃げるんだ」
「嫌!私は主人公クンを置いていくことなんて――」
「……フフ、逃げるのも、いいけどね。でもそれは残念だ、僧侶ちゃん。だって主人公クンが切り刻まれるショーを観戦することができないんだから」
「!!」「どうする、僧侶ちゃん」「……戦う」「僧侶ちゃん!!ダメだ!!」
「主人公クン、私は――戦います!私一人で……主人公クンを守って見せる!!」

「ぐぅぅ……、かはっ」
「僧侶ちゃん!!」
「はぁはぁ……私は、大丈夫。私が、あなたのことを、護るの」
「ダメだ、もう逃げろ、いいんだ、もういいんだ、世界を守れなくてもいい、チームのみんなが死ぬ姿なんて俺は見たくないんだ……!」
「ううん、主人公クン、私は死なないよ。私は、きっと勝つ、から、……。ぁ……」
 ―バタッ。
「僧侶ちゃん!!僧侶ちゃん!!」
「もう息が絶えたのかい。やっぱり非戦闘要員は弱いね。手ごたえがない」
「貴様!くそっ、クソォ!!」
「アハハ、キミは覚醒できるわけでもない。何のルーツも、何のポテンシャルもない。ただの旅人さ。そう叫んでうまくいくことがあるならさぞ都合のいいストーリーになるだろうが。残念だね、ラスボス様はそれを許しはしないよ」
「く……クソォォ!!!」
「最後まで抗ったことは褒めてあげよう……、一瞬で、死ね――」

「ふっ、ワシの目に留まったからには、そうはさせぬぞ!」
「――何!?私の攻撃を、素手で止めただと……?」
「幼馴染、至急そこで倒れている子の手当てを」
「はいっ、師匠さん!」
「空手家!お前は、そこで呪縛魔法にとらわれた勇者君を救出だ!」
「はいっ。……そりゃっ」
「んっ。……ま、魔法が解けた。ありがとう、キミは」
「空手家さ。あなたが主人公って人か。確かに、頼りなさそうな顔してるね」
「俺の名前をどうして――お、幼馴染!幼馴染、お前……!」
「ふ、ごめんなさい主人公。あなたが、そして――僧侶さんが、こんなピンチになってたのに駆けつけられなくて!」
「すまない。俺は、僧侶ちゃんがボロボロにされるのを前に、何も」
「落ち込まないで、今は目の前の敵を倒さなきゃ。行くよ!――主人公!」
「ああ!」

「ちっ、ただの空手ではない……魔法を手に宿す格闘技の一つか。面倒くさい人間が押し寄せてきやがって……」
「時にお前、ラスボスという男が一人世界を統治することを信仰するものか」
「ああそうだ。だったらどうした?」
「ワシはこう思う。人間は実に様々な考えを宿し、行動を起こし、失敗や成功を積み重ね、それぞれが世界で羽ばたく人間になっていくのだと。ワシは色々な子供らの師匠として世界を渡り歩き、気づいた。一人の人が世界を統べるのではなく、それぞれの人が交わり、感情をぶつけあってこそ、世界は初めて成り立つのだと!」
「……小賢しい!ラスボス様の行動を阻害する人間は何人あっても私が倒す、行くぞっ――」

「……くそ、クソォ、俺が、押されるなど、ありえんっ。まずは主人公、再びお前を呪縛に――」
「させないっ」
「何っ!?」
「幼馴染!……俺はお前を守らないといけなかったのに」
「気にしないで、主人公。あなたが私を守るように、私もあなたを守りたいの。だから、これは私の意志――私と、あなた……一緒にラスボスを倒そう!」
「幼馴染――」
「それで、いつか平和な世界になったら、また一緒に暮らそう? 主人公――」

「おおおおお、貴様ら、これで勝ったと思うなよぉ!!!」
「なんだとッ!?」
「これは、強烈な闇の渦!自爆覚悟で俺たちを闇に飲み込もうとしているのか!――あ、危ない、幼馴染!」
「主人公……っ」
「幼馴染―!!」
「くそっ、ワシも間に合わんっ」

――ガシッ。
「え?そ、僧侶ちゃん!!」
「はぁはぁ、……っく、幼馴染さん……っ。私は……あなたが憎い。主人公クンを取っていくあなたが……とっても憎い」
「……」
「でも、あなたは私の大事なかつての親友で、今、誰よりも人のことを気遣い助けてくれる、大事な、そして大切なチームの一員ですから!」
「僧侶ちゃん――」
「堂々と戦います。陰気なことはもうしません。それで、あなたと私はうまくやっていける!あなただけにあんな下衆な男のせいで消えてしまうことがあっちゃいけない、いけないんです!!!」
「よし、僧侶ちゃん、俺も手伝う!幼馴染、俺たちの手を絶対に離すなよ!」
「幼馴染さんっ」
「幼馴染!!」
 一緒に、歩いて行こう。
「――うん!!」

「くそっ、クソォおおおおお……!!! わがラスボス様は!!! 必ず世界を統治し!!! そして、この世界をお救いになるのだあああああああ……」

「……これで、目の前の悪は去ったか。ワシは、これから世界をまたにかけ戦う戦士たちを育てるために、また〈海の見える街〉に戻らなければならないが――空手家!幼馴染!」
「はいっ」「はいっ」
「お前たちは卒業だ。これからは、好きにやるがよい」
「好きに……?師匠、それは――」
「たわけ!分からぬか空手家よ。お前も彼らのメンバーとして、ラスボスを倒しに行くのだ!お前は大人になり、様々な世界を旅するだろうが、まずは仲間と協力し合い、進んでいく術を身につけろ。……このチームは、きっと強くなるぞ」
「師匠……」
「さらばだ、空手家、幼馴染」
「あ、ありがとうございました!!」「ありがとうございました。……師匠」

「……ふぅ、時間が取れて、ようやく自己治癒を行うことができました。幼馴染さんと、師匠のおじいさん……彼女は、強くなったんですね」
「ああ、だから――」
「え?」
「いや、なんでもない。……ありがとう、僧侶ちゃん。君がいたから、僕はこうやって再び立つことができた。感謝してもしきれない」
「いいんです!それは、私が望んだことですから」
「そう言ってくれるんだな。強いな、僧侶ちゃん、幼馴染も……。……」


>前回の騒動から自分に自信を失くす主人公は、仲間から励まされ再び立ち上がる。(誰からでもいいし、何人でもいい)


「……どうしたんだい、主人公?〈風の吹く街〉は、無事、破壊される前に僕らが敵を倒したおかげでこんなにも穏やかな風が吹いているよ。そんな中で主役の主人公がポケッとして何やってるんだ?」
「空手家クンか……。俺は考えていたんだ。自分の、このチームに対する貢献を」
「貢献?」
「キミは身体能力を駆使しながらアタッカーとして敵をなぎ倒し、幼馴染はそんなキミの動きをうまく見抜いてコンビネーションとフォローに長けた攻撃をして、僧侶ちゃんはバックアップとして完璧だ。俺は――中途半端だ。攻撃も強くないし、強い魔法が使えるわけでもない、回復はもっぱら俺自身も僧侶ちゃん任せだ、俺ができることはせいぜい僧侶ちゃんが届かぬ範囲で薬草をキミたちに手渡すことくらいだ」
「……。それで、主人公は役に立っていないんじゃないんかって?」
「ああ、恥ずかしながら、俺は、――」
「――僕は、主人公はたった今、自分で主人公自身の貢献を言ってくれたと思ったんだけど」
「どういうことだ」
「確かに、以前、配下Yの時は主人公がメンバーの機微を見抜けず、おまけに立ち回りも遅くて、そのせいで被害は大きくなった。それは本当だよ」
「……」
「でも、さ。僕は思う。前あった戦闘で配下レベルでない敵に苦戦したのは僕が時間を急いで飛び込んだから。以前宿がいっぱいで野宿したのは買い物に夢中な幼馴染さんに付き合わされたから。夜中奇襲で初期対応が遅れたのは僧侶さんが宗教上の理由と言って、教会での祈りを欠かそうとしなかったから。……これは全部、同じミスで、失敗だよ」
「そんな、でも、比較してみたら」
「比較なんてすることじゃない!……そうじゃないんだよ。僕が言いたいのはただ一つ。僕らは4人全員生きてるんだ。それだけでいいんだ。敵陣を突破し、配下を倒し、ラスボスを倒した後に、僕ら全員が元気でいられればそれでいいんだよ。その道中の失敗は、誰も責めやしないんだ」
「空手家くん……」
「誰かが失敗しても、誰かがフォローするから、結果としてチームとして前に進めるんだ。それが、チームとして人が集う唯一無二の理由じゃないのかい?だから――」
「――ありがとう、空手家くん。俺が間違っていた」
「主人公……」

「……空手家クン、いや、空手家〈さん〉。キミもまた、そんな苦しい時に声をかけてくれた人がいたのかい」
「!主人公、いつの間に気づいていたんだい」
「20年前、ラスボスの急襲で壊滅的被害を受けた〈旧都〉、そしてその領主であった王族は皆殺しにあった。が、実はその一人娘が行方不明だという話をそこらの店で聞いて、写真も見せてもらったんだ。ちょうど髪を伸ばして、もう少し幼くなった、キミの顔が」
「……アハハ、幼馴染さんはずっと僕を年下の男の子だと思っているけどね」
「幼馴染は素直な性格なんだよ」
「フフ、僕は確かにその通り、旧都の王族の末裔さ。数年は森をさまよって過ごしたんだ。その間、助けてくれたのはエルフだった。人間と距離を置き、民族性を非常に大事にする彼らなのに、よほど見たくれがひどかったんだろう」
「エルフ、そうか、そんな生活をしてきたのか」
「生活は彼らに合わせて、そのせいか背もそんなに伸びなくて、代わりに今でも通用する抜群の身体能力と、少しの魔法を覚えたんだ。それさえあれば、少しは無理できる。主人公のあの鎖を千切るくらいには」
「あの時は、ありがとな」
「いいのさ。……そして、そのあと、師匠に会って、彼とともに旅をしてきた。彼は昔冒険家でさ、エルフの毒矢で刺されようとしたところを、僕が助けたんだよ」
「お手柄だ」
「ハハ。さて、そういうわけで僕は御年23歳でキミたちよりお姉さんだ。分別が聞く子とどもとか言われると少し腹立たしいけど、これはこれで有利に働く場面も多いし、重宝させてもらってるよ。少年空手家の地位をね」
「そうか。もしよければいくつか技を教えてもらいたいものだ」
「アハハ、そのうち、以前配下Yに受けた魔法くらいは教えてあげられるよ。単純だけど、精錬すればするほど、強いものになるから、いずれ役に立つ時が来るさ」
「そうなのか。今日からぜひ、ご教授願う」
「厳しいよ」
「構わないさ」
「よし、なら、早速――ん?」
「主人公―!なにしてるのー?」
「主人公さーん。ここにいたんですか、幼馴染さんが美味しそうなレストランを見つけたんですよ。一緒にお昼にしましょうよ!」
「幼馴染。僧侶ちゃん。……ああ、そうだな。――行こう。空手家も!」
「――ハハ。おうともさ、バクバク食って主人公の分を空にしてやる」
「アハハ、空手家クン、育ち盛りだねー!」
「フフ、さあ、行きましょう。みんなで。旅はまだまだ続くんですから!」
引用なし
パスワード
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絵無しマンガ物語 〜ボウケン〜 2
 それがし  - 13/12/31(火) 23:56 -
  
>いよいよラスボスの拠点も近くなってきた頃、主人公はラスボスの正体が、自分と幼馴染の昔の友達であり、忽然と姿を消したチャオであることを知る。


「ハ……ハッハッハ……強くなったな、主人公――」
「配下X。戦いは決した。お前はもう再起不能だ。そこを通してもらおう。〈王座の間〉に進まなくてはならない。俺たちはお前たちのように殺しを好んでは行わない」
「ふ……殺しなんて、一瞬の産物に過ぎない。生きることで背負う苦しみに比べれば、そんなもの蚊が血を吸うことの煩わしさでしかない」
「なんだと!……貴様、その所業でどれだけ苦しんだと思っているのだ!」
「お前は旧都の……なるほど、配下Yはいつも詰めが甘くて困る」
「貴様っ――」
「待ってくれ空手家。俺はラスボスと戦う前に、お前に聞いておきたかったことがある」
「なんだと?ハハハ、この俺にお前が質問をするとは!……面白い、言ってみろ」
「お前は、――ラスボスは、なぜ、このような殺戮を行う?地位的理由であれば、ラスボスは敬われる存在を失う。経済的理由であれば、経済など存在しなくなる。人を殺し続けることに、意味などないのではないか、少なくとも、人として、生きている限りは――」
「……そうか。そうだな。フードで覆われているから、俺たちの存在の正体などに気が付かないわけだ」
 ――バッ!
「!お前は、その姿、いったいなんだ!」
「CHAO〈チャオ〉。人間の体細胞遺伝子を組み替えることで達成される、人間個体として最大ポテンシャルを有する進化形態。もっとも、完全系は、ラスボス様。俺たちはそのコピー、MACHINERY-CHAO〈オモチャオ〉に過ぎないのだが」
「どういうことだ、その形に進化することと、人を殺し続けることに、何の意味がある!」
「……分からないか。まぁ、分からないだろうな。君が過去に言った言葉を訂正していない限りは」
「なんだと」
「見せてやるよ、その映像を」
 ――カッ!
「なんだ、この光は、まぶ、しい……!」
「主人公クン、光の中に消えて――主人公クン!」
――さあ、主人公。見るがいい、キミが与えた、一握りの、そして恒久の絶望を。

「しゅじんこー」
「しゅじんこーくん」
「なんだよ、お前ら、くっついてくんなよ。おれはお花じゃなくて、トモダチのとこにいくんだよー」
「えー、またー? あのこ、へんな子だし、きらいじゃないけど……いっしょにあそぶのはヤだよー」
「それに、しゅじんこークンは、わたしたちと、いっしょー!」
「ねぇ、そうりょちゃん、いっそのことつかまえちゃって、お花畑まで連れて行こうよ!」
「そうだね、それがいいよ、おさななじみちゃん!」
「ちょっ、まっ……えいっ、にげるがかちだー!」
「あ、まてー」
「まってよー!」

「ふう。にげきれた」
「……しゅじんこう」
「おう、トモダチ、きょうも来たぜ。ろぼっとたくさんうごいてるな!あいかわらず、すっげーよ、おまえ!」
「えへへ……、そうかな、そういってくれるとうれしいな、うん。」
「ああ、今日は何作ってるんだー? へー、かわいいなぁ」
「そうでしょ。〈おもちゃお〉っていうの。ぼくが新しく作った、ロボットなんだよ、うん」
「うごくのか」
「うん、もちろん」
「すげー、うごかしてみせてよ――おー、すげーすげー、かわいいし、かっこいいし、さいこうだな! おれ、これ大好きだよ!」
「大好き。……大好きだって、言ってくれるの、しゅじんこう、きみは、この子を」
「ああ、もちろんさ!」
「えへへ、うん。そうか、ぼくは……うれしいな」
「なあ、こっちのろぼっとも、うごかしてみていいか?」
「うん、いいよ!」

「……あ、そろそろゆうがただ。もどらないと」
「しゅじんこうくん」
「お、なんだ、きゅうにおれのうしろにたって」
「ちゅー、していい?」
「は、おまえ……なにいってんだよ。たしかに、おまえはすげーし、そんけーしてるけど、そういうのはすきなおんなのことするんだよ」
「すきじゃないの? ぼくのこと、しゅじんこうは……」
「すきだよ。でも、おまえ――」

「――おとこのこじゃん」

「……だから、ちゅーできないの?」
「だって、しかたないだろ。みんな、そういうよ。おとこのこどうしでちゅーなんてできないって」
「みんな?」
「ああ、――せかいじゅうの、みんなが、きっとそういうよ」
「……そう。うん、じゃぁ、ぼくらふたりきりのせかいだったら?」
「どうだろ、もしかしたら、ちゅーしてもいいかもな」
「……そう。なら、しゅじんこう、もし、ぼくらがおとこのことか、おんなのことか、そんなこと関係無くなれば、ぼくらはちゅーできるのかな」
「そうかもな。そうなったら、のはなしだけど」
「ふぅん――」
「あ、ほんとにくらくなってきちゃう、じゃあな、トモダチ、またな!」
「――うん、ばいばい」

「――俺は、まさか。あの時のあいつが、ラスボスだと……!?」
「フフフ。人というのはすごいな。その短い命でどこまでも探求していくことができる。いい方向にも、そして、悪い方向にも」
「確かに、あの日を境に彼を見ることは二度となくなっていた。どこか遠いところに何も言わずに引っ越していったのかと思ったが――」
「旅はいつだって目的があってこそ始まるものだ。キミみたいに、与えられることを望み、それをそのまま自分自身の理由とする人間もいれば、幼いころから譲れぬ何かを抱えて、誰も行ったことがない世界へと足を踏み入れる者もいるということ……だ、な……」
「……おい。おい、配下X! 目を閉じるな! おまえにまだ聞きたいことが――」
「フッ……無駄……さ、俺のエネルギーはもうじき切れる。再生はきかない……使い捨ての人形でしかないのだ。……サヨナラだ、主人公。お前たちの、世界に散らばる人々の存在は、本当に――本当に羨ましく見ていたよ」
「配下X、配下X!!」
「――本当は、俺も……。……」


>ラスボスのことを幼馴染に打ち明けられぬまま、とうとう主人公達はラスボスであるチャオと対面する。


「……」
「主人公。君は配下Xと最後にどんな会話を交わしたんだ。今のお前の表情が、はた目から見ていたたまれないくらい苦しそうだ」
「主人公」
「主人公クン」
「……、俺は。俺は、何の目的もなく生きることを避けようと、王が出した無茶な旅を受け入れ、今こうして達成される寸前にまでいる。その中で、俺はいかにその決断から自分勝手なモノかを思い知らされ、それでも支えられ、助けられて、ここまで来た」
「主人公。それは私もだよ。私はただ、主人公を助けたいって思いだけでここに来た」
「主人公クン。私も、幼馴染さんと同じです。ただ、祈るだけではいられなかったんです」
「主人公、僕らの中で確実な目的を持っている人間なんて、そういない。そういった人たちが交わって、初めて目的が生まれて、方向性が生まれるんだよ。そうだろう」
「……。みんなの言葉は、僕を絶望から何度となく救い、そして、僕を強くしてくれたね。おかげで僕は、本当に強くなったよ。本当は、みんなで戦うことで最大の強さを発揮できるのかもしれない」
「主人公クン?」
「でも、すまない、俺はっ!!」
「!!呪縛魔法……!」
「主人公……、クンッ」
「どういうことだ!主人公!離せ!お前はいったい何を考えている!おい!」

「――ありがとう。最後は、俺がなんとかしなくちゃいけないんだ」

「空が青い、風が心地よい……ラスボスの塔の最上階は屋根が崩れ吹き抜けた場所にあったのか――、なぁ、トモダチ。お前はいったいどうしたんだ」
「――しゅじんこう」
「その体は……、CHAOと言ったっけな。見れば見るほど、愛くるしい小さな動物のようだ」
「ふふっ、そういってくれると、嬉しいな。うん」
「でも、その正体は――殺戮兵器の中枢。オリジナル」
「そうかもしれないね」
「どうして、そんな姿に。そして、どうして、こんなことをしでかした」
「この姿は、人間の完成形だからだ。男も女も関係なく、生殖を行えるし、人間よりもずっと高い身体能力を備えている」
「おとこのこは……嫌いか」
「おとこのこであるキミは好きだけど、おとこのこである僕は嫌いだったよ。うん」
「殺戮は……好きか」
「人を殺すのは好きじゃないよ。でも、キミと二人きりの世界は好きだよ。うん」
「お前の配下X、Y、いろいろな敵は、俺自身も殺そうとしたが」
「キミを殺そうとしたわけじゃないよ。キミの仲間も含め、世界中の人をみんな殺そうとしただけだよ。キミを殺そうとすれば、キミの強い仲間は体を投げ出して、か弱いキミを助けようとするから」
「――ッ。俺は、お前を倒す、そして――」
「……ま、いいんだよ。この世界のことは、もういいんだ。うん。だって、ついさっき、やっと完成したんだ」
「俺は一人で、お前を――」
 ――カッ!
「また、この光――!!」
「キミは一人で来てくれたね。僕もキミとは二人になりたかった。連れて行ってあげるよ、CHAOの万能な能力で作られた〈仮想の街〉へ。誰も邪魔できない、二人きりの世界。君と僕は永久に二人で暮らすんだ」
「なんだと、トモダチ――ッ」
「さぁ、行こう。悠久の世界へ。そして、楽園へ」

   …   …   …

「ねぇ、しゅじんこう。僕らはいったい、どれだけ歩けばいいのだろう」
「さぁ。この永遠の砂浜と浅瀬だけの世界に、定住できるところはあるのだろうか」
「分からないよ。でも僕は幸せだよ、キミと一緒に手をつなげて歩くことができる。好きな時にちゅーできるんだ」
「俺も、もしかすると、幸せなのかもしれない。昔はただのおんなのこみたいなおとこのこだと思っていたけど、大人になっても、お前は可愛いよ。女の子よりかわいい男の子なお前と一緒に手をつなげて、ちゅーできるんだ」
「フフ」「アハハ……」

 ――主人公!

「……っ?」
「どうしたんだい、しゅじんこう。一瞬、嫌な顔をしたけれど」
「いや。何でもない。少し耳鳴りがしただけだ」
「そうなの。それなら、僕はいいんだけど……。うん」

 ――主人公クン!

「……しゅじんこう。顔色が戻らないよ。耳鳴りがひどいのかい」
「違う――違うんだよ、トモダチ、お前が心配することは……」

 ――主人公。

「……くっ」
「しゅじんこう! どうしたんだい、しゅじんこう」

 ――私は、主人公を待っているよ。
 ――主人公クンがラスボスと何の因縁があるかは知らないです。けど、私は会いたい。あなたにもう一度会いたいです。
 ――主人公。もう話すこともない。戻ってこい!君がどこに消えたかは知らないが、僕らが君を求め、君が僕らを求めれば、声は必ず届くはずだ!

「俺は――ッ」
「しゅじん、こう? ――なっ! これは、呪縛魔法、だと?」
「……トモダチ。お前は確かにすごかった、俺の子供時代最も尊敬した人だったし、最も印象に残っていた人だった」
「くっ、力が強い、僕にほどけない呪縛なんて」
「俺は今想いを新たに、一つに振り絞った。もし君が俺のその想いを超えられるなら、易々と解くことができるだろう」
「……しゅじん、こう」
「お前は、俺に一度でも、素直に思いをぶつけたことがあるか。たとえ俺に嫌われようという覚悟をもって、お前は俺にその好意を伝えたことがあるか」
「それ、は」
「はじめ、俺はそれでもお前の声に耳を傾けられなかったことを公開した。惨事を起こした一端として、責任を持って、お前と二人殻に閉じこもり、世界を守ろうとした。けれど、それは違うと気づいたよ」
「しゅじん、こう、やめて、行かないで……」
「人は伝えなければ、人に想いは届かない。たとえ苦しい道のりを歩んだとしても、傷つき、傷つけたとしても、素直に等身大の自分をぶつけていかなければ、想いなんて届かないんだ」
「……」
「そして、俺は聞こえるんだよ。みんなの声が――」
「僕、は……ぁ……」
「――さよなら、トモダチ。お前はこの悠久の世界で一人、自分自身のやったことを回顧しながら生きていくんだ。いつか、その間違いに気づけば、解放されるよ。この世界を縛っているのは、お前自身なのだから……」

 ――カッ!


>そして――


「……ん、ううん……」
「主人公!」
「ここは……空が青い。固い地べたを感じる。俺は、戻って、来れたのか」
「ああ、主人公。戻ってこれたぞ。ここは、僕らの世界だ」
「主人公クン!」
「あー、僧侶ちゃん、どさくさに紛れて主人公に抱きついて」
「うー、――あ、僧侶ちゃん、当たってる」
「わざとですよー」
「ちょっと、僧侶!あんた、堂々と胸押し付けているんじゃないよ!」
「そんなこと言うなら、幼馴染さんも抱き着いてみればいいじゃないですか。……当てるものがあるなら」
「うっ」「……うっ」
「あれ、流れ弾? どうして、空手家クンが私の言葉で傷ついているんですか?」
「あー、いや、なんでもないんだ。うん、なんでもない」
「もう、当てるものがなくてもいいもん! 主人公に抱きついちゃえ!」
「お、おい、幼馴染――んっ」
「んっ、ぷはっ。お、おさななじ、み……?」
「あー!! 幼馴染さん、なんてことを!!」
「当てられないなら、別のものを先に奪ってやれってやつですよ」
「うー、卑怯です、私もちゅーしますー!!」
「おい、やめろ、やめ――んっ」

「ハハ、世界は、平和だな……」


〜終〜
引用なし
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絵無しマンガ物語 〜ボウケン〜 あとがき
 それがし  - 13/12/31(火) 23:59 -
  
くぅ〜疲れましたw これにて完結です!

実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

僧侶ちゃん「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

幼馴染「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

空手家「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

主人公「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ラスボス(トモダチ)「・・・ありがと」ファサ

では、

僧侶、幼馴染、空手家、主人公、ラスボス(トモダチ)、俺「皆さんありがとうございました!」





僧侶、幼馴染、空手家、主人公、ラスボス(ラスボス)「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」


本当の本当に終わり
引用なし
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