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自分の冒険 〜自分ならこう書く〜 冬木野 12/4/26(木) 11:03

ピュアストーリー 最終話 新たな世界 スマッシュ 13/12/14(土) 0:05

ピュアストーリー 最終話 新たな世界
 スマッシュ  - 13/12/14(土) 0:05 -
  
 強い光から解放されると、隣にサイスがいた。どうやら酷く心配していたらしい。サイスは力の抜けた声で、
「よかったあ」と言った。
「心配かけたみたいだね」
「だっていないんだもん。そりゃ心配するよ。私だけ逃がしたのかな、とか」
「ごめん。ちょっと別の場所に飛ばされちゃったんだ」
 サイスは怪我とか大丈夫などと一通り質問して無事であることを確認し、再び安堵した。五八四町の基地は爆発しなかったことをハルバードはサイスから聞いた。
「自爆するわけじゃなかったんなら、別にカオスコントロールしなくてもよかったのかもな」
「でもどっちにしろやばいことになってたと思うよ」
 二人は三七五町に戻った。クレイモアに他のカオスエメラルドの在り処を教えてもらわなくてはならない。カオスエメラルドがあればクレイモアは他人の記憶を覗けるようになる。カオスエメラルドの在り処を徹底的に調べてもらうつもりであった。
 クレイモアはやはり自分の部屋で原稿を書いていた。賢者ブレイクのことも異文化ウイルスのことも全て文字に起こすつもりであるようだ。もしかしたらその真実を公表する予定なのかもしれない。放っておくとずっとキーボードを打ち続けていそうであったから頼みごとをすることに抵抗はなく、むしろクレイモアにとっていいことであるように思うことができた。ハルバードはクレイモアにカオスエメラルドを渡した。
「これを使ってカオスエメラルドの在り処を調べてほしい」
「わかった」
 クレイモアはそう言って早速情報を集めに外に出た。五八四町のGUNの基地にカオスエメラルドがあると調べてきた時もそうであったが、クレイモアは原稿を書くことに必死になっている割にはそれを何よりも優先しているわけではないようだった。もしかしたら自分たちのことを優先してくれているのかもしれないと考えると気分がよくなった。ハルバードは既に印刷されている原稿を手に取ってみた。賢者ブレイクがどのような人生を送ってきたか書いているようである。ハルバードが手に取った紙は世界革命の後のことについて書かれた文章の一部だった。そこには恋人のソフィアのことばかりが書かれてある。どうやら賢者ブレイクは世界革命の後はソフィアばかりを見て過ごしていたようだった。単に愛していたからというだけではないらしい。ソフィアのために自分がしたことを思っては、彼女に執着せずにはいられなくなったのだ。ブレイクは一日中ソフィアの隣にいるような日々を過ごした。幸いなことに、ブレイクにとってソフィアはそうするに足る人物であったようだ。

「ようやく帰ってきたか」
 アックスの部屋に帰ると部屋の主がそう言った。
「ただいま」
 青年の姿のアックスに未だ慣れない。かつてこの友はダークチャオだった。その頃のやんちゃに見える外見とは似ても似つかない。そのために言動もやけに大人っぽく見える。しかし実際にはチャオの頃から劇的に変化したわけではないのだと寝食を共にしているうちにハルバードは気付いた。昔からハルバードたちの中では大人っぽいところがあった。
「君とサイスがカオスエメラルドを探しに行ったと聞いて、俺たちはどうしようかとスピアと話し合った」
 アックスはハルバードをじっと見つめていた。ハルバードは視線の強さに目を逸らす。敵であった頃の名残で攻撃されているように感じられて緊張する。しかし続けてアックスが言ったのはハルバードの仲間になるという言葉だった。
「俺たちも君と一緒にカオスエメラルドを集めることにした。君たちが死なないように俺たちも戦う。きっとスピアも今頃サイスに同じことを話しているだろう」
「そうか」
「俺はカオスチャオだから簡単には死なない。君たちを守ることもできるはずだ」
 それは厄介な話だとハルバードは思った。盾は自分の役目だ。スピアが加わるのはいいが、アックスが仲間になるのは競争相手が増えることを意味しているらしい。アックスのように死ににくい身体が欲しくなった。
「仲間になるのはいい。だけど人を殺さないように努めるのが条件だ。たとえ反撃される危険があったとしても殺してはいけない」
「わかった。任せておけ」
 アックスは自分が盾になるつもりだ。そうはさせないとハルバードは思い、すぐに外に出て研究室へ向かった。そこでドクターフラッシュに、自分の心臓にエンジェルリングを入れてくれと懇願した。
「本気で言っているのかい」
「本気です」
「できないことはないけどね」
 そうは言うもののフラッシュは乗り気でない様子だ。手術は大仕事である。時間も人も必要だ。
「そもそもどうして心臓に入れたいんだね。普通に持っていればいいだろう」
「エンジェルリングは心臓の代わりになる。エンジェルリングは人の心臓よりよっぽど頑丈だから、エンジェルリングを心臓として使っていれば、その人間はそう簡単には死ななくなるんじゃないですか」
「確かにそういうこともあるかもしれない。君は不死身になりたいのかな」
「死にたくないわけじゃありません。今はただ普通なら死んでいる状態でも生きていられる力が欲しいだけです」
 まあいいだろう、とフラッシュは言った。この手術によってハルバードの心臓のカオスエメラルド化が促されるかもしれない、と彼は呟いた。そういう言い訳でもって手術を行う決心をしたのだった。

 クレイモアは翌日の昼に有力な情報を持ってアックスの部屋を訪れた。
「カオスエメラルドは一か所に集められることになった」とクレイモアは言った。「お前たちがカオスエメラルドを奪ったから、これ以上は渡すまいと六つを一か所に集中させることにしたみたいだ」
「当然守るのは先生というわけだ」
 そうアックスが言うとクレイモアは頷いた。
「そういう情報は無いが、その可能性はあるだろうな。六つ集めれば守ることができると思っているからには」
「六対一では分が悪いな。せめて四対三くらいにはしたい。輸送しようとしているところを襲って奪うってわけにはいかないだろうか」
「最も安全な輸送方法はカオスコントロールによる瞬間移動だ。きっと先生がそうやって回収するのだろう。実際具体的な計画について情報が入ってこなかった」
「もう既に回収し終わっているということもあるわけか」
 二人が話すのを聞いていたハルバードは、つまり不利だということだ、と認識した。しかし不利でも行くことに変わりはない。
「それで、どこに集められるんだ?」とハルバードは言った。
「GUNの研究施設らしい。元々一つはそこにあったようだ。六つ集めて守りながら研究を進めようというつもりみたいだ」
「それならとにかく行こう。攻めれば、相手が対応を間違えてくれるかもしれない。ミスしてくれればこちらにもチャンスはある」

 研究施設は非常に広かった。様々な研究をしているようである。軍事に関係のある研究をしているとも限らない、とクレイモアが言った。民間の研究に資金や施設を提供しているらしい。やはり壁を破壊して侵入する。相手にしてみれば襲撃してくることはわかりきったことである。すぐに魔法使いが数十人駆けつけた。
「この前より早いね」とサイスが言う。
「いいか。なるべく殺さないようにしてくれ」
 ハルバードが三人に念を押す。しかし殺さないようにするというのは大変なことだ。この前襲撃した基地でももしかしたら死人が出ているかもしれない。完璧に人殺しをしなくて済むわけではないはずだ。おそらく人を殺してしまうだろう。それでもこれが答えでいいとハルバードは思った。たとえ無駄な行為だとしても、殺人を回避しようと努める。それがやるべきことだ。エンジェルリングさえ持たない魔法使いたちは相手にならない。ハルバードは仲間を守るべく三人の動きに注意を払った。三人の中でスピアの動きが最も洗練されているように見えた。魔法の扱いにおいては素人同然なため剣で攻撃している。刺突専用の細い剣で脚や肩を刺して無力化していく。一人一人倒していく様が丁寧な仕事に見えたのだった。対してサイスは魔法の弾丸を何発か同時に撃つこともある。心臓は避けても腹部に当たったり、外れたりしていた。
 仲間が増えてもハルバードが殿を務めて後ろの敵の攻撃を受けることに変わりはない。盾のライバルであるアックスには先頭に立ってもらった。苦労することもなく四人はホープを見つけた。ホープは人間の姿をしていなかった。しかしチャオの姿をしているとも言えなかった。チャオにしては大きかった。脚もある。腕にはカオスエメラルドがはめ込まれている。左右三つずつだ。これがカオスになりかけているチャオなのだろう、とハルバードは思った。賢者ブレイクが戦ったサクラというチャオもこのような状態になっていたのだろう。
「やあ、よく来たね」
 ホープは四人を敵と見ていないようであった。あまりにも緊張のない声だった。
「カオスエメラルド、返してくれるかな」
 一方でハルバードは非常に緊張していた。気を抜いたら次の瞬間には死んでいるかもしれない。
「それはできません」
「どうしてそんなに奇跡を私物化したがる。この世界は変わらなくていい」
「異文化ウイルスに蝕まれていても?」
「乗り越えるさ。奇跡の力には頼らない。そもそもカオスエメラルドの力でも消すことはできなかったそうじゃないか」
 ハルバードは、自分のしようとしていることを説明すれば納得してもらえるだろうか、と考えた。もし納得してもらえて戦闘を回避できるのなら話すべきだ。とにかく話してみようと思った。
「文化を上書きします。異文化ウイルスの影響を強く受けると、どうすれば人を殺せるのか、よくわかるようになる。それを逆手に取れば、殺さないように頑張ることもできる。だからそうやって死を回避する文化をカオスエメラルドを利用して広めようと思っています。傷を治す魔法も一緒に広めます」
「そうやって理由を付けて、カオスエメラルドを奪おうとする。残念だよ。君たちは世界の敵だ」
「下がって」
 ハルバードは三人に指示し、自分はそれとは反対に前に出た。バリアを展開する。ホープの右手から出た光線が魔法の壁を削っていく。やがて光線はバリアに穴を開けた。穴を通って襲い掛かる光線を避けようとしたもののハルバードは右腕を失った。光線によって関節の辺りが削られて腕が落ちたのだった。絶叫する。激痛と対面しながらも自分を殺そうとしているホープの攻撃から逃れなければならない。それに腕も治す必要がある。少しでも治療に魔力を回すためにバリアを狭めようとするが集中できなかった。サイスが射撃した。撃ったのは男性の腕くらいの太さがある魔法の弾丸だった。ハルバードがバリアで攻撃を防いでいた間に作り上げたのだった。音速で飛んでくるそれをホープはバリアで防ごうとしたが間に合わず弾丸は薄いバリアを貫いてホープの胸部をもいだ。
「逃げて」
 サイスはハルバードに向けて叫んだ。ハルバードは千切れた腕を回収して、治療の魔法で削られた部分だけを治して右腕を元に戻した。激痛の余韻がまだ脳を揺さぶっていたが右腕は正常に動いた。ホープは液体のように形を失い、そしてばらばらになったものを一つに集めている。その液体の中にカオスエメラルドがあった。カオスエメラルド目掛けて魔法の弾丸を撃ち、ホープの体内から弾き出そうとした。しかしホープは手放さなかった。ハルバードは駆けた。無理矢理もぎ取ろうと思ったのだ。ホープは元の形に戻りつつあった。ハルバードは右腕にあるカオスエメラルドの一つを掴んだ。しかし体内から引っ張り出せないままホープの体は元通りになる。そして左手をハルバードに向けた。今度は絶叫しようにも声が出なかった。腹部が破損し、上半身と下半身が分離した。しかしハルバードはカオスエメラルドを奪っていた。上半身が床に落ちる前に瞬間移動をした。同時に治療も行い、ホープから五メートル離れた所に傷が完治した状態で現れた。
「勝てる」
 そう呟き、今度は叫んだ。
「勝てるぞ」
 三人に向けて言ったつもりだったのだが、歓喜の叫びのようにも聞こえた。冷静な状態ではなかった。傷は治せても激痛の衝撃で頭痛があった。いくら治療したところで、この頭痛によって死ぬのではないかとハルバードは思った。既にまともにものを考えられる状態ではないのである。これ以上耐えられる気がしない。しかし耐えるしかない。ホープの放つ光線をバリアで受け止める。
「くらえ」
 バリアの陰からサイスが顔を出し、再び大きな弾を撃った。ホープはバリアを五枚作りそれを防ぐ。しかし弾丸は先ほどのよりいくらか小さく作られていて、バリアを二枚突き破る程度の力しか持っていなかった。ハルバードが再びカオスエメラルドを奪おうと前進している。自分のことを頑丈だと思っているアックスも前に出た。それに続いてスピアまでホープのカオスエメラルドを狙って走り出した。ホープは三人のうち自分により近いハルバードとアックスを狙った。三つカオスエメラルドがある左腕でハルバードを、右腕でアックスを狙って光線を撃つ。ハルバードはアックスの前にバリアを張った。ハルバードは回避しようと努めたが左脚を失った。意識は手放さなかったが立つことができなくなって倒れる。スピアはホープの横に回っていた。左腕から光線を出して迎撃するがスピアはそれを横に跳ねて避けた。広範囲に攻撃されていたら避けられなかったであろう。しかし現実には攻撃を避けたのだ。スピアはそのまま素早くホープに密着し、左腕を切った。切断するための剣ではなかったため実際には強引にえぐった形になった。腕はハルバードの目の前まで飛んだ。スピアは即座にホープから離れた。
「ぎいいいい」
 ハルバードは左脚の治療もせず狂ったようにわめきながらカオスエメラルドをもぎ取った。そしてアックスが残りの二つを奪うためにホープに接近する。ホープは右腕をアックスに向ける。六つから二つに減ったとはいえ、カオスエメラルドを複数持っている以上その攻撃の威力は高い。アックスの代わりに攻撃を受けるためハルバードはカオスコントロールによって瞬間移動した。ハルバードの腹部がホープの右手と密着していた。そして右手から放たれた光線をバリアではなく魔力で強化した腹部で受け止めた。既に頭が限界を迎えていた。攻撃を受けている腹部の痛みよりも頭痛の方が激しかった。どうすれば目の前にいる敵を倒せるか、ハルバードにはわかっていた。賢者ブレイクと同じようにカオスブラストという攻撃をすればいい。しかしそれでは敵を殺してしまう。どうすれば殺さずに済むのか考える余力はなかった。だから盾となって攻撃を受け続けること以外ハルバードは何もできなかった。サイスが慌てて銃弾を撃つ。バリアを張るためにホープの攻撃が止まってハルバードは倒れた。そしてアックスとスピアがカオスエメラルドを一つずつ奪い取った。ホープの姿はただのカオスチャオに戻った。ハルバードは意識を失っていた。アックスたちはホープを置き去りにしてひとまず拠点に戻ることに決めた。

 サイスは治療の魔法でハルバードの体を一通り治したがハルバードは二日ほど目を覚まさなかった。そして目を覚ましてもすぐに頭痛を訴え、うめき声を上げ続けた。痛みのために眠ることも難しいという状態であった。痛みのために苦しみ、疲れてなんとか眠る。そういった日々をさらに二日過ごした。もう戦いが終わっていることが支えであった。頭痛がなんとか我慢できるくらいになるとカオスエメラルドの話になった。
「七つ集まった。で、どうする」とアックスが言う。
「勿論奇跡を起こすさ。そのために戦ったんだ」
「人を殺さない文化って言ってたよね。でもどうやってその文化を作るの」
 サイスがそう質問するとハルバードは精一杯笑みを作った。
「もうあるはずだ。俺の中に」
「殺さないようにするって、そのために」
「そう。でも最初にそれをやったのはスピアだ。俺とサイスを殺さないでくれた。そして皆が手伝ってくれた」
 ハルバードは今ならば奇跡が起こると信じた。自分の行いに恥ずかしいところはないと思えた。これから七つのカオスエメラルドの力を使う。母星のことを思い出さずにはいられない。それでも奇跡を起こすことをハルバードは躊躇わなかった。七つのカオスエメラルドとハルバードが共鳴していた。
引用なし
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