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自分の冒険 〜自分ならこう書く〜 冬木野 12/4/26(木) 11:03

ピュアストーリー 第七話 人を殺すのはよくない スマッシュ 13/12/7(土) 0:00

ピュアストーリー 第七話 人を殺すのはよくない
 スマッシュ  - 13/12/7(土) 0:00 -
  
 カオスエメラルドを手に入れたハルバードたちが屋敷から脱出すると、一人の女が屋敷に向かって走っているところに出くわした。
「あなたたちは?」
 女は右手をかざしながら言う。
「俺たちは英雄って名乗っているやつらと敵対している。俺たちはやつらと互角に戦える。だからカオスエメラルドがここにある。見逃してくれるなら、あんたとは戦わない」
 ハルバードがそう言うと女は手を下した。戦っても勝ち目はないからそうするのが当たり前だろうとハルバードは思った。通り過ぎようとすると女が、
「あいつらと戦うの?」と言った。
「それはつまり?」
「戦って倒すつもりでいるの?」
「俺たちはカオスエメラルドを集めなくちゃならない。だからいつかは戦ってカオスエメラルドを手に入れる」
「それなら私も連れて行って」
 女はペネトレイトと名乗った。彼女は一般の魔法使いとして今回の戦いに参加していたらしい。目的は彼らの野望を阻止することだと語った。彼女は元々彼らの仲間だった。しかし彼らの目的である世界平和を達成するためにカオスエメラルドの力で全人類をチャオに変えるつもりであると知って彼女は敵意を抱くようになったのだった。
「チャオは人間みたいに仲間を殺さないって。だけどだからって人をチャオにするなんてあり得ない」
 ペネトレイトは非常識だと怒っていたが、ハルバードには理解できる気がした。世界革命以降チャオは人の言葉を話すようになった。ホープやアックスとは人と話すように会話していた。人間をダンゴムシに変えると言われればペネトレイトのように怒るかもしれないが、チャオに変えられても問題はあまりないように思われた。転生があるものの寿命が短いという心配はあるかもしれない。そのように思ったがハルバードは口に出さなかった。

 ホテルには男二人女二人という分け方で泊まることになった。ハルバードはベッドに乱暴に倒れた。シュートのことを信用しようという気になっていたのでシュートと一緒の部屋になることに抵抗はなかったが、サイスと引き離されたようにも思えた。シュートは部屋に入ってすぐに携帯電話のバッテリーの充電を始めただけでテレビもラジオも付けなかった。替えのバッテリーを携帯電話に入れる。
「カオスエメラルドはお前に渡しておこう」
 そう言ってシュートはハルバードが寝転がるベッドの枕元にカオスエメラルドを置いた。ハルバードはそれを手に取って眺めた。赤いカオスエメラルド。シュートは洗面台に行ってコップに水をくみ、自分のベッドに腰掛けた。
「人間がチャオに変えられるって、どう思う」
「わからん。カオスチャオになれるなら歓迎かもな」
「不死身だからか?」
「ああ。先生は一体何歳なんだろうな。世界革命より前から生きているのは確かみたいだが」
「そういえば聞いたことなかった。百超えているって噂、聞いたことはあったけど」
 シュートは水を一気に飲み干した。そして立ち上がった。
「本当にチャオになれば殺し合うこともなくなるのかという疑問もある。それに殺し合わなくなったとしても、代償がないとも限らないわけだ」
 そう言って洗面台にコップを戻す。
「代償って、記憶を無くすとか?」
「それ以外にもあるかもな。例えば、そうだな、チャオになったらもう文明が発展しないかもしれない」
 シュートは出掛けてくると言って、部屋の鍵を持って出て行った。カオスエメラルドは整った形をしていて、歪な所はどこもない。綺麗ではあったものの見ていて飽きる形でもあった。ベッドの上に投げ出して、テレビを見ることにした。戦いの後にしては疲れはなかった。短時間の戦闘だったしこちらは無傷で全く苦戦しなかったからかもしれない。こんなにも簡単なものだったのだなと思いながらニュースを見る。ニュースでは俳優の訃報が流れていた。九十代の俳優だったためハルバードはよく知らなかった。病気で亡くなったらしい。

 翌朝ハルバードたちの部屋に四人で集まった。朝食を兼ねた会議である。朝食はシュートがコンビニで買ってきたサンドイッチとトマトジュースであった。トマトジュースはあまり好きでなかったがサイスは渋々と飲む。そして同じく嫌っている様子のペネトレイトに飲むように促した。
「とりあえずペネトレイト、君の能力を知りたいな」とシュートが言った。
「私が得意なのはバリア。防御専門だと思って」
「本当は大口径の射撃の魔法も得意なんだけど、あんまり使いたくないんだって」とサイスが補足した。既に彼女と魔法の話をしていたらしい。
「大口径っていうのは?」とシュートが聞いた。
「普通の射撃の魔法が拳銃なら、ペネトレイトが得意なのはライフルみたいな。狙撃できるし威力もあるんだ。でも弾が大きい分作るのに時間かかるし、魔力を上手く節約して作るのも大変なんだよ。だけどさ、見せてもらったんだけど、凄かった。完璧だったよ。普通は連射できないんだけど、やろうと思えば何発か一気に撃てるんじゃないかな、あれなら」
 サイスは興奮気味に話した。ハルバードもサイスの気持ちがいくらかわかる気がした。一発だけ狙撃に使うという場合以外に実用性がほとんどない魔法だ。その魔法についてサイスが興奮気味に話すということは随分優れた使い手なのだろうと予想できた。門外漢のシュートが落ち着いた様子で、
「まあでも使うつもりはないんだろ」と言った。「それならバリアとやらで俺を守ってもらうことにしよう」
 シュートはカツサンドにかぶり付き、トマトジュースで流し込む。
「カオスエメラルドの情報が入った」とシュートは言った。「五六二町にあるみたいだ」

 四人は快速列車に乗って南下して五六二町に向かった。五六二町に着いてまずシュートが情報収集をすることになった。スピードが命だとシュートは言った。敵より先にカオスエメラルドの在り処を調べて手に入れなくてはならない。三人はホテルで待機となった。いつ外出することになってもいいように寝ようかと考えているとハルバードは考えた。隣のサイスたちが泊まっている部屋のドアの閉まる音が二度聞こえた。なんだろうと思っているとサイスからメールが届いた。カオスエメラルドを探しに行ってくる、と書いてあった。慌てて電話を掛ける。すぐに繋がった。
「どうしたんだ一体」
「ペネトレイトと喧嘩した」
 無愛想に言った。
「どういうこと」
「ペネトレイトが人を殺すのはよくないなんて馬鹿なこと言うから、殺さなきゃ手に入らないって言った。で、ペネトレイトがそれなら誰も殺さずに手に入れてみせるって言って出てったから、私も先に手に入れようと思った」
「そんな無茶な。シュートが情報を入手してくれるのを待った方がいい」
「やだ。それにこの輪っか、カオスエメラルドが近くにあると反応するから、私の方が有利だもん。それじゃ」
 サイスはそう言って通話を終了した。ハルバードは全員がばらばらに行動するのはよくないと思い、二人を探しに行くことにした。

 アックスたちもカオスエメラルドがあるという情報を入手して五六二町に来ていた。そして喧嘩によって三つのグループに分かれていた。レジストが、また殺すのか、と言ったのが発端であった。
「俺はもう殺すのは嫌なんだ。どうして人を殺さなきゃならないんだ」
「殺さなきゃカオスエメラルドは手に入らない。世界を変えることはできない」とスピアは言った。
 二人はどこかに行ってしまって、アックスとブロウが残された。
「どうしましょう」とブロウが言った。
「探すしかない」
 二人でスピアとレジストを探していると、不審な少女を見つけた。部屋着といった薄着にぼろいサンダルを履いている。そしてバッグなどは持っていない。そんな格好でぼうっと道端に座っていた。家出かな、とブロウは言った。するとアックスはその少女に近寄って、
「君、家出?」と言った。
 少女は話し掛けられたことに驚いた様子でしばらく固まっていたが、こくりと頷いた。
「家に帰る気がないなら俺たちと一緒に世界を変えないか」
 そう言ってアックスは懐からカオスエメラルドを取り出して少女に見せた。ハルバードたちがカオスエメラルドを手に入れてしまったので、彼らに対抗するために一つ持ち出したのだった。
「これ、カオスエメラルド?」
「そうだ」
「じゃあ今いっぱい人殺してるっていう?」
「そうだ。今なら君に凄い魔法をあげるよ」
「凄い魔法?何それ?」
 アックスは微笑んだ。
「人を探す魔法。そしてその人の所へ瞬間移動する魔法。世界で君にしか使えない魔法だ」
 ブロウが驚愕する。少女は笑った。
「それ本当?」
「本当だ。もし君が本当にその力を望むなら」
 少女は俯いて悩み出した。
「やめるべきだ」とブロウが言った。
「彼女が決めることだよ」
 アックスはそう言って少女をじっと見つめる。やがて少女は真剣な顔を二人に見せて、
「やってみたいかも。やってみたいです」と言った。

 レジストはショッピングモールで人を殺してしまっていた。レジストは他人の命を軽く見る傾向があり、つい人を殺してしまうのであった。人を殺したくないと思うのは、殺人は倫理上よくないと冷静に考えている間だけであった。つい人を殺ししまうのに殺したくないと思っているからストレスは溜まる。それでも人を殺したくないと思うことで自分はまだ真っ当な人間であるように感じられた。
 女性が二人死んでいる。二人は友人で一緒に買い物をしていたのだろう。そして笑っているところをレジストに殺された。レジストは人殺しである自分のことを笑っているように感じたのだった。片方は頭の上部が、もう片方は顎の辺りが銃弾の魔法によって砕けて吹き飛んでいた。どうして俺に人殺しをさせるんだ、とレジストは二つの死体に怒りを抱いて睨んでいた。そこにペネトレイトが通り掛かった。
「レジスト、何をやってるの」
 そうペネトレイトはきつい声で言った。二人は知り合いであった。魔法を学ぶ学校で一緒だった。ペネトレイトの方が優秀だった。レジストはペネトレイトのことも殺そうと思った。銃弾の魔法を彼女の眉間目掛けて撃った。しかしペネトレイトはそれをバリアで受け止めた。レジストは学校時代を思い出した。彼女はただバリアを展開するだけでなく、相手が攻撃してくるポイントにだけバリアを張って魔力を節約するのが得意だった。バリアを張っていない所を狙おうとして、どこにバリアがないのか予想しようとした。ペネトレイトが大口径の銃弾の魔法をレジストの足に撃った。踏みしめていた地面がえぐれた。
「大人しくしなさい。そして自首しなさい」
 見下す目であった。屈辱と同時に勝てないという諦めも抱いた。そこにペネトレイトの脇から彼女に突進してくる女が現れた。スピアだった。彼女の剣がバリアに突き立てられる。そしてスピアは肩をぶつけようとタックルする。これもバリアで防がれ、さらに剣を振るもののバリアが受け止める。ペネトレイトが撃った大口径の銃弾の魔法は当たらなかった。スピアは頭目掛けて肘打ちをし、バリアで防がれたのを感じてすぐに脚に蹴りを入れた。これは当たった。
 アックスたちが瞬間移動してきた。それによって数の差を意識して、ペネトレイトは不利だと感じた。逃げようとするが、スピアがそれを許さない。回り込むように動き、タックルしてくる。
「そこまでだよ、スピア」と遠くから誰かが叫んだ。サイスだった。
「そこまでだ」とさらに誰かが叫んだ。男の子だった。携帯電話を取り出して、
「たぶん見つけました。ショッピングモールです」と言う。
 彼は魔法使いになりたくて非合法的に魔法を習っている少年であった。シュートが情報屋の紹介で知り合い、ハルバードが彼に協力してもらおうと決めたのだった。
「大丈夫ですか、治します」
 レジストが怪我をしているのを見つけてブロウが治療の魔法を使った。撃ち抜かれてぐちゃぐちゃになったはずの足が復元する。
「ここはひとまず退こう」とアックスが言い、家出してきた少女に瞬間移動の魔法を使わせた。
「ありがとう、助かった」とペネトレイトはサイスに言う。
「うん。いいよ。怪我はない?」
「大丈夫みたい」
「それはよかった」
「あいつら、怪我を治す魔法を使えるみたいだね」
 吹き飛ばした足先の血肉がまだ残っていた。それを見ながらペネトレイトは言った。
「もっとちゃんと見たかったね。そうすれば真似できそうだったのに」
「できるの、そんなの」
 ペネトレイトは目を丸くした。サイスは頷いた。
「魔法なんてそんなもんだよ」
 連絡を受けたハルバードとシュートが走ってきた。
「あんたと一緒で頼もしいよ」とペネトレイトは笑った。

「ありがとう、助かった」とレジストはスピアに言った。「これからは足並みを揃えていくことにする」
「そう。ありがとね」
「それにしてもどうしてその子は死んでしまったんだ?」
 レジストは少女に視線をやった。二度目の瞬間移動を終えると少女は息を引き取っていた。外から見て異常はないが心臓が動いていなかった。
「代償でしょうか」とブロウが言った。
「魔法の代償なんて、そんなのあるの」
「彼女が作ったのかもな」とアックスが言う。三人はアックスに視線を集中させ、説明を求めた。
「奇跡には代償があると言われている。世界革命のために記憶が失われた、と。そのように彼女も自分の魔法には代償があると思ってしまったのかもしれない。そして魔法はその代償を実現させた」
「勿体ないね」とスピアが言った。
「そうだな。代償なんて考えずに好きなだけ魔法を使えばよかったんだ」

 カオスエメラルドは翌日ハルバードたちが見つけた。カオスエメラルドは二つあった。
「これで俺たちが持っているのが三つ。先生が持っているのが一つ。敵が持っているのが三つということになる」とシュートが言った。
「じゃあ敵の本拠地を見つけてくれ。それで七つ揃う」
「ああ、任せてくれ」
 シュートが昼夜問わず情報収集をしている中、ハルバードは悩んでいた。一応自分がリーダーということになっている。サイスと二人だった時に主導権を握っていた。その名残である。しかし自分はリーダーに足る存在なのだろうか。シュートもペネトレイトも頼りにしたいと思う一方で、自分には彼らをまとめて一つのチームとする力がないのではないかと思われた。ハルバード自身不思議であったが、サイスとペネトレイトの喧嘩が尾を引いていた。
「大丈夫?」とサイスが言った。シュートがいない間一人で退屈だろうと思ってハルバードの泊まる部屋にやって来たのだった。
「わからない」
 ハルバードは素直に答えた。
「本当に俺がリーダーで、二人を率いていていいのかな」
「何が不安?」
「あの二人をきちんとまとめて、一つのチームとしてやっていく、そういうことをしていく自信がないのかもしれない。たぶんだけど」
「大丈夫だよ。まとまらなくてもいいよ」とサイスは少しだけ考えて言った。「最悪二人で頑張ればいいじゃん」
「二人で、か」
 甘い誘惑だ。二人になってしまってもいいと割り切ってしまえばシュートとペネトレイトのことを考えなくてよくなる。ハルバードが揺れていることを理解して、
「二人で一緒に世界を変えようよ」と言い、サイスはさらに背中を押そうとした。「カオスエメラルドわざわざ七つ集めるのってそうするためでしょ。私も一緒に奇跡を起こしたい」
 やがてハルバードは決心した。サイスと二人だけになってもいい、と。

 明け方にシュートは帰ってきた。そしてシュートはハルバードに言った。
「喜べ。本拠地の場所がわかった。それと敵のリーダー格の正体も」
「リーダーの情報もか。凄いな」
「本拠地は三七五町にある。それで敵のリーダーはカオスチャオらしい。魔法で人に化けてブレイクと名乗っているが、本当の名前はアックスというらしい」
「アックスだって」
「知っているのか?」
 ハルバードは言うべきかどうか迷ったが、
「俺とサイスの友達だ」と告白する。そしてシュートに、
「このことはサイスには秘密にしておいてくれないか」と頼んだ。
 シュートは了解した。もうスピアが敵だとわかっているのだから、アックスもそうだったと知ってもショックは少ないだろう。そうわかっていても秘密にしておきたかった。自分が伝えるべきことだと思った。そして伝える覚悟がまだできていなかった。ハルバードの要求通りにシュートはアックスの話をしなかった。
 サイスに伝えられないまま三七五町に着いた。
引用なし
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