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自分の冒険 〜自分ならこう書く〜 冬木野 12/4/26(木) 11:03

ピュアストーリー 第十話 敵 スマッシュ 13/12/14(土) 0:00

ピュアストーリー 第十話 敵
 スマッシュ  - 13/12/14(土) 0:00 -
  
 生き返ったのにソフィアは自殺してしまった。生き返ることへの拒絶を見せられて四人の間に気まずい空気が流れていた。ヘレンが低く唸っていて、酷く不機嫌であるようだった。
「とにかくカオスエメラルドを七つ集めよう」とブレイクは言った。三人はそれに従うしかなかった。
 しかしソフィアの自殺によるショックが解消されることはなかった。二つ目のカオスエメラルドを求めて寄った町でミヤビが、
「そもそもヘレンがちゃんと助けていればソフィアは助かったんだ」と言ってしまった。
「何が言いたいわけ?」
 ヘレンも冷静な状態ではなかったから、喧嘩をするつもりで食って掛かる。
「あんたのせいでソフィアは死んだって言いたいの。馬鹿みたいにプライド高いからソフィアのサポートしなかったんでしょ」
「どうしてあんたがそのことを言うわけ?あんたはソフィアの彼氏じゃないでしょ。それともソフィアがいないと困るの?大好きな人を諦める口実だから?」
「そんなんじゃない」
 二人は怒鳴り合い、やってられないと言ってどこかへ行ってしまった。止めるのに失敗してブレイクとアヴァンが取り残されてしまった。
「どうすんだ」とアヴァンが言った。
「探すしかないだろ」
 ブレイクは溜め息をついた。ソフィアの死に動揺しているのはブレイクも同じである。自分だって取り乱したいと二人を恨む気持ちが起こった。それを封じて、ミヤビを探すことに決める。彼女は戦闘員ではないから単独行動をさせておくわけにはいかないのだった。

 助けてくれ、と叫ぶ少年の声をブレイクたちは聞いた。声のした方に行くと少年が銃を持った男に追われていた。アヴァンは男の手にある銃を見た瞬間に素早く自分の銃に手を伸ばした。そして狙いを定める時間もなく発砲し、男の頭を撃ち抜いてみせた。
「大丈夫か」とブレイクが少年に声を掛けた。
「え、ああ、うん」
 アヴァンは殺した男の所持品を確認する。銃に白い炎のシールが貼られてあった。ホワイトフレイムの一員ということをアピールしたかったのかもしれない。アヴァンはそのことをブレイクに報告した。
「俺、命狙われるようなことしてないはずだぞ」と少年は言った。
「今のご時世理由もないのに狙われるものだ。俺も数年前に狙われた。だから俺はこうして無差別殺人をしようとしている連中と戦っているんだ」
「なんかゲームみたいな話だ、それ」
「そんなこともあるさ。こんなご時世だ」
 少年はそれでいくらか納得したようだった。冷静な風を装いながら、
「もし本当に戦っていると言うなら、俺も戦ってみるのも悪くないかもしれない」と言った。
「戦いではないけれど、人探しに協力してくれないか?」
 そう言うと少年は、わかった、と言った。

 不安なことは実現してしまうものなのか、ミヤビはホワイトフレイムの戦闘員に襲われていた。戦闘員は五人いた。
「助けないと」と少年が言った。
 アヴァンが既に発砲していた。戦闘員が一人倒れる。それでも残りの二人がミヤビを狙っていた。ミヤビは足を撃たれたのか必死に立とうとしているだけであり、逃げられないでいる。少年は走った。そしてミヤビを肩に掴まらせて逃げようとした。その途中で少年が撃たれた。それでも歩き続けて物陰にミヤビを隠したところで倒れた。アヴァンの銃弾は敵に当たらず、弾が無くなった。
「駄目だ」とアヴァンが言った。「もう集中できない」
「何を言っている」
 ブレイクは一人の足を撃ち、そして倒れたところに何発か撃ち込む。その横でアヴァンが新しい弾倉を装填することもせずに、
「俺は最初だけなんだ。最初だけは誰よりも上手くやる自信がある。だけどその後は全然集中できない。きっと最初に集中し過ぎているんだと思う」などと言っている。
 まだ生きている三人がミヤビの隠れた付近を撃ちながら迫ってくる。ブレイクたちもまた狙われている。とにかく全員殺さなければと焦る。ブレイクは一人を確実に殺そうと何発か撃ち、目的を達成したが一人を殺すのに酷く時間が掛かっているような気がした。弾切れを意識しながらも次の一人に銃を向けたが、残りの二人は次々と倒れてしまった。彼らの背後にヘレンがいた。
「後ろからだと殺しやすいって知ってた?」
 ヘレンは余裕たっぷりに歩きながら言った。そしてミヤビを助け起こす。
「ありがとう」
「ま、死なれても困るしね」
「でもこの子死んじゃった」
 ミヤビは倒れている少年を見た。自分たちよりも若い。
「仕方なかった」とアヴァンが言った。「それに彼のおかげで君は助かったんだし」
 ブレイクは自分が少年の代わりに動けばよかったのではないのかと思った。
「とにかくもう単独行動はしないこと」とヘレンはミヤビに言った。「そうすれば守ってあげる」
「うん。そうするよ」
 五人組はカオスエメラルドを探すためによこされたのかもしれない。ブレイクたちはホワイトフレイムと遭遇することなくカオスエメラルドを発見することができた。

 ブレイクは先日のことで自信を失っていた。ソフィア以外の人間と組むこと自体が彼にとっては気に食わないことであった。その上に喧嘩などのトラブルが発生するとなると面倒で嫌になる。死んでしまった少年のことも頭から離れない。やはり自分が死ねばよかったと思うのである。ソフィアが死んで間もない時に自殺を考えたように、自分の死を考えればよかった。そうすれば楽になれたのだ。
「悩んでいる、という顔をしている」
 夜に飲み物を買うためホテルの廊下を歩いていると、缶コーヒーを持ったヘレンが話しかけてきた。
「ソフィアを諦めるつもり?」
「生き返らせても死んでしまう。それにこれはソフィアを生き返らせるための旅じゃない」
「なら殺してあげようか」
 ブレイクは頷くことができなかった。自殺することも少年の代わりに死ぬことも頭の中で考えているだけなのだった。
「要するにそういうことでしょ。悩むまでもない。あんたはそういう男なんだ」
 ヘレンは缶を開けてコーヒーを飲む。確かにそうだとブレイクは思った。結局自分はソフィアを生き返らせるためにカオスエメラルドを集めるしかない。
「私もソフィアを生き返らせてもらわないと困るから。そしたら今度はあんたも一緒に負かしてあげる」
「今度って、ソフィアに勝ったこともないだろ」
「今はもう勝てるはずよ」
 まるで本当にそう信じているかのように言うのでブレイクは笑った。とにかく生き返らせなさい、とヘレンは言う。励まされているらしい。ブレイクは缶コーヒーを買うことにした。

 七つあるカオスエメラルドのうち四つは既にホワイトフレイムが所持しているらしい。その情報をベックから受け取って、ブレイクたちはまだどちらの手にも渡っていない最後の一つのカオスエメラルドを入手しようとした。そのカオスエメラルドがあるという町に着くと、大量虐殺が行われている最中だった。
「酷いな」と言いながらアヴァンは背後から襲おうとしてきた男を撃った。「たくさんいる気がする」
 彼の言った通り、武装した人間を殺しながら進まなければならなかった。彼らは根こそぎ探すといった様子で民家にも侵入していた。道を歩いていると見慣れた女が立っていた。ソフィアだった。
「来ちゃったんだ」とソフィアは言った。
「どうして君がここに」
「また生き返らせられたんだ」
「自殺しなかったんだ」
 ヘレンが嫌みのように言った。ソフィアは悲しそうな顔をする。そしてブレイクに向けて、
「死ぬわけにはいかなかったから」と言う。
「それはどういうこと」
「殺さないと、殺さないといけないの。死ぬ前に殺すべき人たちを殺さないと。そうしないといけないって思うから」
 様子が変だとブレイクは思った。
「何を殺さないといけないんだ」
「わからない。でも敵を殺さないと駄目だって思う。そうしないうちは死ぬわけにはいかないって気がして。でも敵が誰だかわからない」
 そしてソフィアは、死にたい、と言った。
「もう何もわからない。死にたい。でも死ねない。ねえブレイク、私を殺して。殺して」
 ブレイクは殺すことにした。今のソフィアはおかしくなってしまっている。
「わかった。でもその前に教えてくれ。君を蘇らせたのは誰だ」
「サクラ」とソフィアは小さな声で言った。「サクラっていう名前のチャオ」
 サクラというチャオをブレイクは知っていた。幼い頃ミヤビとサクラというチャオと一緒に遊んでいた。そのサクラだ。
「何、なんて言ったの」とブレイクの後方でミヤビが言った。
「でももうチャオじゃないのかも。カオスになりつつあるみたい」
「そうか」
「それと大事なことがわかったよ。異文化ウイルスがどこから来るのか。カオスエメラルドだよ。私、生き返る時に感じた。カオスエメラルドの力と一緒に、私の中で乱暴な何かが入ってくるの。あれが異文化ウイルスなんだと思う。敵は奇跡からやって来るの」
 ソフィアは持っていた突撃銃をブレイクに向けた。
「これで私の知っていることは全部。さあ殺して」
 ブレイクは言われた通りにソフィアの頭を撃った。脳の半分が吹き飛ぶ。しかしソフィアは立っていた。肉が素早く増えて顔が元通りになっていく。カオスエメラルドの力でこのような体にされてしまったらしい。ブレイクは手持ちの弾を全て撃ってでも殺そうというつもりで引き金を引いた。頭が形を失い、胸がぼろぼろになってようやくソフィアの肉体は停止した。彼女の体内からカオスエメラルドが出てきた。このために体が再生していたようだ。
「酷い」とミヤビが言った。
「倒そう」
 ホワイトフレイムを倒すという命令で旅をしてきたが、ブレイクはようやくそれが自分の使命であると思えるようになった。サクラはどこかでソフィアが自分の恋人であることを知ったのだろうとブレイクは推測した。だからソフィアは蘇った。またサクラが蘇らせるかもしれない。次はもっと酷い身体にソフィアを宿らせるかもしれない。それだけはさせないつもりであった。この町にあるはずのカオスエメラルドは既に奪われてしまったらしい。ホワイトフレイムの戦闘員たちが引き上げていくのが見えた。ブレイクはソフィアの持っていた突撃銃を抱えた。

 ホワイトフレイムの拠点にブレイクたちは来た。相手がサクラであることを、ミヤビに伝えた方がいいのかブレイクは迷った。しかし言うことはできなかった。大事なことであるからこそ口に出すことが億劫であった。ミヤビがどのような反応を見せるのか想像するだけでも疲れた。結果よくないことだと思いつつも黙っていた。
 何人も相手にしながら拠点の中を進んでいく。不思議とブレイクたちは負傷しなかった。どのようにすれば相手を効率よく殺せるのかブレイクにはわかった。それは直感的なものであるのに、まるでガイドが表示されていてそれを目で見ているかのようにはっきりと感じられるものであった。敵がどこにいて、どうすれば一発の弾で死ぬのか、全てわかるような気がした。まるで自分が敵を殺す機械になったようだった。
「なんか調子いいな。集中力が切れない」とアヴァンが言った。
 またソフィアが現れるのではないかという不安を抱いていたがそのようなことはなく、一メートルくらいの大きさのカオスチャオに遭遇した。ピンク色の大きなカオスチャオは四人を見つめた。カオスチャオの右腕には四つのカオスエメラルドがはめ込まれていた。
「久し振りだね、ミヤビ、ブレイク」とそのチャオは言った。
「随分とチャオらしくなくなったな」
 ブレイクは突撃銃をサクラに向けた。チャオの体はゼリーに喩えられることがあったが、サクラの体はそれよりも水流に近くなっているような透明感があった。
「そうだね。僕は大きくなった。それに喋るようにもなったし、強くなった。人間の上に立っている」
「それに死人を蘇らせた」
「全部カオスエメラルドの力によるものさ。僕はカオスエメラルドによって変わった。力を得て、真実を知り、そして戦争を終わらせるためにここにいる」
「戦争というのは」
「勿論、この星と別の世界の間で起きている戦争のことだ」
 敵の攻撃は異文化ウイルスの散布によって行われる。異文化感染者は敵の駒である。そのために異文化感染者を駆除しなければならないとサクラは主張した。ブレイクはそれを聞いて、もうどうにもならないだろうと思った。サクラもまた異文化ウイルスに感染しているように思われたからだ。ソフィアが言うにはカオスエメラルドを通して異文化ウイルスはこの星にやって来るらしい。それならばサクラがその影響を受けていないわけがない。
「残念だけどそれは手遅れだ。君ももう感染している」
「敵の手駒にそう言われて信じるほど僕はいい子じゃない」
 サクラの拒絶によって話す空気ではなくなった。ブレイクは躊躇うことなく引き金を引いた。無数の弾丸がサクラの体を貫くが、ダメージを受けている様子はない。ブレイクは射撃をやめ、突撃銃を捨てた。そしてカオスエメラルドを三つ取り出した。かつてソニックはカオスエメラルドを使って攻撃を行ったと聞いたことがあった。
「カオスブラスト」とブレイクは叫んだ。すると轟音が響いた。そしてその轟音が見えない鉄槌であったかのようにサクラの体のほとんどが削られていた。残っていた部位もただの桃色の液体になってしまう。カオスエメラルドが四つ転がった。カオスエメラルドより小さな石も一つ転がっていた。
「勝ったんだよね、これ」
 ヘレンがほうけたような声で言った。ブレイクが、ああ、と答える。そして四つのカオスエメラルドを拾って、
「これで全部のカオスエメラルドが揃った」と言って三人に見せた。それでも三人はどこかぼんやりとしているようだった。
 ブレイクはソフィアを蘇らせたいと思っていた。そのためには起こさなくてはならない奇跡がいくつかあった。死んだ記憶を持ったままでは自殺してしまう。異文化ウイルスというものが存在していたら、感染者であるソフィアはまた標的にされるかもしれない。そして念のためにもし襲われることがあっても彼女の命を守る力が欲しいとブレイクは思った。それは武器を持っていなくても他人を殺せるような力がいいと思った。七つカオスエメラルドがあれば世界を変えることができるかもしれない。ソフィアが生きていられる世界に変えてしまうことにした。

 ソフィアはブレイクが意図した通りに自分が死んだことを忘れた状態で蘇った。異文化ウイルスを消すことはできなかった。理由は不明であったが記憶と同じようにはいかないようであった。そこでブレイクは異文化ウイルスに関する記憶を人々から奪うことにした。そうして人々は記憶を失い、ソフィアが生きていける世界が完成した。異文化ウイルスは存在し続けている。ブレイクもソフィアも重度の感染者であったから、敵と思った人物を殺してしまう可能性があった。そのため二人はなるべく人に会わない生活をするように心がけた。子供が生まれたが、我が子でさえ殺してしまうかもしれなかったため手放すことにした。
 全ての生物は小さなカオスエメラルドのような機能を持った。カオスエメラルドを持っていなくても小さな奇跡なら起こすことができるようになった。それが魔法であった。世界革命によって敵との戦争に不利になったかもしれなかった。それでもブレイクはソフィアが隣にいればいいと思った。ソフィアは人を殺すことなく、また殺されることなく、病によって死んだ。七十年も生きれば十分と言えた。だからブレイクは再びソフィアを生き返らせようとは考えなかった。
引用なし
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