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自分の冒険 〜自分ならこう書く〜 冬木野 12/4/26(木) 11:03

ピュアストーリー 第十二話 母星 スマッシュ 13/12/14(土) 0:03

ピュアストーリー 第十二話 母星
 スマッシュ  - 13/12/14(土) 0:03 -
  
 カオスエメラルドの強い光によって視界が塞がれていた。しかし途中で草原が見えた気がした。光が消えてみるとハルバードは知らない場所に立っていた。途中で見えた草原にいることだけはわかった。木があちこちに生えているがそれぞれが距離を取っていて、誰かが植えたものであることがわかった。それもチャオが食べる木の実がなる木しかない。どうやらチャオガーデンのようだ。それにしては広すぎるとハルバードは思ったが、しかしチャオが何匹もいた。はるか遠くに町と砂漠が見える。ここは高原であるようだ。
「ここはどこだ」とハルバードは呟いた。
 カオスコントロールで移動できる距離には限界があると聞かされていた。しかし五八四町の近くに高原や砂漠などないはずだ。周りには町が無数にあるだけだ。五八四町もハルバードが育った〇五八町もそういう場所なのであった。
 とにかく誰かに尋ねなければどうしようもない。ハルバードは木の周辺に集まっているチャオたちに声を掛けた。
「あの、すみません。ここって一体どこなんですか」
 チャオたちはハルバードの方を向いた。しかし返事は来なかった。首を傾げるだけだ。一匹が立ち上がり、手を挙げた。
「チャオ」とそのチャオは言った。
「あの、ここはどこですか」
「チャオ?」
 首を傾げた。頭上の球体がクエスチョンマークになる。言葉を話せないようだ。生まれたばかりのチャオが話せないということならあり得ることだが、オトナチャオが話せないとなると異常である。十数匹いるチャオの誰も話すことができないようである。
「どういうことだこれは」
 頭を抱える。悪い夢を見ているとしか考えられなかった。とにかく周りに町などがないか調べる必要があった。しかし疲労のため歩く気になれなかった。少し休むことにする。魔力を節約するために傷を完全に治さず、かすり傷程度まで治ったら魔法を使うのをやめていた。それらの傷を魔法で完全に治した。それからハルバードは寝転がって目を閉じた。

 体を揺すられて起こされた。ハルバードが目を開けると老人がいた。
「おお、目が覚めたか」
 人の言葉だ。チャオと話すことができなかったことを思い出し、ハルバードは勢いよく起き上がった。
「すみません、ここはどこなんですか。気が付いたらここにいて。チャオも喋らないし」
「そりゃあチャオは話さないだろう。ここは見ての通りチャオガーデンだ」
「え、チャオは話さないって」
「チャオは喋れないだろうよ。大丈夫か?」
 ハルバードはまた混乱した。世界革命によってチャオは話すようになった。ここは過去の世界なのだろうか。カオスエメラルドの力によって過去に飛ばされてしまった。そういうことがあるのだろうか。ハルバードは懐にカオスエメラルドがあることに気付き、取り出した。
「その石」と老人が反応した。
「カオスエメラルドです」
「カオスエメラルド」
 老人は酷く驚いたようだった。駆けるような早口で、
「それは本当なのか。それが本当にカオスエメラルドなのか」と聞いてくる。
「そうですけど」
「なるほど。そういうことか」
 老人は、なるほど、と何度か呟きながら落ち着きを取り戻す。そしてハルバードに柔和な表情を見せ、
「向こうではチャオが話すようになったんだね」と言った。
 ハルバードには向こうというのがどういうものを指しているのかわからなかった。理解できていないことを老人は悟った。
「そうか。知らないのか。ここは人類が生まれた星だよ。そして君たちはこの星を捨て、新しい世界に旅立ったんだ」

 今ハルバードがいるのはハルバードたちが住んでいる星とは別の星である、と老人は言った。そしてこの星が人類の元々の住処であったらしい。老人はこの星で伝えられている歴史についてハルバードに語った。
 この星にはソニックというヒーローがいた。彼はカオスの暴走など世界が危機に陥った時に世界を救ってくれた。彼はカオスエメラルドの力を利用することがあった。ソニックが活躍している頃、カオスエメラルドは無償で力を与えてくれた。しかしソニックがいなくなった数千年後、カオスエメラルドは世界を傷付けるようになった。力を引き出せば引き出す程、世界から何かが消えた。木々であったりチャオであったり人であったりした。カオスエメラルドの大きな力に頼って生活をしていたため、このままではこの星を滅ぼすことになってしまうと言われていた。そこで移民計画が立ち上がった。カオスエメラルドの力に頼らなくても生きていくことができるような資源に溢れた星に移住しようという計画であった。そして移民のために七つのカオスエメラルドの力が使われることになった。そして移民の後にカオスエメラルドは新しい世界に封印されることが決定された。多くの人間が新しい世界へ行き、いくらかの人間がこの星に残った。最初のうちは互いに連絡を取り合っていた。しかし連絡は途絶えた。そして数百年経って、カオスエメラルドによる被害が再び起こるようになった。それが戦争の始まりだった、と老人は言った。
「私たちは向こうの世界に行くことができない。戦争と言っても一方的に攻撃されているだけだ。しかしカオスエメラルドによる被害があるということは、カオスエメラルドの力によって二つの世界は繋がっていると考えた者がいた。カオスエメラルドが力を使うために自然や人を燃料にするなら、その燃料に毒を仕込めば攻撃できると思い付いたわけだ。そして殺人に関する文化を向こう側に輸出する作戦が実行された」
「それ、俺たちの世界では異文化ウイルスって呼ばれています。別の世界にいる敵からの攻撃だって」
「だがな、文化は機械のように工場で作れるわけじゃない。文化は人の中に芽生えるものだ。殺人文化もまずこの星の人々の間に根付く必要があった。相手に大損害を与えるだけの兵器を作った代わりに私たち自身がその兵器に苦しめられることになったというわけだ」
 この星の人類は滅びはしなかったものの数を減らした。移民せずに残った人類が元々少なく、そこからさらに殺し合いによって減ってしまった。今では人間よりチャオの方が多いのではないかと言われているようだ。そちらの世界はどうなっている、と老人はハルバードに聞いた。ハルバードは世界の現状を話した。殺人が増えているがまだ致命的ではない。そう聞いた老人は溜め息をついた。
「そうか。私たちは負けたのだな。自分たちで殺し合ってでも攻撃して、馬鹿馬鹿しい」
「そんな負けただなんて。こっちではこのままだと負けてしまうっていう風に見られていますよ」
「こちらの負けだよ。カオスエメラルドの影響でこの星は近いうちに滅ぶかもしれない。そんな風に言われているんだよ。大きな砂漠が見えるだろう。君たちがカオスエメラルドを使えば使うほど、あの砂漠は大きくなるんだ。やがてこの星全体が砂漠になるだろう。そして砂漠さえなくなるのかもしれない」
 ハルバードの胸に罪悪感が訪れた。人を殺すことに抵抗がなくなっていたハルバードであったが、星を滅ぼすことは大きな罪であると認識できた。魔法の力はカオスエメラルドの力と同じ力である。きっと人々が生活の中で魔法を使っているだけでこの星は傷付いていくのだ。ハルバードは俯いて話を聞いていた。言い訳をする気も起きなかった。何を言ってもこの老人に許されることはないように思われた。しかし老人はハルバードを責めようという気がないのか穏やかに、
「君たちには生き延びてほしい」と言った。「この星にはもう人は一万人もいない。カオスエメラルドの力にも対抗し得る強力な文化のために、そこまで減ってようやく落ち着いた。私たちに将来というものはないのだろうね」
 この星の人類が生き延びることがあったとしても繁栄することはないだろう、と老人は言った。だからこそ繁栄し得るハルバードたちの世界の人々には生きてほしいのだと訴えられてハルバードは大変な荷物を背負わされたような気がした。あくまでハルバードたちの世界にいる人類全員への頼みであるのだが、それをハルバード一人が背負わなくてはならないように感じてしまったのであった。冷静さを取り戻して重たい荷物を下す。これはあくまで人類の問題。その一方でハルバードの心は熱くなってもいた。人類やサイスのためにやろうとしていたこと。それをやり遂げてみせるという気持ちが強固なものになっていた。
「繁栄してみせます」とハルバードは言った。
 サイスが一緒でなくてよかった。そうハルバードは思った。彼女が何かを決心しては困る。自分は彼女を守りたい。それは好きだからというだけではなかった。自身の野望のためには誰かを守るという行為が必要なのであった。

 行く時が来た。人の言葉を話さないチャオと別れ、自分たちの世界の戦いに立ち向かわなければならない。
「それじゃあな」とハルバードはチャオたちに言った。チャオたちは言葉の意味もわかっていないようで首を傾げていた。
 ハルバードはカオスエメラルドを光らせた。その光を老人とチャオたちが見ていた。ハルバードはカオスエメラルドの力で自分の世界に向かって移動する。星の姿が見えた。言葉を話さないチャオの星。人類が生まれた星。母星の姿であった。母星はまだ青くて丸い星だった。しかし大地は砂漠化しているのがよくわかった。そして自分の起こそうとしている奇跡によって砂漠化はさらに大きく進行するのかもしれない。そうハルバードは思った。しかし自分たちを生んだ母星に何もしてやることはできない。自分たちが前に進めば母星は傷付く。そしてハルバードは前に進もうとしている。だから何も言うことはできない。前に進む自分を見て、よくできましたと母星に住むチャオが笑ってくれる。そんな実現しそうにない幻想を抱きながらハルバードは自分の星へ戻っていく。来るはずのない称賛でも諦めはしない。それだけを母星に誓った。
 やがて自分たちの星が見えてきた。母星を傷付けながら人々は生きている。優しい人間になどなれないとハルバードは思った。そしてその星の人間の一人として、魔法使いとして、再びその地に足を着けた。そして再び旅が始まった。
引用なし
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